電通総研、MITテクノロジーレビュー主催の国際アワード「Innovators Under 35 Japan 2024」にて「電通総研賞」を授与
- NASA ジェット推進研究所 客員研究員/イリノイ大学アーバナシャンペーン校 助教授の塚本 紘康氏へ -
テクノロジーで企業と社会の進化を実現する株式会社電通総研(本社:東京都港区、代表取締役社長:岩本 浩久、以下「電通総研」)は、2024年11月20日(水)に開催されたMITテクノロジーレビュー[日本版](運営:株式会社角川アスキー総合研究所、本社:東京都文京区、代表取締役社長:加瀬 典子)が主催する「Innovators Under 35 Japan 2024(イノベーターズ アンダー 35 ジャパン 2024)(https://www.technologyreview.jp/s/348608/the-winners-of-innovators-under-35-japan-2024-have-been-announced/)」において、特別賞として「電通総研賞」をNASA ジェット推進研究所 客員研究員/イリノイ大学アーバナシャンペーン校 助教授の塚本 紘康氏へ授与したことをお知らせします。
「Innovators Under 35 Japan 2024」での「電通総研賞」授与
「Innovators Under 35」は、米国マサチューセッツ工科大学(MIT)のメディア部門「MITテクノロジーレビュー」が主催する国際アワードです。世界的な課題解決に取り組み、未来を形作る“35歳未満の若きイノベーター”の発掘を目的として開催されており、過去にGoogle共同創業者のセルゲイ・ブリン氏や、Meta(旧Facebook)共同創業者兼会長兼CEOのマーク・ザッカーバーグ氏も受賞した権威あるアワードとして、世界的に評価されています。
「Innovators Under 35 Japan」はその日本版として今年で5回目の開催となります。本年度は「AI/ロボット工学」「エネルギー/持続可能性」「コンピューティング」「医学/生物工学」「輸送(宇宙開発)」の全5分野で活動する35歳未満の研究者や事業家を10名選出しました。
■「電通総研賞」の概要
「電通総研賞」は、「Innovators Under 35 Japan」受賞者10名の中から活動内容や実績、社会課題解決への貢献度などを総合的に判断し、電通総研が掲げるビジョン「HUMANOLOGY for the future ~人とテクノロジーで、その先をつくる。~」と共鳴する研究の推進者へ授与する特別賞です。
■受賞者について
塚本 紘康氏
NASA ジェット推進研究所 客員研究員
イリノイ大学アーバナシャンペーン校 助教授
塚本 紘康(つかもと ひろやす)氏 (29歳)
<不確実性を克服する数学理論で、深宇宙探査の新時代を切り開く若き研究者。>
次世代の深宇宙探査システムは、複数の人間、宇宙機、ロボット、人工知能(AI)の判断が複雑に絡み合う、予測困難な環境で機能する必要があります。米国宇宙局(NASA)ジェット推進研究所(JPL)の客員研究員である塚本 紘康氏は、このような複雑なシステムにおいて、最小限の前提条件で探査目的を安全、確実、効率的に達成できる「知能」の本質的な性質を探求している研究者です。
■授与理由
塚本 紘康氏は、宇宙という未踏の世界を切り開くイノベーターです。
革新的な研究成果と探求心に深く敬意を表すとともに、不確実性を克服する制御理論が深宇宙探査に留まることなく、さまざまな領域におけるAIやロボットのキーテクノロジーとなり、社会の発展に貢献することを期待し、「電通総研賞」を授与しました。
■受賞者の研究・活動内容:
【カテゴリー:輸送】
システムを制御する知能(意思決定則)の従来の設計手法は、システムの特性や不確実性に関する厳しい仮定に基づくことが多く、完全に未知の要素を多く伴う深宇宙探査には適していませんでした。一方で、大規模予算を要する宇宙探査では、ミッションの成功確率や生存確率を数学的に厳密に評価することが求められます。塚本 紘康氏はこの課題に対し、革新的なアプローチを開発しました。
まず、理想的な知能の状態と現状の差を測る新しい方法として「コントラクション・メトリック(Contraction Metric)」という測度に基づく考え方を提案したことにより、システムの非線形性に伴う複雑な相互作用を正確に分析できるようになりました。この手法では、変分に基づきシステムを線形的に解析することができ、その過程に経路積分を適用することで必要十分に非線形性を扱えます。
さらに、不確実な状況下でも探査システムの性能を正確に予測するため、データに基づく知能の学習における厳しい仮定を取り除き、コントラクションが保たれる度合いに基づく数学的な仮定を導入することで、より現実的な条件下での精度を高めました。本手法により、非線形かつ確率的なシステムにおける、理想的な知能の状態と現状の差を数学的に厳密に評価できるようになった結果、非常に不確実な環境下での意思決定に対する強力な数学的保証を導き出すことに成功しました。
この理論に基づく塚本 紘康氏の博士論文は、カリフォルニア工科大学(Caltech)宇宙工学専攻最優秀博士論文賞を受賞。応用研究として、AIの適応性と宇宙探査に必要な安全性を両立させ、多数の宇宙機からなる探査ネットワークや、予測困難な軌道を持つ恒星間天体の探査ソフトウェアを開発しました。
現在は、JPLの客員研究員として、これらの発想を用いた汎用探査知能開発に取り組むとともに、イリノイ大学アーバナシャンペーン校の助教授として独立研究室を立ち上げ、持続可能な自律宇宙ミッション設計、宇宙視点からの環境問題解決、それらの基礎理論の研究と教育を主導しています。
電通総研は、「Innovators Under 35 Japan」への参画や特別賞の授与を通して、若手研究者の発掘・支援と先進技術の発展へ貢献するとともに、テクノロジーや業界、企業、地域の枠を超えた「X Innovation(クロスイノベーション)」を推進し、人とテクノロジーの力で未来を切り拓き、新しい価値を創出することを目指します。
<ご参考資料>
ヒューマノロジー創発本部について https://www.dentsusoken.com/thinktank
2023年12月1日
ISID、MITテクノロジーレビュー主催の国際アワード『Innovators Under 35』日本版で特別賞を授与 https://www.dentsusoken.com/news/topics/2023/1201.html
■電通総研について https://www.dentsusoken.com
電通総研は、「HUMANOLOGY for the future~人とテクノロジーで、その先をつくる。~」という企業ビジョンの下、「システムインテグレーション」「コンサルティング」「シンクタンク」という3つの機能の連携により、企業・官庁・自治体や生活者を含めた「社会」全体と真摯に向き合い、課題の提言からテクノロジーによる解決までの循環を生み出し、より良い社会への進化を支援・実装することを目指しています。
テクノロジーや業界、企業、地域の枠を超えた「X Innovation(クロスイノベーション)」を推進し、これからも人とテクノロジーの力で未来を切り拓き、新しい価値を創出し続けます。
* 2024年1月1日、電通国際情報サービス(ISID)は、電通総研へ社名を変更しました。
* 本リリースに記載された会社名・商品名は、それぞれ各社の商標または登録商標です。
テクノロジーで企業と社会の進化を実現する株式会社電通総研(本社:東京都港区、代表取締役社長:岩本 浩久、以下「電通総研」)は、2024年11月20日(水)に開催されたMITテクノロジーレビュー[日本版](運営:株式会社角川アスキー総合研究所、本社:東京都文京区、代表取締役社長:加瀬 典子)が主催する「Innovators Under 35 Japan 2024(イノベーターズ アンダー 35 ジャパン 2024)(https://www.technologyreview.jp/s/348608/the-winners-of-innovators-under-35-japan-2024-have-been-announced/)」において、特別賞として「電通総研賞」をNASA ジェット推進研究所 客員研究員/イリノイ大学アーバナシャンペーン校 助教授の塚本 紘康氏へ授与したことをお知らせします。
「Innovators Under 35 Japan 2024」での「電通総研賞」授与
「Innovators Under 35」は、米国マサチューセッツ工科大学(MIT)のメディア部門「MITテクノロジーレビュー」が主催する国際アワードです。世界的な課題解決に取り組み、未来を形作る“35歳未満の若きイノベーター”の発掘を目的として開催されており、過去にGoogle共同創業者のセルゲイ・ブリン氏や、Meta(旧Facebook)共同創業者兼会長兼CEOのマーク・ザッカーバーグ氏も受賞した権威あるアワードとして、世界的に評価されています。
「Innovators Under 35 Japan」はその日本版として今年で5回目の開催となります。本年度は「AI/ロボット工学」「エネルギー/持続可能性」「コンピューティング」「医学/生物工学」「輸送(宇宙開発)」の全5分野で活動する35歳未満の研究者や事業家を10名選出しました。
■「電通総研賞」の概要
「電通総研賞」は、「Innovators Under 35 Japan」受賞者10名の中から活動内容や実績、社会課題解決への貢献度などを総合的に判断し、電通総研が掲げるビジョン「HUMANOLOGY for the future ~人とテクノロジーで、その先をつくる。~」と共鳴する研究の推進者へ授与する特別賞です。
■受賞者について
塚本 紘康氏
NASA ジェット推進研究所 客員研究員
イリノイ大学アーバナシャンペーン校 助教授
塚本 紘康(つかもと ひろやす)氏 (29歳)
<不確実性を克服する数学理論で、深宇宙探査の新時代を切り開く若き研究者。>
次世代の深宇宙探査システムは、複数の人間、宇宙機、ロボット、人工知能(AI)の判断が複雑に絡み合う、予測困難な環境で機能する必要があります。米国宇宙局(NASA)ジェット推進研究所(JPL)の客員研究員である塚本 紘康氏は、このような複雑なシステムにおいて、最小限の前提条件で探査目的を安全、確実、効率的に達成できる「知能」の本質的な性質を探求している研究者です。
■授与理由
塚本 紘康氏は、宇宙という未踏の世界を切り開くイノベーターです。
革新的な研究成果と探求心に深く敬意を表すとともに、不確実性を克服する制御理論が深宇宙探査に留まることなく、さまざまな領域におけるAIやロボットのキーテクノロジーとなり、社会の発展に貢献することを期待し、「電通総研賞」を授与しました。
■受賞者の研究・活動内容:
【カテゴリー:輸送】
システムを制御する知能(意思決定則)の従来の設計手法は、システムの特性や不確実性に関する厳しい仮定に基づくことが多く、完全に未知の要素を多く伴う深宇宙探査には適していませんでした。一方で、大規模予算を要する宇宙探査では、ミッションの成功確率や生存確率を数学的に厳密に評価することが求められます。塚本 紘康氏はこの課題に対し、革新的なアプローチを開発しました。
まず、理想的な知能の状態と現状の差を測る新しい方法として「コントラクション・メトリック(Contraction Metric)」という測度に基づく考え方を提案したことにより、システムの非線形性に伴う複雑な相互作用を正確に分析できるようになりました。この手法では、変分に基づきシステムを線形的に解析することができ、その過程に経路積分を適用することで必要十分に非線形性を扱えます。
さらに、不確実な状況下でも探査システムの性能を正確に予測するため、データに基づく知能の学習における厳しい仮定を取り除き、コントラクションが保たれる度合いに基づく数学的な仮定を導入することで、より現実的な条件下での精度を高めました。本手法により、非線形かつ確率的なシステムにおける、理想的な知能の状態と現状の差を数学的に厳密に評価できるようになった結果、非常に不確実な環境下での意思決定に対する強力な数学的保証を導き出すことに成功しました。
この理論に基づく塚本 紘康氏の博士論文は、カリフォルニア工科大学(Caltech)宇宙工学専攻最優秀博士論文賞を受賞。応用研究として、AIの適応性と宇宙探査に必要な安全性を両立させ、多数の宇宙機からなる探査ネットワークや、予測困難な軌道を持つ恒星間天体の探査ソフトウェアを開発しました。
現在は、JPLの客員研究員として、これらの発想を用いた汎用探査知能開発に取り組むとともに、イリノイ大学アーバナシャンペーン校の助教授として独立研究室を立ち上げ、持続可能な自律宇宙ミッション設計、宇宙視点からの環境問題解決、それらの基礎理論の研究と教育を主導しています。
電通総研は、「Innovators Under 35 Japan」への参画や特別賞の授与を通して、若手研究者の発掘・支援と先進技術の発展へ貢献するとともに、テクノロジーや業界、企業、地域の枠を超えた「X Innovation(クロスイノベーション)」を推進し、人とテクノロジーの力で未来を切り拓き、新しい価値を創出することを目指します。
<ご参考資料>
ヒューマノロジー創発本部について https://www.dentsusoken.com/thinktank
2023年12月1日
ISID、MITテクノロジーレビュー主催の国際アワード『Innovators Under 35』日本版で特別賞を授与 https://www.dentsusoken.com/news/topics/2023/1201.html
■電通総研について https://www.dentsusoken.com
電通総研は、「HUMANOLOGY for the future~人とテクノロジーで、その先をつくる。~」という企業ビジョンの下、「システムインテグレーション」「コンサルティング」「シンクタンク」という3つの機能の連携により、企業・官庁・自治体や生活者を含めた「社会」全体と真摯に向き合い、課題の提言からテクノロジーによる解決までの循環を生み出し、より良い社会への進化を支援・実装することを目指しています。
テクノロジーや業界、企業、地域の枠を超えた「X Innovation(クロスイノベーション)」を推進し、これからも人とテクノロジーの力で未来を切り拓き、新しい価値を創出し続けます。
* 2024年1月1日、電通国際情報サービス(ISID)は、電通総研へ社名を変更しました。
* 本リリースに記載された会社名・商品名は、それぞれ各社の商標または登録商標です。
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