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最新投稿日時:2024/09/17 10:40 - 「企業報告を投資に活かす」(みんかぶ株式コラム)

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企業報告を投資に活かす

著者:鈴木 行生
投稿:2024/09/17 10:40

・企業価値創造にとって重要なことは何か。企業価値創造とは中長期の金儲けであり、そのために重要なことをマテリアリティという。こういうと分かり易いが異論もあろう。

・社会的な価値がなければ中長期的に持続できないし、経済的価値が十分でなければ、やはり持続できない。経済的価値優先ではないが、中長期の金儲けには社会的価値は当然含んでいる。

・価値を創るには、企業としての何らかの仕組みが必要で、その仕組みがビジネスモデルである。価値創造の仕組み(ビジネスモデル)が今ピカピカに輝いていればよいが、多くの企業は課題を抱えている。

・自社の特色と強みを踏まえながら、今後の経営環境を想定して、将来のありたい姿をイメージする。この構想がどこまで描けるか。社長ひとりで描くのか、社員一人ひとりが関わっていくのか。ここにも社風が出てくる。

・将来のありたい姿をビジョンとして掲げ、自社の存在意義(パーパス)を明確に位置付ける。それを実現するためのビジネスモデルをBM2とする。今のビジネスモデルBM1に対して、BM2は明らかにもっと輝くものになるはずである。

・それを実現するために大事なもの(マテリアリティ)は何か。自社にとって重要なこと、投資家にとって重要なこと、を両サイドから見定めていく。BM2を実現するために、BM1で足らないものを、いかに手に入れ作り上げていくか。その方策を戦略という。

・この戦略を立案して、実行していく。それを遂行する経営者の経営能力は十分か。十分でなければ、交替して新しい経営者にリーダーシップを発揮してもらう。取締役会はそれを担うガバナンスを発揮できるか。ここを知りたい。

・新しい戦略にとって、イノベーションは不可欠である。イノベーションは成長戦略の要であり、技術革新にとどまらず、新しい仕組みの開発、組織は人材の革新を意味する。改善や改良ではない。全く新しい仕組みを創り上げて、世の中をリードすることを狙う。

・新しいことに挑戦しなければ、大きな価値を得られない。一方で、新しいことにはリスクが伴う。何事にもリスクはつきものである。リスクをとらなければ、リターンは得られない。しかし、会社が負担しきれない重大なリスクを抱えるようでは危うい。

・自社が遂行する戦略に、この重大なリスクが隠れていないか。リスクを認識して、そのリスクを担う覚悟を定めておくこと、そのリスクを回避する方策を考えておくことも求められる。これも戦略の1つである。

・非財務情報であるESGも含めて、企業が公表する統合報告書、サステナビリティ報告書、有価証券報告書に目を通して、価値創造の仕組みを確認したい。注意すべきことは、こうした企業報告には、会社として分かったことしか書いていない。

・まだ十分立案できていないこと、気が付いていないことは記載されない。よって、書いていないことは、その会社の弱みであると認識しておいた方がよい。その上で、機会あるごとにフォローしていく必要がある。さらに、記載されていることは本当か、正確であるか、という点で、何らかの保証もほしい。

・ESGについては、それがBMに組み込まれているか。つまり、価値創造に貢献するようなレベルで、組織に組み込まれて、機能しているかを問いたい。Gのガバナンスにおいて、社外取締役は取締役会を活性化させて、戦略が迅速に実行されているか。

・Sの社会では、人材が活かされ、バリューチェーンでのつながりとして機能しているか。Eの環境では、気候変動でスコープ3を視野に入れて、バリューチェーンを回しているか。ESGが企業のサステナビリティにどれだけ貢献しているかを知りたいのである。

・BMは一般論ではなく、自社の独自性、こだわりをしっかり示してほしい。KPIを定量的に掲げてほしいが、そこでは一貫性、最適性、比較可能性がほしい。

・つまり、データとして継続性があり、それが良さを示す指標であって、しかも比較ができるような内容であることが望ましい。投資家が望むからではなく、そうなっていないと、自社のマネジメントにおいてもKPIとして使えないからである。

・投資家としては、企業報告をどのように活用していくか。四半期毎の決算短信をベースにした決算説明会は、個人投資家(株主)もリモートで視聴したい。四半期なので、CFOやIR責任者による説明で十分である。

・半期毎には、社長/CEOが説明会に出て、今後の経営環境や戦略の遂行、中期計画の進捗などについて話してほしい。

・年に1回は、有報、統合報告、サステナビリティ報告も入れて、社長及び各々の担当のトップから中長期の見解を聞きたい。文字のレポートは大事であるが、やはりマネジメントからの生の声も理解を深めるには不可欠である。

・今やステークホールダーはマルチである。即ち、社員であると同時に株主である。自社だけでなく、世の中で有望と見られる企業の株主として、その会社の価値創造に参加していく。

・また、バリューチェーンやコミュニティの中で、各々の価値創造にも関わっていく。投資家や株主はすでに多面的な顔をもち、役割を担っている。企業報告の重要性は一段と高まっている。誰が読んでいるかではなく、誰にでもみられている、という局面にある。

・ピンときた会社の企業報告に目を通しつつ、まずは少数株主として関わっていきたい。投資のスタート、投資家としてのリスキリングはここから始まろう。

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配信元: みんかぶ株式コラム

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