1万5000円挟み攻防、上値の重さ意識強まる
さて、東証が5日に公表した5月第5週(26~30日)の投資部門別売買動向によると、主に年金資金を運用する信託銀行は、5週連続で日本株を買い越した。買い越し額は2499億円(5月第4週は1781億円の買い越し)に達し、2009年3月4週(2508億円)以来、5年2カ月ぶりの高水準となった。半面、海外投資家は119万株の売り越し、個人投資家も2761万株の大幅な売り越しとなった。
日経平均株価が5月第4週に一時、1万4000円を割り込むなどの低迷状態から、大きく反発に転じた背景に、信託銀行(年金資金)の買いがあるということが明確になった。
安倍晋三首相は、田村憲久厚生労働相に対し、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用資産の構成見直しを前倒しするよう指示したことが明らかになっている。今後、政府主導でGPIFの運用見直しが加速する可能性が高まっているが、こうした大幅買い越しを見ると、既に実質的な日本株への運用比率の引き上げが先取りされているともいえそうだ。
なお、来週明け9日の東京株式市場は、外国為替市場で現状の1ドル102円台前半の水準が維持されれば、堅調な推移となりそうだ。