*12:06JST 巴川紙 Research Memo(6):商号変更を実施し事業ポートフォリオの転換で新たな成長を目指す(1)
■巴川コーポレーション<3878>の中期の成長戦略
1. 修正第8次中期経営計画で2026年3月期に売上高400億円、営業利益35億円を目指す
同社は2024年6月、創業から110年を迎えた。「紙」から始まった事業が、現在ではトナー事業や半導体関連事業が主力事業となった。さらに抄紙と塗工技術を生かしつつ5GやDXを支える各種製品開発を推進するなど、事業ポートフォリオの転換を加速している。持続的な企業成長を目指し2023年7月に修正第8次中期経営計画を発表、また事業ポートフォリオの転換進展で「化学関連事業」の売上高割合が高まり、証券コード協議会が設定した「業種別分類に関する取扱要領」の所属業種変更基準に該当し、2023年10月2日より「化学」に業種変更となった。なお修正中期経営計画では2026年3月期を最終年度として売上高400億円、営業利益35億円を目標として掲げ、新製品売上比率を2023年3月期の17%から24%、半導体市場向け売上高を40億円から69億円に拡大することを柱とした計画を打ち出した。
2. 修正計画の主要課題
今回の修正計画では主要課題として以下の6つの課題を提示している。
(1) 構造改革の進展で厳しい事業環境の中でも利益を生み出せる「トナー事業」や、市場において確固たる地位を持つ「半導体実装用テープビジネス」が業績をけん引し、子会社の「セキュリティメディア事業」、「ガムテープビジネス」、「紙加工ビジネス」が、独自性を活かしながら安定的に業績を支え収益構造を強固にする。
(2) 低成長収益事業である塗工紙、製紙事業は、生産拠点の統廃合、人的資源の再編・適正化によるさらなる構造改革で損益改善を図る。
(3) 半導体市場向けや環境配慮型製品を中心に新製品売上高・比率ともに成長を目指す。2024年3月期の売上高は期初計画で72億円を目指していたが、特にトナー事業の不振で9億円減額となり63億円にとどまった。機能性シート事業についても中国の不振が影響し、計画16億円に対し8億円と8億円未達となった。一方、半導体・ディスプレイ関連事業は半導体向けを中心に計画15億円に対し21億円と6億円の上振れ着地となっている。2025年3月期の売上高については上市後4年を経過した製品が多く、新製品は横ばいを見込んでいる。半導体・ディスプレイ関連事業は新技術を生かした「新型静電チャック」の開発方針見直しが響いている模様で、14億円(前期比7億円減)の見通し。一方、機能性シート事業は13億円(前期比5億円増)と挽回が見込まれている。なお2026年3月期については半導体・ディスプレイ関連事業でフレキシブル面状ヒーターなどが本格拡大するなど、新製品売上が大きく伸びる見通しで、売上高90億円〜100億円を想定している。
新事業については「熱・電気・電磁波コントロール」、「省資源・省エネルギー等の環境配慮」のニーズに応える新製品の開発を進めている。「新型静電チャック」について開発を中断することになり、今後の展開を見直すが、一方で「フレキシブル面状ヒーター」は独自開発品でもあり計画を上回る引き合いが来ている模様。
(4) 研究開発費については、売上高比5〜6%、単体従業員数の30%以上を成長分野(半導体関連部品事業、機能性不織布事業)をはじめとする開発活動に投入する計画。また成長分野への戦略的設備投資を実行するとともに、インオーガニックな成長のために「アライアンス戦略」もプラスアルファとして考慮する。
(5) SX戦略、方針の戦略への落とし込み
(6) DX戦略、DXによる業務革新と生産性向上
(執筆:フィスコ客員アナリスト 岡本 弘)
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1. 修正第8次中期経営計画で2026年3月期に売上高400億円、営業利益35億円を目指す
同社は2024年6月、創業から110年を迎えた。「紙」から始まった事業が、現在ではトナー事業や半導体関連事業が主力事業となった。さらに抄紙と塗工技術を生かしつつ5GやDXを支える各種製品開発を推進するなど、事業ポートフォリオの転換を加速している。持続的な企業成長を目指し2023年7月に修正第8次中期経営計画を発表、また事業ポートフォリオの転換進展で「化学関連事業」の売上高割合が高まり、証券コード協議会が設定した「業種別分類に関する取扱要領」の所属業種変更基準に該当し、2023年10月2日より「化学」に業種変更となった。なお修正中期経営計画では2026年3月期を最終年度として売上高400億円、営業利益35億円を目標として掲げ、新製品売上比率を2023年3月期の17%から24%、半導体市場向け売上高を40億円から69億円に拡大することを柱とした計画を打ち出した。
2. 修正計画の主要課題
今回の修正計画では主要課題として以下の6つの課題を提示している。
(1) 構造改革の進展で厳しい事業環境の中でも利益を生み出せる「トナー事業」や、市場において確固たる地位を持つ「半導体実装用テープビジネス」が業績をけん引し、子会社の「セキュリティメディア事業」、「ガムテープビジネス」、「紙加工ビジネス」が、独自性を活かしながら安定的に業績を支え収益構造を強固にする。
(2) 低成長収益事業である塗工紙、製紙事業は、生産拠点の統廃合、人的資源の再編・適正化によるさらなる構造改革で損益改善を図る。
(3) 半導体市場向けや環境配慮型製品を中心に新製品売上高・比率ともに成長を目指す。2024年3月期の売上高は期初計画で72億円を目指していたが、特にトナー事業の不振で9億円減額となり63億円にとどまった。機能性シート事業についても中国の不振が影響し、計画16億円に対し8億円と8億円未達となった。一方、半導体・ディスプレイ関連事業は半導体向けを中心に計画15億円に対し21億円と6億円の上振れ着地となっている。2025年3月期の売上高については上市後4年を経過した製品が多く、新製品は横ばいを見込んでいる。半導体・ディスプレイ関連事業は新技術を生かした「新型静電チャック」の開発方針見直しが響いている模様で、14億円(前期比7億円減)の見通し。一方、機能性シート事業は13億円(前期比5億円増)と挽回が見込まれている。なお2026年3月期については半導体・ディスプレイ関連事業でフレキシブル面状ヒーターなどが本格拡大するなど、新製品売上が大きく伸びる見通しで、売上高90億円〜100億円を想定している。
新事業については「熱・電気・電磁波コントロール」、「省資源・省エネルギー等の環境配慮」のニーズに応える新製品の開発を進めている。「新型静電チャック」について開発を中断することになり、今後の展開を見直すが、一方で「フレキシブル面状ヒーター」は独自開発品でもあり計画を上回る引き合いが来ている模様。
(4) 研究開発費については、売上高比5〜6%、単体従業員数の30%以上を成長分野(半導体関連部品事業、機能性不織布事業)をはじめとする開発活動に投入する計画。また成長分野への戦略的設備投資を実行するとともに、インオーガニックな成長のために「アライアンス戦略」もプラスアルファとして考慮する。
(5) SX戦略、方針の戦略への落とし込み
(6) DX戦略、DXによる業務革新と生産性向上
(執筆:フィスコ客員アナリスト 岡本 弘)
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