*12:35JST はてな Research Memo(5):「GigaViewer」は大型アプリをリリース
■はてな<3930>の業績動向
2. サービス別売上動向
(1) テクノロジーソリューションサービス
テクノロジーソリューションサービスの売上高は、前期比13.7%増の2,309百万円と2ケタ増収ペースが続いた。「GigaViewer」を中心とした受託サービスが同25.5%増の1,560百万円と好調に推移したことが主因だ。四半期ベースの売上を見ると、第3四半期まで5億円台で推移していたが、第4四半期に704百万円と大きく伸張した。2024年3月28日にリリースした「少年ジャンプ+」(アプリ版、(株)集英社)※のレベニューシェアや運用料が第4四半期から売上貢献を開始したことが主因で、前四半期比の増収分の約半分を関連収入で占めたと見られる。
※ 「少年ジャンプ+」(アプリ版)は、ダウンロード数が2,800万超と業界最大のマンガビューワ。
「GigaViewer」に関しては、「少年ジャンプ+」(アプリ版)に加えて、Web版で新たに「コミック アース・スター」((株)アース・スター エンターテイメント)、「コミックバンチkai」((株)新潮社)、「OUR FEEL」((株)シュークリーム)の3つのサービスに搭載され、これら媒体の構築・運用保守サービスや読者確保のための広告出稿代理サービスも増収に寄与した。また、任天堂のソフト『スプラトゥーン3』のプライベートマッチ機能を利用した大会支援サービス「タイカイサポート」の開発・納品及び検収が完了し、増収に貢献したほか、KADOKAWAと共同開発する小説投稿サイト「カクヨム」で、書籍化前の人気作家の最新作を有料で読める読書サブスクリプションサービス「カクヨムネクスト」(月額980円)を2024年3月に提供開始した。
一方、SaaSビジネスとなるサーバー監視サービス「Mackerel」は同5.0%減の747百万円と微減に留まった。主要顧客における監視対象サーバー数の減少(顧客企業が提供するサービスの規模縮小による)やオンラインマーケティングによる新規顧客の獲得に苦戦したことが減収要因だ。ただ、2024年2月にAWSのパートナー認定取得※1や情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)認証を取得したほか、同年4月に(株)IDCフロンティア、同年7月にSCSK<9719>とそれぞれパートナー契約を結び、各社が提供するクラウドサービス※2に同社の「Mackerel」が採用されるなど、拡販に向けた取り組みは着実に進んだ。
※1 「AWS ISVワークロード移行プログラム」のパートナー認定を取得した。顧客のワークロードのAWSへの移行を加速させる戦略及び実行に貢献するとAWSが判断したサービスを認定するもので、日本企業で初めて取得した。エンタープライズ企業では、情報システムをAWSに移行するタイミングでシステムの運用手法についても見直すケースが多く、「Mackerel」の契約獲得の好機となる。
※2 IDCフロンティアでは、マネージドKubernetesサービス「IDCFクラウドコンテナ」、インメモリデータベースサービス「IDCFクラウドCasheDB」に「Mackerel」を採用。SCSKでは、新たに提供開始する統合監視サービス「MoniPro M」に「Mackerel」」を採用。
(2) コンテンツマーケティングサービス
コンテンツマーケティングサービスの売上高は前期比8.8%減の636百万円と2期連続の減収となった、売上高の内訳は、システム構築・利用料や記事制作支援等が含まれるSaaS等が同2.7%減の437百万円、「はてなブログ」等を活用した広告売上が同20.0%減の198百万円となり、広告売上の落ち込みが目立った。オウンドメディアを拡散するための広告出稿が一部の顧客において、広告・マーケティング予算の縮減により手控えられたことが主因だ。
「はてなブログMedia」の新規開設件数、解約件数はいずれも14件となり、期末運用件数で前期末比横ばいの142件となった。新規開設件数については前下期に採用目的のオウンドメディア開設の代理販売を開始した人材関連企業経由の新規開設がなかったこともあり前期比で17件減少し、ここ数年のなかでも低調な結果となった。一方、解約件数はほぼ例年並みのペースとなっており、年間解約率10%と前期の12%から低減した。
SaaS等の売上についても微減となったが、運用メディア1件当たりの平均月次売上高が低下したことが要因だ。月額システム利用料(7.7万円/月)のみとなる代理販売経由の案件が通年で寄与したことに加えて、記事制作などの追加発注が少ない新規メディアの件数が増加したことが影響した。広告収入も含めた運用件数当たりの平均月次売上高の半期推移を見ると、2022年7月期上期の580千円をピークに下落傾向となり、2024年7月期下期は前年同期比15.3%減の350百万円となった。
(3) コンテンツプラットフォームサービス
コンテンツプラットフォームサービスの売上高は前期比13.6%減の363百万円と3期連続の減収となった。「はてなブログ」の登録ユーザー数は前期末比33万人増の1,247万人と堅調に増加したものの、各種SNSの普及による競争激化によるアドネットワーク広告の単価下落が影響し、広告収入が同15.8%減の204百万円となったほか、「はてなブログPro」の契約件数減少によりSaaS等の売上も同10.5%減の159百万円と低迷した。
なお、ブログの書き手を増やす施策として、2023年6月よりCtoC課金サービスとして記事の有料販売機能※の提供を開始したほか、同年12月にはブログ作成支援として「AIタイトルアシスト」機能を実装した。生成AI技術を活用して、本文の内容を基に記事タイトルを作成・提案する機能である。いずれも売上面で顕著な効果は出ていないものの、今後も「はてなブログ」の活性化を図る新機能をリリースすることによって、売上の減少傾向に歯止めを掛けたい考えだ。
※ codoc(株)が提供するコンテンツ販売サービス「codoc」とアカウント連携することで、記事の単体販売及び月額・年額のサブスクリプションメニューの販売が可能となった。販売手数料15%を同社とcodocでレベニューシェアする。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2. サービス別売上動向
(1) テクノロジーソリューションサービス
テクノロジーソリューションサービスの売上高は、前期比13.7%増の2,309百万円と2ケタ増収ペースが続いた。「GigaViewer」を中心とした受託サービスが同25.5%増の1,560百万円と好調に推移したことが主因だ。四半期ベースの売上を見ると、第3四半期まで5億円台で推移していたが、第4四半期に704百万円と大きく伸張した。2024年3月28日にリリースした「少年ジャンプ+」(アプリ版、(株)集英社)※のレベニューシェアや運用料が第4四半期から売上貢献を開始したことが主因で、前四半期比の増収分の約半分を関連収入で占めたと見られる。
※ 「少年ジャンプ+」(アプリ版)は、ダウンロード数が2,800万超と業界最大のマンガビューワ。
「GigaViewer」に関しては、「少年ジャンプ+」(アプリ版)に加えて、Web版で新たに「コミック アース・スター」((株)アース・スター エンターテイメント)、「コミックバンチkai」((株)新潮社)、「OUR FEEL」((株)シュークリーム)の3つのサービスに搭載され、これら媒体の構築・運用保守サービスや読者確保のための広告出稿代理サービスも増収に寄与した。また、任天堂のソフト『スプラトゥーン3』のプライベートマッチ機能を利用した大会支援サービス「タイカイサポート」の開発・納品及び検収が完了し、増収に貢献したほか、KADOKAWAと共同開発する小説投稿サイト「カクヨム」で、書籍化前の人気作家の最新作を有料で読める読書サブスクリプションサービス「カクヨムネクスト」(月額980円)を2024年3月に提供開始した。
一方、SaaSビジネスとなるサーバー監視サービス「Mackerel」は同5.0%減の747百万円と微減に留まった。主要顧客における監視対象サーバー数の減少(顧客企業が提供するサービスの規模縮小による)やオンラインマーケティングによる新規顧客の獲得に苦戦したことが減収要因だ。ただ、2024年2月にAWSのパートナー認定取得※1や情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)認証を取得したほか、同年4月に(株)IDCフロンティア、同年7月にSCSK<9719>とそれぞれパートナー契約を結び、各社が提供するクラウドサービス※2に同社の「Mackerel」が採用されるなど、拡販に向けた取り組みは着実に進んだ。
※1 「AWS ISVワークロード移行プログラム」のパートナー認定を取得した。顧客のワークロードのAWSへの移行を加速させる戦略及び実行に貢献するとAWSが判断したサービスを認定するもので、日本企業で初めて取得した。エンタープライズ企業では、情報システムをAWSに移行するタイミングでシステムの運用手法についても見直すケースが多く、「Mackerel」の契約獲得の好機となる。
※2 IDCフロンティアでは、マネージドKubernetesサービス「IDCFクラウドコンテナ」、インメモリデータベースサービス「IDCFクラウドCasheDB」に「Mackerel」を採用。SCSKでは、新たに提供開始する統合監視サービス「MoniPro M」に「Mackerel」」を採用。
(2) コンテンツマーケティングサービス
コンテンツマーケティングサービスの売上高は前期比8.8%減の636百万円と2期連続の減収となった、売上高の内訳は、システム構築・利用料や記事制作支援等が含まれるSaaS等が同2.7%減の437百万円、「はてなブログ」等を活用した広告売上が同20.0%減の198百万円となり、広告売上の落ち込みが目立った。オウンドメディアを拡散するための広告出稿が一部の顧客において、広告・マーケティング予算の縮減により手控えられたことが主因だ。
「はてなブログMedia」の新規開設件数、解約件数はいずれも14件となり、期末運用件数で前期末比横ばいの142件となった。新規開設件数については前下期に採用目的のオウンドメディア開設の代理販売を開始した人材関連企業経由の新規開設がなかったこともあり前期比で17件減少し、ここ数年のなかでも低調な結果となった。一方、解約件数はほぼ例年並みのペースとなっており、年間解約率10%と前期の12%から低減した。
SaaS等の売上についても微減となったが、運用メディア1件当たりの平均月次売上高が低下したことが要因だ。月額システム利用料(7.7万円/月)のみとなる代理販売経由の案件が通年で寄与したことに加えて、記事制作などの追加発注が少ない新規メディアの件数が増加したことが影響した。広告収入も含めた運用件数当たりの平均月次売上高の半期推移を見ると、2022年7月期上期の580千円をピークに下落傾向となり、2024年7月期下期は前年同期比15.3%減の350百万円となった。
(3) コンテンツプラットフォームサービス
コンテンツプラットフォームサービスの売上高は前期比13.6%減の363百万円と3期連続の減収となった。「はてなブログ」の登録ユーザー数は前期末比33万人増の1,247万人と堅調に増加したものの、各種SNSの普及による競争激化によるアドネットワーク広告の単価下落が影響し、広告収入が同15.8%減の204百万円となったほか、「はてなブログPro」の契約件数減少によりSaaS等の売上も同10.5%減の159百万円と低迷した。
なお、ブログの書き手を増やす施策として、2023年6月よりCtoC課金サービスとして記事の有料販売機能※の提供を開始したほか、同年12月にはブログ作成支援として「AIタイトルアシスト」機能を実装した。生成AI技術を活用して、本文の内容を基に記事タイトルを作成・提案する機能である。いずれも売上面で顕著な効果は出ていないものの、今後も「はてなブログ」の活性化を図る新機能をリリースすることによって、売上の減少傾向に歯止めを掛けたい考えだ。
※ codoc(株)が提供するコンテンツ販売サービス「codoc」とアカウント連携することで、記事の単体販売及び月額・年額のサブスクリプションメニューの販売が可能となった。販売手数料15%を同社とcodocでレベニューシェアする。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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