今週のポイント
トランプ米大統領は2月1日(日本時間2日)、「カナダとメキシコからの輸入品に25%の関税を課す(カナダについては原油などのエネルギーの税率は10%とする)」との大統領令に署名しました。関税の徴収は4日から行われます。メキシコ経済とカナダ経済は対米依存度が高く、メキシコは輸出全体の8割強、カナダは同4分の3が米国向けです。メキシコペソやカナダドルは引き続き軟調に推移する可能性があります。
トランプ大統領はまた、「中国からの輸入品に追加で10%の関税を4日から課す」との大統領令にも署名しました。豪州やNZは中国を最大の輸出先とすることもあり、豪ドルやNZドルは上値が重い展開になるかもしれません。
トランプ大統領は2日(日本時間3日)、SNSに「南アフリカへの資金援助を全て停止する」と投稿しました。この投稿が市場で意識されれば、南アフリカランドは軟調に推移しそうです。
SNSへの投稿を含めてトランプ大統領の言動には引き続き要注意です。関税などの対象に新たになった国の通貨には下落圧力が加わると考えられます。
主要国の株価動向にも目を向ける必要がありそうです。株価が下落を続けるなどしてリスクオフ(リスク回避)の動きが強まる場合、豪ドル/円やNZドル/円などのクロス円が下押しする可能性があります。
BOM(メキシコ中銀)は6日に政策会合を開きます。市場では0.50%の利下げが行われるとの見方が優勢です。BOMの声明で、米国による対メキシコ関税がメキシコの景気やインフレに与える影響についてどのような見解が示されるのかにも注目です。
今週の注目通貨ペア(1):<豪ドル/NZドル 予想レンジ:1.09500NZドル~1.11000NZドル>
1月29日に発表された豪州の24年10-12月期CPI(消費者物価指数)は総合が前年比2.4%、トリム平均値が同3.2%と、いずれも市場予想(2.5%と3.3%)を下回りました。この結果を受けて、市場ではRBA(豪中銀)は次回2月17-18日の政策会合で利下げを行うとの観測が市場で強まりました。RBAの利下げ観測は豪ドルにとってマイナスです。
今週はNZの24年10-12月期雇用統計が5日に発表されます。雇用統計が市場予想と比べて強い結果になれば、NZドルが堅調に推移して、豪ドル/NZドルは下値を試す展開になりそうです。
今週の注目通貨ペア(2):<米ドル/カナダドル 予想レンジ:1.43000カナダドル~1.50000カナダドル>
トランプ大統領がカナダに対して25%の関税を課す大統領令に署名したことで、3日午前(日本時間)にカナダドルが急落。米ドル/カナダドルは03年4月以来およそ22年ぶりの高値をつけました。
米国が高率の関税を課すことにより、カナダ経済は大きな打撃を受ける可能性があります。カナダ経済をめぐる懸念が市場で一段と強まる場合、米ドル/カナダドルは引き続き堅調に推移しそうです。
7日発表の米国とカナダの1月雇用統計も材料になる可能性があります。雇用統計でFRB(米連邦準備制度理事会)の利下げ観測が後退する一方で、BOC(カナダ中銀)の利下げ観測が強まる場合、FRBとBOCの金融政策面から米ドル/カナダドルに上昇圧力が加わるかもしれません。
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