[資源・新興国通貨6/9~13のポイント&注目通貨] 豪ドル/NZドル:RBAとRBNZの金融政策スタンスの違いが市場で意識されるか

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最新投稿日時:2025/06/09 18:36 - 「[資源・新興国通貨6/9~13のポイント&注目通貨] 豪ドル/NZドル:RBAとRBNZの金融政策スタンスの違いが市場で意識されるか」(八代和也)

[資源・新興国通貨6/9~13のポイント&注目通貨] 豪ドル/NZドル:RBAとRBNZの金融政策スタンスの違いが市場で意識されるか

著者:八代和也
投稿:2025/06/09 18:36

今週のポイント

米国と中国の通商協議が9日に行われます。本稿執筆時点で通商協議の結果は不明なものの、仮に両国の貿易摩擦緩和に向けて前進がみられるようなら、リスクオン(リスク選好)が強まると考えられます。その場合、円が全般的に軟調に推移して、豪ドル/円やNZドル/円などのクロス円は上値を試す展開になりそうです。

米ドル/カナダドルについては、今週はカナダの主要な経済指標の発表はなく、CPIなど米国の経済指標の影響を受けやすいと考えられます。米経済指標の結果次第では、米ドル/カナダドルは一段と下落する可能性があります。

豪ドル/NZドルは先週、4月下旬以来の安値をつけました。RBA(豪中銀)とRBNZ(NZ中銀)の金融政策スタンスの違いなどを踏まえると、豪ドル/NZドルは引き続き上値が重い展開になりそうです。

今週の注目通貨ペア(1):<豪ドル/NZドル 予想レンジ:1.07000NZドル~1.09000NZドル>

豪ドル/NZドルは6月3日に一時1.07253NZドルへと下落し、4月28日以来の安値をつけました。

RBA(豪中銀)とRBNZ(NZ中銀)の金融政策スタンスや市場の両中銀の金融政策見通しには以下のような違いがあります。それらを考えると、豪ドル/NZドルは引き続き上値が重い展開になりそうです。

RBAは5月19日-20日の政策会合で0.25%の利下げを行うことを決定しました。ブロック総裁は会合後の会見で「(政策金利の)さらなる調整は可能だ」と述べ、5月の会合では「より大幅な0.50%の利下げも議論された」ことも明らかにしました。

RBNZは5月28日の会合で0.25%利下げすることを決定しました。ただし、今回の会合では「政策金利を据え置く」ことも検討され、政策メンバーによる投票の結果、5対1の賛成多数で0.25%利下げすることが決定されました。RBNZは金融政策決定においてコンセンサスの形成を重視しています。投票が実施されたのは、23年5月以来2年ぶりです。ホークスビー総裁は会合の会見で、今後の利下げについて問われると「われわれは、かなりの仕事(大幅な利下げ)をしてきた」と回答。また、「次回会合で次のステップをどうするかということについて、バイアスは持っていない」と述べました。

市場の金融政策見通しを反映するOIS(翌日物金利スワップ)によると、6日時点で市場では12月末までにRBAは合計0.75%(0.25%×3回)の、RBNZは合計0.25%(0.25%×1回)の追加利下げを行うとの見方が優勢です。

今週の注目通貨ペア(2):<米ドル/カナダドル 予想レンジ:1.35000カナダドル~1.39000カナダドル>

米ドル/カナダドルは6月5日に一時1.36334カナダドルへと下落し、10月上旬以来およそ8カ月ぶりの安値をつけました。足もとの米ドル/カナダドル下落の主な要因として、米国景気の先行きへの懸念による全般的な米ドル安が挙げられます。

今週はカナダの主要な経済指標の発表はなく、米ドル/カナダドルは米国の経済指標の影響を受けやすい地合いになりそうです。米国の5月CPI(消費者物価指数)や5月PPI(生産者物価指数)、6月ミシガン大学消費者信頼感指数・速報値などの結果を受けてFRB(米連邦準備制度理事会)の追加利下げ観測が高まる場合、米ドル安圧力はさらに強まりそう。米ドル/カナダドルは200週移動平均線(9日時点で1.34159カナダドル)に向かって下落する可能性があります。

なお、BOC(カナダ中銀)は4日の政策会合で政策金利を2.75%に据え置くことを決定しました。据え置きは2会合連続です。

マックレムBOC総裁は会合後の会見で「米国の関税と不確実性に引き続き直面する中で(カナダ)経済が弱含み、インフレに対するコスト圧力が抑制されれば、政策金利の引き下げが必要になる可能性がある」と述べました。その一方で、「カナダのCPIのコア指数(トリム値と中央値)は、基調的なインフレがBOCの予想よりも強い可能性を示している」とも語りました。カナダの5月CPIは6月24日に発表されます。

市場では、BOCは次回7月30日の会合で政策金利を据え置くとの見方が優勢。市場の金融政策見通しを反映するOIS(翌日物金利スワップ)によると、6日時点で市場が織り込む次回会合の確率は、据え置きが約7割、0.25%利下げが約3割です。今後発表されるカナダの経済指標の結果を受けて、市場によるBOCの金融政策見通しがどのように変化するか注目です。

八代和也
マネ―スクエア シニアアナリスト
配信元: 達人の予想

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