―「海水淡水化」への注目度高まる、RO膜、ポンプ、プラント建設関連など関心―
「水」は最も身近なものの一つでありながら、世界的に不足が深刻化しつつある資源といえる。気候変動による地球上の水循環システムの不安定化も深刻になるなか、新興国での需要拡大、そして急速に進化するAI(人工知能)に絡んだ需要増などを背景に、安全な水の供給・管理や再利用の重要性は高まるばかりだ。地球全体で効率的な利用に向けた技術革新も求められるなど重要性が増す「水資源関連」に焦点を当てた。
●データセンターのサーバー冷却で「水」資源問題が浮上
2025年相場を最も盛り上げた投資テーマの一つが、「データセンター」だ。もちろんAIと連動したテーマで26年も期待は続く。ただ、データセンター内にあるサーバー機器は、使用によって膨大な熱を発する。サーバー機器の故障を回避するため冷却は必須だ。従来は構造の単純さやメンテナンスのしやすさ、そして低コストというメリットから「空冷式」と呼ばれる方式が主流だったが、現在はより高い冷却効果が得られる直接水冷や液浸冷却などの「水冷式」の採用が増している。
文字通り「水」の力を借りるため、データセンターという巨人が莫大な量の水を使用する格好となる。ある調査では、データセンターなどに絡むAIシステムの年間水消費量は世界で1年間に消費されるボトル入り飲料水と同等の量だと試算しているという。当然、AIが発展すればこの量は急拡大していくわけで、世界的な懸念が広がっている格好だ。例えば世界のデータセンターハブの一角であるアイルランドでは、規制当局が、新設データセンターに対し、年間電力需要の少なくとも80%を新規の再生可能エネルギーでまかなうことを義務付ける新方針を決定したと報じられている。世界的に、環境に優しい豊富な電力と水資源の確保は急務となっている。
日本では、水の存在を当たり前のものとして、そのありがたさを意識する場面は多くないかもしれない。しかし、そもそも「水」は世界的に見ればかなり偏在している立派な資源の一つである。石油や天然ガスなどと一緒で、世界各国は、水の確保に向け海水の淡水化などの研究開発に邁進している。
●オーストラリアでは海水淡水化プラントの建設が進む
わかりやすい事例としては、オーストラリアの動向が挙げられる。移民政策の後押しもあって、人口増加トレンドが継続している同国では、当然自然に飲料水需要も増加していく。更にデータセンターを含む産業用の需要拡大も見越して、10年間で11基の 海水淡水化プラントの新設・拡張が計画されているという。水資源が豊富な日本でも、さまざまな研究が進んでおり、昨年4月には東京科学大学の近藤正聡准教授らが液体金属錫を用いる新しいブライン処理技術を開発したと発表している。ちなみにブラインとは、端的に海水を淡水化する際の「排水」だと考えれば十分だ。海水はそもそもさまざまな金属元素を薄い濃度で含んでいるため、海水淡水化と資源回収を同時に実現する新技術を開発したと言い換えられる。
長期的には、資源を消費し尽くしていく人間の活動自体に歯止めをかけていく必要があるのかもしれない。データセンター向け冷却装置を手掛ける企業にはダイキン工業 <6367> [東証P]やニデック <6594> [東証P]などがあるが、今月5日に、エヌビディア
●RO膜や海水淡水化プラントで東レやカナデビアなど注目
例えば、海水淡水化を巡っては、東レ <3402> [東証P]が高分子技術に加え高度分析技術とDXを活用した高性能な逆浸透膜(RO膜)を手掛け、UAEの世界最大規模のタビーラ海水淡水化プラント向けなど、圧倒的な受注実績を有する。東洋紡 <3101> [東証P]は、中空糸型RO膜「ホロセップ」を主力に子会社の東洋紡エンジニアリングが装置化し、東洋紡エムシーが膜製品を提供。カナデビア <7004> [東証P]は、RO型海水淡水化プラントを手掛けるほか、豪州子会社のOsmofloがRO技術に特化した海水淡水化プラントで多くの実績を持つ。日東電工 <6988> [東証P]は、水や溶液に含まれる物質を脱塩、ろ過、分離、精製、濃縮することができるRO膜など、メンブレン(高分子分離膜)フィルターを手掛けている。そのほか、中小型株を中心とした関連銘柄を以下に紹介する。
●野村マイクロや阿波製紙、酉島、日触媒などに活躍期待も
野村マイクロ・サイエンス <6254> [東証P]~半導体製造の洗浄工程に必要な最高純度の水を提供する超純水製造装置専業メーカー。海水淡水化プラント機器は手掛けていないが、半導体の研磨工程で発生したシリコン粒子を含有する排水から、シリコン粒子と水を同時に回収するシリコン排水回収装置、排水をきれいにするための排水処理プラントを設計・施工している。環境問題が高まるなか、限りある水資源のリサイクルにおいて注目される。
阿波製紙 <3896> [東証S]~化学繊維や合成繊維、無機繊維、金属繊維、鉱物繊維など多種多様な原料に、電気絶縁、導電、遮光、耐熱、防音、ろ過、分離、吸着などの働きを持たせた機能紙・機能材を製造する。水処理関連資材として、海水淡水化や超純水製造といった高度な水処理に欠かすことのできない分離膜支持体用の不織布の製造・販売を行う。また、分離膜支持体用不織布の技術を生かして独自開発された廃水処理用MBR(膜分離活性汚泥法)浸漬膜ユニットを手掛けている。
東亜ディーケーケー <6848> [東証S]~総合計測器メーカー。半導体・食品・化学工場、石油精製関連設備から浄水場、ごみ処理プラント、下水処理施設などにおいて、品質管理やプロセスの運転状況の監視、生産の合理化を推進する計測機器を手掛ける。海水淡水化プラント内で必要となる水温、pH、電気伝導率、溶存酸素、濁度などを測定する各種水質自動測定装置やポータブル水質計を提供している。
電業社機械製作所 <6365> [東証S]~ポンプ、送風機、バルブなどの風水力機械を手掛ける。RO膜法海水淡水化設備に必要不可欠な機器であるエネルギー回収装置(ERD)「DeROs」は、同社のポンプ・バルブの技術を応用した国産初のERDである。流水部の形状を最適化することにより、内部損失を低減。エネルギー回収効率は最大99.7%を誇る。
酉島製作所 <6363> [東証P]~上下水道施設など向け大型ポンプや高圧ポンプを手掛ける。海水淡水化分野において、高圧ポンプ、ろ過水ポンプ、バックウォッシュ・ポンプ、ブライン循環ポンプ、ブラインブローダウンポンプ、海水取水ポンプ、製造水ポンプを手掛けており、世界各地の大型海水淡水化プラントへの納入実績を有する。
日本触媒 <4114> [東証P]~酸化エチレンやアクリル酸、高吸水性樹脂などを手掛ける化学メーカー。海水淡水化において、ROシステムに代わる浸透圧による水の自然移動を利用した次世代の省エネルギーシステム「正浸透(FO)システム」の基幹部材である浸透圧発生剤(DS)を開発。また、空調などの各種機械を冷却する目的で使用される冷却水では、水中のイオンが難溶性の塩(スケール)となる。これが配管閉塞や装置の効率低下、故障につながるため、水処理剤に含まれるスケール防止剤を手掛けている。
株探ニュース
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