【QAあり】アサンテ、木造家屋の長寿命化を目指し環境保護に貢献 上半期は前年同期比で増収増益を達成
本日のアジェンダ
宮内征氏(以下、宮内):株式会社アサンテ代表取締役社長の宮内です。本日は当説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。スライドに記載の5つの項目に沿ってご説明します。
アサンテについて
当社の概要をご紹介します。当社は主に木造家屋にお住まいの個人のお客さまを対象とした、シロアリ防除、湿気対策、地震対策といった木造家屋を守るサービスを提供しています。
1973年に設立し、今年で51年目です。2013年に東証二部に上場し、2022年に東証プライムへ移行しています。
営業エリアとしては28都道府県あります。今お伝えしたように51年の歴史がある会社ですので、今まで工事したお客さまの数は約60万軒となっています。従業員数は、連結として捉えるならば998名と1,000名弱で、連結子会社には、北海道に外壁のリフォームをしているハートフルホームというグループ会社があります。
売上高の構成
売上高の構成です。2023年度の連結売上高は136億円ありました。そのうち一番多くを占めているのがシロアリ防除で売上高57億円、構成比は42パーセントです。おかげさまでシロアリ防除の売上高は国内シェアNo.1となっています。
湿気対策は売上高27億円、構成比20パーセントです。地震対策は売上高35億円、構成比25パーセントと、この3つのサービスで全体の90パーセントを占めています。
その他、先ほどお伝えしたグループ会社の外壁リフォームや、害虫だけでなく、ネズミなどの害獣対策もサービスとして行っており、それらを含めると100パーセントとなります。
営業エリア
営業エリアについてご説明します。当社は東京都府中市で創業し、東日本を中心に営業展開してきました。近年の動向としては、2021年4月に愛媛県の南予営業所、次いで高知県の四万十営業所、岡山営業所、広島営業所、高知営業所と、この4年ほどで中国・四国地方で5ヶ所の営業所を開設しており、徐々に西日本へのエリア拡大を進めています。
国内にはおよそ2,600万戸の木造戸建て家屋があり、現在その70パーセントほどが当社の営業エリアの範囲内となっています。当社のサービスを提供する対象戸建数を増やすことが成長につながるため、今後も営業エリアを拡大し、ゆくゆくは全国展開したいと考えています。
経営理念・ビジョン
当社の経営理念は「人と技術を育て、人と家と森を守る」です。シロアリ防除、湿気対策、地震対策といったメンテナンスを通して、その家屋に住む人を守り、お客さまの大切な財産である家の価値を維持します。そして、家屋を長持ちさせることで、建て替えや新築による産業廃棄物の抑制、もっと言えば、森林伐採の抑制などにも寄与し、森を守ります。
この「人・家・森」を守るために、人と技術を育てていこうというのが当社の創業以来のパーパスです。
また、そのような経営理念を持ちながらも、どうありたいのかという共通のビジョンとして、「木造家屋の長寿命化と社員のウェルビーイング向上を通じ、環境を守り、お客さまと社会から最も信頼される企業へ」を掲げています。家屋の長寿命化に資する事業の拡大と、それを支える社員の働きがいをしっかりと醸成した上で、お客さまや社会のみなさまから信頼される企業になっていこうということです。
サステナビリティ
サステナビリティの取り組みについてご説明します。当社はESGそれぞれの観点から、「E:事業を通じた地球環境への貢献」「S:人材育成と働きがいのある職場作り」「G:経営体制の強化」を掲げています。
当社の主要サービスであるシロアリ防除、湿気対策、地震対策は、家を守り長持ちさせるものです。この家屋の長寿命化がCO2の排出を抑制・削減することにつながりますし、災害時に人的被害を最小限に抑える減災につながり、そこに住む人の命を守ることに貢献していると自負しています。
このような事業そのものが、環境と人命と財産を守るものであり、今後も事業の拡大を通じて社会課題の解決に寄与していきたいと考えています。
事業の全体像
事業の全体像をご説明します。スライドの図は新規のお客さまの獲得から、リピートまでの流れを示したものです。まず新規のお客さまの獲得ルートとしては、大きく3つのチャネルがありますが、そのうち主力は訪問販売です。
シロアリ防除というサービスは、ふだん目に見えない床下で発生するもので、メンテナンスが大事であると理解されてはいるものの、需要としては潜在化しているのが実情です。そこで当社は、木造家屋のお客さま宅を個別に訪問し、お客さまと直接コミュニケーションをとることで、その潜在需要を掘り起こしています。この能動的な営業体制というのは、いろいろな見方はありますが、当社としては強みの1つだろうと考えています。
一方で、訪問販売だけではなく、広告宣伝を通して広く認知していただき、お客さまからお申し込みいただくことにも当然力を入れていますし、この後ご説明しますが、提携先や取引先を通してお申し込みいただくことにも力を入れています。
シロアリ防除をご契約いただくと、社内の資格を持ったスタッフが工事を行い、その後5年間は保証があります。内容としては、年1回、アフターサービスとして定期点検にお伺いし、工事後の状況がしっかりと維持されているかをチェックします。また、その時に新たな商材のご提案の機会も設けています。
このような高い品質の工事とアフターサービスを通じて、お客さまと強固な信頼関係を構築し、5年後、また5年後とリピートしていただくというスタイルです。その結果、冒頭にお伝えしたとおり累計60万軒ほどの工事実績があります。
アサンテの特徴
当社の特徴と強みについてご紹介します。特徴の1つ目は、JA(農協)との広域提携が挙げられます。当社は現在約200ヶ所のJAと提携しています。ご存じのとおり、JAは地域に根ざした知名度と信用度がある組織です。当社はJAの取扱業者として地域密着の営業活動や広告宣伝を行うことで、高い営業効率を実現しています。
また、JAが求める高いコンプライアンス水準を維持することで、代金回収をJAが行い、不良債権の発生率を低下させることができるなど、JAとの提携のメリットは多岐にわたると認識しています。これは当社独自のビジネスモデルであり、他社との大きな差別化要因ともなっています。
特徴の2つ目は、700社に迫る企業・団体との提携です。JAとの提携が主体ですが、それ以外にも、スライド右側に記載のとおり、生活協同組合、工務店、民間企業の生協団体、ホームセンターといった、家に関わるお客さまを保持している企業と提携することで、安定的に申し込みを獲得しています。
アサンテの特徴
特徴の3つ目は、充実したアフターサービス体制です。60万軒ほど工事実績があるとお伝えしましたが、そのうちアフターサービスとして保証期間中のお客さまが現在15万軒ほどで、それが5年ごとのサイクルでどんどんつながっていきます。そうしたお客さまへ年1回の定期点検を提供するため、各拠点には社内施工資格を有する専属のアフターサービススタッフを配置しています。
また、本社に「お客様相談室」を設置し、お客さまからの問い合わせやご依頼に対して的確に対応するため、現場経験が豊富な社員を配置しています。このような細やかなアフターサービスを構築することで、お客さまの満足度向上に努めています。
特徴の4つ目は、充実した教育体制です。当社では、お客さま宅の床下診断から、サービスの提供、工事、アフターサービスに至るまで、ほぼすべてを一貫して自社の従業員が担当しています。そのため、サービス品質の向上のための人材教育を特に重視しています。
スライド右側の写真のとおり、静岡県と福島県に宿泊可能な研修センターを設け、実習や座学、社内資格などの研修を行うことで、日頃からサービス品質の向上に努めています。コロナ禍以降はオンラインでの研修も増やし、前年度はオンライン研修などを含め年間で700回ほどの研修を行い、延べ人数にすると1,800名以上の社員が研修を受講しました。1年を通して常に社員の誰かが研修を受けていて、社員のサービスブラッシュアップを行っているということです。
アサンテの特徴
特徴の5つ目は、強固なコンプライアンス体制があります。訪問販売は特定商取引法の規制を受けています。そのため、コンプライアンス体制の強化については継続的に取り組んでおり、先ほどお伝えした研修をはじめ、マネージャー層や管理職に対しても、資格取得などを通じて法令に関する知識の習得とコンプライアンス意識の向上に努めています。
加えて、本社では「サンキューコール」として、お客さまに直接電話でご連絡し、ご契約のお礼をお伝えするとともに、ご契約の過程において何か不備がなかったか、適正な書類のやりとりは行われているかなどをチェックする専門の部署を設けています。そうすることで、お客さまからの信頼度を高めると同時に、他社との差別化を図っています。
特徴の6つ目としては、安定した財務基盤が挙げられます。スライド右側の表に記載のとおり、実質無借金の状態で財務基盤は盤石だと考えています。外部環境の急激な変化にも柔軟な対応が可能であり、この点もお客さまや提携先から安心感を持って取引していただける要因になっていると思っています。また、株主さまには安定的な配当を実施する源泉になっていると言えます。
業績の推移
スライド左側のグラフは、直近5年間の通期の業績推移と今年度の予想です。連結の売上高は2019年をピークとして、2020年にコロナ禍が始まって以降は一進一退となっています。これは新型コロナウイルス感染症と、その後のインフレの影響があります。
先ほど需要が潜在化しているとお伝えしましたが、家屋の見えない場所へのメンテナンスというのは、インフレなどが起きて景気が後退した時には購買意欲が軟化する傾向があり、そのような外部要因を受けたことが主な原因となっています。
また、右側のグラフの営業利益に関しても、トップラインである売上高が低下したこともありますが、人件費、光熱費、原材料費などのコストが高騰したこともあって利益率も低下したというのが実情です。
ただし、このような厳しい外部環境をはね返すために、さまざまな取り組みを講じてきた結果、今期の上半期についてはその成果がようやく出始めてきており、しっかりと業績の回復をお示しできる推移となっています。
上半期の業績推移
今年度の上半期はスライドのグラフのとおり、売上高は前年同期比プラス2億2,000万円の3パーセント増、営業利益は前年同期比プラス2億8,000万円の32.6パーセント増と増収増益となりました。これは広告宣伝の高度化と企業提携先の拡充による申し込みの増加、そして訪問営業の効率向上によるお客さまとの接点拡大など、これまでの取り組みの成果が着実に業績に結びついてきたものと捉えています。
このような成果が出始めた取り組みを一層推進し、今年度の業績予想と中期的な経営計画を着実に達成していきたいと考えています。当社が取り組む戦略の詳細についてはこの後ご説明します。
シロアリについて
当社の主力事業となるシロアリ防除について、対象となるシロアリの生態や被害リスク、対策の重要性をご説明します。みなさまもシロアリという名前はもちろんご存じだと思いますが、その被害がどれほどあるかについてはあまり知られていません。
スライドに日本地図を示していますが、これは国内におけるシロアリの生息域を色分けしたものです。ご覧のとおり、北海道の一部は空白ですが、それを除いてほぼ日本全国にシロアリは生息しています。
シロアリは世界に約3,000種、日本にも20数種いると言われているのですが、その中でも代表的なシロアリはヤマトシロアリとイエシロアリの2種で、ほぼ日本全域に存在します。さらに地図上の黒い点で示してあるように、まだ点在している状況ですが、近年確認されているものとしてアメリカカンザイシロアリがいます。
ヤマトシロアリは、名前のとおり日本古来の固有種で、地図上の緑色と黄色の地域に生息し、主に床下で被害を進行させる特徴を持っています。一方、イエシロアリは、地図上の黄色い部分の日本の沿岸部を中心に、暖かい地域に生息しています。このシロアリは被害が建物全体に及んで、時に甚大な被害を引き起こすという特徴があります。
このようにシロアリはどこにでも生息していますが、ふだんは土の中や床下で活動しているため、我々の目に触れる機会がなく、気づかないうちに被害が進行してしまうケースが少なくありません。
しかし、スライド右下の写真にあるように、シロアリは年に一度、巣別れといって黒い羽を付けて飛び立ちます。これは群飛(スウォーム)という現象ですが、年1回、だいたい5月のゴールデンウィーク明けくらいに一斉に発生します。地区によって違いはあるものの、時期としては5月頃が、多くのお客さまからご依頼をいただく、当社にとってのピークシーズンとなります。
身近なシロアリの存在と被害リスク
スライド左側の円グラフは、業界団体が実施したシロアリ被害の実態調査の結果です。この調査では、およそ3軒に1軒の建物にシロアリ被害が確認されたという結果が出ています。意外と多いと感じると思いますが、我々の想像以上にシロアリは多くの家の床下にいて、被害を及ぼしていることが調査結果によりおわかりいただけると思います。
それだけシロアリというのは身近な存在で、被害が進行すると、スライドの写真のように木の中がスカスカになってしまい、家屋を支える土台や柱の耐久性が大幅に低下するという特徴があります。そうなったとしても、通常は家屋が倒壊することはそれほどないのですが、地震など家屋に大きな力が加わった時には、シロアリに食べられた柱や土台が耐えきれず、倒壊のリスクが高まることがわかっています。
スライド右側のグラフで表示しているのは、1995年の阪神・淡路大震災における調査結果です。この調査では、シロアリの被害や木材の腐朽が発生した家屋の全壊率は90パーセントを超えるという結果になっています。10軒中、9軒は全壊している状態です。一方で、シロアリ被害がない家については、23.5パーセント、つまり4軒に1軒くらいの全壊となっており、シロアリ被害のある家の全壊率は、ない家の4倍にもなることが明らかになっています。
したがって、シロアリ被害というのは、日常の生活において支障が出るだけでなく、有事の際など、何か大きな力が加わった時には人命をも奪ってしまうリスクを抱えていると言えます。これがシロアリ対策の重要性として、お伝えしたいことです。
シロアリ対策の必要性を伝えるPR活動
ここまで、シロアリは国内に広く分布している身近な虫であるということをお伝えしてきました。しかし、目に見えない場所に生息しているため、多くの方にとってシロアリ防除処理というのは、優先順位として決して高いとは言えず、一般的には被害が出てから対処する傾向にあります。
当社は業界のトップランナーとして、シロアリ対策の必要性をみなさまにご理解いただくよう、PR活動に注力しています。
スライドの左側から順にご説明します。まず、当社ではシロアリ探知犬を育成しています。これはシロアリを発見できる特別な訓練を積んだ訓練犬です。当社においては15年ほど前に、初めてアメリカから探知犬1頭を導入し、トレーニングによりノウハウの蓄積を構築してきました。
現在では、日本生まれの探知犬2頭が、文化財などのシロアリ調査やメディアへの出演、各種のイベント参加などのPRに活躍しています。探知犬を使うことによって、人が入れない所でもシロアリを発見することができるという利点があり、非常に優れた能力を持った犬たちです。
また、シロアリの活動が活発になる4月くらいからテレビCMを実施し、シロアリ防除の必要性の啓発と、当社の認知度向上を図っています。当社ホームページに今年のテレビCMを載せていますので、ぜひお時間のある時にご覧ください。
加えて、スライドの右側にあるように、「シロアリ注意報」を発令しています。長年蓄積してきたシロアリの発生情報をもとに、地域別に羽アリが飛び立つ時期を当社が独自に予想し、注意報として毎年ホームページ上で公開しています。
家屋の寿命、流通比率の国際比較
国内における木造家屋の動向や今後の見通しについてご説明します。スライド左側のグラフは日本の家屋の寿命、右側のグラフは中古住宅の流通比率の国際比較となっています。
まず、家屋が建てられてから取り壊されるまでの期間は、イギリスが73年、アメリカが56年であるのに対し、日本は38年と非常に短い期間となっています。同様に、既存住宅、いわゆる中古住宅の流通も、欧米諸国は80パーセント台、70パーセント台であるのに対し、日本は15パーセントほどしか流通していないのが実情です。他国と比較しても極めて少ない結果になっています。
住宅政策の後押しと豊富な住宅ストック
かつて日本は、経済成長に乗って、作っては壊す、スクラップアンドビルドというかたちで新築優先の住宅政策が長く続いていました。しかし現在は、家屋の長寿命化と良質な住宅ストックの形成を促進する方向へと、住宅政策が大きく転換されています。
住宅政策の基本方針となる住生活基本計画では、既存住宅の流通やリフォームの市場規模の目標値が定められており、今後は政府の後押しによって、ハウスメンテナンス市場における中古住宅の流通が拡大することが見込まれます。今までのように作っては壊すのではなく、今ある建物をどう長持ちさせるかに、国の方策がシフトしているということです。
シロアリ被害も項目の1つになっている「住宅性能に関する情報明示」の普及も促進されており、現在の住宅政策はシロアリ防除を含むハウスメンテナンス業界にとって大きな追い風になると考えています。
スライド右側のグラフは、戸建数の推移を示しています。2023年度の統計では若干減っているものの、戸建数は安定的に推移しており、2,600万戸という莫大な木造戸建てのストックが存在している状況です。
安定した新築着工軒数と根強い木造戸建て志向
スライド左側のグラフでは、新築着工戸数に占める木造比率を示しています。膨大な木造戸建てのストックが存在していますが、コンクリートの家もありますので、木造比率はだいたい50パーセント後半を維持しています。ピークは過ぎたものの、毎年、安定して新たな新築木造家屋が建てられている状況です。
また、右側のグラフをご覧いただくと、直近の内閣府の調べでは、新たに住宅を建てたり購入したりする場合、木造家屋を選びたいと考えている方が約7割いらっしゃることがわかります。これは、日本国内においては木造志向がやはり強いということと、日本は木の文化であることを示していると思います。そしてこの傾向は今後もおそらく続いていくのではないかと考えています。
このような背景により、当社のサービスの対象である国内の木造家屋数は、今後大幅に増えることはないにせよ、当面は莫大な規模を維持することが予測されます。加えて、頻発する地震や災害を背景とした、家屋のメンテナンス意識の高まりなどから、今後も業界の成長余地は十分にあり、当社にとって大きな好機となると捉えています。
取り組みの全体像
ここからは、当社が取り組む重点戦略についてご説明します。こちらのスライドは、当社の取り組みの全体像を示しています。横軸が取扱いサービス、縦軸が販売チャネルです。
訪問販売という営業チャネルを用いたシロアリ防除を主力として、業界でトップポジションを確立しています。今後もここをコア領域としつつ、社会の変化に適応しながら、提携先の拡充、顧客ニーズの顕在化の促進、広告宣伝、DX、組織力の強化などを通じて成長していきたいと考えています。
10年後には、BtoCだけでなくBtoBまでカバーするような多様な販売チャネルと、幅広い木造家屋関連サービスを取扱うことで、「多様な価値提供形態を有する、家屋の問題解決のプロフェッショナル」を目指していきます。スライド右側に記載しているのは、それを実現するための5つの重点戦略です。
重点戦略
ここからは、当社の各重点戦略についてご説明します。重点戦略の1つ目は、営業推進基盤・体制の強化です。営業エリアと販売チャネルの拡充、そしてM&Aなどを通じたグループ間シナジーの強化に取り組んでいます。
営業エリアについては、先ほどお話ししたとおり、JAとの提携を基本とした既存エリアのさらなる深耕と、新規エリアの開拓を行い、多くのお客さまに当社のサービスを提供できる体制の構築を押し進めています。
また、広告宣伝や企業提携先など、訪問販売以外の販売チャネルを強化しています。スライド右側のグラフに記載している提携先数は、この半年でプラス8.3パーセント、52社ほど増加しており、9月末時点では675社と順調に伸びています。
当社の申込件数の推移については、コロナ禍で在宅時間が増加したことで、家屋メンテナンスの意識が高まり、申し込みが一気に増えたものの、その後、2020年がピークとなって少しずつ減少していました。しかし、今年度は広告宣伝と提携先開拓の成果として再び増加傾向となっています。まだまだ十分な上昇余地があると見ていますので、今後も取り組みを加速させ、その成果を確実に業績に反映させていきます。
M&Aについては、能動的なアプローチと検討を常に行っています。営業エリア、お客さま、人材、提携先の確保のため、サービスの拡充につながるM&Aの実現を目指しています。
重点戦略
重点戦略の2つ目に、生産性の向上として営業効率と施工効率の向上を進めています。営業面では、デジタル技術の積極導入を進めており、直近ではタブレット端末と電子地図による訪問営業活動の効率化に着手しました。
今までは紙でさまざまな管理をしていましたが、タブレットを通して地図データやお客さま情報をリアルタイムに入手し、それを営業活動に活用しています。タブレットは、お客さまへの説明用の動画ツールや書類作成機能も備えているため、より効率的に商談を行うことができます。
施工面については、技術開発や施工機器の導入、施工体制の最適化など、施工スタッフの生産性、安全性を高めるための施策を進めています。
重点戦略の3つ目は、お客さま視点に立ったサービスの拡充として、多様化するお客さまのニーズを捉えたサービスの設計に取り組んでいます。一例として、これまで法人のお客さまをメインに提供してきた害獣・害虫サービスを、個人のお客さまにも提供するための体制整備を進めています。今年度も着々と取扱いエリアを拡大している状況です。ネズミやハトといった害獣の対処をはじめ、シロアリ以外の一般的な衛生害虫などの対処も、個人のお客さまからのニーズが高まっていますので、対応できる体制を作っています。
シロアリ防除には薬剤を使用するため、健康被害などを懸念する方もいらっしゃるのですが、植物由来の天然系の薬剤を追加するなど、多様なニーズに応える高付加価値なサービスを設計しています。
また、年に一度のアフターサービスに加えて、定期的な情報発信などにより既存のお客さまとの接点を増やし、信頼の醸成や当社サービスの理解促進など、お客さま満足度の向上にも努めています。このような取り組みは、シロアリ防除のリピートの獲得、顧客ストックの形成につながるため、今後も一層注力していきます。
重点戦略
重点戦略の4つ目は、人的資本の開発・活用です。当社では、業務のほとんどを当社従業員が行っているとお話ししました。そのため、労働力人口が減少するこの社会において持続的な成長を実現するためには、人材は最も重要な資本として認識しています。
その上で、人材教育においては、先ほどお伝えした研修センターを中心に教育を実施し、スキルの向上の強化と、特にマネジメント能力開発に向けた研修を充実させることで、高いスキルを有する人材の育成を進めています。
また、職場環境の整備においては、社員の多様性確保とウェルビーイングの向上に向けて、就労環境の改善、人事制度の拡充などにより、従業員満足度の向上に努めています。
重点戦略の5つ目は、事業活動を通じた社会課題解決への貢献です。木造家屋の長寿命化による環境保護、災害時の人的被害抑制につながる事業を発展させ、社会に貢献していきたいと考えています。同時に、事業活動に伴う環境負荷の軽減については、住まいの安全と環境保護につながるサービスを拡充し、さらなる社会貢献と当社の企業価値の向上に取り組んでいきます。
中期経営計画・成長イメージ
中期経営計画と成長イメージは、スライドのとおりです。今ご説明した5つの重点戦略の遂行に社内リソースを投下することにより、高い成長性と収益性を有する企業へと成長していきます。
企業価値向上の取り組み
企業価値向上の取り組みです。当社は企業価値向上に向けて3つの施策に取り組んでいます。
1つ目の収益性の強化においては、売上高の成長に伴う利益規模の拡大、および、5つの成長戦略による収益性向上に取り組んでいます。
2つ目は、IR活動の充実です。投資家のみなさまと積極的なコミュニケーションをとること、また、情報発信によって市場における当社の評価向上に努めます。
3つ目には、株主還元と資本政策の検討です。安定的な配当の継続に努めるとともに、適正な資本政策を検討し、資本効率の向上に取り組んでいきます。
これらの取り組みにより、企業価値の向上を図り、中長期的にROE10パーセント以上を目指していきます。
株主還元
株主還元についてご説明します。当社は上場来、株主のみなさまに対する利益還元を最優先に、安定的な配当を維持しています。
今期の配当に関しては、中間配当で31円、期末配当で31円の年間62円となる予想です。また、株主優待として、上期と下期の年2回、1,000円分のギフトカードを贈呈しています。
スライドに記載した株価は2024年11月27日の終値ですが、昨日12月3日の終値もほぼ変わらず1,650円でした。年間配当利回りは約3.8パーセント、株主優待を含めると約5パーセントとなっています。
自己株の取得
こちらのスライドは、配当実績のグラフです。コロナ禍などの影響を受け一時的に純利益が低下した中で、配当性向がぐっと上がったところもありますが、盤石な財務基盤を背景に安定的な還元を継続しています。今後も変わらず「安定配当の維持」に努めていきます。
人と技術を育て、 人と家と森を守る
今後とも、事業を通じて社会に貢献するとともに、企業価値の向上に努めます。引き続きご支援を賜りますよう、よろしくお願いします。ご清聴ありがとうございました。
質疑応答:提携先の開拓と展望について
質問者:提携先の開拓に注力しているというお話がありました。現在はどのようなところと提携していますか? また、今後について展望があれば教えてください。
宮内:提携先で最も多いのは工務店で、現在は500社ほどと提携しています。工務店は新築はもちろん、リフォームなどを通じてお客さまと接点があります。そういった工務店のお客さま宅でシロアリ被害があった際に、当社をご紹介いただいています。
工務店以外の提携について、特定の企業名は差し控えますが、いわゆる「コープ」といわれる生活協同組合や、官公庁や地方自治体の福利厚生団体、大阪でいうと大阪府や大阪市の職員の互助会などと連携しています。あるいは、民間企業内の生協団体、会員向けサービスを有する会社、さらにはガスの会社やクリーニングの会社といった、当社と同じように個人のお客さまを持つ会社と相互送客を行っています。
今後の展開としては、より多くの企業・団体と提携を進めるため、2024年4月に専門部署を設け、注力しているところです。先ほど業績報告でもご説明したように、この取り組みはプラスに働いており、今後も力を入れていく分野です。
質疑応答:地球温暖化によるシロアリの生息地拡大について
質問者:地球温暖化は止まることなく進む一方ですが、今後シロアリの生息地は拡大するのでしょうか?
宮内:結論から言うと、シロアリの生息地は拡大すると見ています。もともとシロアリは熱帯・亜熱帯のように暑い国が原産です。
一方、日本の多くの地域は温帯といわれていましたが、徐々に亜熱帯に近づいているのではないかという報道もあります。温かいということは、残念ながらシロアリにとってプラスとなる要素です。また、今の家は高気密・高断熱ですので、人が住みやすい心地良い環境は、シロアリにとっても住みやすい環境でもあります。
もう1つ、インバウンドや外国人観光客の増加も関係しています。アメリカカンザイシロアリは、その名のとおりアメリカが原産国です。貨物のみならず、輸入家具や絵の額縁などと一緒に日本に持ち込まれています。
これらを踏まえると、シロアリの生息地も広がっていくというのが私どもの予想です。
質疑応答:今後のエリア拡大の方針について
質問者:関西エリアについて、どのようにエリア拡大を行っていくのか、方針があればお聞かせください。
宮内:2021年以降に四国・中国地方に5つの営業所を新設しました。まずはこれらの営業所を足がかりとして、西へのエリア展開を進めていきます。
また、関東圏においてもまだ未提携の地区がありますので、既存エリアの深耕も同時に行っていきたいと思っています。木造家屋は日本全国にあり、それらすべてが当社サービスの対象になりますので、営業エリアの着実な拡大が企業の成長につながっていきます。
質疑応答:企業名の由来について
司会者:「アサンテという企業名はどのような意味ですか?」というご質問です。
宮内:アサンテというのは、あまり聞き馴染みのない言葉ですので、私も自己紹介する時によく「明後日?」と聞き返されます。アサンテには2つの意味があり、1つはスワヒリ語の「ありがとう」、もう1つはフランス語で「健康」を意味する「sante(サンテ)」に業界No.1を目指してアルファベットの第一文字「A」を加えたものだと、社名を変更した時に聞いています。お客さまへの感謝の気持ちとともに、お客さまの健康的な生活を守る企業でありたいという意味を込めていますので、ぜひ覚えていただければと思っています。
質疑応答:悪質な訪問販売に対する防犯および業界の信用について
司会者:「屋根点検工事等で詐欺事件が多発しています。悪徳業者にだまされないよう注意することはありますか? 悪徳業者に『シロアリ被害に遭っていますよ』と言われても、素人は詐欺とは気づきません。悪質な訪問販売による業界の信頼低下を心配しています。悪い業者にだまされないような注意点などがあれば教えてください」というご質問です。
宮内:最近は強盗なども起きて物騒な世の中ですので、お客さまの警戒心が高まっているのが実情だと思います。そのような中で、差別化の1つとして、当社は訪問する前に1軒1軒ポスティングを行っています。
一般の方が注意すべきこととしては、いきなり来た者を床下や家の中に入れないということです。しっかり話を聞き、確認することが大切だと思います。
当社としては、JAと提携する安心できる企業であることをアピールしており、また、「お客様相談室」においては「何かあればすぐお問い合わせください」とし、小さなご質問にもしっかり回答する姿勢を貫いています。そのような取り組みが、安心感や警戒心の払拭につながると考えています。
このようなご時世だからこそ、上場していることの強みや社会的信用度の高さをアピールすることで、差別化を図りたいと考えています。物騒な世の中ではありますがきちんとした業者もいますので、そこはお間違いのないようにお願いします。一般のみなさまには、安心して任せられる業者をぜひ選んでいただきたいです。
質疑応答:現在の主な課題について
司会者:「頻発する自然災害や新型コロナウイルスによる生活スタイルの変化など、住宅のメンテナンスに対する意識は高まっています。先ほどご説明のあった補助金などの国策の後押しもあり、御社にとって追い風だと思いますが、逆に現在の主な問題点は何ですか?」というご質問です。
宮内:国策としての補助金は、シロアリ防除そのものに対しては出ていません。しかし、当社が取扱う断熱材工事などには補助金が出ます。家を長持ちさせることが国としての政策ですので、当社にとってはプラス材料です。
今年度の上期は昨年と比べ順調ですが、その一方で、世の中が物騒になっている中での消費者の警戒心の高まりという実情は、当社としても油断はできない状況です。お客さまに安心して当社を受け入れていただくために、ポスティングやJAとの提携をご案内するといった取り組みを積み上げていきます。
新型コロナウイルスや昨今の強盗の報道など、業界にとって逆風もありますが、業績はしっかりと積み上げていきますので、ご安心いただきたいと思っています。
質疑応答:サニックス社との棲み分けについて
司会者:「営業エリアを関西に拡大するということは、サニックスが競合になるということでしょうか? 前社長とサニックスの前社長はご兄弟で、御社の前社長が兄だったかと思います。これまでは東北から関東は御社で、西はサニックスと棲み分けがありましたが、今後は仁義なき戦いというか、サニックスのエリアを侵食するようなことになりませんか?」とのご質問です。
宮内:ご存じの方も多いかと思いますが、当社の創業者である先代社長・宗政誠は、サニックスの先代社長である宗政伸一氏の兄です。社長同士は兄弟関係にありますが、兄弟会社ではないため資本関係はありません。また、私は先代社長の近親者でもありません。
当社とサニックスとの関係性はフラットと考えています。紳士協定をしているわけでもなく、棲み分けをしているわけでもありません。我々は我々の方法で着実に歩みを進めており、先方も彼らなりの戦略で進めていますので、市場においてエリアが競合する可能性はあります。
ただし、どちらの会社を選ぶかはお客さまが選択することであり、どちらかがおかしな仕掛けをするということはまったくありません。お互いが正々堂々とお客さまに選んでもらうべく取り組んでいます。
我々としても、九州にいまだ出店できていないという実情はありますが、近い将来に出したいと考えているところです。当社とサニックスは一般的な競合他社と同じであり、良くも悪くも関係性はないとご認識いただければと思います。
質疑応答:JAとの連携が売上に占める割合について
司会者:「JAとの取り組みはいつ頃から始まったのですか? また、JAとの提携が売上高に占める割合はどのくらいですか?」というご質問です。
宮内:現在は全国200ほどのJAと提携していますが、1979年に静岡県藤枝市のJAと提携したのがスタートでした。売上高のほとんどはJAとの提携であり、比率としては8から9割ほどです。ただし、JA以外との提携先にも力を入れているため、割合は徐々に変化すると考えています。
関連銘柄
銘柄 | 株価 | 前日比 |
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