資源・新興国通貨の2026年9月までの展望

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最新投稿日時:2026/03/30 14:28 - 「資源・新興国通貨の2026年9月までの展望」(八代和也)

資源・新興国通貨の2026年9月までの展望

著者:八代和也
投稿:2026/03/30 14:28

豪ドル

RBA(豪中銀)は26年2月と3月の2会合連続でそれぞれ0.25%の利上げを行うことを決定しました。3月27日時点でRBAの政策金利は4.10%です。

RBAは3月会合の利上げについて「(豪州の)インフレ率が(RBAの)目標を上回る状態が予想よりも長く続く重大なリスクがあるため」と説明。「ここ数カ月間の広範なデータは、25年後半にインフレ圧力が大幅に高まったことを裏付けている」、「労働市場は最近ややひっ迫しており、生産能力への圧力は以前の評価よりも若干高まっている」などと指摘しました。

RBAはまた、「中東での紛争の影響によって燃料価格が急騰しており、この状況が続けばインフレを加速させる要因になる」との認識を示しました。

市場ではRBAは今後も利上げを続けると予想されており、OIS(翌日物金利スワップ)に基づくと、26年末までにさらに0.25%×3回(合計0.75%)の利上げが行われるとの見方が優勢です。

日銀も今後追加利上げを行うとみられるものの、そのペースはRBAと比べて緩やかになるとみられます。RBAと日銀の金融政策面からみれば、豪ドル/円は底堅く推移しそうです。

市場ではこれまでFRB(米連邦準備制度理事会)の次の一手は“利下げ”になるとみられていましたが、最近の原油価格高騰を受けて“利上げ”へと見方が変化しました。そのことの影響は大きいと考えられます。FRBによる利上げ観測が今後高まる場合、豪ドル/米ドルは軟調に推移する可能性があります。

豪ドルには投資家のリスク意識を反映しやすいという特徴があります。中東情勢が一段と緊迫する、あるいは主要国の株価が下落を続ければ、リスクオフ(リスク回避)が強まるかもしれません。リスクオフは豪ドルにとってマイナスになると考えられます。

本邦当局が米ドル売り/円買いの為替介入に踏み切るかどうかにも注目です。仮に本邦当局が介入を行えば米ドル/円が大きく下落するとみられます。そして、対円の通貨ペアである豪ドル/円もそれに引きずられると考えられます。

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【豪ドル/NZドル】
豪ドル/NZドルは3月17日に一時1.21478NZドルへと上昇し、13年5月以来およそ13年ぶりの高値をつけました。RBA(豪中銀)は上述のとおり、2月と3月の会合で利上げを実施したうえ、市場では今後さらに利上げを行うとみられています。一方、RBNZ(NZ中銀)は2月の会合で政策金利を据え置いたうえ、政策金利は当面据え置かれる可能性を示しました(*RBNZの金融政策の詳細はNZドルの項をご参照ください)。RBAとRBNZの政策金利差が今後さらに拡大するとの観測が、豪ドル/NZドル堅調の主な要因と考えられます。

ただ、最近の原油価格高騰を受け、市場ではRBNZの利上げ観測が高まりました。RBNZが実際に利上げを行えば、金融政策面からの豪ドルの優位性は低下すると考えられます。その場合、豪ドル/NZドルは上値が重い展開になりそうです。

NZドル

RBNZ(NZ中銀)は26年2月18日の会合で政策金利を2.25%に据え置くことを決定しました。政策金利の据え置きは25年7月以来4会合ぶり。前回25年11月まで3会合連続でそれぞれ0.25%の利下げを実施していました。

議事要旨によれば、26年2月の会合で政策メンバーは「(NZの)景気回復はまだ初期段階にあり、金融環境の早すぎる正常化は景気回復を鈍らせてインフレ率が目標を下回る結果を招くおそれがある」 、「経済活動の持続的な回復を支えるためには金融政策は当面緩和的であり続ける必要がある」との認識を示しました。

その後、中東での紛争によって原油価格が高騰するなか、RBNZのブレマン総裁は3月24日の講演で利上げを急がない考えを改めて示しました。ブレマン総裁は「短期間の混乱に対応して金融政策を引き締めれば、(政策の効果が波及するにはタイムラグがあるため)短期のインフレ率は改善することなく、経済成長を抑制するだけだ」と述べ、「中期的なインフレの動向に影響を与える可能性が低いのであれば、短期間の混乱やエネルギー価格の一時的な上昇は、金融政策の観点からは見過ごすことができる」と語りました。

こうしたRBNZの姿勢とは異なり、市場ではRBNZは早ければ5月に最初の利上げを実施し、26年末までに0.25%×3回(合計0.75%)利上げするとの観測があります。

仮に市場予想どおりにRBNZが利上げを行うとすれば、日銀と比べて利上げのペースは速くなる可能性があります。RBNZと日銀の金融政策面からみれば、NZドル/円は底堅く推移するとみられます。

NZドル/米ドルについては、軟調な展開になるかもしれません。市場ではFRBによる利上げ観測が浮上しており、その影響は上述のRBNZの金融政策見通しの変化よりも大きいと考えられるからです。

豪ドルと同様、NZドルは投資家のリスク意識を反映しやすいという特徴があり、リスクオフ(リスク回避)が強まることはNZドルにとってマイナスです。

本邦当局が米ドル売り/円買いの為替介入に踏み切るかどうかにも注目です。仮に本邦当局が介入すれば米ドル/円が大きく下落して、NZドル/円はそれに引きずられるとみられます。

カナダドル

BOC(カナダ中銀)は25年12月・26年1月・3月と3会合連続で政策金利を2.25%に据え置きました。

BOCは3月会合の声明で、これまでの「現在の政策金利(の水準)は依然として適切」を削除し、「必要に応じて対応する用意がある」と表明。マックレム総裁は会合後の会見で、中東での紛争の影響を評価するのは時期尚早だとしながらも、「エネルギー価格の高騰が持続的なインフレにつながる兆候がみられるようなら、利上げを行う」と述べました。

市場では、24年6月に開始されたBOCの利下げサイクルは終了し、次の一手は利上げになるとの見方が有力。OIS(翌日物金利スワップ)に基づくと、利上げは26年末までに0.25%×2回(合計0.50%)行われるとの見方が優勢です。

最近の原油価格高騰を受け、市場ではFRBの次の一手は“利上げ”になるとの見方が浮上しました。今後FRBによる利上げ観測が高まる場合、米ドルが全般的に堅調に推移して、米ドル/カナダドルはその影響を受ける可能性があります。

原油価格の動向も相場材料になりそうです。産油国の通貨であるカナダドルにとって原油価格の上昇はプラス材料になると考えられます。

USMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)の見直し交渉の行方も注目されます。トランプ政権1期目の20年7月1日に発効したUSMCAは、発効6年目に協定締結国(米国・メキシコ・カナダ)共同で見直すことが協定に定められています。仮に見直し交渉が難航するようなら、カナダドルの上値を抑える要因になるかもしれません。

トルコリラ

TCMB(トルコ中銀)は26年3月の政策会合で政策金利を37.00%に据え置きました。TCMBは25年7月から26年1月まで5会合連続で利下げを行っており、政策金利が据え置かれたのは6会合ぶりです。

TCMBは3月会合声明で政策金利の据え置きについて「地政学的な動向を背景に不確実性が高まるなか、世界的なリスク許容度は低下し、エネルギー価格は上昇した」とし、「こうした要因がインフレ見通しに及ぼすリスクを抑制するため」と説明。「地政学的な動向が、コスト経路や経済活動を通じてインフレ見通しに及ぼす影響を注視していく」と付け加えました。

先行きの金融政策については、「実際のインフレ率やインフレ期待、およびそれらの基調を踏まえ、中間目標に沿ったディスインフレの道筋に必要な引き締め度合いを確保するように政策金利を決定する」と改めて表明。「金融政策の決定は、インフレ見通しを重視しつつ会合ごとに慎重に行う」とし、「インフレ見通しが顕著かつ持続的に悪化した場合、金融政策スタンスを引き締める」としました。

トルコリラが軟調な要因の1つにTCMBが利下げを続けてきたことが挙げられます。それが3月の会合で政策金利は据え置かれました。原油価格の高止まりが長期化するようであれば、TCMBは利上げに転じることも考えられます。TCMBの金融政策面からのトルコリラへの下押し圧力は今後和らぐ可能性があります。

南アフリカランド

SARB(南アフリカ中銀)は24年9月から25年11月にかけて6回合計1.25%の利下げを実施。その後、26年1月と3月の会合では政策金利を6.75%に据え置きました。3月会合で政策金利を据え置くとの決定は全会一致でした(1月会合は4対2で、2人は0.25%利下げすることを支持)。

SARBは声明で、「(SARBの)四半期予測モデルに基づけば、政策金利はより長期間現行水準に維持される見通しであり、利下げの時期は27年1月へと先送りされる」と表明。前回1月会合の時は「引き続き段階的に利下げを行う見通しであり、政策金利は27年中に中立水準に達すると予想される」との見方でした。

最近の原油価格高騰を受け、市場ではSARBの先行きの金融政策に対する見方が変化。次の一手は“利下げ”ではなく“利上げ”になる予想されています。今後その観測が一段と高まる場合、南アフリカランドにとってプラスになりそうです。

メキシコペソ

BOM(メキシコ中銀)は3月の政策会合で0.25%利下げすることを決定。政策金利を7.00%から6.75%に引き下げました。BOMは前々回25年12月まで12会合連続で利下げを実施し、前回26年2月の会合は政策金利を据え置きましたが、再び利下げを行いました。

BOMの3月会合の声明で、先行きの金融政策について「マクロ経済と金融状況によっては、追加利下げの妥当性と時期について検討する」とし、さらなる利下げに含みを持たせました。そのことはメキシコペソにとってマイナスになると考えられます。

日銀は今後追加利上げを行うとみられるものの、そのペースは緩やかになりそう。BOMと日銀との政策金利差が大きい状態は今後も続くと考えられます。両中銀の金融政策面からみれば、メキシコペソ/円は底堅い展開が想定されます。

カナダドルと同様、原油価格の動向やUSMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)の見直し交渉の行方も相場材料になる可能性があります。原油価格の上昇が続く場合、メキシコペソにとってプラスになりそう。ただし、USMCAの見直し交渉が難航するようなら、メキシコペソは伸び悩む可能性もあります。

他の対円の通貨ペアと同じく、本邦当局が為替介入(米ドル売り/円買い介入)に踏み切るのかも注目されます。

八代和也
マネ―スクエア シニアアナリスト
配信元: 達人の予想

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