小野山功が見通す「今週の株価材料」 ~【4年ぶりの株価水準】「円安」だけではない、ソニー飛躍の要因とは?~
■ソニーは最早「総合電機メーカー」ではない?
上方修正の幅は600億円と、連結売上高 7兆8000億円もの規模からすると、それほど大きな数字ではないようにも思いますが、前期は3度も業績の下方修正を発表していただけに、「あのソニーが…」と市場では大きなサプライズとなりました。
また、今回の上方修正は円安による影響だけではなく、同社の構造改革の成果があらわれた面があり、海外勢を中心にソニーへの見方がガラッと変わる契機になりました。
ソニーは、テレビやゲーム機器など民生用のイメージが強いですが、最近は映画や音楽、金融部門以外は赤字に陥っており、本業では利益が出ていなかったのです。
■「腐っても鯛」なソニー。総合電機で首位奪還も?
しかし、腐っても鯛です。技術力には定評があり、カメラの目となる「CMOSイメージセンサ」では世界シェア4割とダントツです。
また、CMOSイメージセンサはスマートフォン向けだけではなく、自動運転車の実用化に向けて、車載カメラへの応用を期待する向きもあり、成長株として見直し買いを集めています。
一方、15年3月期 第3四半期業績を発表した(6501)日立製作所は、5日(木)に10%安と売り込まれました。
市場の期待が高すぎたこともありますが、ソニーの上方修正と重なってしまい、増やし過ぎた日立株を売り、ソニーを買い戻すという投資行動で、同社の株価は明暗を分ける形となりました。
5日にソニー株は12%高と急伸し、時価総額で1年半ぶりに(6752)パナソニックに逆転しました。
総合電機では首位の日立製作所の時価総額が約3兆8000億円なのに対して、ソニーは3兆6000億円と猛烈に追い上げる展開です。
ソニーが日立を抜いて、総合電機で首位を奪還する日が近いかもしれません。
小野山 功