今週のポイント
豪ドル/米ドルは24年12月31日に一時0.6177米ドル、NZドル/米ドルは25年1月3日に一時0.55827米ドルへと下落し、いずれも22年10月以来の安値をつけました。足もとの豪ドル/米ドルやNZドル/米ドルの下落は、全般的な米ドル高が主な要因と考えられます。米国の雇用統計などにより、FRBの利下げペースは今後鈍化するとの市場の観測が一段と強まる場合、豪ドル/米ドルやNZドル/米ドルはさらに下落する可能性があります。
トランプ米次期大統領が対カナダ関税や対メキシコ関税についてSNSなどで言及すれば、それにカナダドルやメキシコペソが反応すると考えられます。高率の関税発動の現実味が増すようなら、両通貨には下押し圧力が加わりそうです。カナダドルに関しては、カナダの政治情勢にも目を向ける必要があるかもしれません。
豪ドル/円やNZドル/円などのクロス円は、米ドル/円の動向にも影響を受けます。本邦当局が“円安”をけん制するトーンを強める場合、米ドル/円がいったん下落してクロス円はそれに引きずられるかもしれません。
今週の注目通貨ペア(1):<豪ドル/NZドル 予想レンジ:1.10000NZドル~1.10800NZドル>
今週は豪州の11月CPI(消費者物価指数)が8日に、11月小売売上高が9日に発表されます。これらの結果に豪ドル/NZドルが反応しそうです。
RBA(豪中銀)は23年11月に利上げを行った後、前回24年12月まで9会合連続で政策金利を4.35%に据え置きました。ただ、前回会合の声明では従来の「何も決定しておらず、何も排除していない」と「政策は十分に景気抑制的である必要」が削除され、「理事会はインフレ率が目標レンジに向かって持続的に推移しているという、ある程度の確信を得つつある」とされました。将来の利下げに向けての地ならしと考えられます。
市場の金融政策見通しを反映するOIS(翌日物金利スワップ)によると、市場が織り込む次回2月17-18日のRBA会合の確率は “0.25%の利下げ”と“政策金利の据え置き”でほぼ五分五分です(日本時間6日10:15時点)。豪州のCPIや小売売上高が市場予想を下回る結果になれば、次回会合での利下げ観測が強まるとともに、豪ドル/NZドルは下落しそうです。
今週の注目通貨ペア(2):<米ドル/カナダドル 予想レンジ:1.43000カナダドル~1.45000カナダドル>
米ドル/カナダドルは1月3日に一時1.44589カナダドルへと上昇し、およそ2週間ぶりの高値をつけました。足もとの米ドル/カナダドル上昇の主な要因として、全般的な米ドル高のほか、対カナダ関税への懸念やカナダ政治の先行き不透明感(いずれもカナダ安要因)が挙げられます。
トランプ次期大統領は、1月20日に大統領就任後ただちにカナダ(とメキシコ)からの輸入品すべてに25%の関税を課す考えを表明しています。カナダでは24年12月16日にフリーランド副首相兼財務相(当時)が辞任して以降、トルドー首相への退陣圧力が強まっています。カナダの一部メディアは5日(日本時間6日午前)、「トルドー首相は早ければ6日に自由党党首を辞任する意向を表明する」と報じました。対カナダ関税についてのトランプ次期大統領の発言やカナダの政治情勢には注意が必要です。
10日には米国とカナダの12月雇用統計が発表されます。市場では、BOC(カナダ中銀)は次回1月29日の政策会合で0.25%の利下げを行うとの見方が優勢です。米国の雇用統計でFRBの利下げペースが今後鈍化するとの市場の観測が一段と強まり、カナダの雇用統計でBOCの次回会合での利下げ観測がさらに強まる場合、米ドル/カナダドルは上値を試す展開になると考えられます。
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