今週のポイント
トランプ米大統領は7日に南アフリカに対して30%、11日にカナダに対して35%、12日にメキシコに対して30%の関税をそれぞれ8月1日から課すと表明しました。8月1日の関税発動日に向けて、カナダ・メキシコ・南アフリカと米国との交渉のゆくえに注目です。今後の交渉によってトランプ政権による高率の関税が見送られる(あるいは税率が引き下げられる)可能性が高まる場合、その国の通貨にとってプラスになると考えられます。
6月CPIなど米国の経済指標にも注目です。米経済指標の結果を受けてFRB(米連邦準備制度理事会)の利下げ観測が高まる場合には、米ドルが全般的に軟調に推移して、豪ドル/米ドルやNZドル/米ドルには上昇圧力が加わりそうです。
17日には豪州の6月雇用統計が発表されます。RBA(豪中銀)は7-8日の政策会合で政策金利を据え置いたものの、市場では次回8月11-12日の会合で利下げが行われるとの見方が有力。雇用統計の結果を受けて市場の利下げ観測がどう変化するかに注目です。
今週の注目通貨ペア(1):<豪ドル/NZドル 予想レンジ:1.08500NZドル~1.10500NZドル>
豪ドル/NZドルは11日に一時1.09483NZドルへと上昇し、4月3日以来の高値をつけました。先週(7/7- )の豪ドル/NZドル上昇の要因として、RBA(豪中銀)が7-8日の政策会合で政策金利を据え置いたことが挙げられます。市場では、RBAは0.25%の利下げを行うとの見方が大勢だったため、RBAの決定はサプライズとなりました。
一方で、ブロック総裁の会見などでは今後利下げを行う可能性が示されました。声明では、政策メンバーによる投票の内訳が公表されました(これまでは公表されず)。会合では6人が据え置きに賛成して3人が反対し、メンバーの意見が割れました。反対した3人は利下げを主張したとみられます。
ブロック総裁は会合後の会見でそのことについて、「意見の相違は政策金利の方向ではなく、追加利下げのタイミングだ」と強調。「RBAは緩和の道筋にあり、問題はタイミングだ」と繰り返しました。「インフレ率が引き続き鈍化すれば政策金利を引き下げるだろう」とも述べました。
RBNZ(NZ中銀)は9日に政策会合を開き、政策金利を3.25%に据え置きました。据え置きは24年8月に利下げが開始されてから初めてです。会合では0.25%利下げすることも検討されました。また、RBNZは声明の最終段落を修正し、追加利下げを示唆しました。
<5月の会合>
・「インフレ率は目標レンジ内にあり、中期的な物価安定を維持するため、国内外の動向に対応する態勢が整っている」
<7月の会合>
・「中期的なインフレ圧力が予想どおり引き続き緩和すれば、政策金利をさらに引き下げると予想している」
目先は、RBAが7-8日の会合で政策金利を据え置いたことが引き続き市場で意識されて、豪ドル/NZドルは堅調に推移する可能性はあります。ただ、RBAとRBNZの金融政策スタンスを踏まえると、豪ドル/NZドルは次第に上値が重くなると考えられ、17日に発表される豪州の6月雇用統計がそのきっかけになるかもしれません。
今週の注目通貨ペア(2):<米ドル/カナダドル 予想レンジ:1.35000カナダドル~1.37500カナダドル>
トランプ米大統領は11日、自身のSNSでカナダへの書簡を公表し、「カナダからの輸入品に35%の関税を8月1日から課す」ことを明らかにしました。
トランプ政権はカナダに対し、フェンタニル(合成麻薬)の米国への流入などを理由に、USMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)準拠品を除いて25%の関税をすでに課しています。トランプ大統領が11日にSNSで公表した書簡ではUSMCA準拠品の免税措置がどうなるのか言及されませんでしたが、米当局者の話として免税措置は維持されるとの報道があります。
今後の注目点は、トランプ政権による35%の対カナダ関税が実際に発動されるのかどうか。仮に交渉によって35%の対カナダ関税の発動が見送られるようなら、カナダドルのプラス材料になりそうです。
米国の経済指標にも注目。同国の6月CPIや6月小売売上高などの結果を受け、FRBの利下げ観測が高まる場合(米ドルのマイナス材料)、米ドル/カナダドルには下落圧力が生じそうです。
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