豪ドル
RBA(豪中銀)は23年11月に0.25%の利上げを行った後、24年12月まで9会合連続で政策金利を4.35%に据え置きました。
RBAは前回会合時の声明で、「理事会はインフレ率が目標レンジに向かって持続的に推移しているという、ある程度の確信を得つつある」と表明。従来の「何も決定しておらず、何も排除していない(利上げする可能性もある)」を削除しました。
市場では、早ければ次回2月17-18日の会合で利下げが行われるとの観測があります。市場の金融政策見通しを反映するOIS(翌日物金利スワップ)によると、市場では25年末までに合計0.75%(0.25%×3回)の利下げが行われるとの見方が有力です。政策金利を据え置き続けてきたRBAが実際に利下げを開始すれば、そのインパクトは大きくなるかもしれません。
FRB(米連邦準備制度理事会)の今後の利下げペースにもよるものの、RBAの金融政策面から考えれば豪ドル/米ドルは軟調に推移しそうです。
豪ドル/円については、日銀の追加利上げのペースが緩やかならばそれほど下落しないかもしれません。RBAと比べて日銀の政策金利の水準がかなり低い状況に大きな変化はないと考えられるためです。
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【豪ドル/NZドル】
RBAはいずれ利下げを開始すると考えられる一方で、RBNZ(NZ中銀)の利下げペースは今後鈍化する可能性があります(*RBNZの金融政策の詳細はNZドルの項をご参照ください)。
RBAの利下げが実際に開始されてRBNZの利下げペースが鈍化すれば、両中銀の金融政策面からの豪ドル/NZドルへの上昇圧力は緩和するとみられます。
NZドル
RBNZ(NZ中銀)は24年8月に利下げを開始し、11月まで3会合連続で利下げを実施。一連の利下げ開始前に5.50%だったRBNZの政策金利は4.25%へと低下しました。
これまでの積極的な利下げによって政策金利はRBNZが中立金利(景気を過熱も冷やしもしない政策金利の水準)と推計する2.5~3.5%のレンジに近づきつつあります。利下げペースはいずれ鈍化すると考えられ、実際にそうなれば金融政策面からのNZドルへの下押し圧力は緩和しそうです。
NZドル/米ドルに関しては、FRBの金融政策も重要です。FRBの利下げが緩やかになるようであれば、米ドルが全般的に強含んでNZドル/米ドルは上値が重い展開になるかもしれません。
NZドル/円については豪ドル/円と同様、日銀の追加利上げのペースが緩やかならば、それほど下落しないかもしれません。RBNZと比べて日銀の政策金利の水準がかなり低い状況に大きな変化はないと考えられるからです。
カナダドル
BOC(カナダ中銀)は24年6月に利下げを開始し、12月まで5会合連続で利下げを実施。一連の利下げ開始前に5.00%だったBOCの政策金利は3.25%へと低下しました。
BOCは前回24年12月会合時に「政策金利のさらなる引き下げの必要性を会合ごとに判断していく」、「経済がおおむね(BOCの)予測通りに推移すれば、金融政策へのアプローチはより緩やかになると予想している」と表明。今後の会合で利下げを見送ることもあり得ることや、利下げするとしてもこれまでよりも小幅になることが示唆されました。
市場の金融政策見通しを反映するOIS(翌日物金利スワップ)によると、BOCの政策金利は25年12月までに2.75%に引き下げられるとの見方が有力です(1月24日時点)。仮にこの通りになるならば、BOCの政策金利はあと0.50%引き下げられることになります。
FRBとBOCの政策金利差の拡大に歯止めがかかるようならば、金融政策面からの米ドル/カナダドルへの上昇圧力は緩和すると考えられます。
トランプ米大統領がカナダに対する高率の関税を発動するのかどうかにも注目です。トランプ大統領は1月20日に、「2月1日から、メキシコとカナダからの輸入品に25%の関税を課すことを検討している」と述べました。2月1日に限らず対カナダ関税が実際に発動されれば、カナダドルは下押しする(米ドル/カナダドルは上昇する)可能性があります。
カナダの政治動向にも目を向ける必要があるかもしれません。カナダではトルドー首相が1月6日に首相と自由党(与党)の党首を辞任する意向を表明しました。自由党の党首選は3月9日に行われる予定です。カナダ政治が混乱する場合、カナダドルにとってマイナスになるかもしれません。
トルコリラ
TCMB(トルコ中銀)は24年12月と25年1月の2会合連続で利下げを行いました。
トルコではインフレ率が鈍化傾向にあります。24年12月CPI(消費者物価指数)は前月比1.03%、前年比44.38%と、上昇率はいずれも前月(2.24%と47.09%)から鈍化。前月比では3カ月連続、前年比では7カ月連続で上昇率が鈍化しました。今後もインフレ率の鈍化が続けばTCMBは利下げを継続すると考えられ、その場合にはトルコリラは上値が重い展開になると想定されます。
エルドアン・トルコ大統領は24年12月28日、「金利が下がればインフレ率は下がる。インフレを抑えるためには利下げが不可欠だ」と述べました。TCMBの金融政策に関するエルドアン大統領の言動には注意が必要かもしれません。エルドアン大統領は経済チームを23年6月に刷新する前、「金利が下がればインフレ率は下がる」と主張してTCMBの金融政策に干渉したからです。エルドアン大統領が再び金融政策に干渉するようなら、トルコリラには下押し圧力が加わりそうです。
南アフリカランド
SARB(南アフリカ中銀)は24年9月と11月の2会合連続で利下げを行いました(利下げ幅はいずれも0.25%)。
南アフリカの24年12月CPI(消費者物価指数)は前年比3.0%と、11月の2.9%から上昇率が高まり、SARBのインフレ目標レンジ(3~6%)へと戻りました。ただ、目標中間値である4.5%を引き続き下回っており、SARBは今後さらに利下げするとみられます。
南アフリカランド/円については、SARBが利下げを継続したとしても、いずれもそのペースが緩やかならば、それほど下落しないかもしれません。日銀と比べてSARBの政策金利の水準がかなり高い状況に大きな変化はないと考えられるからです。
メキシコペソ
BOM(メキシコ中銀)は24年に5回の利下げを実施。利下げ幅はいずれも0.25%でした。
BOMは24年12月会合時の声明で「今後の会合ではより大幅な下方調整が検討される可能性もある」と表明。今後はこれまでの0.25%を超える幅の利下げもあり得るとしました。BOMのさらなる利下げはメキシコペソにとってマイナスと考えられるものの、メキシコペソ/円については他のクロス円と同様にそれほど下落しないかもしれません。
トランプ米大統領がメキシコに対する高率の関税を発動するのかどうかにも注目です。トランプ大統領は1月20日、「2月1日から、メキシコとカナダからの輸入品に25%の関税を課すことを検討している」と述べました。2月1日に限らず対メキシコ関税が実際に発動されれば、メキシコペソは下押ししそうです。
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