【来週の注目材料】米雇用統計はやや厳しい結果か
【来週の注目材料】米雇用統計はやや厳しい結果か
10日に12月の米雇用統計が発表されます。前回11月の雇用統計はハリケーンの影響で厳しい数字となった10月から一気に伸びが強まり、前月比+22.7万人となりました。市場予想の+20.2万人も上回る伸びとなっています。10月の数字が+1.2万人から+3.6万人、9月の数字が+22.3万人から+25.5万人にともに上方修正されるなど、全般に好結果となっています。ただ、前回が弱かった分、今回の伸びがあることを踏まえ、3カ月平均で見ると+17.3万人となっており、水準的には若干弱いという印象です。なお、失業率は市場予想通りながら4.2%と10月の4.1%から悪化しています。また、U6失業率と呼ばれる本当は正規の職を望んでいながら、職が見つからずパートタイムに従事している人などを含めた広義の失業率は7.8%とこちらも10月の7.7%から悪化しています。
前回の非農業部門雇用者数の内訳をみると、財部門は+3.3万人となりました。建設業が+1.0万人と7カ月連続でプラス圏を維持。前回ボーイングのストライキの影響で-4.8万人と大きく減少した製造業は、前回の反動もあって+2.2万人とプラス圏を回復しました。ただ、ボーイングなどを含む輸送機器部門が+3.2万人となっており、輸送部門を除くとマイナス圏です。
サービス部門が+16.0万人となりました。介護職など万年人手不足の業界もあって、リーマンショック時ですらプラス圏を維持していた教育・医療部門が+7.9万人と好調を維持。なお、同部門は34カ月連続でプラス圏を継続、2023年1月から6万人超えの増加が続いています。さらに娯楽・接客業が+5.3万人と好結果。10月の+0.2万人という冴えない状況からV字回復です。10月は-2.3万人となった事業者サービスが+2.6万人と回復。保険会社などの雇用が増加した金融部門も+1.7万人と好調でした。弱かったのは小売業で-2.8万人。2カ月連続のマイナス圏で、さらにマイナス幅も拡大しています。前回小幅マイナスとなった運輸・倉庫業はプラス圏回復も+0.3万人と冴えない数字に留まっています。比較的景気に敏感な小売業、運輸・倉庫業の弱さが気になるところですが、同じく景気に敏感な娯楽・接客業は強く、判断が難しいところです。
今回の雇用統計の関連指標を確認しましょう。
まずは週間ベースの新規失業保険申請件数。雇用統計が計測される基準日12日を含んだ週の状況をみると、11月が21.5万件、12月が22.0万件と、若干12月が弱いですが、誤差の範囲です。
続いて3日に発表された12月の米ISM製造業景気指数。市場予想は48.2と11月の48.4から小幅鈍化となっていましたが、結果49.3と改善を見せました。2024年3月以来の好結果です。新規受注が52.5と11月の50.4から2.1ポイントの上昇。ここ2年で最も高かった2024年1月の水準に並びました。生産は3.5ポイントの改善で50.3となり、2024年5月以来となる好悪判断の境である50超えとなりました。供給指数も1.4ポイントの上昇で50.1と50超え。在庫は50に届かなかったものの改善となりました。総合指数の構成5項目のうち、唯一弱かったのが雇用で、45.3と前回の48.1から2.8ポイントの悪化となりました。低下幅は2024年7月以来の大きさです。前回の雇用統計で製造業がストライキの反動の出た輸送部門を除くとマイナスとなったように、このところの製造業の雇用の弱さが示されているという印象です。
今後発表される指標では、7日(日本時間8日午前0時)の12月ISM非製造業景気指数は11月の52.1から53.4に上昇見込み。同時刻に発表される11月米雇用動態調査(JOLTS)求人件数は765万件程度と前回の774.4万件から若干悪化見込み。8日の12月ADP雇用者数は前月比+14.3万人と11月の+14.6万人とほぼ同水準です。
関連指標はややまちまちも、ISM製造業の雇用部門の弱さや、JOLTS求人件数の冴えない予想などが少し気になるところです。
こうした状況を踏まえて今回の予想ですが、非農業部門雇用者数は+15.0万人前後と厳しい数字が見込まれています。失業率は4.2%で維持される見込みです。
前回の数字は、非農業部門雇用者数の伸びだけをみると好結果でしたが、失業率の悪化に加え、平均労働時間の減少傾向などから、労働市場はやや厳しさが意識されています。今回、市場予想通りもしくはそれ以上に雇用者数の伸び鈍化がみられるようだと、追加利下げ期待が強まることでドル売りにつながる可能性があります。
MINKABUPRESS 山岡
10日に12月の米雇用統計が発表されます。前回11月の雇用統計はハリケーンの影響で厳しい数字となった10月から一気に伸びが強まり、前月比+22.7万人となりました。市場予想の+20.2万人も上回る伸びとなっています。10月の数字が+1.2万人から+3.6万人、9月の数字が+22.3万人から+25.5万人にともに上方修正されるなど、全般に好結果となっています。ただ、前回が弱かった分、今回の伸びがあることを踏まえ、3カ月平均で見ると+17.3万人となっており、水準的には若干弱いという印象です。なお、失業率は市場予想通りながら4.2%と10月の4.1%から悪化しています。また、U6失業率と呼ばれる本当は正規の職を望んでいながら、職が見つからずパートタイムに従事している人などを含めた広義の失業率は7.8%とこちらも10月の7.7%から悪化しています。
前回の非農業部門雇用者数の内訳をみると、財部門は+3.3万人となりました。建設業が+1.0万人と7カ月連続でプラス圏を維持。前回ボーイングのストライキの影響で-4.8万人と大きく減少した製造業は、前回の反動もあって+2.2万人とプラス圏を回復しました。ただ、ボーイングなどを含む輸送機器部門が+3.2万人となっており、輸送部門を除くとマイナス圏です。
サービス部門が+16.0万人となりました。介護職など万年人手不足の業界もあって、リーマンショック時ですらプラス圏を維持していた教育・医療部門が+7.9万人と好調を維持。なお、同部門は34カ月連続でプラス圏を継続、2023年1月から6万人超えの増加が続いています。さらに娯楽・接客業が+5.3万人と好結果。10月の+0.2万人という冴えない状況からV字回復です。10月は-2.3万人となった事業者サービスが+2.6万人と回復。保険会社などの雇用が増加した金融部門も+1.7万人と好調でした。弱かったのは小売業で-2.8万人。2カ月連続のマイナス圏で、さらにマイナス幅も拡大しています。前回小幅マイナスとなった運輸・倉庫業はプラス圏回復も+0.3万人と冴えない数字に留まっています。比較的景気に敏感な小売業、運輸・倉庫業の弱さが気になるところですが、同じく景気に敏感な娯楽・接客業は強く、判断が難しいところです。
今回の雇用統計の関連指標を確認しましょう。
まずは週間ベースの新規失業保険申請件数。雇用統計が計測される基準日12日を含んだ週の状況をみると、11月が21.5万件、12月が22.0万件と、若干12月が弱いですが、誤差の範囲です。
続いて3日に発表された12月の米ISM製造業景気指数。市場予想は48.2と11月の48.4から小幅鈍化となっていましたが、結果49.3と改善を見せました。2024年3月以来の好結果です。新規受注が52.5と11月の50.4から2.1ポイントの上昇。ここ2年で最も高かった2024年1月の水準に並びました。生産は3.5ポイントの改善で50.3となり、2024年5月以来となる好悪判断の境である50超えとなりました。供給指数も1.4ポイントの上昇で50.1と50超え。在庫は50に届かなかったものの改善となりました。総合指数の構成5項目のうち、唯一弱かったのが雇用で、45.3と前回の48.1から2.8ポイントの悪化となりました。低下幅は2024年7月以来の大きさです。前回の雇用統計で製造業がストライキの反動の出た輸送部門を除くとマイナスとなったように、このところの製造業の雇用の弱さが示されているという印象です。
今後発表される指標では、7日(日本時間8日午前0時)の12月ISM非製造業景気指数は11月の52.1から53.4に上昇見込み。同時刻に発表される11月米雇用動態調査(JOLTS)求人件数は765万件程度と前回の774.4万件から若干悪化見込み。8日の12月ADP雇用者数は前月比+14.3万人と11月の+14.6万人とほぼ同水準です。
関連指標はややまちまちも、ISM製造業の雇用部門の弱さや、JOLTS求人件数の冴えない予想などが少し気になるところです。
こうした状況を踏まえて今回の予想ですが、非農業部門雇用者数は+15.0万人前後と厳しい数字が見込まれています。失業率は4.2%で維持される見込みです。
前回の数字は、非農業部門雇用者数の伸びだけをみると好結果でしたが、失業率の悪化に加え、平均労働時間の減少傾向などから、労働市場はやや厳しさが意識されています。今回、市場予想通りもしくはそれ以上に雇用者数の伸び鈍化がみられるようだと、追加利下げ期待が強まることでドル売りにつながる可能性があります。
MINKABUPRESS 山岡
このニュースはみんかぶ(FX/為替)から転載しています。
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