*13:01JST サイジニア Research Memo(1):2024年6月期の営業増益予想を上方修正。子会社合併で収益向上し成長に弾み
■要約
1. 一気通貫したハイエンドなCX改善サービスを提供。顧客に有力小売企業が多い
サイジニア<6031>は、ECサイトの利便性を向上するCX(顧客体験)改善の分野を事業領域に、EC事業者に対してECサイト内検索エンジンなどデジタルマーケティングサービスを提供している。なかでも主軸である子会社のZETA(株)は、EC全般に対応可能な一気通貫したハイエンドサービス「ZETA CXシリーズ」を提供しており、顧客に有力な小売企業が多いことが特長となっている。国内インターネット広告市場とデジタルマーケティング市場は変化が激しいが、いずれの市場も中長期的な成長が見込まれており、CX改善サービスの需要も順調に拡大している。なお、クッキー規制※を背景にリターゲティング広告が縮小していることから、構造改革の一環として、2023年7月にネット広告サービスを事業売却した。
※クッキー規制:3PC(3rd Party Cookie)は他社サイトを含むWebサイト閲覧者の行動をトラッキングできる技術で、リターゲティング広告などに広く普及している。しかし、ユーザーのプライバシー保護の観点から3PCの利用に制限が求められており、利用が制限された場合、多くのWebマーケティング企業やターゲティング広告などのサービスに影響が及ぶことが予想されている。なお、影響は小さいが、自社サイトでの行動履歴である1st Party Cookieも規制に含まれる。
2. 最大の強みがハイエンド製品。本来の意味でのリテールメディア広告はブルーオーシャン
ZETAはコマースとCXのリーディングカンパニーで、ストック型の高収益・高成長企業である。強みは、ハイエンドな製品、自社開発でストック型収益のため粗利率上昇が加速しやすいビジネスモデル、製品の複数導入につながる一気通貫したサービスなどである。なかでも最大の強みが、ECサイトの媒体価値を高めECサイトの成長に合わせて対応が可能な、高速で大量処理、多機能なハイエンド製品にある。数年前からリテールメディア広告が注目されているが、これは、単にECサイトに広告を掲載することではなく、同社の「ZETA AD」のようなECサイト内検索連動型広告を指す。高度な機能や手間をかけた運営支援が必要となるため、同社以外ほとんど参入していないもようで、ブルーオーシャンのうえ成長余地も大きいと見られる。
3. 新規顧客増、既存顧客による複数製品採用、新製品好調によりZETAが連結業績をけん引
2024年6月期第3四半期の業績は、売上高1,012百万円(前年同期比39.9%減)、営業利益82百万円(同7.9%増)となった。ネット広告サービス事業譲渡の影響はあったが、ZETAの2024年5月期第3四半期の業績が、売上高906百万円(前年同期比32.6%増)、営業利益247百万円(同100.8%増)と引き続き高成長を持続し、連結業績をけん引した。主力の「ZETA SEARCH」をはじめ既存製品の新規契約が着実に増えていることに加え、クロスセル戦略により複数製品を採用する既存顧客が増加したことも要因である。また、クッキー規制による追い風などを背景に「ZETA AD」もリリースして8年経ってようやく時代が追いつき、活用するEC事業者が急速に増え、第2の柱として急成長を開始した「ZETA HASHTAG」も収益を押し上げた。
4. 2024年6月期の営業増益予想を上方修正。2025年6月期には子会社を吸収合併へ
同社は2024年6月期の業績について、売上高1,730~1,790百万円(前期比29.0%減~26.6%減)、営業利益490~545百万円(同28.7%増~43.1%増)と、前期比で減収ながら大幅な増益を見込んでいる。なお、CX改善サービスへのシフトが想定以上に加速している状況を考慮し、Yext社からの仕入販売の低迷を織り込んで売上高は若干下方修正したが、CX改善サービスの好調と「ZETA AD」の増益貢献を受けて営業増益を上方修正した※。また、中期経営計画を上回る成長によって株主価値の増大を図るため、2024年10月1日付けでZETA(株)とデクワス(株)を吸収合併することとした。これにより分散している経営資源をZETAに集中し、業務の最適化と意思決定プロセスの迅速化を推進して収益向上を目指す。また、商号を「ZETA株式会社」に変更し、ブランディングを強化する。株主還元については、自己株式取得及び初配当に続いて増配や株式分割を予定しており、引き続き積極的に実施する方針である。
※期初予想は売上高1,800百万円、営業利益470百万円。また、業績予想の修正は2024年6月28日に発表。
■Key Points
・強みのハイエンドCX改善サービスを一気通貫で提供。リテールメディア広告には大きな成長可能性
・2024年6月期第3四半期は、複数製品採用や新製品の好調などによりZETAがけん引
・CX改善サービス好調と「ZETA AD」の増益貢献で、2024年6月期の営業増益予想を上方修正
・2024年10月に子会社を吸収合併し、収益向上とブランド強化により中期成長に弾みをつける。株主還元にも積極的
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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1. 一気通貫したハイエンドなCX改善サービスを提供。顧客に有力小売企業が多い
サイジニア<6031>は、ECサイトの利便性を向上するCX(顧客体験)改善の分野を事業領域に、EC事業者に対してECサイト内検索エンジンなどデジタルマーケティングサービスを提供している。なかでも主軸である子会社のZETA(株)は、EC全般に対応可能な一気通貫したハイエンドサービス「ZETA CXシリーズ」を提供しており、顧客に有力な小売企業が多いことが特長となっている。国内インターネット広告市場とデジタルマーケティング市場は変化が激しいが、いずれの市場も中長期的な成長が見込まれており、CX改善サービスの需要も順調に拡大している。なお、クッキー規制※を背景にリターゲティング広告が縮小していることから、構造改革の一環として、2023年7月にネット広告サービスを事業売却した。
※クッキー規制:3PC(3rd Party Cookie)は他社サイトを含むWebサイト閲覧者の行動をトラッキングできる技術で、リターゲティング広告などに広く普及している。しかし、ユーザーのプライバシー保護の観点から3PCの利用に制限が求められており、利用が制限された場合、多くのWebマーケティング企業やターゲティング広告などのサービスに影響が及ぶことが予想されている。なお、影響は小さいが、自社サイトでの行動履歴である1st Party Cookieも規制に含まれる。
2. 最大の強みがハイエンド製品。本来の意味でのリテールメディア広告はブルーオーシャン
ZETAはコマースとCXのリーディングカンパニーで、ストック型の高収益・高成長企業である。強みは、ハイエンドな製品、自社開発でストック型収益のため粗利率上昇が加速しやすいビジネスモデル、製品の複数導入につながる一気通貫したサービスなどである。なかでも最大の強みが、ECサイトの媒体価値を高めECサイトの成長に合わせて対応が可能な、高速で大量処理、多機能なハイエンド製品にある。数年前からリテールメディア広告が注目されているが、これは、単にECサイトに広告を掲載することではなく、同社の「ZETA AD」のようなECサイト内検索連動型広告を指す。高度な機能や手間をかけた運営支援が必要となるため、同社以外ほとんど参入していないもようで、ブルーオーシャンのうえ成長余地も大きいと見られる。
3. 新規顧客増、既存顧客による複数製品採用、新製品好調によりZETAが連結業績をけん引
2024年6月期第3四半期の業績は、売上高1,012百万円(前年同期比39.9%減)、営業利益82百万円(同7.9%増)となった。ネット広告サービス事業譲渡の影響はあったが、ZETAの2024年5月期第3四半期の業績が、売上高906百万円(前年同期比32.6%増)、営業利益247百万円(同100.8%増)と引き続き高成長を持続し、連結業績をけん引した。主力の「ZETA SEARCH」をはじめ既存製品の新規契約が着実に増えていることに加え、クロスセル戦略により複数製品を採用する既存顧客が増加したことも要因である。また、クッキー規制による追い風などを背景に「ZETA AD」もリリースして8年経ってようやく時代が追いつき、活用するEC事業者が急速に増え、第2の柱として急成長を開始した「ZETA HASHTAG」も収益を押し上げた。
4. 2024年6月期の営業増益予想を上方修正。2025年6月期には子会社を吸収合併へ
同社は2024年6月期の業績について、売上高1,730~1,790百万円(前期比29.0%減~26.6%減)、営業利益490~545百万円(同28.7%増~43.1%増)と、前期比で減収ながら大幅な増益を見込んでいる。なお、CX改善サービスへのシフトが想定以上に加速している状況を考慮し、Yext社からの仕入販売の低迷を織り込んで売上高は若干下方修正したが、CX改善サービスの好調と「ZETA AD」の増益貢献を受けて営業増益を上方修正した※。また、中期経営計画を上回る成長によって株主価値の増大を図るため、2024年10月1日付けでZETA(株)とデクワス(株)を吸収合併することとした。これにより分散している経営資源をZETAに集中し、業務の最適化と意思決定プロセスの迅速化を推進して収益向上を目指す。また、商号を「ZETA株式会社」に変更し、ブランディングを強化する。株主還元については、自己株式取得及び初配当に続いて増配や株式分割を予定しており、引き続き積極的に実施する方針である。
※期初予想は売上高1,800百万円、営業利益470百万円。また、業績予想の修正は2024年6月28日に発表。
■Key Points
・強みのハイエンドCX改善サービスを一気通貫で提供。リテールメディア広告には大きな成長可能性
・2024年6月期第3四半期は、複数製品採用や新製品の好調などによりZETAがけん引
・CX改善サービス好調と「ZETA AD」の増益貢献で、2024年6月期の営業増益予想を上方修正
・2024年10月に子会社を吸収合併し、収益向上とブランド強化により中期成長に弾みをつける。株主還元にも積極的
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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