*12:07JST GMOーAP Research Memo(7):インターネットインフラ事業の「岩盤ストック収益」基盤を承継
■GMOアドパートナーズ<4784>の成長戦略
1. 2025年1月1日付けでインターネットインフラ事業の「岩盤ストック収益」基盤を承継
2024年6月25日付けで「GMOインターネットグループのインターネットインフラ事業の再編に係るGMOインターネットグループ(株)との吸収分割契約締結に関するお知らせ」を発表した。2024年9月11日開催の臨時株主総会での承認を経て、2025年1月1日付け(予定)で、親会社GMOインターネットグループ(株)のインターネットインフラ事業(ドメイン事業、クラウド・ホスティング事業、アクセス事業)及びインターネット広告・メディア事業を吸収分割によって同社が承継する。そして同社は商号を「GMOインターネット」へ変更し、上場市場を東証スタンダード市場から東証プライム市場へ変更する。
事業環境としてインターネット広告市場は拡大基調であるものの、検索エンジンにおけるアルゴリズムアップデート、Cookie規制による広告配信技術の変動、さらに生成AIの活用による広告制作・配信技術の進化など、事業環境の大幅な変化が進行しており、業界における淘汰・合従連衡を含む大きな変動も見込まれている。こうした事業環境に対して、GMOインターネットグループとしての連携を強化することにより、変化に対応したスピード感のある事業展開、AIや新たなテクノロジーを活用した商品開発、新たな市場機会増出、ストック商材開発、経営効率化など、再編によるグループシナジーによって持続的成長の実現を目指す。また、国内で幅広く認知されている「GMOインターネット」ブランドを活用するため、同社の商号を「GMOインターネット」へ変更する。
同社が承継する対象事業は、2023年12月期実績で売上高が615億円、営業利益が61億円の規模となる。ドメイン事業は国内最大級のドメイン公式登録サービス「お名前.com」など、クラウド・ホスティング事業はレンタルサーバー「ConoHa」など、アクセス事業はプロバイダサービス「GMOとくとくBB」などのストック商材を提供している。またインターネットインフラ事業の2024年6月末時点の収益基盤は、ドメイン事業の契約ドメイン数が435万件、クラウド・ホスティング事業の契約件数が49万件、アクセス事業の契約回線数が224万回線であり、GMOインターネットグループの強みである「岩盤ストック収益」基盤を担う事業である。「岩盤ストック収益」とは「無くならない、無くてはならない、かつ継続課金の商材」による収益を指している。さらにGMOインターネットグループ(株)は、NVIDIAの最新チップH200を採用した生成AI向けのGPUクラウドサービスを国内最速で2024年12月に提供予定であるなど、競争力を一段と強化している。こうしたインターネットインフラ事業と同社のマーケティングノウハウを組み合わせることでWeb集客を強化するとともに、インターネットインフラ事業の持つストック商材ノウハウを活用してインターネット広告事業のストック収益を拡充し、成長を加速させる方針だ。
なお、吸収分割にあたり、同社は対象事業の対価として同社普通株式257,941,328株をGMOインターネットグループ(株)に割当交付するため新たな普通株式を発行し、2025年1月1日の効力発生日時点で発行済株式総数は274,698,528株、流通株式比率は1.44%となる見込みである。同社は事業承継に伴って東証スタンダード市場から東証プライム市場へ市場変更する予定だが、東証プライム市場の上場維持基準のうち流通株式比率35%を充たさないため、上場維持基準適合のための改善期間である2026年12月末までに、同社株式の売出・買取・消却などの改善策の実施を検討する。また2025年1月以降の発行済株式総数の大幅な増加に備え、配当原資を確保するため資本金の額を500百万円に減少(2024年12月期第2四半期末時点では1,301百万円)する。勘定科目の振替処理であり純資産額に変動はない。
2. 弊社の視点
インターネットインフラ事業を承継することにより同社の事業内容・規模及び業績は様変わりするため、同社に対する評価の仕方も変わることになるだろう。弊社では、承継するインターネットインフラ事業だけでも安定的な成長が期待でき、さらにインターネットインフラ事業が持つ「岩盤ストック収益」基盤を活用することで、事業環境の変化が激しい同社のインターネット広告事業も、新たなストック商材開発や顧客獲得などのシナジー創出により、中長期的に新たな事業展開が期待できるだろうと考えている。2025年12月期の業績見通しは2024年12月期決算発表時に示される予定だが、その後に開示される予定の新たな成長加速戦略の内容(経営目標値、事業戦略、シナジーなど)に注目したいと考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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1. 2025年1月1日付けでインターネットインフラ事業の「岩盤ストック収益」基盤を承継
2024年6月25日付けで「GMOインターネットグループのインターネットインフラ事業の再編に係るGMOインターネットグループ(株)との吸収分割契約締結に関するお知らせ」を発表した。2024年9月11日開催の臨時株主総会での承認を経て、2025年1月1日付け(予定)で、親会社GMOインターネットグループ(株)のインターネットインフラ事業(ドメイン事業、クラウド・ホスティング事業、アクセス事業)及びインターネット広告・メディア事業を吸収分割によって同社が承継する。そして同社は商号を「GMOインターネット」へ変更し、上場市場を東証スタンダード市場から東証プライム市場へ変更する。
事業環境としてインターネット広告市場は拡大基調であるものの、検索エンジンにおけるアルゴリズムアップデート、Cookie規制による広告配信技術の変動、さらに生成AIの活用による広告制作・配信技術の進化など、事業環境の大幅な変化が進行しており、業界における淘汰・合従連衡を含む大きな変動も見込まれている。こうした事業環境に対して、GMOインターネットグループとしての連携を強化することにより、変化に対応したスピード感のある事業展開、AIや新たなテクノロジーを活用した商品開発、新たな市場機会増出、ストック商材開発、経営効率化など、再編によるグループシナジーによって持続的成長の実現を目指す。また、国内で幅広く認知されている「GMOインターネット」ブランドを活用するため、同社の商号を「GMOインターネット」へ変更する。
同社が承継する対象事業は、2023年12月期実績で売上高が615億円、営業利益が61億円の規模となる。ドメイン事業は国内最大級のドメイン公式登録サービス「お名前.com」など、クラウド・ホスティング事業はレンタルサーバー「ConoHa」など、アクセス事業はプロバイダサービス「GMOとくとくBB」などのストック商材を提供している。またインターネットインフラ事業の2024年6月末時点の収益基盤は、ドメイン事業の契約ドメイン数が435万件、クラウド・ホスティング事業の契約件数が49万件、アクセス事業の契約回線数が224万回線であり、GMOインターネットグループの強みである「岩盤ストック収益」基盤を担う事業である。「岩盤ストック収益」とは「無くならない、無くてはならない、かつ継続課金の商材」による収益を指している。さらにGMOインターネットグループ(株)は、NVIDIAの最新チップH200を採用した生成AI向けのGPUクラウドサービスを国内最速で2024年12月に提供予定であるなど、競争力を一段と強化している。こうしたインターネットインフラ事業と同社のマーケティングノウハウを組み合わせることでWeb集客を強化するとともに、インターネットインフラ事業の持つストック商材ノウハウを活用してインターネット広告事業のストック収益を拡充し、成長を加速させる方針だ。
なお、吸収分割にあたり、同社は対象事業の対価として同社普通株式257,941,328株をGMOインターネットグループ(株)に割当交付するため新たな普通株式を発行し、2025年1月1日の効力発生日時点で発行済株式総数は274,698,528株、流通株式比率は1.44%となる見込みである。同社は事業承継に伴って東証スタンダード市場から東証プライム市場へ市場変更する予定だが、東証プライム市場の上場維持基準のうち流通株式比率35%を充たさないため、上場維持基準適合のための改善期間である2026年12月末までに、同社株式の売出・買取・消却などの改善策の実施を検討する。また2025年1月以降の発行済株式総数の大幅な増加に備え、配当原資を確保するため資本金の額を500百万円に減少(2024年12月期第2四半期末時点では1,301百万円)する。勘定科目の振替処理であり純資産額に変動はない。
2. 弊社の視点
インターネットインフラ事業を承継することにより同社の事業内容・規模及び業績は様変わりするため、同社に対する評価の仕方も変わることになるだろう。弊社では、承継するインターネットインフラ事業だけでも安定的な成長が期待でき、さらにインターネットインフラ事業が持つ「岩盤ストック収益」基盤を活用することで、事業環境の変化が激しい同社のインターネット広告事業も、新たなストック商材開発や顧客獲得などのシナジー創出により、中長期的に新たな事業展開が期待できるだろうと考えている。2025年12月期の業績見通しは2024年12月期決算発表時に示される予定だが、その後に開示される予定の新たな成長加速戦略の内容(経営目標値、事業戦略、シナジーなど)に注目したいと考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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