【QAあり】日東富士製粉、「中期経営計画2026」を発表 小麦の持つ無限の可能性で、世界の多様なニーズに挑戦し続ける
社長メッセージ 代表取締役社長 宮原朋宏
宮原朋宏氏(以下、宮原):全社員一人ひとりがチャレンジ精神をもち、能動的に動きながら挑戦し続けることで新たな当社の文化を築き上げ、食の安全・安心と美味しさをこれからもお届けしていきます。
創業110周年を迎えたのを機に、私たち日東富士製粉は社会における当社の存在意義・在り姿としてパーパスを策定するとともに、さらなる高みを目指した中期経営計画をスタートするなど、新たな経営ステージへと突入しました。従来の考え方にとらわれることなく、社会課題の解決に繋がるあらゆる取り組みに挑戦し続け、一層の企業価値向上を目指していきます。
創業111年目に突入した日東富士製粉
おかげさまをもちまして当社は2024年3月に創立110周年を迎えることができました。現経営トップとして当社創業110年を迎えられたことについて、大変身の引き締まる思いです。
当社は幾多の経済恐慌を乗り越え、日本経済の発展とともに統廃合などを重ね、成長を果たしてきました。そして今日、人口減少や高齢化に伴って食品業界自体も縮小均衡という波にさらわれ、年々業界環境は厳しさを増しています。
このような中、目の前にある課題から目をそらすことなく、偉大なる先人たちが成し遂げてきたような創意工夫をこれからも重ね、当社の成長及び歴史と伝統を次の世代に繋げていきたいと考えています。
前中期経営計画を1年前倒し終了 そしてパーパス及び新中期経営計画の策定へ
これまで当社では、2024年度を最終年度とする「2024中期経営計画“New Foundation for the Future”」を2021年度から展開していたのですが、掲げていた各KPIは順調に推移し、全定量目標を2023年度に1年前倒しで達成することができました。
しかし一方、少子高齢化の中で1人当たりの小麦粉消費量は横ばいで推移し、国内の小麦粉の需要というものは、今後もやはり大きく増加することはないだろうと見ています。また、縮小傾向の国内製粉市場を中心に事業を展開している当社としては、そのような環境に対して非常に強い危機感を持っています。
このような考えの下、私は、先行き不透明な状況下であるからこそ将来を想定し、そこから現在の課題と打ち手を全社員で共有すべきと判断し、当中計前倒し終了と、新中計及びその計画の柱とするパーパスの策定・公表へと動きました。その結果として、全社一丸となり課題に向けた取り組みというものが、ようやくスタートできたのではないかと考えています。
なお、もしかすると「目標達成できたから次の中計に移行した」と捉える向きがあるかもしれませんが、決してそのような短絡的な判断からではなく、ここに述べたような強い決意をもって今般の判断に至ったということを、ぜひステークホルダーのみなさまにはご理解いただけましたらと存じます。
パーパスと新中期経営計画の展開 ━パーパス「小麦の持つ無限の可能性で、世界の多様なニーズに挑戦し続ける」━
パーパス「小麦の持つ無限の可能性で、世界の多様なニーズに挑戦し続ける」には、先行きが不透明な環境が今後も予測される中、従来の考え方にとらわれることなく、社会課題の解決に繋がるあらゆる取り組みに挑戦し続けることが重要である、という想いを込めています。
私の率直な感想ですが、当社は何事に対しても非常に真面目である一方、新たなことへの挑戦心という部分で物足りなさを感じていました。これからのサステナブルに向けては、どのような社会環境にも対応できる組織、またそれを形成する社員のマインドセットが不可欠であり、当パーパスを策定した次第でもあります。
当社のパーパス経営は緒に就いたばかりですが、当パーパスと同時に策定したビジョン「事業基盤の強化により持続的に成長する企業となる」「能動的に細かなニーズを捉え、新規領域での成長に挑戦し続ける」、そして3つの行動指針に基づき、明確に挑戦し続ける企業文化というものを作り上げていきたいと考えています。
━新「中期経営計画2026」(2024~2026年度)━
「『原料調達・製造・販売・開発・物流』全部門の連携を強化し、全社一丸となって、食の安心・安全・美味しさをお届けする」という基本方針を前中計から継承しながら、今回の新中計では最終年度の業績目標として連結純利益45億円、ROE8パーセント以上、基礎収益30億円以上、基礎収益ROA4.1パーセント以上を計画しています。
ここ数年の当社の利益は、配合飼料用の相場の好調さにある程度支えられてきたのが実情でした。しかしその間、我々の本業である小麦粉とミックス粉の利益は逆に右肩下がりであったのも事実でした。この点に関し、社員のみなさんに健全な危機感を持ってもらうべく、新中計のKPIの中に基礎収益([営業利益−配合飼料用副産物損益]×(1−実効税率)+事業投資損益(持分利益))を盛り込んだ次第です。
これら最終年度の業績目標の達成に向け、今回の新中計では、「既存事業の収益力強化」「新規事業領域の強化」「事業基盤の強化」という3つの重点領域を掲げています。
「既存事業の収益力強化」では、シェアの維持あるいは拡大といったものを1つの大きな目標として据えています。挽砕量を増やすためには販売を拡大せねばならず、そのためには消費者ニーズの把握が重要となります。そこでマーケティング力を強化すべく、専門チームを設けました。当専門チームの下で企画と開発がより一体となり、もち小麦といった特徴ある商品あるいは高品質な小麦粉といったもののブランド力を高め、さらなる拡大を目指していく方針です。
「新規事業領域の強化」では、まずポイントの1つとして海外事業への取り組みが挙げられます。現在当社ではタイとベトナムでミックス粉事業を展開しているのですが、海外市場は非常に伸び代が大きく、量的拡大あるいは質的向上に資する政策をしっかり推進していきたいと考えています。もう1つのポイントがDX戦略の推進です。“稼ぐDX化”として、DX戦略全体のグランドデザインを施した上、業務の電子化・効率化やECプラットフォームの構築を目指します。
「事業基盤の強化」では、先述したような企業文化の構築というものが大きなポイントになろうかと考えます。そこに向けて、これまで縦割り感があった組織に風穴をあけるようなかたちで、大規模な組織改革を行いました。この新たな組織編成をベースに、今後は社員のみなさんに働きやすさや働きがい、さまざまなキャリアプランを提供できるよう、人事制度の改革にも着手していきたいと考えています。
また「事業基盤の強化」の一環として、資本効率向上と財務安定性を踏まえた資本政策を推進していく方針ともしています。今後は、安定的な自己資本を維持しながら財務レバレッジを効かせ、成長投資と株主還元をしっかり行っていきます。
なお、株主還元に関しては、特に長期保有の株主さまにしっかりと報いるという意味合いを込め、新たに累進配当を導入しました。これにより向こう3ヶ年は1株当たり280円を下限として、堅実な利益成長に応じた安定的な増配を維持していく方針です。
食の安全安心の確保のために
まずは当社が製造・販売したプレミックス粉の一部への異物混入(樹脂片)により自主回収となりましたこと、関係者のみなさまには大変なご迷惑とご心配をおかけし心より深くお詫び申し上げます。対象のミックス粉につきましては、賞味期限内のものについて全量回収させていただいています。
当社では食品安全の国際規格ISO22000の認証を取得し、タイ、ベトナムの海外を含む全工場においても、食品安全の国際規格FSSC22000の認証を取得しています。これらをベースにした独自の総合生産管理システム「NTOP(NittoFuji Total Operation Program)」を構築・運用しています。NTOPは年1回実施される内部監査によって運用状況が確認され、適宜システムの変更を行っています。
また、全工場の実務担当者が一堂に会した毎月の定例会議では、細かなところに至るまでさまざまな報告がなされ、いろいろな注意喚起等の水平展開を図ります。
これらをはじめとした食品安全に関わる継続的な一連の取り組みを通じ、お客さまに安全安心な商品をお届けするとともに、安定した製品の製造・供給に努めてまいります。今回の自主回収処置につきましても、メーカーとして製品の安全安心の取り組みを全社を挙げて進め、今一度、食品安全への意識を再構築するとともに、お客さまの信頼回復に努めてまいります。
ステークホルダーのみなさまへのメッセージ
このたび発表させていただいたパーパスと新中期経営計画の実現に向け、私たち日東富士製粉グループは、これから社員一人ひとりが日々さまざまな課題にしっかりと「挑戦」し続けていきます。ステークホルダーのみなさま方におかれましては、ぜひ末永く、私どもの挑戦を見届けていただけましたらと存じます。どうぞこれからの当社グループの展開にご期待ください。また今後とも変わらぬご支援のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。
管理本部長メッセージ 取締役常務執行役員 太田大志
太田大志氏(以下、太田):当社では新たにパーパス経営がスタートしました。そこで求められるのは「挑戦し続ける」人財と、それを醸成する風土や制度づくりです。今後、ヒト・モノ両面に向けた成長投資を積極的に行い、パーパスの実現、また持続的な成長を目指していきます。
人的資本・人財の強化に向けて
既承のとおり、今般当社では新たに制定したパーパス「小麦の持つ無限の可能性で、世界の多様なニーズに挑戦し続ける」に基づくパーパス経営がスタートしました。パーパス実現にあたっては言うまでもなくヒトが要であり、今後、パーパスに表現されるが如く「挑戦できるヒト」の育成に努めていきたいと考えています。
元来、当社社員は協調性や粘り強さを強みとする一方、殻を破って何かに挑戦する気質が欠けている感もありました。業界環境が厳しさを増す中、単に協調性や粘り強さだけで今後の成長を果たすことは困難であり、さらにもう一歩踏み出し挑戦する風土や人財づくりを目指していきます。
その具体策として、「中期経営計画2026」内で掲げているのが「人的資本の最適化」です。また「人的資本の最適化」に際しては、次の3点を軸に展開していく方針です。
1点目は「ニーズ」です。前述のような昨今の環境下では、人員増による事業拡張よりも、少数体制の中で必要なところへのヒトの再配置が重要となります。つまりは会社としてのニーズを考え、そこにしっかりと必要な人財を投入していきます。
2点目は「適正」です。社員個々人のスキルや知見を、しっかり会社として捉えた上で再配置を実施します。また、再配置に伴って必要なリスキリングも図りながら、個々の適正と業務を合わせていきます。
3点目は「モチベーション」です。社員のみなさんにおいてはキャリアプランに対する関心が高く、個々のキャリアプランやライフステージあるいは価値観に沿った適切な場を提供することで、モチベーションの向上を目指します。
そしてこれらの土台となるのが、今後予定する人事制度改革です。まだ詳細をお伝えすることはできませんが、新人事制度では従来の硬直的な縦割り感を排除して、会社全体を俯瞰で捉え、これら3軸のバランスを取るような全社横断型の人事ローテーションを計画しています。
また年齢・性別・国籍など関係なく、すべての社員にとってフェアであり、かつ実力があってやる気のある方が活躍できるような制度にしていきたいと考えています。
財務視点で捉えた「中期経営計画2026」
確かに当社はそれまで展開していた中計の目標を前倒し達成できたものの、キーワードとして目指していた「持続的成長の実現」という観点では、もの足りなさが残るのも事実でした。それを補うべく、1年前倒しで「中期経営計画2026」に移行した次第です。
当中計では「持続的成長」というキーワードの下、積極的な成長投資によって収益基盤を確固たるものとし、基礎収益のもう一段高い伸長を目指します。幸いにして今日の当社では潤沢なノンコア資産があり、この辺りを成長投資に問題なく回せる状況にあります。
かつ自己資本比率も70パーセント超と非常に高く、借り入れ余力もあります。これらを土台として向こう3ヶ年ではM&Aも視野に入れながら、持続的成長に繋がる収益基盤の強化に取り組んでいきます。
このようなこれからのアセットの変化の中で、もう1つ重要視するのが「株主還元の強化」です。当社が属する食品業界は、短期間で収益が急激に成長するようなセクターではありません。あくまでも緩やかな成長を基本とする業界です。つまりは堅実な利益成長に応じて一定の余力が見込まれ、それを「株主還元の強化」に充てていきたいと考えています。
その一環として当社では、この2024年度より280円を下限とする累進配当を導入しました。安定的な高配当を維持することによって、株価の向上や長期的な株主ファンづくりを促していきたいと考えています。
ステークホルダーのみなさまへのメッセージ
繰り返しになりますがこれから当社が果たすべきは、持続的な成長とその過程において魅力ある製品を社会に提供し続ける、という点にあろうかと考えています。そこに向けて従業員一丸となって挑戦し続けていく所存です。また併せて、これからの新しい資本政策の中では株主さまとの長期的な関係構築に努め、我々が持続的に成長し続けていく姿を見守っていただけたらと存じます。
質疑応答:パーパス策定について(想い・決定方法)
質問:どのような想いでパーパスを策定したのでしょうか? また、どのように決めたのですか?
宮原:先行き不透明な環境の継続が今後も予測される中、株主や取引先、社員を含むすべてのステークホルダーのみなさまに対して、明確に会社の将来像を示していきたいという想いで、今回「小麦の持つ無限の可能性で、世界の多様なニーズに挑戦し続ける」というパーパスを策定しました。従来の考え方にとらわれることなく、社会課題の解決に繋がるあらゆる取り組みに挑戦し続けるという全役職員の思いを込めています。
パーパスの検討に際しましては、全社員へのアンケートから会社への想いや課題、問題意識を抽出し、各部門から横断的に選抜した若手・中堅・管理職のメンバーによりワークショップ形式でパーパスのコアコンセプトである今後の成長の方向性や事業領域、今後保持すべき存在意義や提供価値、成長方針や提供価値を実現する為に必要なマインドセット、企業文化についての議論を重ねてきました。
パーパスの最終決定に際しては、導き出されたコアコンセプトを元に、全社員から案を公募し、 パーパスの推進・定着を担う推進チームのメンバーと経営陣で候補を絞り最終決定を行ったもの です。
質疑応答:パーパス策定について(パーパス経営)
質問:パーパスをどのように経営に使っていくのでしょうか?
宮原:5月20日に公表した「中期経営計画2026」で示したあらゆる目標を実行して行く上で、考え方の根本となっているものがパーパスであり、常にパーパスを軸とした経営を行っていきます。
また今回、パーパスを実現するためのビジョン・行動指針も同時に改定しています。先行きが不透明な環境が今後も予測される中、従来の考え方にとらわれることなく、社会課題の解決につながるあらゆる取り組みに挑戦し続けることが重要という当社の想いを持って、新たな目標の達成に向かっていきます。
質疑応答:「中期経営計画2026」について(前中計の評価)
質問:一年前倒しで中期経営計画を公表していますが、前中計をどう評価しているのでしょうか?
宮原:業績等、対外公表してきた数値は順調に進捗した結果、昨年度(2024年3月期)に前中計の定量目標の数値を達成しました。一方で、国内の小麦粉の需要は少子高齢化や一人当たりの消費量も横ばいであり、今後も大きく増加する環境になく、縮小傾向の国内製粉市場を中心に事業を展開している当社の将来に対しては強い危機感を持っています。
このような難しい環境に対して、将来を予測し、現在の課題と打ち手を一刻も早く考える必要があると判断し、前中計を一年前倒しで終了し、新たな中期計画2026を策定したものです。
質疑応答:「中期経営計画2026」について(重視している課題)
質問:「中期経営計画2026」で、経営者として重視している課題は何ですか?
宮原:既存事業である製粉・ミックス粉事業においては、「事業基盤の強化により持続的に成長する企業となる」、また、「能動的に細かなニーズを捉え、新規領域での成長に挑戦し続ける」ということをパーパスを達成するためのビジョンとして定めています。
このビジョンを、①既存事業の収益力強化、②新規事業領域の強化、③事業基盤の強化の3つの分野に分けて、それぞれに適合した10の重要課題を設定し、課題に対応する8つの事業戦略に落とし込んでいます。この事業戦略を進めていく上での個別の施策・アクションプランを確実に実行していきます。
質疑応答:「中期経営計画2026」について(外部環境)
質問:外部環境について説明してください。
宮原:予想される主な外部環境については、①少子高齢化により量的拡大が見込めない「国内需要」、②人口増による量的拡大に加え、経済成長による質的需要の拡大する「世界需要」、③需給安定化による穀物相場の下落トレンド、④安定供給・持続可能な社会の「サステナビリティ」の要請の高まり等が挙げられます。これらの外部環境を踏まえて「中期経営計画2026」を策定しました。
質疑応答:「中期経営計画2026」について(内部環境)
質問:内部環境について説明してください。
宮原:今回の新中計検討に際して前提とした内部環境は、「収益性」「事業ポートフォリオ」「顧客ポートフォリオ」「人的資本」の4つです。
①フスマ・末粉の配合飼料用副産物の市況によって増減する損益への依存度が高まっている点(収益性)、②製粉事業への依存度が高く、他の事業ポートフォリオへの多角化の必要性が高まっている点(事業ポートフォリオ)、③特定顧客への販売に偏重している点(顧客ポートフォリオ)、④業務効率化・生産性向上を踏まえた人材活用が求められる点(人的資本)等が挙げられます。これらの内部環境も踏まえた対応を行う経営を推進していきます。
質疑応答:「中期経営計画2026」について(目標の実現方法)
質問:中期経営計画では2026年度連結純利益45億円を目標に掲げていますが、どのように実現していくのでしょうか?
宮原:既存事業での成長・進展(オーガニックグロース)とともに、既存事業とシナジー効果が高い事業へ資産入替による成長投資を段階的に実行していくことで、市況性が高い配合飼料用副産物の収益に頼らない収益基盤を強化し、新中計の財務目標として掲げた基礎収益を、現在の約24億円から30億円以上まで引き上げ、連結純利益の目標である45億円の達成を目指していきます。
質疑応答:配当に対する考え方
質問:配当について、どのような方針なのか教えてください。
太田:当社は、株主や投資家のみなさまに当社株式を長期保有いただけるよう、安定的な高配当を行うべく配当方針を変更し、「累進配当」を導入することにしました。当社は、株主のみなさまへの利益還元を重要課題の1つとして認識しており、各事業年度の業績の状況と将来の事業展開を総合的に勘案し、安定的な配当の維持を基本としつつも、「中期経営計画2026」においては、累進配当を継続的に実施することにより利益還元を一層強化し、株主のみなさまのご期待に応えていきます。
質疑応答:次期の配当予定について
質問:次期配当金の予定を教えてください。
太田:5月20日付で開示しましたとおり、累進配当を2025年3月期中間配当金より適用し、中間配当金140円、期末配当金140円とし、年間配当金280円を予定しています。
質疑応答:資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について
質問:東証から要請されている「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」について、当社ではどのような対応をされる予定でしょうか?
太田:東証は、2023年3月31日「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応等に関するお願いについて」を公表し、プライム市場およびスタンダード市場の全上場会社に対し、自社の資本コストや資本収益性を的確に把握し、その内容や市場評価に関して、取締役会で現状を分析・評価した上で、改善に向けた計画を策定・開示し、当該取り組みに関する開示を年1回以上アップロードすることを要請しました。
5月20日に公表した中期経営計画の資本政策においても、株主還元を強化しつつ、ROE8パーセント以上を目指す方針を掲げており、資本コストや株価を意識した経営を心がけています。実際に、中期経営計画の公表後は株価も堅調に上昇し、PBRは1.2倍を超えており、当社の資本政策は株主からも評価されていると理解しています。
質疑応答:次の中期経営計画について
質問:中期経営計画では2026年度連結純利益45億円を目標に掲げていますが、どのように実現していくのでしょうか?
竹越健一郎氏(以下、竹越):本中期経営計画内で事業戦略として定めた以下の点につき、成長を実現できるような投資の実行、仕組みの導入を進め、当社グループの事業基盤が強化された結果として連結純利益45億円が達成されるよう、適切な施策を講じていきます。
①既存事業の量的拡大・質的向上、②収益性向上及び安定化、③海外事業の拡大及び自立化、④新規事業領域に繋がる成長投資、⑤稼ぐDX化の推進、⑥人的資本の最適化、⑦資本効率向上と財務安定性を踏まえた資本政策、⑧サステナブル経営の推進、の8点となります。
質疑応答:中期経営計画2026について(稼ぐDX)
質問:稼ぐDX化の推進とは何でしょうか?
竹越:全体最適となるDX戦略のグランドデザインの下、個別の業務の電子化や自動化による社内業務効率化・省人化に繋がるDX化を推進した上で、最終的には新たな顧客との取引プロセスとして受発注ECプラットホームを構築し、顧客の固定化(囲い込み)を行う等、収益に繋げていくものです。
質疑応答:中期経営計画2026について(新規事業領域)
質問:新規事業領域の強化の「事業領域拡大」では、具体的に何をするのでしょうか?
竹越:現在当社では、製粉事業を中心に外食事業・物流事業を国内で、ミックス粉事業は国内及びタイ・ベトナムで展開していますが、海外事業については、成長市場における量的拡大・質的向上に資する施策を推進するとともに、国内・海外ともに事業ポートフォリオの再構築を検討し、事業領域や事業エリアの拡大に資する成長投資を実行することで基礎収益の拡大を目指していきます。
質疑応答:中期経営計画2026について(生産拠点の最適化)
質問:既存事業の収益力強化の生産拠点の最適化による効率化とは、具体的に何をするのでしょうか?
竹越:東京・静岡・名古屋の各製粉工場及び、神戸のグループ会社増田製粉所、ミックス粉を製造する埼玉食品工場、静岡食品工場において、需給を踏まえ、工場間で最適となる生産バランスの調整を行うとともに、設備変更や改良等による製造の効率化・省人化を行っていくものです。
質疑応答:「中期経営計画2026」について(物流事業の再編)
質問:既存事業の収益力強化の物流事業の再編について、具体的に何をするのでしょうか?
竹越:物流事業においては、ドライバーの時間外労働時間が制限され、労働時間が短くなることで輸送能力が不足する「物流2024年問題」のリスクがあります。このため、あらためてグループ会社の日東富士運輸と製造・営業部門との一層の連携強化や、物流の適正化・生産性向上に向けて自主的に取り組む事項を定めた自主行動計画に沿った効率物流の推進を行うことが重要となります。
質疑応答:「中期経営計画2026」について(調達の最適化)
質問:既存事業の収益力強化の調達の最適化とは、具体的に何をするのでしょうか?
竹越:原料調達において、主原料の小麦の約90パーセントは外国産小麦であり、一部を除き国家貿易の枠組みにより安定調達が可能です。
一方、国産小麦は全量民間流通となっているため、先取情報に基づく需給管理を徹底する ことで、適正な在庫水準となるように最適な調達内容を決めることが重要となります。また、ミックス粉の副資材の調達においても、価格優位性のみならず、食品安全やBCPの観点を踏まえて調達先を選定し、原料を安定的に調達していきます。
質疑応答:「中期経営計画2026」について(製粉挽砕増)
質問:既存事業の収益力強化の製粉挽砕増とは、具体的に何をするのでしょうか?
竹越:「製粉挽砕増」は、「中期経営計画2026」のマテリアリティ(重要課題)の一つであり、我が社のコア事業である製粉事業の拡大を目指すものです。具体的には、量的拡大のための「顧客との接点強化」や「技術営業の推進」「営業人材の増強」を推進することに加え、質的向上に資する消費者・顧客ニーズを捉えるための「マーケティング強化」「提案営業の強化」を行い、製粉挽砕増に繋がる小麦粉及びミックス粉拡販を目指すものです。
質疑応答:「中期経営計画2026」について(基礎収益)
質問:「基礎収益」について、考え方を教えてください。開示資料から計算できるように開示を変更する予定はありますか?
竹越:「基礎収益」とは、小麦粉を製造する過程で発生する配合飼料用原料となる副産物の フスマ・末粉などの損益を除いた、当社の基礎的な収益力を示す指標として今中期計画より 財務目標として定めておるものです。
フスマ・末粉の損益は、他の飼料原料の価格動向によって大きく増減し、当社が自律的にコントロール出来る性質のものでないため、本業で稼ぐ利益を重視する経営方針として、基礎収益を引き上げることを打ち出すこととしたものです。
また、開示方法については、達成状況がわかるようなかたちを検討しているところです。
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