今週のポイント
トランプ米政権による関税をめぐるニュースに引き続き注目です。4日に予定されている対カナダや対メキシコの関税発動が再び延期されるなどすれば、カナダドルやメキシコペソは堅調に推移しそうです。
トランプ政権はまた、カナダとメキシコと同じく4日に中国からの輸入品に対する関税をさらに引き上げる予定です。トランプ大統領はEU(欧州連合)からの輸入品に高率の関税を課すことや、「相互関税」を導入する考えを示しています。リスクオフ(リスク回避)が市場で強まるようなら、投資家のリスク意識の変化を反映しやすい豪ドルやNZドルには下落圧力が加わる可能性があります。
TCMB(トルコ中銀)は6日に政策会合を開きます。会合では24年12月と25年1月に続いて利下げすることが決定されるとみられ、利下げ幅は過去2会合と同じく2.50%になりそうです。TCMBの声明で金融政策の先行きについてどのようなヒントが示されるのかにも注目です。今回2.50%の利下げが行われたとしても、声明で追加利下げペースが今後鈍化する可能性が示されれば、トルコリラはそれほど下落しないかもしれません。
今週の注目通貨ペア(1):<豪ドル/NZドル 予想レンジ:1.09800NZドル~1.12000NZドル>
4日にRBA(豪中銀)議事録が公表され、5日には豪州の24年10-12月期GDP(国内総生産)が発表されます。これらが豪ドル/NZドルの材料になる可能性があります。
今回の議事録は、0.25%利下げすることを決定した2月17-18日の政策会合のものです。RBAはこの時の声明で、「金融緩和が早過ぎれば、ディスインフレが停滞し、インフレ率が目標レンジの中間点を上回る水準に落ち着くおそれがある」、「さらなる政策緩和(追加利下げ)の見通しについては慎重だ」などとしました。
市場では、RBAは5月の会合で追加利下げを行うとの観測があります(次回3月31日-4月1日の会合については政策金利の据え置きを予想)。RBA議事録の内容や豪GDPの結果を受けて5月の追加利下げ観測が一段と強まる場合、豪ドル/NZドルは軟調に推移する可能性があります。豪ドル/NZドルの下値メドとして、200日移動平均線(3日時点で1.09897NZドルに位置)が挙げられます。
今週の注目通貨ペア(2):<米ドル/カナダドル 予想レンジ:1.40000カナダドル~1.48000カナダドル>
トランプ米政権は、カナダとメキシコからの輸入品すべてに25%(ただし、カナダのエネルギー製品には10%)の関税を課す措置を4日に発動する予定です。高率の対カナダ関税が実行されるのかどうかが、米ドル/カナダドルの動向に大きな影響を与えそうです。
ただ、対カナダや対メキシコ関税は税率や適用範囲が変わる可能性もあるようです。ラトニック米商務長官は2日、カナダやメキシコに対する関税の税率が25%になるかどうかは流動的な状況だとの認識を示しました。仮に対カナダ関税の発動が再び延期される、あるいは関税の税率が予定の25%よりも低くなる場合、カナダドルにとってプラスになりそうです。
2月雇用統計など米国の経済指標にも注目です。米雇用統計などが市場予想と比べて弱い結果になれば、市場ではFRBの追加利下げ観測が一段と強まりそうです。その場合、米ドルにとってマイナスになると考えられます。
トランプ政権による対カナダ関税や米経済指標の結果次第では、米ドル/カナダドルは軟調に推移する可能性があります。
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