明日の株式相場に向けて=ショート筋の暗躍横目に好実態中小型株に照準
19日の東京株式市場で日経平均株価は反落。下げ幅は一時1500円近くとなり、6万4000円を下抜ける場面があったものの、終値は前週末比407円安の6万4916円と下げ渋った。日足はローソクの実体部分が短く下ヒゲの長い陽線で、下値の堅さを印象付けている。東証株価指数(TOPIX)は小幅に続伸した。前週末16日にクラウドサービスを展開するコアウィーブ<CRWV>の株価が再び下値を探り、下落率は一時14%となった。AI関連企業の過剰投資問題がクローズアップされるなか、トランプ大統領がロシア制裁法の実施を見送ると16日夜に表明。17日の段階では、最終決定はまだ下していないとの発言があったが、ルビオ国務長官を通じ、最大60日かけて世界経済への影響について検討をするとの意向が示された。結果的にロシア産の供給増加の思惑が広がり、米原油先物相場は19日アジア時間で下落。投資家のリスク許容度改善に寄与した。
今週はハイパースケーラーのうち、米国時間21日にメタ・プラットフォームズ<META>がトップバッターとして決算を発表する。AI・半導体関連株の物色意欲回復を期待する向きは多いのだが、ハイパースケーラー決算の通過後も、米国の中間選挙という不確実性が11月3日の開票日まで横たわることになる。下院の多数派が民主党、上院は共和党となり「ねじれ」状態になるというのが当初の市場の見立てではあったが、ここに来て上院においても民主党が多数派となる可能性について指摘されるようになった。
今回の中間選挙ではデータセンター規制が一つの争点となっている。民主党が上下両院で多数派を抑えた場合、トランプ政権が掲げる経済政策は押しなべて行き詰まることとなる。データセンターを巡る規制の全米での導入機運が高まった際には、マーケットにおいてAIブームの逆回転が一気に始まりかねない。すでにデータセンター関連の資金調達を目的に発行された米テック企業の社債価格に下落(利回りに上昇)圧力が掛かり、クレジット経由でのアラートがマーケットに鳴り響くなかで、日本時間今晩に取引が始まるニューヨーク市場は1987年10月19日のブラック・マンデーから39年の節目を迎える。欧州ではフランスではインフレに端を発した暴動が全土に広がった。イタリアやアルバニアにおいてもデモ参加者が暴徒化し、略奪行為が繰り広げられている。海外のリスク要因は山積した状態だ。
原油先物相場や米長期金利はいったん落ち着きを見せたとはいえ、再び両者が上昇基調となった際に、株式市場で暗躍するショート筋が再度勢いづき、先物売りに拍車がかかる恐れがある。東証プライム市場の19日の売買代金は約6兆7800億円まで減少した。市場のエネルギーに陰りがみえつつある局面で、仕掛け的な先物売買によるボラティリティの高まりが警戒されるところでもある。投資家の目線も外需系よりも内需系、シクリカルよりもディフェンシブに向かいやすい。
内需系では、8月中間期の好決算発表を刺激材料としてコンサル大手のベイカレント<6532.T>が新値追いとなっている。ソフトウェアのテスト受託とともにコンサル領域にも展開するSHIFT<3697.T>は、26年8月期第4四半期(6~8月)が大幅な増収増益で着地したことが評価され、株価4ケタ台に復帰した。ITコンサル関連企業をみると、好実態にある銘柄が多く、とりわけ中小型株となれば、大型株と比較して海外勢による売り崩しの影響は抑制されやすい。すでに一部の銘柄は、サイバーセキュリティー関連や自動運転関連で利益を確保した個人投資家の循環物色の対象となっているものの、海外発の波乱要因が多数存在するなかで、安全志向を強めた投資家の資金の受け皿となる素地を兼ね備えていると言えるだろう。
ULSグループ<3798.T>はAIトランスフォーメーション(AX)需要を追い風に情報通信や自治体など既存顧客向けが好調。5日移動平均線と25日移動平均線のゴールデンクロスが視野に入っている。受注残を着実に積み上げるTDCソフト<4687.T>の株価は前週末までの連騰で過熱感が強まったものの、業績期待を支えに11月の中間決算発表にかけて押し目買い意欲の高まった状態が続きそうだ。システムインテグレーター関連企業を加えるならば、電力関連の新規大型案件の収益貢献が期待されるアドソル日進<3837.T>の反転攻勢が注目されるほか、大手企業向けDX支援を展開し安定的な収益基盤を構築する情報戦略テクノロジー<155A.T>、東京大学発ベンチャーでAIソリューション分野において大型案件の獲得が進むSapeet<269A.T>の株価出直りに期待が膨らむ。
日程面では国内では9月白物家電出荷額や9月食品スーパー売上高、9月首都圏マンション市場動向、9月主要コンビニエンスストア売上高が公表される。円債市場では20年債入札が実施される。海外では中国で10月最優遇貸出金利が発表されるほか、欧州ではドイツ9月生産者物価指数やドイツとユーロ圏の10月ZEW景況感指数、英9月失業率の発表を控えている。米国では9月住宅着工件数が発表され、企業決算はゼネラル・モーターズ<GM>、RTX<RTX>、ネットフリックス<NFLX>などが発表を予定している。(長田善行)
出所:MINKABU PRESS
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