TDK、独自の技術と現場の総合力で磨き続ける高性能インダクタ AIエコシステムを支える受動部品事業の展望

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最新投稿日時:2025/12/15 19:00 - 「TDK、独自の技術と現場の総合力で磨き続ける高性能インダクタ AIエコシステムを支える受動部品事業の展望」(ログミーファイナンス)

TDK、独自の技術と現場の総合力で磨き続ける高性能インダクタ AIエコシステムを支える受動部品事業の展望

投稿:2025/12/15 19:00

株主通信 技術×人でつくる ~進化するインダクタ~

ナレーション:ますます進化するスマートフォンやパソコン、自動車など、先進的な電子機器の中で、目立たず活躍する小さな部品があります。それが「受動部品」です。

インダクタやコンデンサといった受動部品は、電子機器が正しく動くためになくてはならないものです。TDKは創業から現在まで、電子部品の発展に貢献してきました。

佐藤茂樹氏(以下、佐藤):電子部品ビジネスカンパニーCEOの佐藤です。TDKは1935年に、磁性材料であるフェライトを工業化することから事業を開始しました。それ以来90年にわたって、材料の開発からプロセス・設計・量産までを自社で一貫して手掛け、世界中の電子機器の進化を支えてきました。

TDKでは、このフェライトから始まった技術と製品のつながりを「フェライトツリー」と呼び、社会の変化に応じて大きく進化・成長させてきました。TDKの受動部品事業は、スマートフォンや自動車、産業機器といった幅広い分野で使用されており、社会とエレクトロニクス産業の発展を支える基幹事業です。

ナレーション:これから、TDKの受動部品事業を支える人と技術、そして未来への挑戦をご紹介します。

受動部品事業の概要

受動部品は、回路を流れる電流を整えたり、蓄えたり、安定させたりするための部品です。代表的なものに、電気を蓄えるコンデンサや電流を制御するインダクタなどがあります。

売上構成比

TDKの受動部品事業は、グループ全体の売上高の約25パーセントを占める主力事業です。

成長市場

ICT、自動車、産業機器など、成長市場に向けて製品を提供し、事業は拡大を続けています。

受動部品の中でも、特にTDKの強みが発揮される製品がインダクタです。電子回路の中で、ノイズ除去やフィルタリングなど、さまざまな役割を果たしています。

高い性能と信頼性、そして多彩なラインアップでお客さまのニーズに応えるのが、TDKのインダクタです。製品企画、開発、製造、それぞれの現場で活躍する社員をご紹介し、TDKならではの強みに迫ります。

製品企画

電子部品の開発は、お客さまのニーズに応える製品を企画することから始まります。製品企画部門は、営業部門がリサーチしたお客さまの声をもとに製品の企画を行い、社内の開発部門や製造部門にフィードバックする役割を担っています。

宇山直人氏:私たち製品企画部門では、営業部門が収集したインダクタに関するお客さまの需要や販売機会などの情報を確認・分析し、必要に応じて最もふさわしい製品を提案したり、海外部門やその先のお客さまの困りごとをサポートしたりしています。

Q:どのようなお客さまを担当していますか?

私たちのビジネスグループは、国内外を問わず幅広い分野のお客さまに製品を提供しています。特に、品質に厳しい自動車分野が大きな割合を占めており、その他にAIサーバー、通信衛星、光モジュールなどの成長分野にも積極的に取り組んでいます。

Q:お客さまから求められていることは?

インダクタ製品では、小型化、大電流化のニーズが常にあります。それに加えて、近年では自動車の自動運転化や、EV(電気自動車)化に伴い、これまでにない新しい要求が生まれつつあります。このような市場の変化を先取りし、技術開発や製品設計に反映させることで、お客さまの求めるものを、求めるタイミングで提供できるようにしたいと考えています。

Q:TDKならではの強みとは?

TDKの強みは、多様な工法技術による豊富な製品ラインアップと、営業から開発・設計・製造までが連携する総合力です。特に、設計・製造部門の不断の努力による高い品質は、お客さまに安心して選んでいただける大きな要因です。

Q:業務で大切にしていることは?

私が最も大切にしているのは「チームワーク」です。お客さまのニーズをかたちにするためには、営業、開発、製造部門の連携が不可欠です。TDKは、このような協力体制が整っている会社であり、全員で力を合わせて価値を生み出しています。

開発部門

ナレーション:TDKには、電子部品を材料から製品まで一貫して生産できる独自のノウハウがあります。製品の開発にあたっては、社内の各部門との連携が欠かせません。

江田北斗氏:私は、パワーインダクタの新製品開発を担当しています。お客さまの課題や市場トレンドを踏まえて新製品の仕様を決定し、シミュレーションや試作、評価を行いながら、新製品の計画立案から量産化までを一貫して進めています。

その上で、材料技術、プロセス技術、生産設備など、社内の各部門と連携しながら新製品を開発しています。

Q:TDKのインダクタの特長とは?

TDKのインダクタの強みは、フェライトから始まる磁性材料技術にあると考えています。

多彩な工法

また、TDKのインダクタは、巻線、積層、薄膜といった多彩な工法で製品を製造しており、市場の幅広いニーズに応える製品ラインアップを提供できる点も強みです。

Q:チームで心がけていることは?

日々の業務では、チーム内でコミュニケーションを取り、早い段階で課題に気づくことを心がけています。個人で課題を抱え込まず、チームで共有し少しずつ改善することで、どのような技術課題でも必ず解決策を見出せると考えています。

開発部門の強みは、全員がスピード感を持ち、最後までやり切る姿勢があることです。市場動向やお客さまの検討状況、量産化スケジュールなどを共有しながら、自らやるべきことを理解し、行動しています。

Q:業務で大切にしていることは?

開発の仕事で大切にしているのは、「危機感」と「自信」の両方を持つことです。競合が多いパワーインダクタの市場で生き抜くためには、常に危機感を持って仕事に取り組む必要があります。また同時に、自分たちの製品や技術が、お客さまや社会の発展に寄与できるという強い自信を持つことも重要です。

Q:仕事のやりがいは?

私たちが開発した製品が、お客さまから高く評価されて採用された時や、メンバーと喜びを共有できた時に、大きなやりがいを感じます。新製品を生み出すことは、TDKの成長の源泉であり、社会の発展に貢献することでもあるため、誇りを持っています。

株主のみなさまに向けて

インダクタは、スマートフォンから車載機器、AIサーバー、通信機器に至るまで、エレクトロニクスを支える重要な部品です。AI分野でもTDKの製品が高く評価されており、今後も需要の拡大が見込まれています。

受動部品事業は、TDK成長の軌跡である「フェライトツリー」の幹を形成する、TDKの中核ともいえる事業です。これからも製品開発の立場からTDKの成長に貢献し、社会の進化を支えていきたいと思います。

製造部門

ナレーション:インダクタを安定した品質で大量に生産することを可能にしているのが、TDKの生産技術です。山形県鶴岡市にある鶴岡東工場では、薄膜工法により、わずか2ミリにも満たないサイズの高性能なインダクタを製造しています。

髙橋美和氏:私は製造企画として、工場の安定稼働や生産性の向上、関係部門との連携を担当しています。

例えば、DXを活用して製造の進捗や品質を見える化し、課題を早期に発見して対応できる仕組みを整えています。また、開発部門と一体となり、製品開発の初期段階から製造の視点を取り入れることで、立ち上げを迅速に進めています。

Q:製造工程におけるイノベーションとは?

製造では、「クオリティファースト(品質第一)」と「ゼロディフェクト(不良品ゼロ)」を目標に掲げています。そのため、正しい手順書を動画で標準化したり、MR(複合現実)デバイスを活用して作業シミュレーションを行ったりする手法を導入しています。

イノベーション

人によるばらつきを抑え、製品の品質向上と作業効率の向上につなげています。

Q:薄膜製造におけるTDKの強みは?

TDKの強みは、磁気ヘッドの製造で培った薄膜プロセスと、自社開発の磁性材料を組み合わせ、高性能なインダクタを製造できる点です。

半導体と同じようなプロセスで製造するため、細かいチリやホコリが品質に影響してしまいます。そのため、クリーンルームでの管理や工程ごとの洗浄を徹底し、不純物の混入を防ぐために日々改善を続けています。

Q:これまで大変だったエピソードは?

新製品の量産立ち上げの際、歩留まりが安定するまで追加投入が必要となり、現場が混乱したことがありました。私たちはまず、歩留まり状況を「Tableau(タブロー)」で見える化し、全員で課題を共有して対応したことで、早期の安定生産につなげました。

この時、見える化の重要性を実感しました。工場は受注状況や気候の影響を受けやすいため、生き物のように感じます。常に課題を乗り越えている最中だと思います。

Q:業務で大切にしていることは?

日々変化する環境の中でも、生産体制を安定させ、品質を維持したいと思っています。

そのため、人や建物、設備の状況を正確に把握し、スピード感を持って対応することを心がけています。

株主のみなさまに向けて

TDKのインダクタは、素材の開発から製造プロセスまで自社で行える強みを活かし、AIをはじめとする成長分野にも最先端のデバイスを数多く提供しています。

多様なプロセスと素材を持っているTDKだからこそ、多様な製品を提供し、変化する市場でも価値を提供できると考えています。これからも品質を追求し、変化の激しい環境の中でも価値を提供していきたいです。

受動部品事業の将来性について

ナレーション:TDKの受動部品事業を統括する電子部品ビジネスカンパニーCEOに、事業の将来性について聞きました。

コアテクノロジー

佐藤:受動部品事業は、TDK創業時のフェライトを起源とする、まさにTDKのDNAを形作る重要な事業です。

インダクタ分野におけるTDKの強みは、長年にわたり培ってきたコアテクノロジーの蓄積と共有にあります。材料、成型、焼成といったプロセス技術、磁気回路設計や評価・シミュレーション技術、さらに内製設備やライン設計、生産技術などのコアテクノロジーが社内に蓄積・共有されており、世界トップクラスの特性と品質を持つ製品の開発ができると思います。

AIエコシステム

AIの普及により、エレクトロニクス産業はこれからさらに大きく発展していくと予想されます。TDKでは、今後大きく成長していくAIに関連する幅広い市場を「AIエコシステム」と定義しました。

その中でも、AIデータセンターやAI機能を搭載したスマートフォン、自動運転システムなどにおいて、受動部品の役割はますます重要になると思います。現在私たちは、半導体メーカーやお客さまと共同で新しい部品の開発を進めています。

株主のみなさまに向けて

TDKグループが培ってきた独自の技術や人的資本、ネットワークを活かし、TDKらしい製品・サービスを提供してお客さまや社会に貢献することで、受動部品事業をさらに発展させていきたいと考えています。株主のみなさまには、これからのTDKに引き続きご期待いただければと思います。

ナレーション:TDKはこれからも、受動部品をはじめとするさまざまな電子部品を通じて、電子機器や自動車、AI、ロボットなど、デジタル社会のすべてを支える存在でありたいと考えています。

TDKは、社会とエレクトロニクス産業の発展に向け、今後も挑戦を続けていきます。

TDKのAIエコシステム戦略の詳細

配信元: ログミーファイナンス

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