[資源・新興国通貨5/12~16のポイント&注目通貨] メキシコ中銀は追加利下げか

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最新投稿日時:2025/05/12 14:03 - 「[資源・新興国通貨5/12~16のポイント&注目通貨] メキシコ中銀は追加利下げか」(八代和也)

[資源・新興国通貨5/12~16のポイント&注目通貨] メキシコ中銀は追加利下げか

著者:八代和也
投稿:2025/05/12 14:03

今週のポイント

米中貿易協議やトランプ関税についての報道に引き続き注目です。米中貿易摩擦が緩和するとの期待が一段と高まるなどしてリスクオン(リスク選好)が強まる場合、円が全般的に軟調に推移して、豪ドル/円やNZドル/円などのクロス円は上値を試す展開になる可能性があります。

米国の経済指標の結果を受け、市場のFRB(米連邦準備制度理事会)の金融政策見通しがどのように変化するかにも注目です。FRBの追加利下げ観測が後退する場合、米ドル/カナダドルを下支えし、一方で豪ドル/米ドルやNZドル/米ドルの上値を抑える要因になりそうです。
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15日にBOM(メキシコ中銀)の政策会合が開かれます。BOMは24年3月以降7回(合計2.25%)の利下げを実施。利下げ幅は最初の5回が0.25%、直近2回(25年2月と3月)は0.50%でした。

BOMは今回も0.50%利下げする可能性が高そうです。メキシコの4月CPI(消費者物価指数)は、総合とコアのいずれも前年比3.93%でした。総合は前月の3.80%、コアは同じく3.64%から上昇率が高まったものの、BOMのインフレ目標(3%)の許容レンジ(2~4%)に引き続き収まりました。また、トランプ関税によってメキシコ景気の下振れリスクが高まっているからです。

注目点は、BOMの声明でメキシコの景気やインフレ、先行きの金融政策の先行きについてどのような認識が示されるのか。前回3月会合の声明では、「今後も金融政策スタンスの調整を継続し、同程度の規模での調整を検討する可能性がある」とされ、追加利下げが示唆されました。仮に今回の会合で0.50%の利下げが実施されたとしても、声明で今後の会合での利下げ幅縮小もあり得ることが示されれば、メキシコペソにとってそれほどマイナス材料にならないかもしれません。

今週の注目通貨ペア(1):<豪ドル/NZドル 予想レンジ:1.07000NZドル~1.10000NZドル>

豪ドル/NZドルは4月22日に一時1.06516NZドルへと下落し、24年3月以来1年1カ月ぶりの安値を記録。その後反発しました。

豪ドル/NZドルの反発の主な要因として、RBA(豪中銀)の追加利下げ観測が後退したことが挙げられます。市場の金融政策見通しを反映するOIS(翌日物金利スワップ)によると、4月21日時点で市場ではRBAは12月末までに合計1.25%の利下げを行うとの見方が優勢でした。それが本稿執筆時点では合計1.00%利下げするとの見方が優勢になっています。

RBAの追加利下げ観測が後退したのは、米中の貿易摩擦が緩和するとの期待が市場で高まったためと考えられます。豪州は中国を最大の輸出先とするため、豪経済は中国の景気動向に影響を受けやすいと市場でみられています。

米中貿易摩擦緩和への期待が市場で今後一段と高まれば、RBAの追加利下げ観測がさらに後退するとともに、豪ドル/NZドルは引き続き堅調に推移しそうです。

今週の注目通貨ペア(2):<米ドル/カナダドル 予想レンジ:1.37500カナダドル~1.40500カナダドル>

BOC(カナダ中銀)は24年6月から前々回25年3月の政策会合まで7回連続で利下げ(合計2.25%)を実施。前回4月16日の会合では政策金利を2.75%に据え置くことを決定。その理由として、「米国の通商政策は依然として極めて予測困難であり、貿易摩擦がカナダ経済に及ぼす影響についてもかなりの不確実性がある」、「米国の関税の道筋とその影響についてより多くの情報を得るため」と説明しました。

5月9日に発表されたカナダの4月雇用統計では、失業率が6.9%と市場予想(6.8%)以上に前月の6.7%から悪化。これを受けてBOCは次回6月4日の会合で追加利下げを行うとの観測が高まりました。OIS(翌日物金利スワップ)によると、市場が織り込む次回会合における利下げ確率は、雇用統計発表前の5割弱から約65%へと上昇しました(政策金利の据え置き確率は5割強から約35%へと低下)。BOCの追加利下げ観測が高まることは、カナダドルのマイナス材料になると考えられます。

今週は、4月小売売上高など米国の経済指標が多く発表されます。米経済指標の結果によってFRBの追加利下げ観測が後退する場合、金融政策面から米ドル/カナダドルは下支えされそうです。

米中貿易協議やトランプ関税についてのニュースにも注目です。最近の外為市場では、米中貿易摩擦の緩和やトランプ関税軽減への期待が市場で高まる場合には、米ドルが強含む傾向があるようです。

八代和也
マネ―スクエア シニアアナリスト
配信元: 達人の予想

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