*13:32JST 日新 Research Memo(2):1938年の創業以来90年近い歴史を誇る大手総合物流会社
■会社概要
1. 会社概要
日新<9066>は1938年の創業以来90年近い歴史を誇る大手総合物流会社である。社名の由来である「日々新たに、また、日に新たなり」の精神を基本として、自己革新を続けながら、安全・迅速・低コストに高品質な物流・旅行サービスを提供することで、豊かな社会の実現に貢献するとともに、顧客との間に信頼を築き上げながら企業価値を高め、株主をはじめとする全てのステークホルダーの期待に応えることを経営の基本方針としている。
2025年3月期中間期末の資産合計は167,373百万円、純資産は90,279百万円、株主資本は71,654百万円、自己資本比率は50.6%、発行済株式数は20,272,769株(自己株式5,639,203株を含む)である。グループは同社及び子会社・関連会社74社で構成されている。主要な連結子会社は、物流事業の(株)北海道日新、日新産業(株)、(株)九州日新、鶴見倉庫(株)、NISSIN INTERNATIONAL TRANSPORT U.S.A.,INC.、NISSIN (U.K.) LTD.、NISSIN TRANSPORT GmbH、SIAM NISTRANS CO.,LTD.(持分49.00%だが実質支配基準で子会社)、NISSIN LOGISTICS (VN) CO.,LTD.、日新運輸倉庫(香港)有限公司、上海高信国際物流有限公司、中外運-日新国際貨運有限公司、旅行事業の日新航空サービス(株)、不動産事業の京浜不動産(株)などである。現在は世界24の国・地域にグローバル・ロジスティクス・ネットワークを構築している。
2. 沿革
1938年12月に日新運輸(株)を川崎市に設立、1942年10月に本店を横浜市に移転、1946年3月に商号を日新商事(株)へ変更、1950年1月に商号を日新運輸倉庫(株)へ変更、1950年4月に東京証券取引所第1部に上場、1973年5月に大阪証券取引所第1部に上場、1985年10月に商号を(株)日新へ変更、2014年5月に本店を現所在地(横浜市中区尾上町)へ移転、2022年4月に東京証券取引所の市場区分見直しに伴いプライム市場へ移行した。
事業展開では1938年の創業以来、一貫して物流サービスを提供し、全国に事業を拡大した。1960年代には業界に先駆けて、当時の最先端の輸送形態であった「国際複合一貫輸送」サービスを開始した。さらに1973年12月に米国NISSIN INTERNATIONAL TRANSPORT U.S.A.,INC.を設立、1974年1月に日新運輸倉庫(香港)有限公司を設立するなど、1970年代から米州、欧州、アジア、東アジアへの拠点展開を加速して「国際物流のパイオニア」としての地位を確立した。
■事業概要
物流事業を主力に旅行事業・不動産事業も展開
1. 事業概要
同社は報告セグメントを物流事業、旅行事業、不動産事業としている。物流事業は国際複合一貫輸送、海外物流、航空貨物輸送、港湾運送、自動車運送、倉庫、構内作業などを、旅行事業は主に企業・団体向けの旅行業(団体旅行や研修旅行等)を、不動産事業は主に京浜地区において不動産賃貸を行っている。
過去4期(2021年3月期~2024年3月期)、及び2025年3月期中間期のセグメント別業績の推移は、主力の物流事業は景気変動の影響を受ける傾向があるものの、売上高構成比で9割強(国内が5割強、海外が4割)、営業利益構成比で8割(旅行事業が新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響を受けた2021年3月期~2023年3月期を除く)(国内が4割強、海外が3割強)を占めている。旅行事業は2023年3月期より売上高が回復傾向となり、2024年3月期には営業損益も黒字に回復した。不動産業は売上高、営業利益とも大きな変動がなく、安定収益源となっている。
物流事業は「国際物流のパイオニア」として国際複合一貫輸送に強み
(1) 物流事業
物流事業は同社、及びNISSIN INTERNATIONAL TRANSPORT U.S.A.,INC.をはじめとする連結子会社49社、持分法適用会社3社、その他関係会社13社が、国際複合一貫輸送、海外物流、航空貨物輸送、港湾運送、自動車運送、倉庫・保管、構内作業などを展開している。世界24の国・地域のグローバル・ロジスティクス・ネットワークを活用して、トラック・鉄道・船舶・航空機など陸海空全ての輸送手段を最適に組み合わせた輸送ルートを構築し、自動車関連・化学品・食品・機械設備・医薬品など多様な産業の貨物について高品質の輸送サービスを提供している。特に「国際物流のパイオニア」として国際複合一貫輸送を強みとしている。
(2) 旅行事業
旅行事業は日新航空サービス(株)をはじめとする連結子会社4社、その他関係会社4社が、企業・団体向けを中心とする旅行事業を展開している。専門性とグローバル・ネットワークを活かして、法人企業向けの海外出張手配サービス、短期就労及び駐在員証の取得支援、全国の教育機関の短期・長期の語学研修やホームステイに関わる各種専門手続、スポーツ・エンタテインメント関連の団体旅行の手配などを行っている。
(3) 不動産事業
不動産事業は同社、及び京浜不動産(株)をはじめとする連結子会社3社が、保有資産の有効活用として、京浜地区などにおいて土地・建物の賃貸を行っている。
顧客基盤を一段と強固にする取り組みなどを推進
2. リスク要因・収益特性と課題・対策
物流事業の一般的なリスク要因としては、景気変動リスク、競合リスク、地政学リスク、自然災害リスク、輸送時事故リスク、労働災害リスク、法的規制(事業免許等)リスクなどのほか、近年では燃料費・人件費などの高騰に対する価格転嫁遅れ、物流DXへの対応遅れなども重要な課題となっている。また旅行事業では、コロナ禍のような海外渡航制限などがリスク要因となる。
こうしたリスク要因に対して同社は、グローバル・ネットワークの活用や各拠点の地場営業力の強化を通じて、顧客のサプライチェーン構築・管理に貢献できるサービスを提供することにより、顧客基盤を一段と強固にする取り組みを推進するほか、テクノロジーの進化に対応した高付加価値サービスの提供、適正価格での受注や業務効率化などによる収益力向上、コーポレート・ガバナンスやコンプライアンスの強化による安心・安全の確保、サステナビリティ経営への取り組み強化などを推進している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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1. 会社概要
日新<9066>は1938年の創業以来90年近い歴史を誇る大手総合物流会社である。社名の由来である「日々新たに、また、日に新たなり」の精神を基本として、自己革新を続けながら、安全・迅速・低コストに高品質な物流・旅行サービスを提供することで、豊かな社会の実現に貢献するとともに、顧客との間に信頼を築き上げながら企業価値を高め、株主をはじめとする全てのステークホルダーの期待に応えることを経営の基本方針としている。
2025年3月期中間期末の資産合計は167,373百万円、純資産は90,279百万円、株主資本は71,654百万円、自己資本比率は50.6%、発行済株式数は20,272,769株(自己株式5,639,203株を含む)である。グループは同社及び子会社・関連会社74社で構成されている。主要な連結子会社は、物流事業の(株)北海道日新、日新産業(株)、(株)九州日新、鶴見倉庫(株)、NISSIN INTERNATIONAL TRANSPORT U.S.A.,INC.、NISSIN (U.K.) LTD.、NISSIN TRANSPORT GmbH、SIAM NISTRANS CO.,LTD.(持分49.00%だが実質支配基準で子会社)、NISSIN LOGISTICS (VN) CO.,LTD.、日新運輸倉庫(香港)有限公司、上海高信国際物流有限公司、中外運-日新国際貨運有限公司、旅行事業の日新航空サービス(株)、不動産事業の京浜不動産(株)などである。現在は世界24の国・地域にグローバル・ロジスティクス・ネットワークを構築している。
2. 沿革
1938年12月に日新運輸(株)を川崎市に設立、1942年10月に本店を横浜市に移転、1946年3月に商号を日新商事(株)へ変更、1950年1月に商号を日新運輸倉庫(株)へ変更、1950年4月に東京証券取引所第1部に上場、1973年5月に大阪証券取引所第1部に上場、1985年10月に商号を(株)日新へ変更、2014年5月に本店を現所在地(横浜市中区尾上町)へ移転、2022年4月に東京証券取引所の市場区分見直しに伴いプライム市場へ移行した。
事業展開では1938年の創業以来、一貫して物流サービスを提供し、全国に事業を拡大した。1960年代には業界に先駆けて、当時の最先端の輸送形態であった「国際複合一貫輸送」サービスを開始した。さらに1973年12月に米国NISSIN INTERNATIONAL TRANSPORT U.S.A.,INC.を設立、1974年1月に日新運輸倉庫(香港)有限公司を設立するなど、1970年代から米州、欧州、アジア、東アジアへの拠点展開を加速して「国際物流のパイオニア」としての地位を確立した。
■事業概要
物流事業を主力に旅行事業・不動産事業も展開
1. 事業概要
同社は報告セグメントを物流事業、旅行事業、不動産事業としている。物流事業は国際複合一貫輸送、海外物流、航空貨物輸送、港湾運送、自動車運送、倉庫、構内作業などを、旅行事業は主に企業・団体向けの旅行業(団体旅行や研修旅行等)を、不動産事業は主に京浜地区において不動産賃貸を行っている。
過去4期(2021年3月期~2024年3月期)、及び2025年3月期中間期のセグメント別業績の推移は、主力の物流事業は景気変動の影響を受ける傾向があるものの、売上高構成比で9割強(国内が5割強、海外が4割)、営業利益構成比で8割(旅行事業が新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響を受けた2021年3月期~2023年3月期を除く)(国内が4割強、海外が3割強)を占めている。旅行事業は2023年3月期より売上高が回復傾向となり、2024年3月期には営業損益も黒字に回復した。不動産業は売上高、営業利益とも大きな変動がなく、安定収益源となっている。
物流事業は「国際物流のパイオニア」として国際複合一貫輸送に強み
(1) 物流事業
物流事業は同社、及びNISSIN INTERNATIONAL TRANSPORT U.S.A.,INC.をはじめとする連結子会社49社、持分法適用会社3社、その他関係会社13社が、国際複合一貫輸送、海外物流、航空貨物輸送、港湾運送、自動車運送、倉庫・保管、構内作業などを展開している。世界24の国・地域のグローバル・ロジスティクス・ネットワークを活用して、トラック・鉄道・船舶・航空機など陸海空全ての輸送手段を最適に組み合わせた輸送ルートを構築し、自動車関連・化学品・食品・機械設備・医薬品など多様な産業の貨物について高品質の輸送サービスを提供している。特に「国際物流のパイオニア」として国際複合一貫輸送を強みとしている。
(2) 旅行事業
旅行事業は日新航空サービス(株)をはじめとする連結子会社4社、その他関係会社4社が、企業・団体向けを中心とする旅行事業を展開している。専門性とグローバル・ネットワークを活かして、法人企業向けの海外出張手配サービス、短期就労及び駐在員証の取得支援、全国の教育機関の短期・長期の語学研修やホームステイに関わる各種専門手続、スポーツ・エンタテインメント関連の団体旅行の手配などを行っている。
(3) 不動産事業
不動産事業は同社、及び京浜不動産(株)をはじめとする連結子会社3社が、保有資産の有効活用として、京浜地区などにおいて土地・建物の賃貸を行っている。
顧客基盤を一段と強固にする取り組みなどを推進
2. リスク要因・収益特性と課題・対策
物流事業の一般的なリスク要因としては、景気変動リスク、競合リスク、地政学リスク、自然災害リスク、輸送時事故リスク、労働災害リスク、法的規制(事業免許等)リスクなどのほか、近年では燃料費・人件費などの高騰に対する価格転嫁遅れ、物流DXへの対応遅れなども重要な課題となっている。また旅行事業では、コロナ禍のような海外渡航制限などがリスク要因となる。
こうしたリスク要因に対して同社は、グローバル・ネットワークの活用や各拠点の地場営業力の強化を通じて、顧客のサプライチェーン構築・管理に貢献できるサービスを提供することにより、顧客基盤を一段と強固にする取り組みを推進するほか、テクノロジーの進化に対応した高付加価値サービスの提供、適正価格での受注や業務効率化などによる収益力向上、コーポレート・ガバナンスやコンプライアンスの強化による安心・安全の確保、サステナビリティ経営への取り組み強化などを推進している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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