今週のポイント
今週の資源・新興国通貨は、中東情勢に大きな影響を受けそうです。イランや米国の対応によって中東情勢がさらに緊迫すれば、リスクオフ(リスク回避)が強まると考えられます。その場合、米ドルが全般的に堅調に推移して、豪ドル/米ドルやNZドル/米ドルには下落圧力が、米ドル/カナダドルには上昇圧力が加わりそうです。
中東情勢次第では原油価格に対して上昇圧力が加わるかもしれません。原油が上昇を続ける場合、カナダドルやメキシコペソのプラス材料になる可能性があります。
カナダの5月CPI(消費者物価指数)が24日に、豪州の5月CPIが25日に発表されます。CPIの結果を受けて市場のBOC(カナダ中銀)やRBA(豪中銀)の追加利下げ観測がどのように変化するのかに注目です。
26日にはBOM(メキシコ中銀)の政策会合が開かれます。BOMは難しい政策判断を迫られそうです。メキシコでは、トランプ米政権による関税の影響によって景気に下押し圧力が加わる一方で、インフレ率が再び上昇しているからです。メキシコの5月CPI(消費者物価指数)は総合指数が前年比4.42%、コア指数が同4.06%と、前月(いずれも3.93%でした)から上昇率が高まり、BOMのインフレ目標(3%)の許容レンジ(2~4%)を上回りました。
市場では、26日の会合で直近3会合と同じく0.50%の利下げが行われるとの見方が優勢です。ただ、一部で利下げ幅は0.25%になるとの観測もあります。仮に利下げ幅が0.25%になれば、メキシコペソは底堅く推移しそうです。
メキシコ中銀の声明にも注目です。今後の会合では利下げの見送りもあり得ることが声明で示唆されれば、26日の会合で0.50%の利下げが行われたとしても、メキシコペソにとってそれほどマイナス材料にならないかもしれません。
今週の注目通貨ペア(1):<豪ドル/NZドル 予想レンジ:1.07000NZドル~1.08500NZドル>
OIS(翌日物金利スワップ)によれば、市場では12月末までにRBA(豪中銀)は合計0.75%(0.25%×3回)の追加利下げを、RBNZ(NZ中銀)は合計0.25%(0.25%×1回)の追加利下げを行うとの見方が優勢です。RBAとRBNZの金融政策面から見れば、豪ドル/NZドルは上値が重い展開が想定されます。
今週は、25日に豪州の5月CPI(消費者物価指数)が発表されます。その結果が豪ドル/NZドルに影響を与えそうです。豪州の場合、月次のCPIがカバーする品目は四半期のCPIの3分の2程度のため、RBAはインフレ指標として四半期CPIをより重視しています。それでも、5月CPIが市場予想を下回る結果になれば、市場ではRBAの追加利下げ観測が一段と高まるかもしれません。RBAの追加利下げ観測が高まる場合、豪ドル/NZドルには下落圧力が生じる可能性があります。
今週の注目通貨ペア(2):<米ドル/カナダドル 予想レンジ:1.35000カナダドル~1.40000カナダドル>
米ドル/カナダドルは今週、中東情勢次第の展開になりそうです。中東情勢がさらに緊迫する場合、米ドルが全般的に堅調に推移して米ドル/カナダドルには上昇圧力が加わるとみられます。
一方で、中東情勢が緊迫化すれば、中東からの原油の供給減少への懸念から原油価格に対して上昇圧力が加わると考えられます。原油価格が上昇を続ける場合、米ドル/カナダドルは上値が重くなるかもしれません(原油高はカナダドルのプラス材料と考えられるため)。
今週は、カナダの5月CPI(消費者物価指数)が24日に、米国の5月PCE(個人消費支出)デフレーターが27日に発表されます。それらの結果を受けて、市場のBOC(カナダ中銀)やFRB(米連邦準備制度理事会)の追加利下げ観測が高まるのかどうかにも注目です。
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