因幡電機産業、電設資材・自社製品事業を中心に増収増益 2Qとして過去最高業績を更新
目次
喜多肇一氏:ただいまより、因幡電機産業株式会社2025年3月期第2四半期(中間期)決算の説明を行います。私は、代表取締役社長の喜多です。どうぞよろしくお願いします。
まず、2025年3月期第2四半期(中間期)決算の概要をご説明したのち、重点施策の取り組みと業績予想についてご説明します。
連結損益計算書
スライドの資料は連結損益計算書を表示しています。売上高は、前年同期比で13.2パーセント増加の、1,797億2,900万円となりました。
売上総利益は15.2パーセント増加し313億3,500万円、売上総利益率は0.3ポイント上昇し17.4パーセントとなりました。
人件費や荷造運賃などの増加があったものの、営業利益は20.7パーセント増加の118億2,600万円となりました。
経常利益は16.3パーセント増加の124億1,700万円、親会社株主に帰属する中間純利益は12.7パーセント増加の84億3,800万円となり、第2四半期(中間期)決算として過去最高業績を更新しました。
セグメント別 業績推移
次の資料はセグメント別の業績推移をグラフ化しています。
セグメントについては、商社部門の電設資材事業と産業機器事業、そしてメーカー部門の自社製品事業と、大きく3つに分類しています。
ご覧のとおり、売上構成では商社部門が大きなウエイトを占めていますが、利益構成ではメーカー部門の自社製品事業が柱となっているのが、当社の事業構造の特徴です。
電設資材事業
次に、各セグメントの業績について、順次ご説明します。 まず、電設資材事業の業績についてご説明します。電設資材事業は、オフィスビル、商業施設、工場、住宅向けに電線や照明器具、受配電設備などの電設資材を販売しています。
売上高は前年同期比で14.3パーセント増加し、1,187億円となりました。物流コストや原材料価格の高騰などを受け、電設資材全般において販売価格の上昇が継続しました。
商品別では、銅価格の高騰が電線ケーブル類の売上に大きく寄与したほか、西日本エリアにおける再開発や製造業の設備更新などの大型物件向けに、防災設備や受配電設備などの納入がありました。
電設資材事業‐電線
この資料は、電線に関する銅の市況を示したスライドになります。
左側の折れ線グラフは国内における銅建値、右側の棒グラフは建設・電線販売業における銅電線の出荷量の推移を表しています。銅建値は高い水準を維持し、上半期平均の前年同期比では20.6パーセントのプラスとなりました。
建設・電線販売業における銅電線の出荷量は、前年同期比で減少とみられていますが、当社では販売価格の適正化に加え、在庫施策、営業努力により販売量も業界平均を上回り、電線ケーブル類の売上は前年同期比で約17パーセント増加しました。
産業機器事業
次に、産業機器事業の業績について説明します。
産業機器事業は、制御機器や電子部品を取り扱っており、そのため、国内における設備投資の動向に影響を受けています。
売上高は前年同期比で6.7パーセント減少し、180億円となりました。人手不足に伴う省力化・自動化需要などを背景とした製造業における設備投資は底堅く推移しましたが、一方でコロナ禍の巣ごもり需要の反動減による半導体の在庫調整の影響が依然継続しており、制御機器及び電子部品の販売は減少しました。
自社製品事業
次に自社製品事業の業績についてご説明します。自社製品事業は、主に3つのブランドで構成されています。空調分野の「INABA DENKO」、住宅分野の「アバニアクト」、そして産業分野の「パトライト」です。売上高は前年同期比で20.6パーセント増加し、430億円となりました。
分野別の業績については、空調分野は前年同期比で25.6パーセント増加し、335億円となりました。原材料価格をはじめ、製造や物流関連コストの上昇を背景として空調関連部材の価格改定を実施したことに加え、全国的な猛暑によりルームエアコンの出荷が増加したことに伴い、主力製品である被覆銅管や空調配管化粧カバー「スリムダクトシリーズ」などの販売が好調に推移しました。
産業分野は前年同期比で12.4パーセント増加し、49億円となりました。海外市況が回復傾向にあることや車載機器事業における新製品投入などにより、増収となりました。
住宅分野は、新設住宅着工戸数が減少するなか販売が伸び悩み、前年同期比で0.9パーセント減少の44億円となりました。
空調分野に偏った売上を変革すべく、開発機能の一層の強化を図り、新たな収益の柱となる新製品開発に注力しています。
営業外損益
次に、営業外損益についてご説明します。前年同期に計上していた為替差益が差損に転じたことから、前年同期比で営業外収益は1億7,600万円減少し、営業外費用は1億1,100万円増加しました。
その結果、営業外損益は前年同期と比べ2億8,800万円減益の、5億9,100万円となりました。
特別損益
特別損益については、特別利益は前年同期に投資有価証券売却益を計上した反動減により2億9,300万円減少し、特別損失は自社製品事業における売却予定資産について減損損失を計上したことにより1億7,100万円の増加となりました。
その結果、特別損益は前年同期と比べ4億6,400万円減益の、1億7,400万円の損失となりました。
税金等調整前中間純利益
当社では、税金等調整前中間純利益を管理会計上の利益指標としています。税金等調整前中間純利益は12億7,300万円の増益となりましたが、その増減要因をグラフ化しています。
販売が好調だった電設資材事業と自社製品事業では増益、市況環境が低調だった産業機器事業は減益となりました。為替差損の計上や投資有価証券売却益の反動減などにより、全社費用等は増加しました。
連結貸借対照表
次に、連結貸借対照表をスライドに表しています。資産と負債の減少は、主に前期末で膨らんだ売上債権と仕入債務の減少によるものです。自己資本比率は、前期末から4.2ポイントアップし、65.7パーセントとなりました。
連結キャッシュ・フロー計算書
次に、連結キャッシュ・フロー計算書をスライドに表しています。
営業キャッシュ・フローは、66億円のキャッシュ・インとなりました。これは主に、前期末に計上された売掛金などの回収に伴う売上債権の減少や、税金等調整前中間純利益の計上などによるものです。
投資キャッシュ・フローは、58億円のキャッシュ・アウトとなりました。これは主に、定期預金の払戻と預入の収支や、投資有価証券の取得によるものです。
財務キャッシュ・フローは、30億円のキャッシュ・アウトとなりました。これは主に、配当金の支払いによるものです。
この結果、現金及び現金同等物の中間期末残高は、前年同期末と比べ15億円減少し、592億円となりました。
中期経営計画
ここからは、中期経営計画と重点施策の取り組みについてご説明します。
当社は、経営環境の変化や計画の達成度に応じて、毎年度、向こう3カ年の数値目標をローリングし、見直しています。
2026年度の計画は、売上高4,000億円、営業利益257億円を数値目標としています。
中期経営計画を達成するため、「自社製品の開発・拡充」「省エネ・省力化ソリューションの推進」「首都圏市場におけるシェア拡大」「グローバル展開の加速」「事業領域の拡大」「サステナビリティ経営の推進」の、以上6つの重点施策を掲げ着実に実行していきます。
これら重点施策の中から、「自社製品の開発・拡充」についての取り組みをご紹介します。
防火区画貫通部材を「タイカエックス/タイカX」としてリブランド
まずは耐火製品のリブランドに関するトピックです。
建物の施工において、各種配管が防火区画の壁などを貫通する際、開口部や配管を通じた延焼を防ぐ処理が必要となります。
当社では、1991年に業界初となる冷媒配管用の防火区画貫通部材を発売しました。その後、防火区画貫通部材のオールラウンドブランドとして「ファイヤープロ」シリーズを確立するに至り、耐火のプロフェッショナルとして建物の防災に貢献してきました。
このたび、近年ますます高まる安全性への要求に応えるべく、「タイカエックス/タイカX」としてリブランドを実施しました。自社保有の試験設備で耐火性能を追求し、空調・衛生・電気など、さまざまな種類の配管に対応した製品を取り揃えています。
すべての製品が建築基準法で要求されている認定を取得していることはもとより、作業の負荷軽減や工期短縮を実現した省施工製品についても多数ラインナップしています。これからも、長年培ってきた耐火の技術力を通じて、人々の暮らしの安心と安全に貢献し続ける所存です。
拡大するEV関連市場向けに、住宅用EVコンセントポールを投入
次に、住宅分野の自社製品ブランド「アバニアクト」の取り組みについてご説明します。
「アバニアクト」は、住宅向けの情報配線システム、天井埋め込みスピーカーなどを取りそろえており、社会の変化に柔軟に対応し、地球にやさしい便利で快適な住環境をご提案しています。
このたび、需要の高まる住宅用EV充電設備向けに、汎用性や施工性に優れたEVコンセントポール「Abaniポール」を発売しました。さまざまなメーカーのEVコンセントが自由な配置で取り付けられるほか、業界初となる、壁固定での設置を可能としました。
また、コンクリート工事や屋外配線工事の削減を可能とする設計で、施主さまのみならずハウスメーカーさまや工務店さまの課題解決にも貢献できる製品となっています。
「アバニアクト」では、絶えず変化する住宅関連市場のニーズを的確にとらえた製品開発に努めていきます。
パトライト:赤色灯の発光パターンで緊急走行の「見える化」を実現
続いて、自社製品セグメントに属する連結子会社パトライトの新製品に関するトピックです。
「パトライト」は、「光」「音」「文字」を活用した報知機器で、生産現場やオフィス、緊急車両などの幅広い分野へ、見える化にまつわる機器や(かんたん)IoTソリューションの提供を行っています。
このたびパトライトでは、警察庁、全日本ろうあ連盟と共同で聴覚障がい者に配慮した赤色灯を新たに開発しました。これを搭載したパトカーが、10月より全国の警察に順次配備されています。 これまでのパトカーは、緊急走行時もパトロール時も赤色灯の光り方は同じで、サイレンの鳴り方で違いを表現してきました。そのため、聴覚に障がいのある方にとっては緊急走行とパトロール走行の判別が難しい状況にありました。今回の新製品では赤色灯の発光パターンで緊急走行とパトロール走行を「見える化」し、一目で判別が可能な光り方を実現しました。
今後とも当社グループ一丸となって、事業を通じた社会課題の解決に邁進していきます。
2025年3月期 業績予想
最後に、2025年3月期の業績予想に関してご説明します。
2025年3月期の業績予想は、売上高3,620億円、営業利益235億円、経常利益238億円、親会社株主に帰属する当期純利益164億円の見通しです。また、セグメント別の売上高についてはご覧のとおりです。
上半期については電設資材・自社製品事業を中心に増収となりました。下期以降も企業の設備投資は堅調に推移すると期待される一方で、物流・建設業の2024年問題での「人手不足」「物流費の値上げ」等の影響や原材料価格の動向、半導体の在庫調整局面の長期化懸念など、先行き不透明な状況が予想されることから、業績予想は据え置きとしています。
以上で、因幡電機産業株式会社2025年3月期第2四半期(中間期)決算の説明を終わります。ご清聴ありがとうございました。
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