ファンダメンタルズは極めて良好
一方、日本株はどうでしょう。今年に入って、日経平均株価が上昇した月は“ゼロ”と低迷が続いています。戦後の株式市場で、4ヶ月続けて株価が下落したのは、1990年と92年のわずか2回しかないということです。そして、5月も下落が続くようであれば、これは史上初。今月いよいよ、不名誉な記録更新となってしまうのでしょうか?
今週で、3月期決算企業の決算発表が出そろいます。これまでに決算を発表した企業は、前期(14年3月期)の着地は好調だったものの、今期(15年3月期)の見通しを保守的に出す企業が多く、発表後に売られるケースが目立っています。
ただ、強気の見通しが好感された業種があります。13日(火)、14日(水)と業種別値上がり率でトップとなった不動産です。決算発表を受けて、不動産株の見方が変わりつつあるのではないかと感じています。
消費増税前の駆け込み需要の反動で、今年は新築マンションの販売が落ち込むとの予想などから、不動産株は年初から軟調な推移を強いられてきました。
一方で、12日に発表された三井不動産〈8801〉の決算発表で、15年3月期の純利益が前期比17%増の900億円になりそうだと発表。7年ぶりに最高益を更新する見通しを示したことで、見直し買いが入り、14日に4.4%高と急反発しました。
決算発表への警戒感があった不動産大手5社のうち、ふたを開けてみれば、増益見通しを発表した企業が3社と半数以上で、買い安心感が広がりました。
大手不動産が強気の見通しを発表する背景には、事業環境の好転があります。
オフィス仲介の三鬼商事がまとめた4月末時点の東京都心5区のオフィス空室率は、6.64%(-0.06)と、2009年3月以来、およそ5年ぶりの低水準を記録しています。改善は10カ月連続で、景気回復によるオフィスの拡張などで、需要は改善傾向にあるといえます。
また、オフィス平均賃料(都心5区)は一坪あたり1万6455円と、前月より0.80%上昇。足元のファンダメンタルズは極めて良好です。
また来週、21日(水)に日銀の金融政策決定会合が開かれる予定です。不動産業は借入金が巨額ですので、金利の影響を受けやすく、追加緩和を期待した買いが入ることもありますが、今回はそういった思惑ではなく、実需の買いが入っているという印象を受けています。
昨年の「アベノミクス相場」を牽引したのは、不動産株です。金融緩和という援助を受けずに、不動産株の上昇が21日以降も続くようであれば、相場の本格反転を期待しても良いのではないではないかと、期待を込めて・・・。
小野山 功
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