ピー・シー・エー、「2027中期経営計画」では継続課金収入モデルへの転換に注力 ストック売上高を180億円以上に拡大予定
パーパス・ビジョン・ミッション・バリュー
佐藤文昭氏:みなさま、こんにちは。ピー・シー・エー株式会社代表取締役社長の佐藤です。ただいまより、2025年度から2027年度の3ヶ年における「2027中期経営計画」についてご説明します。よろしくお願いします。
はじめに、中期経営計画の策定にあたって掲げた中長期方針についてです。今回、当社がこれまで目指してきた方向性と目的を再定義し、パーパス・ビジョン・ミッション・バリューと位置づけました。
会社の存在価値・目的となるパーパスは、「『はたらく』に新しい価値を創出し、すべての人に豊かな時間と可能性を提供する」と掲げました。こちらを、会社の基本的な存在価値とします。
ビジョンは「社会の変化をいち早く捉えて、働く人に寄り添い課題を解決する」とし、会社の基本姿勢を示しました。
ミッションは、「基幹業務の高度な自動化を実現するソフトウェアの提供を核に、企業の円滑な経営・運営をサポートする『マネジメントサポート・カンパニー』であり続ける」です。こちらは前中期経営計画「PCA Vision 2030」でビジョンとして掲げていたものですが、日頃から行動の念頭に置く指針のミッションとして捉え直しました。
さらに、ピー・シー・エーで働くすべての人たちが常に意識する価値として、バリューを設定しました。1つ目は「Professional」です。常に最新の技術や社会の変化、お客さまのニーズを捉えて課題を解決するために、Professionalとして成長を続けます。
2つ目は「Customer First」です。お客さま・パートナーに対して真摯に誠実に向き合うことを、これまでも、これからも大切にしていきます。3つ目は「As One」です。パーパス・ビジョン・ミッションの実現に向け、当社で働くすべての人たちが互いに尊重・協力しながら、一体感をもって日々の業務に取り組みます。
当社は今後、パーパス・ビジョン・ミッション・バリューを意識して業務にあたり、会社を大きく成長させていきたいと考えています。
中期経営計画の位置づけ
スライドに示すとおり、これまで「PCA Vision 2030」として掲げていた「マネジメントサポート・カンパニー」をミッションと捉え直し、中期経営計画を策定しました。
現2024中期経営計画の振り返り
現進行期の中期経営計画を振り返るとともに、2025年度から2027年度までの次期中期計画のサマリーについてご説明します。
現在の「2024中期経営計画」では、連結売上高150億円以上を目標に定めました。2025年3月期の予想数値は165億円ですので、目標を大きく上回っていると言えます。
一方で、連結営業利益は25億円以上を目標に定めましたが、2025年3月期の予想は23億円とやや下回っています。これは利益を多少削ってでも、今後の成長を見据えた開発投資を継続的に進める必要があると考えて先行投資を行ったためです。この方針は、通常の成長を成し遂げるために不可欠であると認識しています。
その結果、連結営業利益率の目標は16パーセント以上としていましたが、2025年3月期の予想は14パーセントとなっています。ROEも10パーセント以上の目標に対して8.9パーセントの予想となり、連結営業利益率・ROEともに目標にはわずかに届かない状況です。
ただし、これは今後の成長を見据えた上での判断ですので、次期中期経営計画で利益を増やすことで成長していきたいと思っています。
また、2024年1月に配当政策を変更し、従来の配当性向30パーセントから100パーセント以上にすることとしました。ROEが10パーセント以上、EVAスプレッドが大幅にプラスになるまで配当性向を100パーセントにすると変更した結果、DOEは9パーセントと大幅に増加しています。
次期2027中期経営計画(エグゼクティブサマリー)
2025年度から2027年度にかけての「2027中期経営計画」について発表します。
数値目標として、連結売上高は220億円以上、そのうちストック売上高は180億円以上を目指します。連結営業利益は40億円以上、連結営業利益率は18パーセント以上とし、最終的には現中期経営計画の連結営業利益率16パーセント以上を目指したいと思っています。
ROEについては、現中期経営計画でも目標に掲げている10パーセント以上を早期に達成し、EVAスプレッドもプラス値を目指します。また、ROE10パーセント以上かつEVAスプレッドがプラス値になるまでは、配当性向を100パーセントとします。
みなさまからは「ROE10パーセントを達成した後はどうするのか」というご質問をよくいただきますが、こちらについては達成後も配当を下げない累進配当を基本とします。つまり、配当を毎年増額、もしくは水準を維持する方向性を考えています。
これらの数値目標を達成するための大きな成長戦略手段として、継続課金モデルを確立します。以前よりストックビジネス化を進めてきましたが、継続課金収入(ARR)を増やすことで継続課金モデルを確立していきます。
プロダクトラインナップ
あらためて、ピー・シー・エーのターゲット市場と競争優位性についてご説明します。当社は1980年の創業以来、中堅・中小企業向けに基幹業務ソフトを提供してきました。現在は、オンプレミス型の「PCAサブスク」、クラウド型の「PCAクラウド」に加え、周辺ソリューションサービスの「PCA Hub」を提供しています。
また、グループ企業のドリームホップではメンタルヘルス対策サービス、クロノスでは勤怠管理システムなどを提供しており、HR分野も強化するかたちで総合的なマルチプロダクト化を進行しています。
ターゲット市場
ターゲット市場は、従業員数20名から1,000名未満のミッドレンジを中心としています。加えて、従業員数19名以下のスモールビジネスや1,000名以上のエンタープライズへもサービスを提供することで、多様な市場とニーズをカバーしています。
競争優位性
競争優位性についてです。創業以来構築してきた顧客基盤と、自己資本が強いという意味での強固な財務基盤をもとに「幅広い製品ラインナップおよび販売網」「環境変化に対応する技術力・製品開発力」に加え、従来定評がある「お客さまに寄り添うサポート力」を中心として着実に成長し、業界を牽引してきました。
成長戦略骨子
次期中期経営計画の成長戦略についてご説明します。重点施策として3つ挙げています。1つ目は主力事業の成長力強化、2つ目は新ビジネス基盤整備と先行投資、3つ目はサービス指向のモノづくりです。
ARR成長イメージ
先ほどもお伝えしたとおり、継続課金収入(ARR)を増やして継続課金モデルを確立し、ARR成長率を高めることで成長していきたいと考えています。
重点施策①主力事業の成長力強化
1つ目の重点施策「主力事業の成長力強化」についてです。中心となるのはクラウドシフトの推進です。2024年3月には、オンプレ買取パッケージ版の販売を終了しました。
これを機に、従来進めていた「PCAクラウド」の成長を加速するべくクラウドシフトを推進し、アップセルによる収益性の向上を図っていきたいと考えています。
重点施策①主力事業の成長力強化
周辺サービスである「PCA Hub」のサービス拡充にも力を入れています。自社提供の周辺ソリューションを揃えることで、従来の基幹業務ソフトと合わせたマルチプロダクト化を推進します。これにより、UX向上や顧客単価の向上、解約率の低減を図っていきたいと考えています。
重点施策①主力事業の成長力強化
セールスマーケティングも強化していきます。デジタル化の進展に伴い、ユーザーが自ら情報収集をするケースが増加しています。そこで当社は、今までの既存チャネルを大事にしながら、新しいマーケティングチャネルへの対応も強化します。
ユーザーからのダイレクトアプローチに真摯に応えていくことで、ダイレクトニーズにも対応し、マルチチャネル化を図っていきたいと考えています。
重点施策②新ビジネス基盤整備と先行投資
2つ目の重点施策「新ビジネス基盤整備と先行投資」についてです。2024年11月より「PCA ID」の提供を開始しました。今まで別々に管理されていたお客さまのIDを共通の「PCA ID」に統合することで、さまざまなビジネス戦略に活用することができます。
統合IDのメリットとしては、セキュリティ向上やサービス改善、UX向上などがあります。加えて、このIDを活用することでお客さまとのコンタクトが容易になるほか、外部IDとの連携が強化されることによってマルチサービス化をさらに図ることができると考えています。
重点施策②新ビジネス基盤整備と先行投資
生成AIの実装と業務の自動化研究も進めています。生成AIについては、さまざまな分野で活用を進めていますが、当社が提供している業務ソフトにAIを活用することにより、業務システムの高度化・自動化を進めていきたいと考えています。
実装段階としては、既存サービスで生成AIを実装し、アプリケーション開発やPoCを進めています。
最終的には、応用研究として業務プロセスそのものの自動化を目指します。ユーザーが1つ指示を出すと最終的なプロセスまで管理し、承認のみでそのプロセスが完了するところまで高度化させていきたいと考えています。
重点施策②新ビジネス基盤整備と先行投資
2024年末にはCVCの設立を発表しました。当社が日々連続成長をするためには、内部の努力はもちろんのこと、外部の新しい技術や新しい人材などを積極的に取り入れ、ピー・シー・エーグループの総合力を強化する必要があると考えています。
CVCの設立により、補完的・代替的な投資を含め、区別がつかないいろいろなイノベーションのシーズを組み入れた投資を積極的に実施していきます。
重点施策③サービス指向のモノづくり
3つ目の重点施策「サービス指向のモノづくり」についてです。サービスデザイン、プロダクトオーナーシップ、開発投資評価、ソフトのモダン化の4つの取り組みを進めていきます。
開発投資計画としては、モダン化に加えて新製品・新サービスの開発を行います。同時に、従来の製品・サービスの機能強化も積極的に行うことで、総合サービスのラインナップ強化および質の向上を果たしていきたいと思っています。
投資割合は、機能改良メンテナンスに4割、新規開発(モダン化)に5割、生成AIの活用などの先を見越した研究開発に1割とし、3年間で合計120億円以上の開発投資を計画しています。この投資を、当社の成長の源泉にしていきたいと考えています。
重点施策③サービス指向のモノづくり
HR領域の強化も進めています。クロノスおよびドリームホップで就業管理やお客さまのストレスチェックを行い、従来のピー・シー・エーの人事労務機能も強化していきます。グループとしてHR分野を幅広くサポートすることで、最終的には非財務データの可視化の実現に寄与していきたいと考えています。
数値目標(連結)
数値目標についてもう1度お伝えします。連結売上高は220億円以上、うちストック売上高は180億円以上、連結営業利益は40億円以上、連結営業利益率は18パーセント以上を目指します。
ROEは10パーセント以上、EVAスプレッドはプラス値を目指し、配当性向はROE10パーセント達成までは100パーセントとします。ただし、達成後も累進配当を基本としていきたいと考えています。
重要業績指標【KPI】実績
今までは「PCAクラウド」の成長について発表していましたが、今後は継続課金収入の増加に視点を移していきます。現在の継続課金の課金契約数は3万1,000件、ARRは91億3,000万円となっています。これらの指標をKPIに掲げ、増加させていきます。
チャーンレートも引き続き低水準を継続します。ARPUに関しては、低価格の製品もラインナップに加えるケースがあるため、一時的に単価が下がることがあります。しかし、ラインナップを強化し、お客さまに幅広い製品・サービスをお使いいただくことで、最終的な契約単価も上げていきたいと考えています。
資本政策・キャッシュアロケーション
資本政策についてです。株主還元策の強化により、ROE10パーセントおよびEVAスプレッドのプラス転換を早期に達成します。
株主還元方針
ROE10パーセントを超えるまでは配当性向100パーセントを実施し、資本効率性の向上を図ります。ただし、ROE10パーセント達成後も累進配当を基本とします。
サステナビリティ経営の取組み
サステナビリティ経営の取り組みについてご説明します。当社はプライム上場企業として、大きな社会的責任を負っていると思っています。
より豊かで持続可能な社会の構築に向け、当社が提供する事業そのものを通じて社会課題の解決に寄与することを基本方針としています。持続可能な社会への貢献による価値創出、責任ある事業活動、社員の活躍の推進に取り組むことにより、社会課題の解決に寄与していきたいと考えています。
以上が「2027中期経営計画」についてのご説明となります。
佐藤氏からのご挨拶
当社は、継続課金収入モデルへの転換を積極的に図ることで成長し、みなさまの期待に応えていきたいと考えています。これからもピー・シー・エーをどうぞよろしくお願いします。本日はありがとうございました。
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