*11:35JST ギフトHD Research Memo(5):「事業拡大と運営体制強化+DX推進」を基本戦略に中長期成長を目指す
■ギフトホールディングス<9279>の中期経営計画
1. 基本戦略
同社は、チェーンストアシステムをバックボーンに「出店戦略」「人材育成」「PB商品」を常に強化することで味・立地・サービスの掛け算を最大化し、事業拡大と運営体制強化を推進している。また、これに近代企業として欠かせない「DX推進」を加えた「事業拡大と運営体制強化+DX推進」を基本戦略に、中長期的な高収益・高成長を目指す。なお、「DX推進」では、顧客利便性の向上、社内・店頭作業の効率化、データ連携の強化を目指すが、特に足元で注力しているのがデータ連携の強化である。2年前に就任したCIOを中心に、社内の様々なシステムを連携した業務システムの構築を進めており、2024年10月期はペーパーを廃止してリアルタイムなデータベース連携が完了、2025年10月期にはデータ連携をブラッシュアップして、中期的にデータベースとシステムを有効活用していく計画である。
(1) 出店戦略
出店戦略のうち店舗開発は、社長と経験豊かな開発要員が担っている。出店する際、候補地の競合店状況、駅乗降客数、商圏人口、通行量・交通量などの立地特性やブランドとの相性、投資額などを独自基準と照合し総合的に判断するため、ヒットの確率は高くなる。また、「人口集中エリアとラーメン高消費エリアの直営店」及び「地方エリアのプロデュース店」と全国の出店エリアを分ける一方、出店判断についてはプロデュース店を含めて同社で一元的な意思決定を行う。立地の特徴としては、商品力が強いため1等地でなくても十分に収益を稼ぎ出すことができることから、駅近の裏通りや郊外の街道沿いといった立地も出店対象である。また、ドミナント出店※のため地盤の首都圏でも依然として出店余地は大きいが、一方で西日本や北関東・東北など地方での出店も積極的に進める。コロナ禍~アフターコロナと好調を継続している既存ブランドを中心に出店を進めていく計画だが、ラーメン業界が業態ごとに競合のないサブマーケットで構成されていることから、M&Aや業態開発により新業態の開発も積極的に取り組む。さらに、ラーメン業界のポテンシャルを取り切るためプロデュース店とのバッティングルールを見直し、プロデュース店商圏への異業態での出店を可能とした。
※ 出店エリアでの優越性を確保することを目的に、そのエリアに集中出店することで認知度を上げたり配送を効率化したりする出店方式で、エリアにおける収益の最大化を目的としている。
(2) 人材育成
既存店のクオリティ維持と新規出店の加速を両立するため、優秀な人材を適正数確保することが大きな課題である。同社はQSCAを徹底するため、従業員教育を内製化し、社内での研修体制を確立した。これにより店内の元気ある雰囲気やスムーズなオペレーションなど標準化されたサービスをどの店舗でも提供、店舗のクオリティを維持している。また、全店長が月に1度集まって店舗単位で課題解消などについてプレゼンし、成功事例の横展開を図っている。評価制度や表彰制度、インセンティブ制度、キャリアアップなどモチベーション向上のための制度もある。このように人材を育成し、それに合わせて多店舗出店をしているため、店舗数が多くなっても運営レベルの低い店が出ることはないようだ。逆に人材育成が間に合わないと、出店が未達になってしまうこともあるため、待遇改善や渋谷への本社移転、教育システムの改良、店舗運営体制の再検討などの施策によって従業員満足度を向上させ、採用力強化や離職率低下につなげている。
(3) PB商品
個人のラーメン店は通常、麺を製麺メーカーから仕入れるか店内で打ち、店内で生ガラからタレやスープを焚き出す。このため、高コストになるうえ2店舗目以降は味や品質が安定せず、多店舗展開によるメリットを得にくい。同社がこのような課題を乗り越え、多店舗展開に成功した理由の1つが、ラーメン店にとって最も重要な麺・タレ・スープ・チャーシューなどをPB商品化した点にある。PB商品化することによりクオリティを維持できるほか、コストの低減や供給の安定化といった効果が得られる。配送についても、物流コストの最適化、欠品リスクコントロール、配送品質の向上、店舗一括配送による店内作業の効率化、スケールメリットによる食材品質の向上を狙って、在庫機能のある自社物流センターを建設して集約している。これらの結果、店内ではラーメンをセットアップする作業のみとなり、1) 職人の養成を必要としない、2) 廃棄ロスが少ない、3) 水道光熱費が安い、4) 仕込みの人件費を抑えられる、5) 低コストで安定した配送が可能となる、6) 出店立地の制約が少ないといったメリットが得られる。
(4) チェーンストアシステム
同社の経営手法は、社長自らが科学的なアプローチを続けているところに特徴がある。それが、商品やオペレーション、製造・物流の継続的な改革を通じて仕組みを効率化するチェーンストアシステムで、同社の基本戦略を支える。商品面では、商品や調理方法を標準化・単純化することで、安定した品質の商品を提供することを目指す。具体的には、前述したようなPB商品化により仕込みや包丁作業など店内作業の軽減を図り、また、ABC分析※によりメニューをブラッシュアップして主力商品に集中することで、品質の安定と提供速度の向上を進めている。オペレーション面では、調理工程の簡略化や動線の改善などにより、商品ごと、従業員ごと、店舗ごとの品質や提供速度、サービスのばらつきを解消することを目指す。また、各店のパフォーマンスを最大化するため、フォーラムなどを通じて優れたオペレーションノウハウを全店で共有している。PB商品の拡大もオペレーションの改善につながっており、店内作業を大きく削減できた。製造・物流面では、多店舗展開に耐えられる体制を自社で構築することにより、製造能力と品質の向上、安定供給とコスト削減、配送頻度低減などのメリットを追求している。
※ 売上や販売個数など指標の重要度順にメニューを並べて分析することで、メニューの改廃などに生かす販売管理手法。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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1. 基本戦略
同社は、チェーンストアシステムをバックボーンに「出店戦略」「人材育成」「PB商品」を常に強化することで味・立地・サービスの掛け算を最大化し、事業拡大と運営体制強化を推進している。また、これに近代企業として欠かせない「DX推進」を加えた「事業拡大と運営体制強化+DX推進」を基本戦略に、中長期的な高収益・高成長を目指す。なお、「DX推進」では、顧客利便性の向上、社内・店頭作業の効率化、データ連携の強化を目指すが、特に足元で注力しているのがデータ連携の強化である。2年前に就任したCIOを中心に、社内の様々なシステムを連携した業務システムの構築を進めており、2024年10月期はペーパーを廃止してリアルタイムなデータベース連携が完了、2025年10月期にはデータ連携をブラッシュアップして、中期的にデータベースとシステムを有効活用していく計画である。
(1) 出店戦略
出店戦略のうち店舗開発は、社長と経験豊かな開発要員が担っている。出店する際、候補地の競合店状況、駅乗降客数、商圏人口、通行量・交通量などの立地特性やブランドとの相性、投資額などを独自基準と照合し総合的に判断するため、ヒットの確率は高くなる。また、「人口集中エリアとラーメン高消費エリアの直営店」及び「地方エリアのプロデュース店」と全国の出店エリアを分ける一方、出店判断についてはプロデュース店を含めて同社で一元的な意思決定を行う。立地の特徴としては、商品力が強いため1等地でなくても十分に収益を稼ぎ出すことができることから、駅近の裏通りや郊外の街道沿いといった立地も出店対象である。また、ドミナント出店※のため地盤の首都圏でも依然として出店余地は大きいが、一方で西日本や北関東・東北など地方での出店も積極的に進める。コロナ禍~アフターコロナと好調を継続している既存ブランドを中心に出店を進めていく計画だが、ラーメン業界が業態ごとに競合のないサブマーケットで構成されていることから、M&Aや業態開発により新業態の開発も積極的に取り組む。さらに、ラーメン業界のポテンシャルを取り切るためプロデュース店とのバッティングルールを見直し、プロデュース店商圏への異業態での出店を可能とした。
※ 出店エリアでの優越性を確保することを目的に、そのエリアに集中出店することで認知度を上げたり配送を効率化したりする出店方式で、エリアにおける収益の最大化を目的としている。
(2) 人材育成
既存店のクオリティ維持と新規出店の加速を両立するため、優秀な人材を適正数確保することが大きな課題である。同社はQSCAを徹底するため、従業員教育を内製化し、社内での研修体制を確立した。これにより店内の元気ある雰囲気やスムーズなオペレーションなど標準化されたサービスをどの店舗でも提供、店舗のクオリティを維持している。また、全店長が月に1度集まって店舗単位で課題解消などについてプレゼンし、成功事例の横展開を図っている。評価制度や表彰制度、インセンティブ制度、キャリアアップなどモチベーション向上のための制度もある。このように人材を育成し、それに合わせて多店舗出店をしているため、店舗数が多くなっても運営レベルの低い店が出ることはないようだ。逆に人材育成が間に合わないと、出店が未達になってしまうこともあるため、待遇改善や渋谷への本社移転、教育システムの改良、店舗運営体制の再検討などの施策によって従業員満足度を向上させ、採用力強化や離職率低下につなげている。
(3) PB商品
個人のラーメン店は通常、麺を製麺メーカーから仕入れるか店内で打ち、店内で生ガラからタレやスープを焚き出す。このため、高コストになるうえ2店舗目以降は味や品質が安定せず、多店舗展開によるメリットを得にくい。同社がこのような課題を乗り越え、多店舗展開に成功した理由の1つが、ラーメン店にとって最も重要な麺・タレ・スープ・チャーシューなどをPB商品化した点にある。PB商品化することによりクオリティを維持できるほか、コストの低減や供給の安定化といった効果が得られる。配送についても、物流コストの最適化、欠品リスクコントロール、配送品質の向上、店舗一括配送による店内作業の効率化、スケールメリットによる食材品質の向上を狙って、在庫機能のある自社物流センターを建設して集約している。これらの結果、店内ではラーメンをセットアップする作業のみとなり、1) 職人の養成を必要としない、2) 廃棄ロスが少ない、3) 水道光熱費が安い、4) 仕込みの人件費を抑えられる、5) 低コストで安定した配送が可能となる、6) 出店立地の制約が少ないといったメリットが得られる。
(4) チェーンストアシステム
同社の経営手法は、社長自らが科学的なアプローチを続けているところに特徴がある。それが、商品やオペレーション、製造・物流の継続的な改革を通じて仕組みを効率化するチェーンストアシステムで、同社の基本戦略を支える。商品面では、商品や調理方法を標準化・単純化することで、安定した品質の商品を提供することを目指す。具体的には、前述したようなPB商品化により仕込みや包丁作業など店内作業の軽減を図り、また、ABC分析※によりメニューをブラッシュアップして主力商品に集中することで、品質の安定と提供速度の向上を進めている。オペレーション面では、調理工程の簡略化や動線の改善などにより、商品ごと、従業員ごと、店舗ごとの品質や提供速度、サービスのばらつきを解消することを目指す。また、各店のパフォーマンスを最大化するため、フォーラムなどを通じて優れたオペレーションノウハウを全店で共有している。PB商品の拡大もオペレーションの改善につながっており、店内作業を大きく削減できた。製造・物流面では、多店舗展開に耐えられる体制を自社で構築することにより、製造能力と品質の向上、安定供給とコスト削減、配送頻度低減などのメリットを追求している。
※ 売上や販売個数など指標の重要度順にメニューを並べて分析することで、メニューの改廃などに生かす販売管理手法。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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