第2四半期累計の上方修正に期待
6月の米雇用統計の発表を目前にして、買い手控えが予想された5日の東京株式市場が買い優勢となったのは、4日のドラギECB(欧州中央銀行)総裁発言が要因とされた。ECBはこれまで金融政策を事前に予告しないとしてきたが、ドラギ総裁は方針転換し、当面は低金利政策を続けるとした。これを受けて欧州株が大幅反発。東京市場にもリスクオンの機運が高まり、日経平均株価終値は1万4300円台を回復した。
だだ、株価が先週後半から急ピッチの上昇をみせているのは「3月期決算企業の第1四半期(4~6月)決算への期待感が高まってる点も見逃せない」(市場関係者)というのだ。その一番の背景となっているのは、やはり外国為替市場での円相場が1ドル=100円水準の円安・ドル高での推移となっていることだという。自動車、電機、機械など主力輸出企業の年度当初の想定為替レートは、1ドル=90~95円のレンジとなっている。また、日銀短観の大企業製造業の想定為替レートを見ても、3月調査が1ドル=85.22円だったのに対して、6月調査は1ドル=91.20円となっている。
市場関係者のあいだでは「第1四半期の決算に伴って、通期業績の上方修正は少ないものの、第2四半期累計(4~9月)業績の上方修正に踏み切る企業は案外多いかも知れない」との期待感が浮上している。
なお、来週初8日の東京株式市場は、5日に夜間に発表された米雇用統計の非農業部門雇用者数が前月比19万5000人増と、予想の16万5000人増を大きく上回った。さらに4、5月分も上方修正され、米経済の底堅さが示された流れを引き継いで底堅い展開が予想される。