三菱製鋼、成長分野を強化して収益力強化、安定性と成長性の両立を重視した株主還元で企業価値向上を目指す

\ あなたにピッタリの銘柄がみつかる /

みんかぶプレミアムを無料体験!

プランをみる

最新投稿日時:2026/02/27 19:00 - 「三菱製鋼、成長分野を強化して収益力強化、安定性と成長性の両立を重視した株主還元で企業価値向上を目指す」(ログミーファイナンス)

三菱製鋼、成長分野を強化して収益力強化、安定性と成長性の両立を重視した株主還元で企業価値向上を目指す

投稿:2026/02/27 19:00

個人投資家向け会社説明会

山口淳氏(以下、山口):三菱製鋼株式会社代表取締役社長執行役員の山口です。本日はお忙しい中、当社のIRセミナーをご視聴いただき、誠にありがとうございます。

本日は、当社の概要と事業についてご説明した後、2030年に向けた成長ストーリーや株主還元の方針等についてお話しします。本日の説明が、みなさまの当社理解の一助となれば幸いです。

会社概要

それでは、まずスライドに沿って、当社の会社概要についてご説明します。決算期は3月で、連結売上高は約1,600億円、国内外に生産拠点を構え、連結従業員数は約3,800人です。

スライド右側には、直近3年間の株主還元の推移を示しています。当社では、株主のみなさまへの利益還元を最重要課題の1つと考え、株主還元の段階的な強化を進めてきました。また、当社の特長として、1株当たりの下限値を設定しています。詳しくは後ほどご説明します。

経営理念はスライド下段にある5項目です。特にBtoB企業として、お客さまの課題解決を通じて社会に貢献する当社にとって、「お客さま第一」は事業の根幹となる考え方です。

三菱製鋼とは?

三菱製鋼がどのような会社なのか、簡単にご説明します。社名のとおり「製鋼」、すなわち特殊鋼と呼ばれる「鋼」を製造する会社です。当社の大きな特長は、その素材を自社で加工し、製品である「ばね」まで一貫生産できる点にあります。

当社のルーツは、120年以上前に創業した国内最古のばねメーカーです。第一次世界大戦時にばねの原材料の輸入が困難になったことを契機に、「なければ自分たちで作ろう」と特殊鋼の製造を開始したことが、この一貫生産体制の起点となりました。

当社が生産する特殊鋼やばねは、自動車、建設機械、鉄道など、幅広い分野で使用されており、大手自動車メーカーや建設機械メーカーなど、安定した需要基盤を保持しています。

さらに近年では、このような強みを活かし、新興国の旺盛な鋼材需要の捕捉や、さまざまな用途に用いられる精密部品や金属粉末の開発、販路拡大に取り組んでいます。また、高市政権が重点分野として掲げるエネルギーや防衛関連といった成長分野にも進出し、事業を拡大しています。

これらの事業は、現在着実に収益に貢献しています。本日は、当社の事業内容と将来に向けた成長ストーリーについて、詳しくご説明します。

三菱製鋼の4つの事業

当社の事業は、「特殊鋼鋼材」「ばね」「素形材」「機器装置」の大きく4つに分類されています。スライド左上の特殊鋼鋼材事業は、売上高の約半分を占め、主に建設機械や工作機械向けが中心です。

右上のばね事業は、売上高の約4割を占めます。自動車用ばねが中心ですが、新幹線車両に搭載される巻きばねや、デジタルカメラなどに使用される精密ばね部品も生産しています。

また、売上規模はまだ小さいものの、左下の金属粉末などを扱う素形材事業や、右下の、大型機械に加え、エネルギー、防衛、環境関連製品などを幅広く扱う機器装置事業は、成長期待も大きく、今後の伸長が見込まれています。

各事業の詳細や成長戦略については、後ほどあらためてご説明します。

国内・海外ネットワーク

スライドには当社の主要な生産拠点を示しています。国内では北海道室蘭市、千葉県市原市、福島県会津若松市、長崎県長崎市の4拠点があり、海外では北米やアジア地域を中心にグローバルに展開しています。

当社グループの軌跡

当社の沿革についてご説明します。当社のルーツの1つは、1904年に創業した日本最古のばねメーカーで、戦火により材料の入手が困難になったことから、特殊鋼の生産を開始し、事業を拡大しました。

もう1つのルーツは、現在の三菱重工業にあたる三菱造船長崎製鋼所です。この2社が合併し、現在の三菱製鋼が誕生しました。当時は時代背景もあり、軍需産業への依存が大きい部分がありましたが、終戦を機に民需への転換を進めました。

現在の主力製品である自動車ばね事業の強化を進めたほか、精密ばねや特殊合金粉末など、現在も続く事業への進出を行いました。

1986年には当社として初めてカナダに海外進出し、それ以降、自動車メーカーなどのお客さまの事業展開に合わせて海外展開を加速し、現在のグローバル供給網を構築しました。

このように時代の変遷とともに変化し、成長を続けてきた当社は、現在さらなる成長に向けた変革を進めています。

特殊鋼鋼材事業

それでは、当社の事業についてご説明します。

まず、売上高全体のおよそ半分を占める特殊鋼鋼材事業についてご説明します。特殊鋼とは、一般的な鋼とは異なり、用途に応じて合金元素を付加することで、さまざまな特殊な性質を持たせた鋼のことを指します。

当社では、長年にわたり培ってきた製鋼ノウハウにより、添加元素の割合などを調整することで、耐久性や耐熱性など用途に応じた多様な特性を有する特殊鋼を生産しています。

特殊鋼鋼材事業

当社の特殊鋼の生産プロセスをご紹介します。最初に、生産工程の動画をご覧ください。

(動画始まる)

特殊鋼鋼材事業。

国内では、日本最大級の規模を誇る北海道室蘭市の特殊鋼コンビナート内にある、三菱製鋼室蘭特殊鋼が、特殊鋼の製造を行っています。

原料となる溶鋼は、日本製鉄の製鋼工場から、溶鋼輸送台車を用いて搬入。

製鋼工程では、合金添加によりさまざまな鋼種(こうしゅ)を造ります。真空脱ガス装置を経て連続鋳造設備では溶鋼を1本約9トンの鋳片に固めていきます。

圧延工程では、全連続V-H圧延設備にて丸棒では直径350ミリまでの幅広いサイズに延ばして成形します。

(動画終わる)

動画でもご説明のとおり、当社の国内特殊鋼生産拠点である三菱製鋼室蘭特殊鋼では、室蘭コンビナート内で日本製鉄と協業で事業を行っており、高炉から特殊鋼を生産しています。これは、電炉で生産を行う競合の特殊鋼専業メーカーとは異なる、当社の大きな特長です。

一方、インドネシアにある海外生産拠点では、スクラップを原材料として電炉で特殊鋼を生産しています。

特殊鋼鋼材事業

特殊鋼鋼材事業の概要についてです。生産拠点は、国内では北海道室蘭市、海外ではインドネシアにあります。

主な向け先として、国内ではコマツや日立建機といった建設機械向けを中心に、その他にも産業機械や工作機械向けに納めています。一方、海外では、商用車、自動車、二輪車向けなど、幅広い分野に納入しています。

国内事業のポイントは主に3つです。1つ目は、同業の特殊鋼専業メーカーと異なり、高炉を用いて特殊鋼を生産している点です。これは、電炉の材料となるスクラップに比べ不純物が少なく、高品質な鋼材を生産しやすいという特長があります。

2つ目は、太径鋼種の生産に強みがある点です。建設機械などに使用される太いサイズの鋼材は国内シェアNo.1を誇ります。

3つ目は、新分野への拡販です。中長期的な国内市場の縮小を見据え、成長分野の鋼種開発を推進しています。

一方、海外鋼材事業は、今後市場の成長が見込まれる東南アジアにおける旺盛な需要増加に応えるため、戦略事業として育成を進めています。この点については、後ほど詳しくご説明します。

ばね事業

売上高全体の約4割を占めるばね事業についてです。「ばね」とは、力を加えると変形し、元に戻ろうとする性質を使って、衝撃や振動を和らげたり、荷重を支えるなどの機能を担う部品です。

当社のばねの多くは、自動車の足回り部品に組み込まれ、路面からの衝撃や振動を吸収することで、自動車の乗り心地を支えています。さらに、安全性を支える高い耐久性と品質を持つ点も、当社のばねの特長です。

また、当社は鋼材と同様に太い径のばねを得意としており、建設機械向けのばねは世界シェアNo.1を誇っています。

さらに、鉄道車両向けにも納入しており、日本の新幹線にも当社のばねが採用されています。ばねの技術を応用し、電子機器などに使用される高機能ヒンジも生産しています。

ばね事業

ばね事業の概要です。製品の構成比率では、自動車用が半分以上を占めています。向け先としては、トヨタ自動車をはじめとする日系自動車メーカーに幅広く納入しているほか、北米拠点ではGeneral Motors(GM)をはじめ、アメリカの現地自動車メーカー向けにも納入しています。

今後、成長が期待される分野として、商用車用の板ばねや車両用のばね、精密ばね部品などが挙げられます。

主要需要先である自動車業界は現在、電動化という大きな変革期を迎えています。自動車の足回りの構造は大きく変化することが想定されにくいため、今後さらに電動化が進行しても、ばねの需要は引き続き見込まれると考えています。

一方で、バッテリー搭載による車体の重量増により、ばねのさらなる軽量化が求められています。これに対し、「素材」と「加工」の双方のノウハウを持つ、独自のばね軽量化技術を発揮し、お客さまの要望に応えていきます。

素形材事業

素形材事業についてです。この事業は、溶かした金属を型に流し込んで成形する「鋳鋼・鋳造品」と、合金元素を独自の配合で加え、微細な粉末状に加工する「金属粉末」などを主要製品としています。

従来は、自動車内燃機関向け部品が事業の中心でしたが、自動車の電動化に伴い将来的な需要減が想定されるため、市場の拡大が見込まれる特殊合金粉末を戦略事業に掲げ、育成を進めています。詳しくは後ほどご説明します。

機器装置事業

機器装置事業についてご説明します。この事業は売上高全体に対する比率として6パーセント程度とまだ小さいものの、AIの普及やデジタル化の進展に伴う電力需要の増加で注目されているエネルギー分野や、国防予算の増額を背景に受注が好調な安全保障分野などの成長分野も多く、非常に期待しています。

また、鍛圧機械や浚渫(しゅんせつ)用バケットなど、業界屈指の大型加工技術を保有しており、製品大型化が進む洋上風力分野で、大いに存在感を発揮できると考えています。こちらについては、後ほど詳しく説明します。

2030年のありたい姿

ここからは当社の2030年に向けた成長ストーリーについてご説明します。

当社は、「2030年のありたい姿」として、国内鋼材や自動車用ばねといった基盤事業の稼ぐ力を強化してキャッシュを創出しつつ、戦略事業として掲げた5つの事業と新規事業へ積極的に投資することで、持続的成長を目指していきます。

ありたい姿に向けた現在地

このありたい姿に向けた通過点として、2023年5月に現在の「2023中期経営計画」を策定し、今年度がその最終年度となります。

今中期経営計画の成果として、戦略事業の育成は順調に進捗しており、一部事業は既に収益に貢献しています。その他の事業も設備投資を着実に実行し、準備を進めてきました。一方で、基盤事業の不安定さに課題が残り、最終年度の利益目標は未達に終わる見通しです。

このような中で、現在、2026年5月の公表に向けた次期中期経営計画の策定を進めています。「基盤事業でキャッシュを創出し、市場成長が期待できる戦略事業を育成する」という大きな方針に変更はありません。

一方で、足元の動向も踏まえ、「当社の強みを活かして、より顧客価値を創出できる分野はどこか?」を見極めるとともに、今後の市場動向も見据えながら、当社がより注力すべき事業を選定していきます。

これらをもとに、より説得力のある当社の「2030年のありたい姿」に向けた成長の道筋を、今年5月に示す予定です。

今中計の成果と課題

今中期経営計画の成果と課題についてお話しします。スライドのグラフは基盤事業と戦略事業ごとの、営業利益と営業利益率の推移を示したものです。

赤色の戦略事業は、着実に収益へ貢献が進んでおり、今年度は当初計画を上回る成果を見込んでいます。一方で、青色の基盤事業の中でも、特に国内鋼材事業の損益が大幅に悪化したため、全体としても目標に対して大幅に未達となる見込みです。

国内鋼材事業は、今年度、高炉トラブルなどの一過性の影響があったものの、もともと景況感に左右されやすい傾向があり、損益のボラティリティや業績予想の精度といった面で大きな課題となっていました。

そこで今中期経営計画では、「国内鋼材事業への依存」という収益構造の課題に対し、収益率が高く市場成長も見込める戦略事業を育成することで、安定した利益成長を実現できる収益体質への転換を進めてきました。

今中期経営計画の目標達成は厳しい状況ですが、次期中期経営計画では、今期の悪化要因となった国内鋼材事業の一過性の影響が解消されるとともに、これまで育成を進めてきた戦略事業の収益貢献を加速させることで、持続的な成長を図っていきます。

ROICの導入

このような事業ポートフォリオの転換を進めるため、今中期経営計画よりROIC経営を導入しています。ROICは、事業に投入した資本がどれだけ利益を生み出しているかを表す指標であり、中長期的な企業価値向上を目指す上で有効な指標だと考えています。

スライド左側に示したとおり、横軸にROIC、縦軸に市場成長率を置いた拠点ポートフォリオマップを作成し、各拠点の収益性や成長性を可視化して分析、評価しています。

マップ右上の、両指標ともに高い拠点には積極的に資源を配分します。一方、低採算の事業は、生産体制の見直しや製品ポートフォリオのスリム化、時には撤退や売却も視野に入れ、抜本的な対策を講じます。その一環として、2024年度には、低採算が続いていたドイツばね事業から撤退しました。

精密ばね部品

資源を重点的に投じる各戦略事業について、その概要や進捗をご説明します。

まず、精密ばね部品についてです。当社はばねの技術を活かして、高機能ヒンジを生産しています。これらはデジタルカメラやパソコンなど、電子機器の可動部分に採用されています。

また、高トルクと高耐久性を両立し、特許を取得した技術力で、情報端末や車載端末から福祉・介護などの領域まで、幅広く用途拡大を図っています。既に昨年度より大型案件の量産が開始され、収益に大きく貢献しています。さらなる生産能力の増強に向けて、設備投資を実施しています。

海外鋼材

海外鋼材事業についてです。こちらも足元で順調に収益に寄与しています。インドネシアのJATIM社では、東南アジア唯一の製鋼一貫特殊鋼メーカーとして、ASEANの成長市場の需要を捕捉すべく、事業強化を進めています。

また、昨年10月より使用電力の100パーセントを再生可能エネルギー由来に切り替え、同社のCO2排出量を約80パーセント削減しました。これはグリーン鋼材の供給に向けた大きな前進と捉えています。

昨年12月には、特殊鋼分野としては初となるインドネシアの「グリーンインダストリー認証」を取得しました。引き続き、お客さまの脱炭素需要を捉えながら、さらなる成長を目指していきます。

特殊合金粉末

次に収益への貢献が期待されるのは特殊合金粉末です。特殊合金粉末とは、溶かした金属に合金元素を独自の配合で加え、さまざまな特性を付加し、微細な粉末状に加工した製品です。

この粉末は、お客さまに納入された後、製品に加工され、自動車部品、電子機器をはじめ、航空、宇宙、防衛関連などの成長分野で、さまざまな製品に使用されます。

特に、3Dプリンタ向けやスマートフォン、自動車などの通信・制御機器に使用されるインダクタ向け市場は、今後の成長が大きく期待されます。

これに対応するため、生産能力の増強投資を実施しており、今年度中に第1ステップを完了する計画です。お客さまの承認を経た上で、来年度半ばから本格稼働し、収益に貢献することを想定しています。

商用車・車両用ばね

商用車・車両用ばねについてです。特に新興国では人口増や都市化の進展で今後の市場の伸びが期待されることから、これらの需要捕捉に向けて、研究設備の新設を行いました。

また、板ばねは、JATIM社で生産した鋼材をインドネシアの現地協力会社で板ばねに加工し、当社が販売するという、素材からの一貫生産モデルを構築しています。

先ほどご説明したJATIM社でグリーン鋼材の生産を開始できれば、それを加工した世界初の「グリーン板ばね」の供給も視野に入ってきます。

洋上風力発電関連

最後に、洋上風力発電関連分野についてです。一部の大手事業者が撤退するなど不透明な部分もありますが、AIの普及やデジタル化の進展に伴う電力需要の拡大、そして脱炭素社会の実現に向けて、風力発電推進の方向性に大きな変化はないと考えています。

より多くの電力を供給するため、設備の大型化が進んでいます。しかし、部材の大型化ニーズに対応できる国内サプライヤーは一部に限られており、大型化に対応できる当社の強みを十分に発揮できる分野だと考えています。

実際に、今年1月から稼働を開始した長崎県五島市沖の浮体式洋上風力発電では、風車を支える直径約8メートルの基礎部材を提供しています。今後、さらにこのような事例を増やしていく方針です。

また、将来の需要増加を見据え、厚さ130ミリの板を加工できる大型設備を導入し、現在、本格稼働に向けた準備を進めています。また、さらなる生産能力の増強と、足元で高まる防衛関連の需要に応えるため、機器装置事業の新工場建設を決定しました。

三菱長崎機工(株)新工場建設

国内では1994年以来の新工場建設となります。高い熱処理技術を強みとする防弾鋼板の受注増に加え、大型部材に対応可能な国内有数の生産体制を強化し、将来的な洋上風力発電分野での需要増に対応することを目指します。総投資額は約46億円で、第1期投資の稼働は来年1月を予定しています。

研究開発について

当社の成長を支える研究開発についてご説明します。事業横断的に当社の研究開発活動を担う技術開発センターでは、60名体制でお客さまのニーズを引き出す、顧客提案型の開発を推進しています。

スライド右側にいくつか具体例を示しているように、3Dプリンタ向け粉末の用途拡大や燃費改善の観点から重要となるばねの軽量化、さらに鉄鋼の生産過程で副産物として発生する製鋼スラグを活用した環境関連事業など、戦略事業に関する研究開発を進めています。

このような研究開発をさらに活性化させることで、当社の持続的成長を加速していきます。

キャッシュ・アロケーション (創出した資金の使い道)

このような事業の成長で得た資金の使い道も重要なテーマです。

スライドで示したとおり、事業活動と遊休資産の売却などで生み出した資金を、成長投資、財務体質の改善、そして株主還元の強化にバランスよく配分していくことで、当社の企業価値向上を図っていきます。

株主還元

株主還元についてです。当社では、株主のみなさまへの利益還元を最重要課題の1つと考え、株主還元の段階的な強化を進めてきました。

業績ボラティリティが高い中でも、株主のみなさまに安心して当社の株式を保有していただけるよう、配当性向の方針に加え、今中期経営計画期間中より1株当たりの配当下限値を設けています。

さらに昨年5月にはこの方針を変更し、今年度は配当性向の目安を30パーセントから40パーセントへ、1株当たりの配当下限を64円から80円に引き上げました。

次年度以降の方針は、今年5月に公表予定の次期中期経営計画の中で示す予定ですが、株主還元を重視する方向性に変更はありません。

株価の状況

こちらのスライドは直近5年間の株価推移を示しています。

海外子会社の大規模な減損計上や新型コロナウイルスの影響により、2期連続の赤字となった2020年度以降、損益の着実な改善とともに株価も上昇傾向にあります。しかし、PBRは依然として1倍を下回っており、市場からの評価は十分とはいえません。

一方で、このような状況下でも安定的に株主還元を実施することで、配当利回りは安定して4パーセント前後で推移しています。今年5月に公表予定の次期中期経営計画では、より説得力のある成長ストーリーを提示するとともに、着実に成果を出すことで市場のみなさまからの評価を獲得していきます。

加えて、安定性と成長性の両立を重視した株主還元を引き続き実施することで、株主総利回りの観点からも株主のみなさまのご期待に応えていきます。

人的資本経営

企業の成長のドライバーとなる人的資本経営についてご説明します。直近2年間で大幅な賃金改善を実施したほか、教育や研修の拡充を進めるなど、人材への投資を加速させています。

また、従業員満足度を測るエンゲージメントサーベイの実施や、私自身が各拠点を訪問して従業員の生の声を聞くタウンホールミーティングを定期的に開催し、課題を可視化し改善を行ってきました。

このような取り組みをさらに進めることで、「一人ひとりが最大限のパフォーマンスを発揮し、ともに成長できる強い組織」を実現していきます。

サスティナビリティ経営の推進

製造業である当社にとって、カーボンニュートラルに向けた取り組みは重要な経営課題の1つです。一昨年には、2030年度の排出量削減目標を基準年度比50パーセント削減へ引き上げ、政府の目標を上回る水準としました。

足元ではおおむね計画どおりに進捗しており、2050年度のカーボンニュートラル実現に向けて、一丸となって取り組みを進めていきます。

地域・社会貢献活動

地域社会貢献活動についても積極的に取り組んでいます。企業版ふるさと納税制度を活用した寄付を通じて、当社の主要生産拠点がある自治体への支援を行っています。

そのほか、近隣地域のお祭りやイベントなどへ参加するなど、国内外で日頃から当社の企業活動にご理解、ご支援いただいている地域のみなさまとの交流を積極的に進めています。

また、当社の拠点地域に縁のあるチームや選手への支援も行っています。フィリピンと日本にルーツを持つ将来有望な17歳のジュニアゴルファーである鈴木新一選手とスポンサー契約を締結し、その活動を応援しています。

さらに、パラスポーツへの支援として、日本車いすバスケットボール連盟とオフィシャルサポーター契約を締結しました。体験会や試合観戦などの社内イベントを通じて、ダイバーシティへの理解を深めるとともに、社員の一体感醸成を図っています。

企業価値向上に向けて

最後に、本日の説明のまとめとして、当社の企業価値向上に向けた考え方についてお話しします。ここまでご説明してきたとおり、将来の成長に向けた取り組みを進め、着実に成果は出てきていますが、依然としてPBR1倍未満の状況が続いています。

さらに、今年8月には新TOPIXへの移行に関する基準充足の判定が控えていますが、足元の株価水準では見直し後の基準を満たしていないのが現状です。

企業価値を十分に向上できていない点は、経営陣も重要な課題として強い危機意識を持っています。PBR1倍以上に向けた変革をスピード感を持って進め、新TOPIXの基準充足を目指し、取締役会や経営会議等で議論を深めています。

本日ご説明した戦略事業の育成による事業ポートフォリオの最適化により、収益力と資本効率の改善を図っていきます。

また、今年5月の新中期経営計画で、より具体的で説得力のある成長ストーリーをお示しして着実に成果を出すことで、投資家のみなさまの期待と信頼を獲得し、企業価値の向上を図っていきたいと考えています。本日のご説明は以上です。

IRコミュニケーションツール

参考資料についてご案内します。当社では、Webサイト、統合報告書、決算説明資料など、さまざまなかたちで株主、投資家のみなさまに向けた情報発信を行っています。本日お話しした内容をより詳しく掲載していますので、ぜひご覧ください。

業績・財務指標の推移

こちらのスライドには、主な業績および財務指標を掲載しています。

業績の推移と中計の変遷

こちらのスライドには、過去10年間の業績推移と中期経営計画の変遷について掲載しています。後ほどご参照ください。

私からのご説明は以上です。今後ともみなさまのご理解とご支援を賜りますよう、よろしくお願いします。ご清聴ありがとうございました。

質疑応答:今期の配当減配の可能性について

司会者:「来期の配当方針はこれからとのことでしたが、今期からの減配もあり得るのでしょうか?」というご質問です。

山口:室蘭コンビナートの高炉トラブルの影響で、今期は利益面で厳しいところがあり、ご心配される方もいらっしゃるかと思います。まずお伝えしたいのは、当社の「配当下限80円」はまったく変えるつもりがない、ということです。

この室蘭コンビナートの件はあくまで一過性の事故であり、その他の事業は順調ですので、来期以降も堅調に推移すると見ています。こうした見通しも踏まえ、今期は減配を行わないと判断しています。

一方で、来期以降の配当については、現在次期中期経営計画を策定、検討する中で、さまざまな要素を検討しています。株主のみなさまの利益を重要視して、より良いかたちにしていくべく鋭意検討しているところです。

質疑応答:DOE導入の可能性について

司会者:「DOEの導入は考えていますか?」というご質問です。

山口:株主や投資家のみなさまから「DOEを導入してほしい」というご要望があることは承知しています。先ほどもお伝えしたように、現在は1株当たりの配当金額の下限値を設けていますが、こうしたご要望も踏まえて、次期中期経営計画の中で幅広く検討していきます。

またDOEの導入に加え、配当利回りの観点も踏まえて、前向きに検討を進めていきたいと思っています。

質疑応答:防衛関連事業の現状と今後の見通しについて

司会者:「御社の防衛関連事業の現在の売上はどのくらいでしょうか? また今後も伸びが期待できると考えてよいのでしょうか?」というご質問です。

山口:当社の防衛関連は、機器装置事業と素形材事業の両方で取り組んでいまして、一昨年までは年間で約20億円規模の売上でした。

直近では、政府方針の後押しもあり、今年度売上は40億円規模と見込んでいます。 来期以降もすでにいくつかお話をいただいており、さらに伸ばしていけると見ています。

こうした見通しを踏まえ、先ほどもご説明したとおり、長崎県に新工場を建設することを決断しましたので、ぜひご期待ください。

質疑応答:防衛関連製品の具体的な使用用途について

司会者:「御社の防衛関連製品は、具体的にどのようなところに使用されているのでしょうか?」というご質問です。

山口:この点は多くの方からご質問をいただくのですが、残念ながら守秘義務の関係上、詳しくお伝えすることができません。

三菱長崎機工の高い熱処理技術を活用した防弾鋼板の生産をはじめ、素形材の加工技術を応用した各種製品を提供しています。

質疑応答:室蘭コンビナートの火災事故と業績への影響について

司会者:「先日、室蘭の火災事故の件が公表されていましたが、業績への影響について詳しく教えてください」というご質問です。

山口:室蘭の事故については、みなさまにご心配とご迷惑をおかけしており、心からお詫び申し上げます。

室蘭コンビナートでは日本製鉄と共同で高炉を運営していますが、まず昨年9月に高炉のトラブルが発生し、その後、12月に付帯設備の火災事故が起きました。9月の高炉トラブル発生後、一度は復旧・再稼働しましたが、12月の火災事故で再び稼働を停止しており、現在も停止が続いています。

足元では、今年の3月末の再稼働を見込んでいます。ただ、停止期間が長期化しているため、被害額・影響額は非常に大きくなっています。

これらの費用については、現時点で把握している範囲はすでに決算に織り込んでいます。一方で、まだ精査中の部分もありますので、確定し次第、速やかに公表します。当社としては、費用のミニマム化に全力で取り組むと同時に、来期以降の受注・生産の回復をしっかり進めていきます。

質疑応答:トランプ政権の関税政策の影響について

司会者:「米国のトランプ政権の関税政策の影響は出ていますか?」というご質問です。

山口:今年度の見通しを出した時点では、関税の影響が約15億円出るだろうと見ていました。ですが、結論から申し上げると、現時点では影響はほとんどありません。

日本から輸出する車両の生産台数が減少するのではないかという懸念もありましたが、自動車の生産自体は大きく落ち込まず、結果として影響は軽微でした。

また、米国からカナダへの輸出分には関税がかかり、一時的に影響が出ましたが、カナダ政府からの免除措置があり、最終的にはこの部分の影響も吸収できています。以上を踏まえると、トータルでは「ほぼ影響なし」と考えていただいて差し支えありません。

質疑応答:グリーン製品の製品化や収益化の見通しについて

司会者:「本日の説明の中で、グリーン製品という話がいくつか出ていました。今後の製品化や収益化の予定はいかがでしょうか?」というご質問です。

山口:グリーン製品の収益化については、正直なところ、まだタイミングがはっきりしていません。というのも、先ほど申し上げたとおり、インドネシアの鋼材でCO2を約80パーセント削減し、ほぼグリーン鋼材に近い水準まで来ていますが、現状ではASEAN地域でのお客さまニーズが十分に高まっていないためです。

そのため、ニーズが高まるまでの間に、「グリーン板ばね」を含め、求められたときにすぐ出せるよう、開発・認証・サプライチェーンの準備を積極的に進めていきます。今は言わば仕込みの段階ですので、収益化の時期を現時点で明言するのは難しいのですが、潮目が変わり次第、機動的に展開できるように備えていきます。

質疑応答:洋上風力発電以外のエネルギー関連製品について

司会者:「エネルギー関連は政府の方針もあって、今後伸びていく事業だと思います。洋上風力発電以外で、電力向けの製品はありますか?」というご質問です。

山口:先ほどもお話ししたとおり、AIの普及などを背景に、世界的に電力が足りない状況が起きています。その影響で、これまで市場が縮小傾向だった火力発電向けのガスタービンでも、需要が急速に伸びています。

ガスタービン向けの製品や部品は、以前はほとんど案件がなくなっていたのですが、今では需要が一気に増えて、当社の取り扱いも体感で10倍近くまで膨らんでいます。ここは大いに期待できる分野だと見ています。

さらに、日本政府も複数の発電方式を進めており、その一例が、海の潮流の運動エネルギーを使う潮流発電です。こちらも当社で取り組んでいるテーマで、非常に有望だと考えています。

質疑応答:洋上風力発電事業の将来性について

司会者:「洋上風力発電は三菱商事の撤退が報道されるなど、下火な印象がありますが、本当に成長する事業なのでしょうか?」というご質問です。

山口:三菱グループということで、三菱商事と一緒に進めていたのでは? というイメージを持たれるかもしれませんが、当社は同社の案件を中期経営計画には織り込んでいませんでした。

たしかに全体として進捗がやや遅れているのは事実です。ただ、三菱商事の案件以外にも、国内外で相当数の案件が存在します。脱炭素の流れや政府方針を見ても、着工が遅れても最終的には前に進む案件だと考えています。

そのため、先ほど申し上げた新工場についても、将来の洋上風力の需要増に備えて、来年1月の稼働開始を予定しています。まずは防衛関連製品から立ち上げになる可能性がありますが、その先で洋上風力発電関連製品も本格的に手がけていく計画です。着実に準備を進めていきます。

質疑応答:将来の柱となる成長事業について

司会者:「将来に向けた成長事業がいくつかあるようですが、その中でも将来の柱となるのはどの事業だと考えていますか?」というご質問です。

山口:従来の4事業をそれぞれ太くしていきたいと考えていますが、需要の伸びや市場動向を総合的に見ると、特に「機器装置事業」と「精密ばねを中心としたばね事業」の2つが、今後の柱になっていくと見ています。

もちろん、ほかの事業もしっかり強化していきますが、あえて挙げるなら、この2つが中長期での成長ドライバーだと考えています。

質疑応答:投資リスクに対する取り組みについて

司会者:「さまざまな成長投資を計画、実行されているとのことですが、これらが失敗に終わるリスクについてどのように考えていますか?」というご質問になります。

山口: 先ほどもお話ししたとおり、過去にドイツばね事業へ投資して撤退した経験があり、そこから学んだことは大きいです。ですので、投資にあたっては常にリスクを強く意識しています。

投資判断を行う際には、段階的な投資や複数のシナリオを用いた採算検証、また撤退や縮小の基準を事前に設定するなど、ポイントを押さえてリスクをコントロールしていきたいと考えています。

質疑応答:来期の業績見通しとその関連要因について

司会者:「来期の見通しについて教えてください。今期より良くなる要因、悪くなる要因はそれぞれどんなものがありますか?」というご質問です。

山口:来期が今期より良くなる要因としては、先ほども少し触れた通り、室蘭コンビナートのトラブルが解消される点が大きいです。ばね事業、素形材事業、機器装置事業はいずれも堅調に推移していますので、国内の鋼材が復調すれば、全体としてさらに良くなると見ています。

一方で、リスク要因としては中国からのレアアースの供給制限が挙げられます。直接の影響というよりは、自動車や建設機械の生産に影響が出ることで、部品メーカーや素材メーカーである当社にも波及してくる可能性があります。この点は注意深く見ていく必要があると考えています。

質疑応答:洋上風力発電の受注状況について

司会者:「洋上風力発電関連で、他に既に受注が決まっている案件があれば教えてください」というご質問です。

山口:本来であれば、今の時点で相当数の受注が決まっているはずでしたが、国内外ともに着工時期が1年から2年ほど後ろ倒しになっており、「決まるはずのものがまだ決まっていない」状況です。

ただ、受注活動自体は着実に前進しています。お客さまとの交渉は進んでおり、引き合いも増えてきています。具体的に動いている案件も多いので、正式に決定したものから、できる限り速やかにみなさまにお知らせしていきます。

質疑応答:インドネシアの鉄鋼需要の見通しについて

司会者:「先日、別の製鉄会社がインドネシアから撤退するという新聞記事を見ました。インドネシアの鉄鋼需要の見通しについてどのようにお考えでしょうか?」というご質問です。

山口:インドネシアの鉄鋼需要については、当面は低迷が続く前提で事業を運営していく必要があると考えています。人口が2億8,000万人以上のため、自動車生産も相当伸びると予測していましたが、現状は100万台に届かない水準まで落ち込んでいます。

消費意欲の低下なども影響しており、今後もしばらくは伸びないだろうと考えています。しかし、当社の特殊鋼鋼材事業は、厳しい市場環境の中でも、徹底的なコストダウンや売価政策、拡販に努め、増収増益を続けています。将来的に需要が戻ったときにしっかり対応できるよう、体力をつけておく方針です。

質疑応答:現在の株価水準について

司会者:「現在の株価水準についてどう考えていますか?」というご質問です。

山口:本日の終値は1,922円で、まだ低い水準だと受け止めています。私たちとしてもこの水準に満足しておらず、PBR1倍の達成やTOPIX残留といった観点からも、株価をしっかり引き上げていく必要があると考えています。

そのためには、当社の成長ストーリーをもっと具体的にお示しすることが不可欠だと反省しています。2026年5月に公表予定の資料で、戦略や収益計画を分かりやすく記載し、みなさまに丁寧にご説明していきます。それによって将来への期待を持って株式を保有・購入いただけるよう、取り組みを加速していきます。

「今の株価水準について」というご質問でしたが、現状は不満ながらも、株価を引き上げる意欲は十二分にあることをお伝えします。

質疑応答:戦略事業の収益見通しについて

司会者:「戦略事業の収益貢献について、足元では60億円程度とのことですが、2030年度にはどれぐらいの規模まで拡大するのでしょうか?」というご質問です。

山口:現在はおよそ60億円規模ですが、これまでお伝えしてきたとおり、戦略事業は非常にいい成長トレンドにあります。足元の手応えからも、今後も伸びていく実感があります。

2030年度には、この60億円を倍の120億円程度まで持っていきたいと考えています。むしろ、その水準は必ず達成しなければならない目標だと捉えて、着実に積み上げていきます。

配信元: ログミーファイナンス

関連銘柄

銘柄 株価 前日比
2,124.0
(15:30)
+84.0
(+4.11%)

みんかぶおすすめ