HEROZ、営業利益は前年比+191.2%と約3倍 通期予想は子会社の業績を踏まえ下方修正も、増収増益計画を維持
決算ハイライト:前年比で大幅増収増益を達成、通期業績予想は修正

AIさくら:2026年4月期第2四半期決算について、当社グループが提供するAIさくらよりご説明します。
まず、今期決算のハイライトをご説明します。2026年4月期第2四半期は、売上高が前年同期比9.6パーセント増の30億9,800万円、EBITDAが前年同期比69.1パーセント増の4億9,200万円、営業利益は前年同期比191.2パーセント増の2億5,800万円でした。
また、2025年4月期には新規プロダクトの立ち上げにより約3億円の先行投資が発生しましたが、今期からその投資成果が段階的に表れ、「HEROZ ASK」の売上高は前四半期比で55.1パーセント増加し、「JOINT」の売上高は前四半期比で19.9パーセント増加しました。
さらに、今期は連結子会社であるバリオセキュア社が通期業績を修正したことを受け、グループ全体の業績見通しを変更しました。連結業績は売上高64億円、営業利益5億円に修正されましたが、前期比で増収増益を維持しています。
なお、通期業績予想に対する進捗率は、売上高が48.4パーセント、営業利益が51.7パーセントです。
2026年4月期 通期の業績の修正について

2026年4月期の通期業績の修正についてご説明します。連結子会社であるバリオセキュア社の業績下方修正を受けてグループ全体の業績予想を精査した結果、通期業績予想を修正しました。
修正後の数値としては、売上高は前期比7.9パーセント増の64億円、営業利益は前期比63.2パーセント増の5億円、経常利益は前期比84.0パーセント増の4億2,000万円、親会社株主に帰属する当期純利益は5,000万円、EBITDAは前期比26.0パーセント増の10億円となっています。
当初予想と比較すると減額修正となりますが、売上および利益は前期比で成長を維持しています。
通期業績修正:営業利益

営業利益の前期比較です。営業利益は当初予想比で3億円の減額修正となりましたが、修正後も前期比で約2億円の増益基調を維持しています。
2025年4月期の営業利益3億600万円に対して、AIX事業で1億8,600万円、AI Security事業で4,500万円の増益を見込む一方、連結調整等で3,700万円の減少があり、2026年4月期の営業利益は5億円を見込んでいます。
当初予想からは減額となりましたが、引き続き増収増益の達成に向けて取り組んでいきます。
第2四半期連結業績サマリー:SaaS関連の主要指標も順調に推移

2026年4月期第2四半期の業績サマリーです。売上高は前年同期比で9.6パーセント増加し、30億9,800万円となりました。収益性の指標であるEBITDAは、前年同期比69.1パーセント増の4億9,200万円、営業利益は前年同期比191.2パーセント増の2億5,800万円となっています。
また、当社がSaaS型ビジネスモデルを推進する中で重視しているKPIでは、ARRは前年同期比17パーセント増の43億9,500万円、リカーリング売上比率は前年同期比で3.0ポイント上昇しており、いずれも堅調に成長しました。
HEROZグループのリカーリング売上の50パーセント以上を占めるセキュリティBPOサービスの解約率は0.7パーセント、「HEROZ ASK」のリカーリング解約率は0.6パーセントと、低い解約率で推移しています。
各事業セグメントの概観:全事業YoY成長、BtoB事業は下期偏重の見込み

各事業セグメントの概観についてご報告します。まず、BtoC事業についてです。2四半期連続で前年同期比プラス成長となり、堅調に推移しています。
対局数は3四半期連続で3,000万局を突破しましたが、前期比プラス5パーセント成長を達成するには下期での取り組み強化が必要な状況です。売上成長率は前年同期比で0.5パーセントの増加となりました。
次に、BtoB事業についてです。「HEROZ ASK」では10月にARR1億円を達成し、今期中の単月黒字化に向けて進行しています。
HEROZ BtoB事業では約6,800万円が第3四半期に期ズレするものの、パイプラインは前年を上回り、下期での挽回に注力していきます。これらの結果、売上成長率は前年同期比で23.1パーセントの増加となりました。
最後に、AI Security事業についてです。こちらは2四半期連続で過去最高売上を達成しました。価格改定が通期で寄与し、収益性改善が見込まれます。これらの結果、売上成長率は前年同期比でプラス4.8パーセントとなりました。
2026年4月期 第2四半期連結業績

2026年4月期第2四半期の経営成績の詳細および通期業績の進捗についてご報告します。
グループ全体の売上高、営業利益、EBITDAは、BtoB事業における期ズレの影響が一定程度あったものの、BtoC事業、BtoB事業、AI Security事業の成長が寄与し、前年同期比で大幅な増収増益を達成しました。
前期は「HEROZ ASK」や「JOINT」などの新規SaaS事業を中心に先行投資フェーズと位置付けていましたが、今期より段階的にその投資効果が表れ始めています。これにより、第3四半期以降はさらなる利益貢献が期待される見通しです。
引き続き、各事業の成長を図りながら、収益基盤の強化に努めていきます。
主要な業績KPIの推移 売上高・EBITDA

四半期別の売上高およびEBITDAの推移です。第2四半期では、BtoB事業において売上高が約6,800万円分、第3四半期へ期ズレする影響があったものの、オーガニックな成長に加え、ストラテジット社の貢献もあり、引き続き成長を達成しました。
第2四半期のEBITDAは2億6,300万円で、前年同期比111.5パーセントの増加となりました。
リカーリング売上・ARR:新規SaaSとM&A効果に伴い順増、安定的な売上成長

リカーリング売上およびARRの推移です。第2四半期のリカーリング売上は、BtoB継続売上の増加や「AIさくらさん」の売上増加に加え、VOIQ社の売上増加およびAI Security事業の寄与もあり、さらに成長しています。
ARRは前年同期比で17パーセント増加し、安定した売上成長を実現しています。
セグメント売上・利益推移

セグメント売上およびセグメント利益の推移です。AIX事業の中核を担うHEROZ BtoB事業で期ズレによる影響が約6,800万円あったものの、第2四半期単体で前年同期比17.8パーセントの売上成長を達成しました。
また、AI Security事業においても価格改定の影響があり、前年同期比で増収増益を達成し、四半期ベースで過去最高売上を更新しました。
AIX事業 BtoC事業:2Q売上は前年同期を上回り堅調推移

AIX事業のBtoC事業では、売上高と対局数のいずれも引き続き堅調に成長しました。売上高は第2四半期に前年同期比0.6パーセントの成長を達成しました。
また、「将棋ウォーズ」の四半期の対局数は3四半期連続で3,000万局を超えており、2025年12月には累計対局数が11億局を突破しました。今後も事業成長を順調に実現できるものと考えています。
AIX事業 BtoB事業:上期は前年同期比+29%と好調、下期偏重の構造は継続

AIX事業の中核であるHEROZ BtoB事業は、第2四半期累計で前年同期比29パーセントの売上成長を達成しました。ただし、第2四半期に計上を予定していた売上高が第3四半期以降にずれ込んだため、第3四半期では前年同期比17.9パーセントの成長を見込んでいます。
四半期別の稼働案件数は増加基調にあり、2026年4月期上期の稼働案件数は2025年4月期下期を上回る件数となりました。また、第3四半期も堅調な水準を維持する見込みです。
原価内訳(連結):売上原価は前年比増加の一方、売上原価比率は改善し粗利率が改善

売上原価の内訳です。オーガニックな成長を目指し、ビジネス職およびエンジニア職の採用を強化したことで人件費などが増加し、第2四半期の売上原価は前年同期比で10.1パーセント増加しました。また、売上に対する原価比率は前年同期比で約0.6ポイント減少しています。
一方、業務委託費(外注費)については全体的にコントロールを行い、ティファナ・ドットコム社およびバリオセキュア社の外注費を削減することで、コストを適切に抑制しました。引き続き成長投資とコスト最適化の両立を図っていきます。
販管費内訳(連結):2Q実績は前年対比で減少。対売上比率も低下し、コスト圧縮が進む

販管費の内訳の推移についてです。当社は、オーガニックな成長を目指し、エンジニア職やビジネス職の採用を積極的に進めています。一方で、コーポレート部門の販管費は厳格にコントロールした結果、第2四半期の販管費は前年同期比で7.7パーセント減少しました。
売上に対する販管費比率も約7ポイント低下し、費用抑制が着実に進んでいます。今後も必要な領域にはしっかり投資しつつ、全体のコストコントロールを徹底し、先行投資を確実に売上成長へと転換していきます。
各種SaaS進捗:今期から投資成果が段階的に顕在化

昨年立ち上げた事業「HEROZ ASK」および「JOINT」の進捗についてです。「HEROZ ASK」のリカーリング売上および契約顧客数はともに増加しており、売上は前四半期比で55.1パーセント増加しました。さらに、11月末時点で累計契約顧客数が330社を超え、大幅な成長を達成しています。「JOINT」も前四半期比で19.9パーセントの売上増加を達成しました。
解約率推移:HEROZ ASKも低水準化が進行

各種解約率についてです。AI Security事業の中核サービスであるセキュリティBPOサービスの四半期別解約率は、当第2四半期は0.71パーセントと、引き続き非常に低い水準で推移しました。また、「HEROZ ASK」のユーザーID数の解約率も当第2四半期は0.64パーセントと、低い水準を維持しています。
HEROZのあゆみ

「HEROZ」の事業紹介として、「HEROZ」の売上高の推移と主な沿革についてご説明します。
HEROZは「驚きを心に」をコンセプトに掲げ、世界を驚かすサービスの創出を目指して発展を続けてきました。人とテクノロジーの力を最大限に活用し、「1人でも多くのヒーローの誕生」を支える企業として成長を続けています。
HEROZが考える生成AI時代の「AI革命」

当社は「AI革命を起こし、未来を創っていく」というビジョンのもと、生成AIを活用し、日常の自動化や支援を実現することで、人々が自己実現に集中できる社会を目指しています。AIを「単なるツール」ではなく「価値を共創するパートナー」と捉え、社会に貢献する存在として進化させていきます。
当社が開発した将棋AIは、当初「人間 vs AI」という対立構造の議論を巻き起こしましたが、現在ではプロ棋士の学習支援や観戦体験の向上に寄与し、AIと共存する新たな将棋の魅力を創出しています。
グループの事業構造(事業セグメント)

当社グループの事業構造についてご説明します。当社は、AIX事業とAI Security事業の2つのセグメントで事業を展開しています。
AIX事業では、BtoC向けの将棋アプリからBtoB向けのAIソリューションやSaaS連携サービスまで幅広く提供しています。また、2024年7月にグループ化したVOIQ社もAIX事業に含まれます。
AI Security事業では、中小企業向けにセキュリティサービスを提供しています。
AIエージェントで進化するAI BPaaSモデル

ここからは、全社の戦略についてご説明します。当社では、生成AIやAIエージェントを活用し、人の業務そのものを請け負うモデルである「AI BPaaS」を展開しています。
従来はAIツールを提供して企業の業務効率化を支援してきましたが、顧客がAIを十分に使いこなせないケースが多く、効果が限定的でした。
そこで「AI BPaaS」を導入し、裏側でAIを共通基盤として活用することで、効率的かつ高品質な業務を提供しています。今後は、AIエージェントが自律的に判断し、実行まで担うかたちへと移行し、より幅広い層に価値を提供していく方針です。
HEROZが目指す次世代AIエージェント

当社が目指す次世代AIエージェントについてご説明します。当社では、今後AIエージェントがスライド左側に示す指示依存型「AI Agent1.0」から、スライド右側に示す完全自律型「AI Agent2.0」へと推移すると考えており、その完全自律型を独自に「Meta Agent」と位置付けています。
「AI Agent2.0」である「Meta Agent」は、課題の分解、ゴールの設定、解決策の実行を自律的に行うことで、利用者の指示能力等に関係なくタスクを処理できるようになります。これにより、今後さらに利用可能な層が拡大し、AIトランスフォーメーションが進むと考えています。
AIエージェントがもたらす市場構造の変化

AIエージェントがもたらす市場構造の変化についてです。IDC Japanの予測によると、2024年に1兆3,000億円規模だったAIシステム市場は、2029年には4兆2,000億円規模にまで増大する見込みです。当社はこの市場をターゲットに定め、さらなる成長を目指します。
数字でわかるHEROZ

当社グループに関連する各種数値についてご紹介します。「将棋ウォーズ」では累計対局数が11億局を超え、「世界コンピュータ将棋選手権」で優勝を果たした技術力を基盤に、BtoB領域での取引社数の拡大や「HEROZ ASK」の開発を進めてきました。
また、M&Aにより加わったグループ各社も成長に寄与しており、連結の売上成長率は2025年4月期で前年同期比プラス22.5パーセントとなっています。HEROZ単体での従業員成長率はプラス23.4パーセント、従業員満足度は74パーセントです。
将棋人口最大化に向けて各種イベントを積極開催

各セグメントにおける取り組み実績についてご紹介します。
まず、BtoC事業におけるトピックスのご報告です。羽生善治九段をはじめとした達人8名が戦う「第3回達人戦立川立飛杯」を開催し、初の「将棋ウォーズ」ブース出展を行い、各種イベントも同時開催しました。
また、「将棋ウォーズ」の新機能として、「二つ名」機能をリリースしました。これは対局での通算勝数や段級位、囲い・戦法エフェクトの獲得など、「将棋ウォーズ」をプレイするほど、さまざまな「二つ名」を獲得できる機能です。
また、「第125回将棋ウォーズ段級位最強戦」や「第14回将棋ウォーズ棋神戦」、公式スペシャル大会「棋神一閃杯」、「第12回将棋ウォーズ聖帝戦」などの各種大会の開催により、プレミアムユーザー数は過去最高水準で推移しています。
今後も「将棋ウォーズ」を基盤としたイベントや機能拡充を通じて、将棋文化の普及と魅力の発信に継続して貢献していきます。
HEROZ開発の「株価予測診断AI」を活用した ウィルズの新機能「優待設計シミュレーション」がリリース

HEROZのBtoB事業の事例をご紹介します。当社は、株主還元策の効果を定量的に示すことを目的として、「株価予測診断AI」を開発し、ウィルズさまの新機能である「優待設計シミュレーション」へ技術提供を行いました。
本システムは、過去の導入企業におけるポイント設計、導入前後の株価・出来高推移、企業ファンダメンタルズなどを学習しています。優待の設計条件である付与ポイント数や導入区分などを入力することで、導入後の株価騰落率などを数値でシミュレーションすることが可能です。
これにより、複数の設計案を短時間で比較でき、検討プロセスの質とスピードの向上に寄与します。今後は、学習データの拡充とモデルの継続的なアップデートを通して、予測精度と機能をさらに高めていく予定です。
HEROZ ASK機能アップデート:ダッシュボードに新機能搭載 独自のAI解析で利活用データの分析・改善提案を効率化

「HEROZ ASK」のプロダクトアップデートについてご紹介します。
「HEROZ ASK」では、ダッシュボードに独自の「AI解析」機能を新たに搭載しました。この「AI解析」機能により、利用データの視覚化だけでなく、好調ユーザーや低利用ユーザーの可視化が可能となり、促進アドバイスや横展開案を自動提案します。これにより、導入効果の定量化と活用拡大を同時に実現します。
活用シナリオとしては、情報システム部門やAI推進室における優先部門の抽出や施策効果測定、マーケティング・広報部門でのキャンペーン効率化度の測定や事例の横展開、法務・監査部門での監査ログ整備やガイドライン改定の影響比較などが想定されています。
また、最新モデルである「Claude Sonnet 4.5」および「Claude Opus 4.5」への対応を開始しています。「HEROZ ASK」は、今後もユースケースの拡大とお客さま価値の最大化を通じて、AIトランスフォーメーションを推進し、さらなる成長を目指します。
AIさくらさん:累積契約人数は堅調に増加中

「AIさくらさん」の近況についてご報告します。「AIさくらさん」は、累積契約人数が堅調に増加しており、観光体験の向上や市役所職員の負担軽減など、新たな領域や分野での活躍事例も増加しています。
具体的には、九州観光公式モバイルアプリ「きゅーちゃんのわくわく九州塾」に観光ナビゲーターとして導入されたほか、クラウドセキュリティサービス「HENNGE One」とのSSO連携に正式に対応し、企業や自治体が利便性とセキュリティを両立させながら生成AIを安全に導入できるようになりました。
また、第1四半期に発生した一部解約の影響が第2四半期に反映されましたが、新規顧客の獲得は順調に推移しており、第3四半期のリカーリング売上は回復基調に向かう見込みです。
よくいただくご質問について

最後に、IR活動を通じてよくいただくご質問をご紹介し、それについてご回答します。直近の決算発表に際し、多くいただいたご質問の中から抜粋してご説明します。
まず、「2026年4月期のHEROZ BtoB事業の概観について」です。
第1四半期は約6,500万円の期ズレが発生し、計画値に対して未達となりました。案件のパイプラインや人員数は計画どおり増加しているものの、事業の構造上、期ズレは一定程度発生するものと想定されています。そのため、通期の成長率を引き下げ、グループ全体の通期業績予想を修正しました。
「HEROZ ASK」については、ARRベースで約1億円を突破し、中堅・中小企業を中心に安定成長を続けています。今期中の単月黒字化を計画しています。
次に、「バリオセキュアの通期業績の修正について」です。
上期は営業利益3億円を達成しましたが、下期の積極的な事業投資により利益計画を修正しました。売上計画の見直しによる約1億6,000万円の下振れと、製品開発や営業人員採用などの先行投資(約1億5,000万円)を計画したことが要因です。ただし、上期の売上は計画を達成しており、足元の状況は堅調です。
以上で、2026年4月期第2四半期決算説明会を終了します。ご清聴いただき、誠にありがとうございました。
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