■小野山功が見通す「今週の株価材料」 ~なぜ「円安」で株高に?~
「円安を好感し、日経平均株価が上昇」という解説がされるように、株式市場では円安が好感されます。しかし、そもそもなぜ円安で株が買われるのでしょうか?
まず、最初に考えられることが業績拡大への期待です。トヨタやホンダ、キヤノンなど、日本を代表する大企業は輸出関連であることが多く、これらの輸出関連株が、円安による輸出採算の改善を期待して買われる傾向にあります。
例えば、時価総額首位トヨタ自動車の場合、為替が1ドル=1円円安になると、年間の営業利益が 400億円程度増えるといわれています。
一方、紙・パルプや電力・ガス、空運セクターの銘柄は円安がコスト増につながり、業績面では悪影響になります。ただし、上場企業全体で見れば、輸出関連企業が多くを占めるため、円安が進むと日経平均株価は買われる傾向があります。
次に考えられるのが、外国人からみて日本株が割安になる点です。ドルを持つ外国人投資家は、円安が進めばドル換算での日本株が相対的に割安になります。
日経平均株価が15,000円で、1ドル100円の場合は「150ドル」になりますが、1ドル150円まで円安になれば、「100ドル」と割安になるのです。
東証1部の売買の6割は個人でも機関投資家でもなく、外国人投資家です。彼らからみたドル建ての株価が、円安の進行で割安になるため、日本株が買われるというロジックになります。
さて、11月に日経平均株価は +5.7%上昇しましたが、ドル建て日経平均株価はというと 0.1%下落しています。
11月の第1週、第2週と、外国人投資家が日本株を大幅に買い越しました。しかし、日本株が期待されて買われたというよりは、円安で株価が割安になったから買われたという事かもしれません。
ドル建ての日経平均株価は、ここ1年余り概ね「135~155ドル」のボックス圏での推移となっています。
普段ドル建て日経平均を見る機会はないですが、11日時点で147.5ドルと1年間の平均程度。外国人投資家から日本が期待されていないというのは残念ですが、円安が一段と進行するようであれば、“円建ての”日経平均株価は上昇余地がありそうです。
小野山 功
※2014/11/25 16:09 文言修正