日産東京販売HD、第3号目の統合報告書を発行 持続的成長に向けた取り組みや企業価値向上に向けた取り組みを解説
統合報告書説明
長谷川直哉氏:みなさま、こんにちは。日産東京販売ホールディングス株式会社社外取締役の長谷川直哉です。
これから、日産東京販売ホールディングス株式会社の2024年版統合報告書の内容について、ご説明します。この統合報告書は、当社の価値創造に向けた事業活動を財務・非財務の両面から紹介するもので、今回で第3号目の発行となります。本動画では、日産東京販売ホールディングスが今年度刊行した統合報告書のポイントをご説明します。
現在、日本語版に加え、英語版の統合報告書の作成も進めています。国内のみならず、海外のステークホルダーのみなさまにも当社をご理解いただくためのツールとしてご活用いただければと思います。今後とも当社の企業価値向上に努めます。
自己紹介
私は、当社の社外取締役を務めており、2年前からサステナビリティ委員会の委員長も務めています。ESG投資等の経験があり、サステナビリティ経営やコーポレートガバナンス、ESG投資を専門としています。これらの実務経験と学術的な研究の成果を、当社の価値創造に貢献できるよう、さまざまなアドバイスを行っています。
統合報告書発行のねらい
統合報告書の内容についてご説明します。統合報告書の2024年版には、3つのねらいがあります。1つ目は、統合報告書2024年版の解説を通じて、当社の持続的成長に向けた取り組みと、当社を取り巻く事業環境を踏まえた課題への対応について、ステークホルダーのみなさまにご理解をたまわりたいと思います。
2つ目は、上記の取り組みに対するステークホルダーのみなさまからお声をいただき、今後の当社の経営にも活かしていきたいと考えています。
3つ目は、当社の企業理念を通じ、さらなる企業価値の向上に向けた取り組みにご理解をいただくことです。
当社の概要
統合報告書の内容に入る前に、当社の概要について少しご説明したいと思います。当社は、1942年に設立され、83年の歴史を持っています。2011年から現在の日産東京販売ホールディングスの体制となり、今年で14年目を迎えました。モビリティ関連事業を中心とした7社のグループ会社で構成しており、従業員もグループ全体で3,000名を擁する企業規模を誇っています。
当社の概要
具体的な事業内容です。日産ブランドの自動車ディーラーである日産東京販売を中核に、自動車整備、車両輸送、タクシー等の事業を営んでおり、それぞれがグループ内のシナジーを高めながら事業を展開しています。
竹林 彰 代表取締役社長メッセージ
統合報告書の中で最も重要な内容である、代表取締役社長のメッセージについて、ご説明します。当社の代表取締役社長は竹林彰です。社長メッセージでは、当社の経営にあたり、今後の企業価値を高めていくための方針が述べられています。
その内容は4つのポイントに整理することができます。1つ目は、2022年11月に策定した企業理念の浸透により、社員の一人ひとりが自主的・自発的に行動できる企業風土の確立を目指すということです。
2つ目は、重点成長戦略の着実な遂行と積極的な投資により、持続的成長を目指すという点です。
3つ目は、当社を取り巻くモビリティ市場の変化を捉え、新たな価値を提供していくことに取り組むことです。
最後の4つ目は、車の新しい買い方を提案して、価格以上の価値を訴求するとともに、提案型営業に注力し、お客さまの満足度をさらに高めていく取り組みを推進するという内容です。
今回の社長メッセージではQ&A形式で、特に投資家のみなさまやステークホルダーのみなさまに、社長の経営理念・経営方針をわかりやすくご説明しています。
価値創造プロセス
当社の価値創造プロセスについてご説明します。当社グループは、企業理念を共通の指針として事業活動を推進しています。現在は、大変革期といえるようなモビリティ市場の変化があります。我々はこの変化をいち早く捉えて成長を加速させるとともに、持続的な社会の実現にも貢献していくことを考えています。
こうした考え方に基づき、当社の強みとリソースを活用した長期的な事業成長および重要課題解決(マテリアリティ)に向けた取り組みを、価値創造プロセス図に沿ってご説明します。
価値創造プロセス
当社のビジネスモデルは、新車販売や車両のリース販売を中心に、付加価値提案と金融商品、保険、メンテナンス、中古車により、お客さま、あるいは車のライフタイムバリューの最大化を実現していくことが特徴です。また、モビリティ関連事業の統合運営により、グループ内のシナジー効果を追求しています。
このように、当社はモビリティを中心に事業を展開しており、グループ一体でさらなる成長を目指しています。
価値創造プロセス
また、当社は、長年にわたり蓄積してきた3つの強みがあり、それらが我々の事業基盤です。1つ目は、EV販売のパイオニアであることです。特に国内初の量販型電気自動車「リーフ」を販売して以来、14年にわたり蓄積してきた電気自動車の販売、整備、インフラ事業におけるノウハウは、当社の事業にとって大きなアドバンテージとなっています。
2つ目は、顧客基盤です。35万件のストックビジネスを持っていることが当社にとって大きな強みとなっています。お客さまとの間に築いてきた強固な信頼関係が、当社の収益安定性の確保に大きく貢献しています。
3つ目は、地域に根ざした店舗ネットワークです。東京都内に105の新車店舗を持っており、強固なネットワークを構築しています。さらに、このような店舗は地域社会の方々との関係性をより深める役割も果たしています。
これらの3つの強みが、当社の事業を支える、まさに中核的な要素となっているとご理解ください。
価値創造プロセス
当社はモビリティの提供を通して、お客さまに快適な暮らしを届けるとともに、地域社会への積極的な貢献によって、地域社会のみなさまとともに繁栄することを目指しています。
そのためには、昨今SDGsやカーボンニュートラルといったことが言われていますが、サステナビリティの視点を経営の中に持つことが重要な点となります。
そこで、当社では2021年にサステナビリティ基本方針を策定以降、この方針に基づいてサステナビリティ活動を展開しています。
この方針の中で、4つのマテリアリティを特定しています。マテリアリティとは、サステナビリティ活動における最も重要な要素を指します。我々は、気候変動への対応、安心・安全な社会の実現、人権の尊重と人的資本の充実、地域社会への貢献の4つをサステナビリティ活動の中心的な課題と位置づけ、現在、これらの課題解決に向けた取り組みを進めているところです。
さらに、今お伝えした4つのマテリアリティの解決に向けた取り組みを、2023年からスタートした4ヶ年の中期経営計画の中でも、着実に取り組んでいくことを進めています。
中期経営計画では、収益の拡大を目指す成長戦略と、4つのマテリアリティの課題解決を目指すサステナビリティ戦略が、まさに当社の企業価値を高める両輪といえる存在です。
価値創造プロセス
中期経営計画におけるポイントです。中期経営計画では、電動化リーダー、安全・運転支援技術、モビリティ事業の3つを重点施策と定めており、それぞれの取り組みを着実に実行していきます。
電動化リーダーでは、電動車の販売比率の向上、充電ネットワークの充実、電気自動車の整備体制の強化などを図っています。
安全・運転支援技術では、お客さまの安全・安心なカーライフに貢献するための整備体制を強化するとともに、先進的な運転技術を搭載した車の普及促進のため、商品説明にも注力しています。
モビリティ事業では、個人リースの拡販やレンタカー事業の拡大を図っています。今は車の購入方法も非常に多様化しているため、このような新しい車の販売についても、事業の中核として育てていくことを実践しているところです。
以上が、いわゆる収益拡大に向けた成長戦略とサステナビリティ活動において重要な点になります。
財務・資本戦略
成長戦略とサステナビリティ活動を支える、財務・資本戦略についてです。このページでは、当社の財務担当執行役員が当社の業績や投資戦略、資本効率と企業価値の向上に向けた方針などをご説明しています。ここでのポイントは4つあります。
1つ目は2023年度の業績です。2023年度に新車販売や付加価値販売が大きく伸びた結果、当社では過去最高益を実現することができました。
2つ目に、同じく2023年度は既存ビジネス、人財、新規事業の3領域に対し、150億円の投資を実行しています。そして3つ目として、当社では企業価値を高めていくにあたり、資本効率を指標としていますが、その中でもROE(自己資本利益率)を重視しています。2023年度のROEは13.8パーセントを実現しました。これは2022年度の6.8パーセントから約2倍の伸びとなります。
4つ目は、PBRの向上に向けた取り組みです。これまでにお伝えした重点成長戦略を着実に実行していきながら、IR活動も積極的に展開し、投資家のみなさまやステークホルダーのみなさまとのコミュニケーションの質を高めていきます。さらに、株主還元を通じ、お客さまの期待に一層応えられるような取り組みを進めていきたいと考えています。
人的資本の充実
サステナビリティ活動の4つのマテリアリティについてご説明しましたが、ここではその中でも特に重要だと考えている、人権の尊重と人的資本の充実についてお話しします。
俗に「企業は人なり」と言いますが、我々はこれからの企業の成長戦略においては、人への投資が欠かせないポイントであると認識しています。当社では特に、企業理念の浸透を図るために、社員が企業理念をどのように受け入れているかを十分に把握し、その傾向を分析することで、経営陣と社員の考え方のベクトルを合わせて事業を進めようと考えています。
その中でも特に人財への投資や、人事諸制度の改定を行い、多角的さらには包括的な視点から、人財の育成を図っていこうという考え方を持って、取り組みを進めています。
特に企業理念を実践できる企業風土や、組織文化を作ることに注力しています。例えば、人財採用の取り組みや働きやすい環境作り、また、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンといった、多様性を受け入れる組織風土を作っていきます。
さらには人財育成などにおいて幅広い視点で取り組み、従来の画一化された人財育成から、大きく変革をしていこうということで力を注いでいます。
特に、みなさまにご理解いただきたいこととして、特集企画として掲載していますが、企業理念の浸透プロジェクトの一環として、若手社員による座談会を開催しました。
これは、社内の横断的なメンバーによりスタートしたプロジェクトになります。社内のさまざまな部署で、若手社員の方と語り合うことで、企業理念への理解を深め、その企業理念を自分ごととして捉え、自発的・自律的に行動できる社員を育てていく活動として、我々は非常に重視しています。
すでに、この企業理念浸透プロジェクトのワークショップには、500名以上の社員が参加しており、組織風土、組織文化の変革には大きな力になっていると我々は理解しています。
地球環境保全の取り組み
もうひとつ我々が最も重要と考えるポイントは、気候変動への対応です。我々は日々、ゲリラ豪雨や激しさを増す台風の被害を目の当たりにしています。
当社では、EVやe-POWER車といった電動車の普及が、カーボンニュートラルにおいての貢献度であり、また、社内での重要な要素として共通認識を持っています。このような電動車を、お客さまに提供することが当社の使命であると考えています。
そのためには、電動車がカーボンニュートラル社会の実現を果たす役割があるということを、お客さまにわかりやすく丁寧に発信していきたいと考えています。
その指標として、2026年までに電動車の販売比率を90パーセント以上、さらにEV販売によるCO2排出削減量1.6万トンを目標に掲げて、電動車の普及に取り組んでいきたいと考えています。このように電動車の販売を中心に、我々はCO2削減に取り組んできました。
さらに当社の特色として、リニューアルする店舗については、太陽光パネルの設置や、使用済みのEVバッテリーを活用した蓄電池などを活用し、エネルギーマネジメントシステムの導入を進めるとともに、再生可能エネルギー電力の導入にも取り組んでいきます。
このようなものが、当社の取り組みの特徴的なものだと考えています。また、電動車の新しい取り組みを通じて、今後も人と環境に優しいフロントランナーとしての当社の取り組みを、ますます広げていきたいと考えています。
このような取り組みを、さらに後押しするために、当社では2022年にサステナビリティ委員会を立ち上げました。
私もこのサステナビリティ委員会の委員長として、取締役会等でさまざまな提言をしています。例えばカーボンニュートラルなどのサステナビリティに関する取り組みについて、この委員会では、その進捗状況を確認するとともに、TCFDの提言に基づき、気候変動から生じるリスク、あるいは新たなビジネスの機会を定性的に評価し、当社の事業活動に反映させていく取り組みを進めています。
統合報告書をステークホルダーのみなさまとの“懸け橋”に
最後になりますが、みなさまにはぜひこちらの統合報告書を今一度ご確認いただきたいと思います。最近のデータの中に、生命保険協会が2023年に実施した「企業価値向上に向けた取り組みに関するアンケート」があります。このアンケートから、企業と投資家の間にはサステナビリティの情報に関する満足度に、大きな差があるということが明らかになりました。
具体的には、企業が開示するサステナビリティ情報について、「開示内容に十分満足している」と回答した企業の割合は47パーセントでした。
しかしながら、「企業の開示内容に十分満足している」と回答した投資家の割合は、わずか2パーセントでした。この結果を踏まえて、我々は統合報告書による成長戦略と、サステナビリティ活動の情報開示を通じて、投資家のみなさまを初めとする、さまざまなステークホルダーの方々とのより活発な対話を進めていきたいと考えています。
企業価値を高めていくためには、情報開示の質と量を高めていくことが欠かせないと考えています。今回の統合報告書は、社内全体を巻き込みながら活発な議論を重ねた結果、当社の魅力や取り組みをより身近に感じていただける報告書になったと我々は自負しています。
この報告書を通じて、当社と投資家のみなさま、あるいはその他のステークホルダーのみなさまとのつながりがいっそう深まることを、我々は期待しています。機会がありましたら、ホームページに掲載している統合報告書をぜひともご覧いただき、より当社の活動についてご理解を賜りたいと思います。
本日は、お忙しい中ご視聴いただきましてありがとうございました。今後とも当社へのご支援を賜りたいと思います。
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