*13:09JST NSW Research Memo(9):中期経営計画最終年度も目標達成に向けて重点戦略を意欲的に推進(2)
■NSW<9739>の中長期の成長戦略
2. 重点戦略と共通戦略への取り組み
(1) DX実現による顧客価値の追求
「事業変革パートナー」としてのビジネス拡大を目指し、成長期待の大きいデジタル領域で、顧客の事業変革をともに実現することをビジネス化する。顧客企業におけるDXへの動きが進むなか、ソリューションや技術の提供のみならず、変革をともに推進・実現するパートナーとしての役割が求められていることから、これまで取り組んできたIoT・AIサービスをはじめとしたデジタル技術をより一層強化・深化させるとともに、対応領域の拡大を図り、DX実現による顧客価値の共創に取り組んでいる。
(2) 選択と集中による収益力強化
収益性の高い分野へのリソース集中により、事業基盤を強化する考えだ。ITサービスに対する顧客ニーズは多様化・高度化し、業務効率化を目的としたIT活用だけでなく、企業競争力を高めるための戦略的IT投資へと変化している。このような事業環境の変化に的確に対応し、事業基盤をより一層確固たるものにするため、これまで培ってきた技術・ノウハウをさらに拡充・発展させ同社の強みを伸ばしていく。さらに、成長が期待される分野や収益性の高い分野へリソースを集中し、次への成長に向けた新たな安定的な収益基盤の確立に取り組んでいる。
(3) 将来成長に向けた戦略的投資
新しいソリューション・サービス創出に向けた新技術習得やナレッジ蓄積、並びに新たな価値創造に挑戦し続ける活力ある人材の確保・育成、将来の事業拡大や事業基盤強化のためのM&Aや他社とのアライアンスなど、積極的な戦略投資を行っている。人材の確保については、国内のエンジニア不足に対応するため、東南アジアを中心とする外国人人材の確保を実施している。また、半導体事業の対応力強化のために、ベトナムのパートナー企業にODC(海外の企業・法人にシステム・ソフトウェアの開発業務を委託すること)を開始しており、既に実績が上がりつつある。
(4) 共通戦略への取り組み
「パートナー・アライアンス戦略」では、戦略的パートナー拡充や国内・海外BP活用を掲げるが、海外拠点・活用事例の拡大を図ることで半導体事業の対応力を強化し、ベトナムのパートナーによるODCの拡大や、同社グループの在日・現地を含めた海外人員採用によって海外リソース活用を推進している。さらに、「人材戦略」では、国内での採用活動の強化を掲げ、新卒・中途にかかわらず、採用活動を強化しており、前 中期経営計画終了時の2022年3月末と比較して、2024年9月末時点で採用人数は約1.5倍に増加している。
以上の重点戦略の中で、直近の主な活動実績は以下のとおりである。
第1に、台湾企業とのアライアンス強化がある。同社は、2024年10月に、台湾の工業技術研究院(以下、ITRI)及び東京大学農学生命科学研究科准教授である海津裕氏と、スマートアグリ向けロボット開発の協業に関する覚書を締結した。スマートアグリ(スマート農業)とは、農林水産省が掲げる「ロボット技術やICTを活用して超省力・高品質生産を実現する新たな農業」を指す。今回の協業は、ハードウェア・農業分野の知見(ITRI、東京大学)とソフトウェア(同社)において、それぞれ異なる役割を持ちながら密接に連携することで、より効率的で強力なスマートアグリ向けロボット開発に取り組んでいく。主な協業内容は、スマートアグリプロジェクトにおける連携対応、農業用ロボット及び自律移動ロボット(AMR)のナビゲーションシステム構築、相互に関心のある分野におけるセミナー、シンポジウムまたはその他討論会への参加、日本及び台湾におけるフィールド試験と協力成果の促進などである。今回同社が実装する「GEBOTSフレームワーク」は、“省力・省人化”“無人化”“IoT化”と“効率的開発支援”を基本コンセプトとして、同社の自動車業界での開発経験で培った技術で農畜産業、船舶業界、鉄道業界などの他業界の顧客の抱える課題を解決する「ソフトウエアフレームワーク」である。
また同社は、2024年10月に、情報セキュリティサービス「Keyper」を提供するKeyXentic Inc.(本社:台湾台北市、以下KX)、KX日本総代理店のNet Peace(株)と共同で、多要素認証やパスワードレス化によるセキュリティ向上に向けた協業検討を開始した。この協業により、同社が保有する半導体開発環境及び半導体デザインサービスにおいて、セキュリティや認証を強化し、利用するユーザーの安全性を高めた環境及びサービスの構築、提案が可能となる。台湾は地政学的にも日本と似ており、日本同様に近隣他国からのサイバー攻撃が非常に多い国である。台湾では、政府が能動的にセキュリティ対策のルールを決定し、サイバーセキュリティ系企業の新規設立や開発、進出などを積極的に支援している。その成果もあり、多くの組織において従来のセキュリティ対策ではなく、今の時代の働き方に合ったセキュリティ対策、ゼロトラストの概念に沿ったサービスの導入を積極的に行っている。世界的にセキュリティへの関心が高まるなか、日本ではセキュリティ人材不足も深刻な課題となっており、人材を急激に育成することも難しい状況である。そのため、実績があり使い勝手の良いツールやサービスなどを有効活用し、効率的かつ早急なセキュリティ対策を実装する必要が出てきているため、本取り組みの検討を開始した。
第2に、2024年9月より、施設管理・設備巡回業務の効率化を図る新サービスとしてデジタルツインサービス「ZeugMa(ジーグマ)」の提供を開始した。製造業界やビルメンテナンス業界などでは、設備管理の効率化と管理コストの削減が重要な課題となっている。日常の施設点検業務で異常が発覚した際、現地へ往訪しないと適切な対処方法の指示ができないといった問題があり、遠隔からリアルタイムで現場状態が分かるIoT技術や、現地に出向かずとも施設を詳細に把握できる3Dデータや対応技術が求められている。「ZeugMa」は、このような問題を解決するため、デジタルツインと呼ばれるインターネットに接続した機器を活用して現実空間の情報を取得し、仮想空間内に現実空間の環境を再現する技術を活用し、施設の状況や環境に関するデータのリアルタイム可視化連携を目的としたサービスである。今後、施設空間のデジタルツイン化による施設へ出向かない現場確認、IoT技術による設備・機器データの可視化、物理的なインフラとITインフラの統合、災害対応時における現場の正確な被害状況の把握、工場レイアウト変更時などのデジタル上での寸法確認、簡単に入れない場所や防爆エリアの現場把握などに、このサービスを活用する計画だ。
また、デジタルツイン関連では、可燃性のガス・蒸気・粉塵による火災や爆発を防ぐ防爆製品を提供している。2024年5月より販売中のスマートグラスの防爆新製品「RealWear Navigator Z1」は、従来の「Navigatorシリーズ」のボディをベースに防爆認証を取得した新しいモデルである。防爆機器の使用が必要な工場などのエリアで利用できる。従来品から軽量化し、大型ディスプレイを搭載し視認性が向上したことにより、ドキュメントの参照や遠隔からの指示内容を、より確実かつスピーディに認識できるうえ、CPUのスペック向上により比較的軽量なAI処理が可能となり、現場作業者を強力にサポートする製品である。さらに、2024年9月よりIoT・AI遠隔点検サービス「LiLz Gauge(リルズゲージ)」の防爆新製品LC-EX10の提供も開始している。LC-EX10は、防爆機器の使用が必要な工場などの防爆エリアでも設置可能な、LiLz Camシリーズの最新モデルだ。従来品同様、クラス最小の手のひらサイズ、電源工事・ネットワーク工事不要、低消費電力で連続動作時間が約3年などの特長を持ち、今まで導入が困難だった防爆エリア点検のリモート化に貢献する見通しである。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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2. 重点戦略と共通戦略への取り組み
(1) DX実現による顧客価値の追求
「事業変革パートナー」としてのビジネス拡大を目指し、成長期待の大きいデジタル領域で、顧客の事業変革をともに実現することをビジネス化する。顧客企業におけるDXへの動きが進むなか、ソリューションや技術の提供のみならず、変革をともに推進・実現するパートナーとしての役割が求められていることから、これまで取り組んできたIoT・AIサービスをはじめとしたデジタル技術をより一層強化・深化させるとともに、対応領域の拡大を図り、DX実現による顧客価値の共創に取り組んでいる。
(2) 選択と集中による収益力強化
収益性の高い分野へのリソース集中により、事業基盤を強化する考えだ。ITサービスに対する顧客ニーズは多様化・高度化し、業務効率化を目的としたIT活用だけでなく、企業競争力を高めるための戦略的IT投資へと変化している。このような事業環境の変化に的確に対応し、事業基盤をより一層確固たるものにするため、これまで培ってきた技術・ノウハウをさらに拡充・発展させ同社の強みを伸ばしていく。さらに、成長が期待される分野や収益性の高い分野へリソースを集中し、次への成長に向けた新たな安定的な収益基盤の確立に取り組んでいる。
(3) 将来成長に向けた戦略的投資
新しいソリューション・サービス創出に向けた新技術習得やナレッジ蓄積、並びに新たな価値創造に挑戦し続ける活力ある人材の確保・育成、将来の事業拡大や事業基盤強化のためのM&Aや他社とのアライアンスなど、積極的な戦略投資を行っている。人材の確保については、国内のエンジニア不足に対応するため、東南アジアを中心とする外国人人材の確保を実施している。また、半導体事業の対応力強化のために、ベトナムのパートナー企業にODC(海外の企業・法人にシステム・ソフトウェアの開発業務を委託すること)を開始しており、既に実績が上がりつつある。
(4) 共通戦略への取り組み
「パートナー・アライアンス戦略」では、戦略的パートナー拡充や国内・海外BP活用を掲げるが、海外拠点・活用事例の拡大を図ることで半導体事業の対応力を強化し、ベトナムのパートナーによるODCの拡大や、同社グループの在日・現地を含めた海外人員採用によって海外リソース活用を推進している。さらに、「人材戦略」では、国内での採用活動の強化を掲げ、新卒・中途にかかわらず、採用活動を強化しており、前 中期経営計画終了時の2022年3月末と比較して、2024年9月末時点で採用人数は約1.5倍に増加している。
以上の重点戦略の中で、直近の主な活動実績は以下のとおりである。
第1に、台湾企業とのアライアンス強化がある。同社は、2024年10月に、台湾の工業技術研究院(以下、ITRI)及び東京大学農学生命科学研究科准教授である海津裕氏と、スマートアグリ向けロボット開発の協業に関する覚書を締結した。スマートアグリ(スマート農業)とは、農林水産省が掲げる「ロボット技術やICTを活用して超省力・高品質生産を実現する新たな農業」を指す。今回の協業は、ハードウェア・農業分野の知見(ITRI、東京大学)とソフトウェア(同社)において、それぞれ異なる役割を持ちながら密接に連携することで、より効率的で強力なスマートアグリ向けロボット開発に取り組んでいく。主な協業内容は、スマートアグリプロジェクトにおける連携対応、農業用ロボット及び自律移動ロボット(AMR)のナビゲーションシステム構築、相互に関心のある分野におけるセミナー、シンポジウムまたはその他討論会への参加、日本及び台湾におけるフィールド試験と協力成果の促進などである。今回同社が実装する「GEBOTSフレームワーク」は、“省力・省人化”“無人化”“IoT化”と“効率的開発支援”を基本コンセプトとして、同社の自動車業界での開発経験で培った技術で農畜産業、船舶業界、鉄道業界などの他業界の顧客の抱える課題を解決する「ソフトウエアフレームワーク」である。
また同社は、2024年10月に、情報セキュリティサービス「Keyper」を提供するKeyXentic Inc.(本社:台湾台北市、以下KX)、KX日本総代理店のNet Peace(株)と共同で、多要素認証やパスワードレス化によるセキュリティ向上に向けた協業検討を開始した。この協業により、同社が保有する半導体開発環境及び半導体デザインサービスにおいて、セキュリティや認証を強化し、利用するユーザーの安全性を高めた環境及びサービスの構築、提案が可能となる。台湾は地政学的にも日本と似ており、日本同様に近隣他国からのサイバー攻撃が非常に多い国である。台湾では、政府が能動的にセキュリティ対策のルールを決定し、サイバーセキュリティ系企業の新規設立や開発、進出などを積極的に支援している。その成果もあり、多くの組織において従来のセキュリティ対策ではなく、今の時代の働き方に合ったセキュリティ対策、ゼロトラストの概念に沿ったサービスの導入を積極的に行っている。世界的にセキュリティへの関心が高まるなか、日本ではセキュリティ人材不足も深刻な課題となっており、人材を急激に育成することも難しい状況である。そのため、実績があり使い勝手の良いツールやサービスなどを有効活用し、効率的かつ早急なセキュリティ対策を実装する必要が出てきているため、本取り組みの検討を開始した。
第2に、2024年9月より、施設管理・設備巡回業務の効率化を図る新サービスとしてデジタルツインサービス「ZeugMa(ジーグマ)」の提供を開始した。製造業界やビルメンテナンス業界などでは、設備管理の効率化と管理コストの削減が重要な課題となっている。日常の施設点検業務で異常が発覚した際、現地へ往訪しないと適切な対処方法の指示ができないといった問題があり、遠隔からリアルタイムで現場状態が分かるIoT技術や、現地に出向かずとも施設を詳細に把握できる3Dデータや対応技術が求められている。「ZeugMa」は、このような問題を解決するため、デジタルツインと呼ばれるインターネットに接続した機器を活用して現実空間の情報を取得し、仮想空間内に現実空間の環境を再現する技術を活用し、施設の状況や環境に関するデータのリアルタイム可視化連携を目的としたサービスである。今後、施設空間のデジタルツイン化による施設へ出向かない現場確認、IoT技術による設備・機器データの可視化、物理的なインフラとITインフラの統合、災害対応時における現場の正確な被害状況の把握、工場レイアウト変更時などのデジタル上での寸法確認、簡単に入れない場所や防爆エリアの現場把握などに、このサービスを活用する計画だ。
また、デジタルツイン関連では、可燃性のガス・蒸気・粉塵による火災や爆発を防ぐ防爆製品を提供している。2024年5月より販売中のスマートグラスの防爆新製品「RealWear Navigator Z1」は、従来の「Navigatorシリーズ」のボディをベースに防爆認証を取得した新しいモデルである。防爆機器の使用が必要な工場などのエリアで利用できる。従来品から軽量化し、大型ディスプレイを搭載し視認性が向上したことにより、ドキュメントの参照や遠隔からの指示内容を、より確実かつスピーディに認識できるうえ、CPUのスペック向上により比較的軽量なAI処理が可能となり、現場作業者を強力にサポートする製品である。さらに、2024年9月よりIoT・AI遠隔点検サービス「LiLz Gauge(リルズゲージ)」の防爆新製品LC-EX10の提供も開始している。LC-EX10は、防爆機器の使用が必要な工場などの防爆エリアでも設置可能な、LiLz Camシリーズの最新モデルだ。従来品同様、クラス最小の手のひらサイズ、電源工事・ネットワーク工事不要、低消費電力で連続動作時間が約3年などの特長を持ち、今まで導入が困難だった防爆エリア点検のリモート化に貢献する見通しである。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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