*13:09JST プログリット Research Memo(9):売上・利益とも毎期30%程度の成長を図り、さらなる成長へ
■プログリット<9560>の今後の見通し
2. 今後の成長戦略
同社は2024年8月期の決算発表にあたり、あらためて今後の成長戦略を明らかにした。「英語コーチングサービス」「サブスクサービス」「M&A」の3つの分野別に重点施策を示している。これら施策の展開により売上・利益面ともに毎期30%程度の成長を実現し、東証プライム市場への移行を目指す。
(1) 英語コーチングサービス
a) ブランディング強化による認知拡大
2024年9月の創業8周年を機に、同社は新たなビジュアルとメッセージを掲げた新CMをリリースし、併せて首都圏を中心に電車広告や動画広告などを展開した。同社によれば、認知拡大のための広告効果としては電車広告が非常に高く、「プログリット」や「シャドテン」の指名検索数が1年前と比較して20~30%程度増加するなど、即効性が見られた。長期的なブランディング強化に向け、「プログリット」が英語学習の代名詞となるまで認知広告を継続して潜在顧客に訴求し、長期にわたる指名検索の増加、成約率の上昇、売上拡大という好循環を確立する考えだ。
b) 法人向けビジネスの強化
取引規模が大きく、継続的な需要が見込める法人向けビジネスを引き続き強化する。法人英語研修市場はグローバル企業を中心に根強い需要があり、実務上必須となるほか、関連資格の取得を奨励する法人も多い。同社はそのような需要を取り込むため、新規取引先の開拓や既存取引先との取引拡大を推進する。同社の取引社数は2024年8月末時点で285社と、大手英会話スクールに比べて少ないことから、顧客開拓の余地は非常に大きいと見ている。短期間で効果的な学習による、投資対効果の高い英語力アップのノウハウを武器に、他社との差別化を図る考えだ。はじめは少人数での受講であっても効果を実感することで取引の継続・拡大に至るケースもあるため、人事担当者を含めた少数社員での受講など、スモールスタートをトリガーに、取引継続・拡大につなげる考えだ。
c) データ活用によるサービス品質の向上
受講者の学習データなどを可視化し分析することでサービス品質のさらなる向上につなげる。受講者の学習時間や学習コンテンツの利用内容、英語力の伸びに関する情報は、専任コンサルタントとの面談だけでなく、学習アプリの利用状況などのデータを取得することで把握できる。これにより受講者指導に有用なのはもちろんのこと、学習アプリの改善にもつながる。受講者との面談を通じて、カリキュラムの満足度や改善要望など定性的なデータをコンサルタントにフィードバックするほか、サービス品質の改善に生かす。このような定量的・定性的なデータを収集して活用することでサービス品質の向上を図る。
(2) サブスクサービス
サブスクサービスについては、利用者の英語学習の継続に資するコンテンツの充実に重点を置き、長期的な利用の促進に向け各プロダクトの改善を進める。利用者の視点に立ち、アプリの使いやすさの追求や学習ストレスの改善など、学習継続のためのモチベーション維持に役立つコンテンツを追加していく。
主力サービスである「シャドテン」に関しては、需要喚起と供給力増強を両立し、売上拡大につなげる。利用者のシャドーイング(英語による音声を聴き、それを真似して発音する学習方法)件数は1日当たり数千件発生するが、それを数百人のシャドーイングアドバイザーが添削して結果を利用者に還元するシステムだ。利用者の増加に伴い、サービス品質の維持向上のためにも、有能なシャドーイングアドバイザーを確保する必要がある。採用では能力適性を厳しく評価、判断していることから、採用倍率は20倍の狭き門であり、採用後は研修制度を充実させることで添削品質を維持している。有能な人材が現場の高いオペレーション力を実現することで、他社が模倣できない添削システムを構築しており、ストロングポイントとして体制整備を強化し、売上増加につなげる方針だ。
「スピフル」については、ローンチ後間もないこともあり、当面はプロダクトの改善を重点的に進める。機能の充実によって、スピーキングトレーニングを効率よく実施できる学習アプリとしての地位確立を目指す。具体的にはスピーキング内容のAIによる自動採点、スピーキングの結果に対する復習コンテンツをレコメンドするスマート学習機能、学習実績を記録・可視化し、履歴として振り返りができる習慣化形成機能などを実装してプロダクトとしての独自価値を醸成する。
「ディアトーク」についてもローンチ後間もないが、英会話学習を気軽にできるアプリとしての地位を確立し、英会話需要を取り込む。既存のオンライン英会話サービスと比較して、高い効率性と洗練された学習体験を提供する方針で、講師との無駄な会話を省略した会話学習や、利用者の発話記録による振り返り機能、予約不要で話したいテーマの会話ができ、難易度調整やアクセント選択、日本語によるヘルプ機能などの利用者ニーズに応える機能を実装して顧客利便性を高め、継続利用を促す。
(3) M&A
今後のさらなる成長に向けてM&Aを活用し、事業領域の拡大を目指す。現在の主戦場である成人向けの英語学習領域を含め、隣接する幼児・子供向け英語学習領域や、グローバル人材育成などの英語学習領域以外を対象にM&Aを検討する。同社は、成人向け市場においてオーガニックな成長で競争を勝ち抜く自信を持っており、顧客基盤拡大に向けた取り組みに時間的な余裕があるため、将来の事業拡大に寄与するM&A先を慎重に見極めたうえで検討を進めると考えられる。M&Aの規模については数億~数十億円の範囲で、選定基準としては、事業領域拡大に資する事業を展開しており、同社既存サービスと補完関係を確立してシナジーが期待できることとし、さらに適正価格での買収を条件としている。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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2. 今後の成長戦略
同社は2024年8月期の決算発表にあたり、あらためて今後の成長戦略を明らかにした。「英語コーチングサービス」「サブスクサービス」「M&A」の3つの分野別に重点施策を示している。これら施策の展開により売上・利益面ともに毎期30%程度の成長を実現し、東証プライム市場への移行を目指す。
(1) 英語コーチングサービス
a) ブランディング強化による認知拡大
2024年9月の創業8周年を機に、同社は新たなビジュアルとメッセージを掲げた新CMをリリースし、併せて首都圏を中心に電車広告や動画広告などを展開した。同社によれば、認知拡大のための広告効果としては電車広告が非常に高く、「プログリット」や「シャドテン」の指名検索数が1年前と比較して20~30%程度増加するなど、即効性が見られた。長期的なブランディング強化に向け、「プログリット」が英語学習の代名詞となるまで認知広告を継続して潜在顧客に訴求し、長期にわたる指名検索の増加、成約率の上昇、売上拡大という好循環を確立する考えだ。
b) 法人向けビジネスの強化
取引規模が大きく、継続的な需要が見込める法人向けビジネスを引き続き強化する。法人英語研修市場はグローバル企業を中心に根強い需要があり、実務上必須となるほか、関連資格の取得を奨励する法人も多い。同社はそのような需要を取り込むため、新規取引先の開拓や既存取引先との取引拡大を推進する。同社の取引社数は2024年8月末時点で285社と、大手英会話スクールに比べて少ないことから、顧客開拓の余地は非常に大きいと見ている。短期間で効果的な学習による、投資対効果の高い英語力アップのノウハウを武器に、他社との差別化を図る考えだ。はじめは少人数での受講であっても効果を実感することで取引の継続・拡大に至るケースもあるため、人事担当者を含めた少数社員での受講など、スモールスタートをトリガーに、取引継続・拡大につなげる考えだ。
c) データ活用によるサービス品質の向上
受講者の学習データなどを可視化し分析することでサービス品質のさらなる向上につなげる。受講者の学習時間や学習コンテンツの利用内容、英語力の伸びに関する情報は、専任コンサルタントとの面談だけでなく、学習アプリの利用状況などのデータを取得することで把握できる。これにより受講者指導に有用なのはもちろんのこと、学習アプリの改善にもつながる。受講者との面談を通じて、カリキュラムの満足度や改善要望など定性的なデータをコンサルタントにフィードバックするほか、サービス品質の改善に生かす。このような定量的・定性的なデータを収集して活用することでサービス品質の向上を図る。
(2) サブスクサービス
サブスクサービスについては、利用者の英語学習の継続に資するコンテンツの充実に重点を置き、長期的な利用の促進に向け各プロダクトの改善を進める。利用者の視点に立ち、アプリの使いやすさの追求や学習ストレスの改善など、学習継続のためのモチベーション維持に役立つコンテンツを追加していく。
主力サービスである「シャドテン」に関しては、需要喚起と供給力増強を両立し、売上拡大につなげる。利用者のシャドーイング(英語による音声を聴き、それを真似して発音する学習方法)件数は1日当たり数千件発生するが、それを数百人のシャドーイングアドバイザーが添削して結果を利用者に還元するシステムだ。利用者の増加に伴い、サービス品質の維持向上のためにも、有能なシャドーイングアドバイザーを確保する必要がある。採用では能力適性を厳しく評価、判断していることから、採用倍率は20倍の狭き門であり、採用後は研修制度を充実させることで添削品質を維持している。有能な人材が現場の高いオペレーション力を実現することで、他社が模倣できない添削システムを構築しており、ストロングポイントとして体制整備を強化し、売上増加につなげる方針だ。
「スピフル」については、ローンチ後間もないこともあり、当面はプロダクトの改善を重点的に進める。機能の充実によって、スピーキングトレーニングを効率よく実施できる学習アプリとしての地位確立を目指す。具体的にはスピーキング内容のAIによる自動採点、スピーキングの結果に対する復習コンテンツをレコメンドするスマート学習機能、学習実績を記録・可視化し、履歴として振り返りができる習慣化形成機能などを実装してプロダクトとしての独自価値を醸成する。
「ディアトーク」についてもローンチ後間もないが、英会話学習を気軽にできるアプリとしての地位を確立し、英会話需要を取り込む。既存のオンライン英会話サービスと比較して、高い効率性と洗練された学習体験を提供する方針で、講師との無駄な会話を省略した会話学習や、利用者の発話記録による振り返り機能、予約不要で話したいテーマの会話ができ、難易度調整やアクセント選択、日本語によるヘルプ機能などの利用者ニーズに応える機能を実装して顧客利便性を高め、継続利用を促す。
(3) M&A
今後のさらなる成長に向けてM&Aを活用し、事業領域の拡大を目指す。現在の主戦場である成人向けの英語学習領域を含め、隣接する幼児・子供向け英語学習領域や、グローバル人材育成などの英語学習領域以外を対象にM&Aを検討する。同社は、成人向け市場においてオーガニックな成長で競争を勝ち抜く自信を持っており、顧客基盤拡大に向けた取り組みに時間的な余裕があるため、将来の事業拡大に寄与するM&A先を慎重に見極めたうえで検討を進めると考えられる。M&Aの規模については数億~数十億円の範囲で、選定基準としては、事業領域拡大に資する事業を展開しており、同社既存サービスと補完関係を確立してシナジーが期待できることとし、さらに適正価格での買収を条件としている。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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