平和RE Research Memo(6):3つの強化により、投資主価値の最大化に取り組む(3)

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最新投稿日時:2025/02/12 13:06 - 「平和RE Research Memo(6):3つの強化により、投資主価値の最大化に取り組む(3)」(フィスコ)

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平和RE Research Memo(6):3つの強化により、投資主価値の最大化に取り組む(3)

配信元:フィスコ
投稿:2025/02/12 13:06
*13:06JST 平和RE Research Memo(6):3つの強化により、投資主価値の最大化に取り組む(3) ■平和不動産リート投資法人<8966>の中長期の成長戦略

4. 財務戦略
財務戦略では、「財務基盤の強化」「LTVのコントロール」「資金調達手段の多様化」「金融コストの抑制」を運用方針とする。「財務基盤の強化」としては、有利子負債の長期化と適切な固定金利比率の維持及び満期の分散化を進めることで市場金利変動の影響を受けにくい財務基盤を構築することに加え、AA格の高い信用力を活用した調達コストの引き下げと長期安定投資家の拡大を目指す。「LTVのコントロール」としては、金融環境に左右されない安定した物件取得、ポートフォリオと収益の持続的な拡大、機関投資家とのエンゲージメントを通じて最適資本構成を探求する。「資金調達手段の多様化」としては、公募増資によるエクイティ調達、幅広い業態からなるレンダーフォーメーション、投資法人債など、様々な性格の資金へのアクセスを構築する。また、現在の低金利環境が将来にわたって寄与するよう、「金融コストの抑制」を図る。

同REITでは、既存物件の鑑定評価額上昇や含み益を有する新規物件取得により、2024年11月期の含み益額は前期比1,446百万円増の60,009百万円、含み益率も25.9%と引き続き高い水準を維持している。2024年11月期の平均調達金利は0.936%に上昇したが、引き続き低水準で推移しており、今後も金利の高い借入金の満期が到来し、リファイナンス及び新規借り入れによって調達金利の低位安定を見込んでいる。平均調達年数は7.3年、固定金利比率は70.2%と、いずれも前期と同水準を維持した。また、借入余力を図る基準として、鑑定LTVの上限を45%としてコントロールしているが、2024年11月期には39.1%の低水準を維持している。2024年11月期には、期初に行った公募増資に伴う物件取得による鑑定評価額の増加によって、鑑定LTVが45%に達するまでの借入余力は310億円であり、同REITの資金調達力は安定している。また、資産規模拡大に伴い、2024年11月期の期初にコミットメントラインの設定額を従来の70億円から80億円へ増額した。今後の調達金利上昇に対しては、内部留保や含み益を活用したバリューアップ工事などの内部成長で吸収する計画だ。このように強固な財務基盤を維持することで、同REITの今後の成長を下支えすることが期待される。

5. サステナビリティ
「NEXT VISION II+」では、サステナビリティについてGHGの排出量設定目標として、ポートフォリオのGHG総排出量を2030年までに90%削減することで、国際認証のSBT(Science Based Targets)認定を受けた目標数値を上回る削減を目指す。また、外部認証、国際イニシアティブ・外部評価として、GRESB(Global Real Estate Sustainability Benchmark)評価、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)、グリーンファイナンスフレームワーク、グリーンビルディング認証などを得ている。

環境課題への取り組みとしては、再生可能エネルギー電力への切り替えは、2024年11月末時点で全物件の対応が完了しており、2018年比79.5%削減している。また、ペーパーレス及び環境に配慮した素材の使用のほか、LED化の推進、レジデンス専有部電気量計測システムの導入、災害救援・寄付型自動販売機の設置なども実施している。社会への取り組みとしては、地域社会への参画を進め、災害時の飲料水供給、ペットボトルキャップ回収運動、地域の祭りへの参加などを実施している。また、社員への取り組みとして、女性活躍推進法に基づく「えるぼし」認定の取得、社員の意識を高めるための「社長賞」表彰、健康支援・ワークライフバランスの改善などにも取り組んでいる。ガバナンスとしては、外部役員への専門家の登用による客観的な視点での投資判断と企業統治の推進などを目標にするが、既に運用資産の取得・売却の意思決定プロセスの明確化や、執行役員制度などを導入している。これら数々のサステナビリティへの積極的な取り組みは、ESG投資(環境・社会・ガバナンスに配慮している企業を重視・選別して行う投資)の世界的な拡大傾向に対応する活動であると評価できる。

6. 総括
弊社では、同REITが特化する東京都区部をメインとする市場は投資機会が豊富にあることから、今後も同REITの潜在的な成長力は高いと見る。東京都区部では、主なテナント層である中小規模の事業所数が集中し、オフィスビルに対して引き続き豊富な需要がある。また、東京都では、コロナ禍の収束に伴い2023年には再び人口増加傾向となっており、居住用マンションについても堅調な需要が見込まれている。

さらに、強力なスポンサー・サポートの活用によって、着実な成長戦略の推進が可能であると弊社では見ている。すなわち、平和不動産の保有・開発物件、仲介物件、先行取得物件などの情報ソースを活用したり(外部成長サポート)、情報の共有化によって稼働率の向上を図ったり(内部成長サポート)、財務方針・資金調達などにかかる支援や指導を仰ぐ(財務サポート)などが、同REITの大きな強みである。

既述のとおり、同REITでは不測の事態に備えて十分な内部留保やコミットメントラインの設定などの対策を講じている。そのほかの一般的なリスク要因としては、他のREITと同様、稼働率の低下、賃料の下落、金利の上昇などが考えられる。実際、東京都区内において2018年から巨大ビルが大量供給されており、稼働率の低下や賃料の下落が懸念されていた。ただ、同REITでは、オフィス稼働率は既に高水準に達しているものの、対象とする中規模以下のオフィスでは供給が限定的であり、今後も高稼働率の維持が可能と見ている。また、市場賃料の上昇が契約賃料の更改ペースを上回っている(ポジティブギャップが拡大)ことから、オフィス賃料はさらに引き上げ可能と見られる。レジデンスにおいても、リニューアル工事の実施によって、物件競争力の強化と資産価値の維持向上を図っており、今後も高稼働率の維持と賃料水準の改善につながると見られる。当面は金利の高い借入の借り換えに伴い、低水準の金融コストを維持する見通しだが、将来の金利上昇リスクに対しては、金利の固定化によりリスクヘッジを進めている。「NEXT VISION II+」では、今後予想される金利上昇に対しては、内部留保や含み益を活用したバリューアップ工事による賃料増額によってカバーする計画である。また、投資主還元やESGの向上にも積極的に取り組む方針だ。「NEXT VISION II+」の目標達成に向けた今後の進捗状況に注目したい。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)

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配信元: フィスコ

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