デリカフーズHD、2027年中計を前倒し達成で利益大幅改善 FSモデルの全国拠点整備と物流事業の展開が結実

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最新投稿日時:2026/02/26 08:00 - 「デリカフーズHD、2027年中計を前倒し達成で利益大幅改善 FSモデルの全国拠点整備と物流事業の展開が結実」(ログミーファイナンス)

デリカフーズHD、2027年中計を前倒し達成で利益大幅改善 FSモデルの全国拠点整備と物流事業の展開が結実

投稿:2026/02/26 08:00

自己紹介

大﨑善保氏(以下、大﨑):デリカフーズホールディングス代表取締役社長の大﨑です。本日はこのような機会をいただきありがとうございます。デリカフーズグループについてご紹介します。

まず、簡単に自己紹介をします。私は1971年生まれの54歳で、高校卒業後、大学には進学せずアパレル業界に入りました。当時から起業に強い関心があり、20歳でアパレル業を開始しました。

経歴が大きく転換したのは、大きな披露宴に代理出席した際、デリカフーズホールディングス創業者の舘本と出会ったことです。その後、何度かお話をする中で、「ぜひこの人のもとで自分を磨きたい」という思いが強まり、25歳でアルバイトとしてデリカフーズに入社しました。

当時のデリカフーズは、外食産業各社が店舗数を拡大していた時代で、現場は日々生産量が増加していく状況でした。厳しい環境ではありましたが、徹底的に野菜について学ぶ機会をいただき、この経験は私にとって大きな財産となりました。その後、東京デリカフーズを経て、現在はデリカフーズホールディングス株式会社の代表取締役社長を務めています。

Agenda

大﨑:本日の議題はスライドに記載のとおりです。

会社概要

大﨑:会社概要です。創業地は愛知県名古屋市で、現在は東京都足立区六町に本社を構えています。

デリカフーズグループ経営方針

大﨑:デリカフーズグループの経営方針です。パーパスは「野菜の未来を変える。野菜で未来を変える。」です。

昨今、規格外野菜の活用が進む一方で、畑で野菜が廃棄されたり、スーパーの特売の対象となったりと、野菜の価値が十分に評価されないケースが依然として存在します。この現状を踏まえ、野菜の価値を変えることで当社の食を豊かにし、健康につながると考えています。また、野菜の未来を変えることが、私たちの未来を変えることにつながるという考えに基づき、このパーパスを掲げています。

ミッションは「青果物の流通を通じて日本の農業の発展と人々の健康増進に貢献する。」、ビジョンは「未来の子供たちが安全でおいしい野菜をいつでも食べられる。持続可能なインフラを構築する。」です。

デリカフーズグループの体制

大﨑:デリカフーズグループの体制です。デリカフーズホールディングスを持ち株会社とし、青果物加工・流通を中心とする事業を行うデリカフーズ株式会社、2025年7月設立のデリカファーム株式会社、物流を担うエフエスロジスティックス株式会社、研究・コンサルティングを行うデザイナーフーズ株式会社、そしてコロナ禍の中で新たに立ち上げたBtoC関連事業の楽彩株式会社で構成されています。

数字で見るデリカフーズグループ

大﨑:数字で見るデリカフーズグループです。前期の連結売上高は587億円、拠点数は19拠点で、業界内でも圧倒的に高い水準だと認識しています。納品店舗数は約3万800店舗です。

事業モデル

大﨑:事業モデルについてです。全国の契約農家から厳選した野菜を調達し、全国の19拠点で生産・加工を行い、各店舗へ納品しています。

当社の特徴は、各分野でコンサルティングと研究開発を行い、経営資源やノウハウを活かしている点にあります。例えば、契約農家に対しては収穫された野菜の評価を当社で行い、栄養価の高さや食味などのデータをフィードバックしています。

また、各拠点では鮮度を保持したままカット野菜を提供する体制を整備しています。

物流については今後の重要な柱と位置づけており、いかに効率的に鮮度を保ちながら提供できるかについて、研究開発と連携して取り組んでいます。

部門別構成比

大﨑:部門別の構成図です。カット野菜が43.2パーセントを占めており、年々増加傾向にあります。近年力を入れているのが、その他に含まれる物流事業およびミールキット事業です。

業態別売上構成比

大﨑:業態別の売上構成比についてです。コロナ禍以前は外食産業向けが全体の85パーセントを占めていましたが、コロナ禍の影響を受け、ポートフォリオの見直しを実施しました。

これにより、外食以外の分野への販売拡大を図るとともに、外食産業の中でもテイクアウトやデリバリーに強みを持つファストフード業態への営業にシフトしました。この取り組みが進んだ結果、現在、ファストフードを含めた約50パーセントが社会環境の変化に強い耐性を持つ販売先となっています。

取引先例

大﨑:主な取引先です。多くの外食チェーンに採用いただいており、全国各地で当社の野菜を食べていただいていると考えています。

メニューへのアプローチと使用例

大﨑:外食産業向けのアプローチについてご説明します。例えば、ファミリーレストランでは複数のサラダメニューがありますが、サラダ1皿の中でも、野菜ごとに対応を変えています。カット野菜として提供するほか、カットせずに提供したほうがおいしく召し上がれるものは丸のままお届けする、また、ブロッコリーやアスパラガスのように加熱処理が必要なものは、当社で下処理をして提供するなど、用途に応じて提案しています。

さらに、産地の顔が見える野菜などを活用し、1つのメニューに対して多角的な提案を行っています。このように、野菜のご利用数や使用量の拡大につながるアプローチや提案型の営業を当社の強みとしています。

カット野菜は一見サラダ用のイメージが強いですが、実際にはリゾット用の真空加熱野菜や、ハンバーグレストランで使用されるハンバーグの中の玉ねぎなど、外食メニュー全体で幅広くご利用いただいています。当社の強みは、さまざまな野菜を最適なかたちで提案できる点にあります。

FSモデルの概要 (2010年 第一号のFSセンターを開設)

大﨑:これらの商品を製造・提供する拠点がFSモデルです。2010年に東京で第1号のFSセンターを開設し、ここから大きく成長を加速させました。

出荷センターおよびカット野菜の工場は、いずれも室温5度で運営しています。当時、コンビニ業界ではコールドチェーンが急速に展開されていた時代でしたが、野菜の流通では冷蔵庫はもちろん、仕分けや加工する場所が18度程度で運営されるのが一般的でした。当社では、今後のコールドチェーン構築に向け、加工する場所を含む全工程を5度に統一しました。

この取り組みにより商品品質が大きく向上し、お客さまからも高い評価をいただいています。

FSセンター拠点の増設

大﨑:このFSモデルは、2014年に仙台、2015年に奈良、2016年に西東京、2018年に中京・埼玉、2020年に福岡、そして2024年には大阪に展開し、14年間で全国展開を完了しました。総投資額は約150億円で、総面積は約3万平方メートルです。このように全国に拠点を保有し、コールドチェーンを確立している点は、競争優位性の1つといえます。

さらに、近年は原材料価格や建築費が大きく上昇しています。2010年に東京FSセンターを立ち上げた際の建設コストは、1坪あたり約100万円でした。2020年に立ち上げた福岡FSセンターでは約120万円、2024年の大阪FSセンターでは約150万円となっています。

現在、同規模の工場を新設すると、1坪あたり約180万円が必要と見込まれます。この水準を維持しながらカット野菜事業で採算を取るのは、非常に困難です。

2010年以降、全国展開を急ピッチで進め、大阪でFSモデル化を完成させたことは、現在の建築費高騰局面において非常に重要な柱となっていると考えています。

物流事業の状況

大﨑:同時に、物流事業の拡大も進めています。近年、業界では「2024年問題」の影響で厳しい状況が続いていますが、当社グループは2015年に物流会社を設立し、昨年までに車両台数140台、従業員数237名という体制まで拡大しました。

スライド下表の「グループ外売上」が、デリカフーズ以外の物流事業をエフエスロジスティックスで担っている部分です。今後は、グループ外向けの配送事業を拡大することで、収益性がさらに高まると考えています。

全国へ広がる青果物流通インフラ

大﨑:当社の拠点と物流網を組み合わせた独自のビジネスモデルにより、北海道から九州まで全国3万店舗に野菜を納品しています。

楽彩株式会社(BtoC事業)

大﨑:その他、BtoC事業として楽彩を設立しました。ミールキット商品の開発・製造を行い、同ブランドでの展開を進めています。現在は、ECサイトでの販売に加え、関東を中心に小売店やスーパーでの取り扱いも拡大しています。

また、当社のブランドを使用せず、OEM事業としてパルシステムさまなど宅食事業者向けにもミールキットを提供しています。こちらも今後、当社の大きな収益の柱になると考えています。

食品事業部

大﨑:その他食品事業部では、当社が培ってきた加工技術と、厳選した契約農家の野菜を活用し、より加工度の高い商品の生産を進めています。例えば、今後需要の拡大が見込まれる冷凍分野では、レモンスライスの冷凍商品や、「ごぼうの名人」と名高い生産者によるごぼうを使用したフライ製品など、より加工度の高い商品の開発を進めています。

サステナブルな取り組み

大﨑:サステナブルな取り組みとして、「ベジブロード」という商品を開発し、展開を進めています。この商品は、当社の契約農家で発生する規格外野菜や、カット野菜工場で発生する端材を活用しており、現在の活用量は約30トンです。この取り組みに賛同いただいたお客さまと共同開発を進めています。

すでにモスフードサービスさまや物語コーポレーションさまにご利用いただいており、外食業界からも非常に注目を集めています。今後は野菜だけでなく、例えば利用されない魚を出汁などに活用する取り組みも検討しています。

商品ラインアップの拡充

大﨑:当社の商品ラインアップについてご説明します。産直の厳選された野菜をそのまま届けるホール野菜、加工することで提供するカット野菜、加熱処理を加えた真空加熱野菜、冷凍した冷凍野菜、さらに調味液を加えたミールキットと、当社は「いかに収穫された野菜を可能な限り使い切るか」を考え、加工度を高めることを拡大し、事業の根幹としています。

例えば、形状が悪いものは加工用途に回し、豊作で取れ過ぎた野菜は冷凍、加工時の端材も商品に活用することで、廃棄野菜を最小限に抑える努力をしています。これは創業者の強い理念に基づくものであり、私がデリカフーズへの入社を決めた理由の一つです。

野菜の大小や形の良し悪しを理由に廃棄されるべきではなく、天の恵みである野菜をすべて使い切るという考え方です。この思想のもと、デリカフーズが立ち上げられ、その理念を私も継承し、現在の事業展開を進めています。

デザイナーフーズ株式会社

大﨑:デザイナーフーズ社では、長年にわたり野菜に関する開発・研究に取り組んでいます。毎日入荷する野菜を分析し、時期ごとの栄養価や産地ごとの特性を研究してデータ化しています。従来は見た目で評価されがちでしたが、野菜本来の価値はおいしさや栄養価、そして健康への貢献ではないかと考え、研究を重ねていく中でさまざまな価値が明らかになっています。

野菜の可能性を追求

大﨑:スライド左側が研究データの一例ですが、一般的にスーパーで流通している野菜に比べ、静岡県湖西市のある生産者のキャベツは糖度および抗酸化力が高いことが確認されています。一方で、硝酸イオンは苦味成分であり、発がん性物質といわれる一面もあるため、含有量が低いことが望ましい成分です。

これまでは外見で評価されがちでしたが、研究により成分を可視化できるようになると、おいしさや栄養価の高さが価値として認められると考えています。単に規格外品の活用を進めるのではなく、野菜の品質や中身をエビデンスに基づいてお客さまに提示し、手に取っていただける商品にする点が、外食産業と長年向き合ってきた当社の強みであると考えます。

例えば、スーパーでは形の良さや旬ではない野菜の希少性が重視されることがありますが、当社は外食産業と共同で野菜作りを進めてきました。そのため、おいしさや最もおいしい旬を重視した提案が可能です。

ほうれん草のデータでは、旬の時期に栄養価が非常に高くなる一方で、7月から9月の間は栄養価が低下傾向にあることがわかっています。これまで、ほうれん草を年間通じて栽培することに力を入れてきましたが、今後は旬での活用や旬の商品を冷凍加工してご提供することで、栄養価などの価値を最大化できると考えています。

また、現在、国が掲げる野菜の摂取目標量は1日350gですが、実際の摂取量は280gにとどまっています。この70gの差が、人口減少下においても、1人あたりの摂取量の増加余地として当社の事業成長の機会になると考えています。

デリカフーズグループの業界地位

大﨑:スライドは同業他社との比較です。全国に拠点を持ち、自社物流と自社工場を所有し、ISOを取得して開発や提案営業まで行っているという点で、業界内で大きな優位性を構築していると考えています。

関本圭吾氏(以下、関本):ここまで概要をご説明いただきましたが、いくつか質問させてください。そもそも食品ビジネスについて詳しい人は多くないと思います。食品の流通・加工ビジネスにおいて、御社や他社がどのような付加価値を提供しているのか、全国の農家から調達する点なのか、加工する点なのか、どの部分が御社の課題解決のポイントなのでしょうか?

大﨑:付加価値は時代に応じて変化すると考えています。私が入社した当時、外食産業は急速に店舗数を拡大しており、当社にとっては毎日の安定的な供給を確実に行うことが最重要課題でした。

その後、外食産業各社のニーズも変化し、健康志向の強いメニュー展開や、生産者の見える化への対応などが求められるようになりました。近年では、異物混入などの回避が難しい事故が発生することもあり、品質管理に関するお客さまからの要望が強まっています。

また、原材料価格の高騰や物流費の上昇といった課題も大きな問題となっています。野菜だけでなく、肉、調味液、資材など、あらゆるコストが上昇している状況です。そのため、今後は物流も含めたコストダウンや合理化を必要とするお客さまへの総合的なアプローチが求められます。

当社の強みは、外食産業の課題に対し、いかに柔軟に対応し、提案や営業を通じてそれを事業として形にしていくかという点にあると考えています。FSモデルの全国展開についても、お客さまのニーズに応じた事業や投資の結果であり、今後も継続的な投資を行うことが当社の評価向上につながると考えています。

関本:なるほど。特定の工程や提案に限らず、お客さま個別の課題や時代背景に応じて、流通業として提案や営業を通じた対応を行うということですね。特にデリカフーズグループが他社と比較して強い点は、やはりあらゆるニーズに対応できる体制ということでしょうか?

大﨑:そうですね。自社工場を全国に保有している点は、圧倒的な当社の強みだと考えます。野菜の流通業は市場を経由するケースが中心であり、地域特化型の展開をしているなど、各社それぞれに強みはありますが、全国で網羅的に拠点や工場、物流網を持っている企業は限られています。

当社は早期に拠点や工場の全国展開のために投資を行いました。このため、現状の投資状況を踏まえると、当社と同水準の体制を構築するのは難しいと思います。

日本の農業の実態

大﨑:ここからは、当社を取り巻く環境と今後の展望について、農業に関するご説明も交えてお話しします。日本の農業はご存知のとおり、縮小の一途をたどっています。基幹的農業従事者数は年々減少しており、直近15年間で88万人減少し、概ね半分になりました。主な原因は、農業従事者の高齢化と農業が儲からないことだと思います。

日本の農業従事者の年齢構成

大﨑:日本の農業従事者の年齢構成についてです。データは少し古いのですが、2022年時点での平均年齢は68.4歳でした。年代別に見ると、70歳以上が非常に多いことがわかります。

今後、農業従事者が年齢とともにリタイアしていくことを考えると、60歳以下のわずか20パーセントの方々で日本の食料や野菜を担っていく必要があります。これを実現するためには、生産性を5倍に引き上げるか、農業従事者が減少する中で新たに農業に参入する人々を増やす必要があります。

現在、農業従事者の減少スピードはまったく衰える気配がありません。そのため、「もう待っていられない」というのが今の農業の実態です。

農業生産地における2040年の労働力試算

大﨑:スライドに示された表は、2040年の生活維持サービス充足率というデータと野菜出荷量を組み合わせ、順位を付けたものです。第1位の北海道は、夏場の野菜供給の大部分を担っていますが、2040年には生活維持サービスの充足率が65パーセントにとどまり、35パーセントが不足する見込みです。このデータは農業従事者に限ったものではありませんが、生活維持サービスがこの状況であれば、農業分野でも同様の状況が予測されます。

第2位の茨城も同様の傾向があります。第3位の千葉は充足状態にあるものの、第4位以降の長野や群馬など、ほとんどの産地で30パーセントほど農業従事者が減少すると考えられます。言い換えれば、生産量が30パーセント減少する可能性があるということです。これは、人口減少よりも圧倒的に速いスピードで進むと予測されます。

10年後の日本の農業(悲観シナリオ)

大﨑:こちらのスライドは、最近話題の「ChatGPT」に10年後の悲観的なシナリオを尋ねた結果です。予測では、担い手不足による生産力の大幅な低下が指摘されています。それに伴い、作付面積や収量も減少すると予測されています。

また、野菜自給率についても現在は約80パーセントですが、40パーセント程度まで低下するとの予測です。

「第五次中期経営計画」基本方針(事業戦略)および主な進捗状況

大﨑:そのような背景の中で現在、第5次中期経営計画を進めていますが、足元の業績については、1年前倒しでこの計画を達成できるだろうと判断しています。そのため、この計画に加え、安定調達・安定化や農業支援をさらに計画に盛り込むかたちで、第5次中期計画に項目を追加しています。

第五次中期経営計画~安定供給に向けた取り組み~

大﨑:スライドには、追加した4つの項目を記載しています。農業への参入、輸入野菜の国産化、長期貯蔵技術の開発、就農支援プラットフォームの構築です。供給面についても、今後もしっかり取り組んでいく考えです。

持続可能な安定供給の実現と未来の課題解決

大﨑:その目論見と未来の課題解決を同時に進めるという観点から、まず農業への参入については、将来価格の安定化につながると考えています。また、その中で継続的に農業を行うために、業務加工用野菜を推進する方針です。

輸入野菜の国産化については、未来の食料問題を今からしっかりと解決するため、契約産地の拡大と囲い込みを目的に進めていく計画です。

長期貯蔵技術の開発に関しては、年間安定供給の実現を目指します。安定供給は外食産業にとって非常に重要なポイントであるため、ここをさらに強化していきます。また、貯蔵技術の向上によって、当社の損失や野菜の廃棄を削減することを目指しています。

未来の食料問題を解決するために、就農支援を進めていきたいと考えています。

業務加工用野菜における農業領域の転換

大﨑:農業の中心的なポイントとして、農業に従事している方々の主な作業内容をご紹介します。土地の改良から始まり、種をまいて苗を植え、草を取り、野菜の栽培管理を行い、最終的に収穫をします。これらの作業は日々繰り返され、何度か循環して進んでいきます。

一見すると、農家の仕事はスライド左側に示されている部分が主体に見えますが、実はスライド右側に示されている作業も非常に重要であり、ここにも多くの人員が割かれています。選果を行い、先ほどお伝えしたように、形の良し悪しやサイズに基づいて選別をします。それを1つ1つパッケージし、袋詰めし、さらに箱詰めして出荷するというプロセスになっています。

これまでの農業では、小売向けの流通が中心的な考え方でした。そのため、非常に厳格な規格が設けられ、例えば売り場での見栄えを考慮してカラフルなパッケージで包装するなど、規格に沿うことに大きな力が注がれてきました。

我々は、業務加工用の野菜に特化することで、これまで必要とされていた選果やパッケージ作業を省略し、おいしく栄養価の高い野菜を生産者の負担を軽減しながら当社の拠点に持ち込むという考え方です。このようにすることで、農業者が減少する中でも現在農業者が担っている選果やパッケージ作業を省き、さらに当社がそれを請け負うことで、生産者が栽培に特化できる仕組みを構築します。これにより農家のみなさまとともに生産量を拡大していくことを目指しています。

農業への参入(2025年9月)

大﨑:そのために、まずは農業への参入として、昨年9月にスライド写真にある熊本県のトマトハウスを譲り受け、実際に栽培を開始しました。我々自身が農業にしっかりと取り組み、農業を支える中でさまざまな学びや発見が得られると考えています。その学びと発見をもとに、儲かる農業につなげる取り組みを展開していきたいと考えています。

圃場の様子

大﨑:スライドにある写真がその風景です。中央に写っているのが社員で農場長を務める者です。非常に強い想いを持って志願してくれた立ち上げ第1号として、現在熊本でがんばっています。

スライド右側の写真は、我々が採用している栽培方法です。このような袋に入ったポットと呼ばれるものを使用して、トマトとピーマンを栽培しています。通常は土に根を張らせて栽培しますが、先ほど触れたように今後耕作放棄地が増加したり、このような施設を我々に活用してほしいという話が増えたりすることが予想されます。

そのたびにイチから土を作るのは非常に時間がかかります。そこで、このようなポット栽培であれば、農地を譲り受けた際にすぐに栽培を開始できるという点に着目し、この農法で研究を進めています。

青果物の業務加工用化計画

大﨑:業務加工用野菜の推進のもう1つの大きな取り組みとして、業務加工用植物工場を推進していこうと考えています。先ほども少しご説明しましたが、現在、外食産業にとって異物混入は非常に大きな問題です。そのような中で、植物工場を利用することで、異物混入ゼロの商品を植物工場と共同で手がけていきます。

また、このような衛生的な施設で栽培することで、消費期限を延長でき、それにより外食店舗の食品ロスを削減する取り組みも進めていこうと考えています。

実際、植物工場は日本全国でさまざまなところが参入していますが、ほとんどがまだ赤字という状況にあります。その要因の1つとして、小売向けの方向に植物工場が注力していたことが挙げられます。我々は、業務加工用という手法を用いることで植物工場を黒字化できるのではないかと考え、現在、複数の植物工場と取り組みをスタートさせたところです。

さらに、業務加工用野菜の推進として、先ほどご説明した赤系トマトや二毛作、つまり米と野菜を一緒に作ることで農家の所得を向上させるプロジェクトなどを進めています。

新規就農プラットフォームの構築

大﨑:就労支援のプラットフォームをつなげる取り組みとして、米と野菜を1年間で2回栽培することで農家の所得を向上させたり、外食産業向けの商品開発を、すでに業務提携を結んでいる神明ホールディングスと共同で進めたりしています。

このように、米と野菜の両方から農家を支援し、さらに就農する方を増やす取り組みを進めていきたいと考えています。

東海マザーセンター計画 2026年3月5日開設予定

大﨑:貯蔵についてですが、今年3月5日に「東海マザーセンター」を愛知県に開設します。ここで実際に長期貯蔵の実装を始めることを予定しています。

目的や目論見としては、新しい青果物の流通システムを構築すること、そして先ほど触れた農作業と当社の流通との垣根を超えた作業分担をここで実現したいと考えています。

東海マザーセンター図面

大﨑:スライドはおおよその図面を示しています。スライド右下に記載の前川製作所と共同で研究を進めてきた結果、高機能貯蔵庫を実装し、テストを開始しようと考えています。

東海マザーセンターを活用した物流事業の拡大

大﨑:その他に、エフエスロジスティックス株式会社を中心として、野菜以外の商品をこのセンターを活用して物流に乗せるという、3PL事業への参入を検討しています。

当社物流インフラによる成長戦略

大﨑:このインフラが当社の今後の最も重要な成長戦略となります。これまで築いてきた物流機能や拠点、物流を併せ持つかたちで、貯蔵センターを活用し、いかに合理的かつ新鮮なまま全国にお届けするか、また農家の方々の野菜をいかに効率的に調達するかというインフラをしっかり整備してきたところです。

外食・中食産業の市場規模推定

大﨑:ここからが今日お伝えしたい最も重要なポイントです。これまでのご説明のとおり、私たちは外食産業に野菜を供給することで成長してきました。

食の外部化といわれる外食と中食を合わせた市場規模は、諸説ありますが、32兆円とされています。その中で、食材として使用されるものが約30パーセント、約10兆円が調達されていると推定されています。

スライド右側に示されている数字はあくまで推定値ですが、食材費率約30パーセントを100とした場合、それぞれの食材の比率はどうなるかというと、1位は肉類で30パーセントから50パーセント、2位が野菜・果実という結果になっています。しかも、肉は高価であるため、物量で考えると実は野菜が最も多くなっています。

これはあまり知られていない事実ですが、私たちは野菜を基盤として、先ほど述べた3万店舗のインフラをしっかりと構築してきました。今後、野菜以外の分野にも事業領域を拡大すれば、先ほどの約10兆円が私たちのマーケットに変わる可能性があります。

現在の業務用野菜の市場は、全体の32兆円に対しておよそ1兆5,000億円です。その中で私たちは600億円規模の事業を営んでいますが、これから物流を成長のエンジンとすることで、例えば資材や調味液、さらには神明ホールディングスの米などを一緒に運ぶことが可能になります。私たちは、ご注文を受けてセンターで仕分けし、届けるという機能を備えていますので、これが野菜以外の約10兆円の市場にも広がる可能性を秘めています。

幸手プロジェクト発足(2028年~29年開設計画:埼玉県幸手市)

大﨑:それを今回の「東海マザーセンター」で実現しました。次はいよいよ、2028年から2029年に埼玉県幸手市に「関東マザーセンター」を設置する計画です。

幸手プロジェクト 土地利用計画

大﨑:その際、新しいモデルとして、農地やその隣に拠点を設置し、さらに物流拠点を一体化させた街作りを進めます。ここから外食産業向けの食材をしっかり届ける仕組みを構築しようと考えています。

食農流通拠点 イメージ図

大崎:スライドはイメージ図ですが、先ほどお伝えした野菜の流通についてはひととおり形ができました。今後はそれをいかに横展開していくかという点になります。

事業の成長と今後の展開図

大﨑:今後の成長戦略としては、攻めの姿勢で加工流通事業と物流事業の両輪をしっかりと回していきます。おかげさまで物流事業から外食産業の顧客獲得が進み、双方から外食産業とのコミュニケーションが広がっています。

守りに関しては、しっかりと供給体制を整えていきます。また、スライド右側に記載の物流事業については、野菜以外や自社以外の取り扱い、倉庫業など、さまざまな分野で展開を図っています。社内では、この物流事業が今後の事業拡大の原動力になると考えています。

すでにインフラは整備されており、これをいかに効果的にコーディネートするかが課題となります。私たちは、ようやくさらなる成長が期待できるフェーズに入ったと考えています。

これまでと、これからのデリカフーズグループ

大﨑:ここまでをまとめると、これまでのデリカフーズは主要都市を中心に拠点を設置し、インフラを整えてきました。これからは、加工流通と物流事業を成長エンジンとし、持続可能な安定供給体制を実現しつつ、さらに事業領域を拡大していきたいと考えています。

2024年発表 長期ビジョン

大﨑:「10年後(2034年)のありたい姿 1,000億企業へ」ということで、3つの柱を掲げています。現時点での手応えとして、2034年までには実現可能だと感じていますので、できるだけ早く達成したいと思います。

第五次中期経営計画の概要(数値目標と実績[財務KPI])

大﨑:ここまでのご説明が長くなりましたので、ここからは資料をご覧ください。先ほどご説明したとおり、2027年の中期経営計画は達成の見込みですので、今後さらに中期経営計画をブラッシュアップして進めていきたいと思います。

質疑応答:消費税減税が与える影響について

飯村美樹氏(以下、飯村):「国の政策として消費税減税の話がありますが、事業への影響はあるでしょうか?」というご質問です。

大﨑:最近の当社の株価を見ると、影響があるとみなされているようにも感じます。ただ、外食業界の社長たちともこの話題について議論していますが、外食業界全体としては、そこまで大きな影響はないだろうというのが一般的な見方です。

影響度合いについては、主に店舗での滞在時間が関係していると考えられます。外食は食事だけでなく「コト」のような要素があり、お客さまは時間をかけています。

例えば、ランチで牛丼屋などを訪れる場合、10分から15分程度でお店を出ることが多いため、10パーセントの消費税の違いが影響する可能性はあります。ただ、そのような場合は店内で食べるのではなくテイクアウトを選ぶ方向に変わるため、おそらく消費量自体は変わらないと考えています。

一方で、居酒屋やファミリーレストランなど、時間を楽しむ業態では、消費税が上がることで一定の影響があると考えられますが、それでも大きな影響はないだろうという見方が一般的です。とはいえ、制度内容にもよりますので、我々としては注視を続けています。いかなる状況になっても対応できるよう、ポートフォリオの変革をさらに強化しようと考えています。

質疑応答:農業の担い手減少に対する今後の対策について

飯村:「農業の担い手が減少している中での今後の対策について教えてください」というご質問です。この問題については途中にもお話がありましたが、御社が熱意を持って取り組んでいるように感じます。

大﨑:そうですね。現在、このような情報が国民のみなさまに十分に伝わっていない側面もあります。先ほど示したような数字が広く知られれば、もう少し危機感が高まるのではないかと思います。

今回の米を取り巻く問題もさまざまなことがありました。農家の方にしてみると、新米の概算金が3万円という現状については、受け取りすぎだと感じる面もあるようです。このような価格は将来的には下がる可能性があるという危機感を抱いており、一気に投資をして栽培面積を増やすという判断に至らない状況です。現在は米の価格が下がっており、過去の状況に戻るのであれば、この問題は解決には至らないと思います。

したがって、どうすれば農家の方々が収益を得られる仕組みを構築できるかが重要です。さまざまな原材料の価格が上昇していますが、農家の収入も上がっていかなければなりません。そのためには、国とも協力しながら農産物の価値を認めていく必要があります。

例えば、給料のベースアップが5パーセントや6パーセント上がるという話題が出ますが、それに合わせて野菜の価格を5パーセント引き上げるといった仕組みが必要です。それが農家の収入を支えることになります。

このような考え方を外食産業のみなさまに説明し、当社の価格を認めていただける環境を整えたことが、今回の業績にもつながっています。現在の取り組みも重要ですが、5年後、10年後に向けて、野菜の適正価格の設定や合理化をお客さまと進めていることが、当社の業績向上につながっていると考えています。

飯村:現状の周知もさることながら、稼げる農業を目指す中で、御社の役割は今後さらに重要になっていきそうですね。

質疑応答:中期経営計画前倒し達成と利益改善の背景について

関本:業績についての説明が早めに進んでしまい、足元のすばらしい実績に触れる機会が少なく、もったいないと思いました。今回、中期経営計画を前倒しで達成し、利益も大幅に改善されたとのことですが、その背景についてお聞かせいただけますか? 

大﨑:FSモデルを全国に展開すると同時に、物流も成長させるというのは、私が長年想いを込めて取り組んできた事業です。大阪FSセンターを2024年に開設した際、かなり大きな投資となったため、当初は苦戦する可能性もあると見込んでいました。しかし実際には、お客さまから「これで全国へ新鮮なものが店舗に届くようになった」とのお声をいただきました。

今までは大阪だけで、旧工場だったため、例えば消費期限が短い、衛生面の担保が難しいといった課題がありました。しかし、主要都市への拠点配置が完了したことにより、外食産業のお客さまから「それであればあらためて全国デリカフーズにお願いするよ」という声を、私の期待以上に早くいただけました。

一方、先ほどご説明した物流事業については、デリカフーズの物流の延長線上で展開してきましたが、現在は物流事業自体が自ら営業を始めています。これまで我々とお取引のなかった外食産業のお客さまにも、物流事業が営業にうかがうことで「物流だけではなく、野菜もデリカフーズともっと組みたい」というお声をいただき、それがデリカフーズの事業にもつながりました。

このように、物流事業の展開と全国拠点の整備が、お客さまに非常に大きなメリットとしてご理解いただけたことが、我々にとって期待以上の成果となったと考えています。

質疑応答:今後の投資計画と次期中期経営計画について

関本:今回「東海マザーセンター」やFSセンターについて説明がありましたが、今後もこのような投資が発生するのでしょうか? 

大﨑:来年度の予算を立てていますが、現行の中期経営計画をクリアすることができましたので、次の中期経営計画に進もうと考えています。次の中期経営計画では、先ほどご説明した「関東マザーセンター」に加えて、中四国エリアにもう1つ拠点を設けることで、さらに我々の事業を拡大できると考えています。例えば、中四国エリアにFSモデルをもう1つ追加するなどが挙げられます。

次の中期経営計画では総額で約100億円をしっかりと投資し、もちろんM&Aも含め、さらなる事業展開を目指していきたいと考えています。

大﨑氏からのご挨拶

大﨑:本日はこのような機会をいただきありがとうございます。私の個人的な考えも含まれるかもしれませんが、農業を支えていくこと、この事業をしっかり展開していくこと、この2つを責任を持って進めていきたいと思っています。

特に物流事業の展開については、今後、物流業界を含め、さまざまな分野で人手不足が顕在化すると考えています。我々がそのような分野で機能を提供することで、人手不足を補いながら事業をつないでいくということを、もう一度しっかりと取り組んでいきたいと思っています。

現在、社内の役員や従業員のみなさまも、私たちの成長を非常に喜んで受け入れ、「やり遂げよう」と協力してくれています。そのため、デリカフーズらしく、泥臭く、しっかりと前に進み、人を大切にしながら困っている方々の問題を解決するような事業を展開していきたいと思います。

今後とも、ぜひご支援、ご声援をよろしくお願いします。

当日に寄せられたその他の質問と回答

当日に寄せられた質問について、時間の関係で取り上げることができなかったものを、後日登壇者に回答いただきましたのでご紹介します。

<質問>

質問:2025年7月頃から株価が上昇してきているため、優待へのハードルが高まってきていると感じているのですが、今後優待基準引き下げの検討はされないのでしょうか?

回答:現在、引き下げの予定はございませんが、今後も株価や株主構成等の状況を見極めながら柔軟に見直し検討を継続していきたいと考えています。

配信元: ログミーファイナンス

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