S&P500月例レポート(24年6月配信)<前編>

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最新投稿日時:2024/06/19 11:40 - 「S&P500月例レポート(24年6月配信)<前編>」(みんかぶ株式コラム)

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S&P500月例レポート(24年6月配信)<前編>

S&P500月例レポートでは、S&P500の値動きから米国マーケットの動向を解説します。市場全体のトレンドだけではなく、業種、さらには個別銘柄レベルでの分析を行い、米国マーケットの現状を掘り下げて説明します。

THE S&P 500 MARKET:2024年5月
個人的見解:「自力で立ち上がり、再びレースに挑んでいく」、それが市場というものだ……

 今回は最高値更新までに本当に長い時間がかかりました。実際には48日(営業日ベースでは33日)だったのですが、もっと長くかかったように思われます。S&P500指数は4月の値下がり分(4.16%下落)を取り戻し、今年に入って23回目となる終値での最高値を更新しました(5月15日の水曜日の5308.15。前回の最高値更新は3月28日の5254.35)。株式市場は堅調な上昇基調を辿りました。週次騰落率は5週連続でプラスとなり(累計上昇率6.79%)、5300台を突破(5月16日の日中高値は5325.49)して、再び終値での最高値を更新しました(5月21日に年初来で24回目の最高値となる5321.41を記録)。しかしながら、5月の最終週になると小幅反落しました(0.51%下落)。(古き良き)利食い売りが出たようです(5月最終営業日の午後には買いが戻り、前日比0.84%の下落から同0.80%の上昇まで回復して月の取引を終えました)。S&P500指数は5月に4.80%上昇して5277.51で月を終えました(5月中に騰落率が5.67%まで上昇する場面もありました)。市場は4月の4.16%の下落分を優に取り戻し、年初来の上昇率は10.64%となりました(5月の取引最終日の終値は終値での最高値から0.83%下落)。

 ダウ・ジョーンズ工業株平均(ダウ平均)も5月15日に3万9908.00ドル、5月17日に4万0003.59ドルと、5月中に2回、最高値を更新しました(終値で4万ドルを超えたのは17日だけでした。なお、16日には日中高値で4万0051.05ドルをつけました)。5月は2.30%上昇の3万8686.32ドルで取引を終え、年初来の騰落率は2.64%の上昇となりました。

インデックスの動き

 ○5月は再び常勝街道に回帰しました(4.80%上昇、配当込みのトータルリターンはプラス4.96%)。限定的ながら広範囲にわたって下落した4月の値下がり分(4.16%下落、同マイナス4.08%)を優に取り戻しただけではなく、大幅高となった2024年1-3月期のリターン(10.16%上昇、同プラス10.56%)から上昇率をさらに拡大させ、年初来の上昇率を10.64%(同プラス11.30%)としました。これを年率換算すると、27.11%の上昇(同プラス28.90%)に相当します。5月は22営業日中14営業日で上昇し(4月は22営業日中9営業日。年初来では105営業日中56営業日)、11セクター中10セクターが上昇しました(4月は1セクターのみが上昇しました)。5月は再び値上がり銘柄数が増加して、値下がり銘柄数を大きく上回りました(値上がり銘柄数は327銘柄、値下がり銘柄数は176銘柄。これに対して4月は値上がり銘柄数が118銘柄、値下がり銘柄数が385銘柄)。出来高は前月比で4%増、前年同月比では4%減でした。

 ○S&P500指数の時価総額は5月に2兆630億ドル増加(4月は1億8430億ドル減少)して、44兆2970億ドルとなりました。年初来では4兆2580億ドル増加しました。2023年は7兆9060億ドルの増加、2022年は8兆2240億ドルの減少でした。

  ⇒ダウ平均も5月に2回最高値を更新し、2.30%上昇して(配当込みのトータルリターンはプラス2.58%)、3万8686.32ドルで月を終えました。4月は5.00%下落して(同マイナス4.92%)して、3万7815.92ドルで月を終えました。年初来では2.64%の上昇(同プラス3.52%)、過去1年のリターンは17.56%の上昇(同プラス19.97%)、2023年は13.70%の上昇(同プラス16.18%)、2022年は8.78%の下落(同マイナス6.86%)となりました。

 ○5月の日中ボラティリティ(日中の値幅を安値で除して算出)は0.77%と、4月の1.13%から大幅に低下し、年初来では0.84%となっています。なお、2023年通年は1.04%、2022年は1.83%、2021年は0.97%、2020年は1.51%でした(長期平均は1.42%)

 ○5月の出来高は4月の前月比14%減少の後に、同4%増加し(営業日数調整後)、前年同月比では4%減少しました。2024年5月までの12ヵ月間では前年同期比5%増加しています。2023年通年では前年比1%減で、2022年通年では同6%増でした。

 ○5月は1%以上変動した日数は22営業日中3日(上昇が3日、下落はなし)で、2%以上上昇した営業日はありませんでした。4月は1%以上変動した日数は22営業日中7日(上昇が3日、下落が4日)でした。年初来では、1%以上変動した日数は20日(上昇が13日、下落が7日)で、2%以上変動した日数は1日(上昇)でした。2023年通年は、1%以上変動した日数が250営業日中63日(上昇が37日、下落が26日)、2%以上変動した日数が2日(上昇が1日、下落が1日)でした。5月は22営業日中4日で日中の変動率が1%以上となり、2%以上変動した日はありませんでした。対して4月は1%以上の変動が22営業日中12日で、2%以上変動した日数は2日でした。年初来では、29日で日中の変動率が1%以上となり、2%以上変動した日数は2日ありました。

 2023年通年では1%以上の変動が113日、2%以上の変動が13日で、3%以上の変動はありませんでした(直近で3%以上の変動があったのは2022年11月30日)。2022年は1%以上の変動が219日、2%以上の変動が89日、3%以上の変動が20日でした(4%以上の変動が4日、5%以上の変動が1日)。

 過去の実績を見ると、5月は59.4%の確率で上昇し、上昇した月の平均上昇率は3.02%、下落した月の平均下落率は4.68%、全体の平均騰落率は0.11%の下落となっています(2月の平均が0.06%の下落、9月が1.16%の下落、他の9ヵ月は上昇、12月が最も良く1.70%の上昇)。2024年5月のS&P500指数は4.80%の上昇でした。

 6月は56.3%の確率で上昇し、上昇した月の平均上昇率は3.89%、下落した月の平均下落率は3.30%、全体の平均騰落率は0.75%の上昇となっています。

 今後の米連邦公開市場委員会FOMCのスケジュールは、2024年は6月11日-12日、7月30日-31日、9月17日-18日、11月6日-7日、12月17日-18日となっています。

主なポイント

 ○5月は再び常勝街道に回帰しました(4.80%上昇、配当込みのトータルリターンは4.96%)。限定的とはいえ広範な銘柄の株価が下落した4月の値下がり分(4.16%下落、同マイナス4.08%)を取り返しただけではなく、2024年第1四半期のリターン(10.16%上昇、配当込みのトータルリターンは10.56%)にさらに上乗せとなって年初来上昇率を10.64%(同プラス11.30%)としました。これを年率換算すると27.11%の上昇(同プラス28.87%)に相当します。

 市場は引き続き政策金利が長期間にわたって高止まりすることを受け入れており、連邦準備制度理事会(FRB)による最初の利下げ(0.25%)は9月になるとの予想を(辛うじてではありますが)維持しています。また、先物市場は年内に2回目の利下げがあることを織り込んだ動きを見せています(とはいえ、先物にはヘッジやポジション調整の動きも反映されることも広く指摘されています)。要するに、米国経済と雇用(個人消費を下支えしているほか、税収を通じて、財政赤字が続く政府支出の一部分の下支えを含めて)が底堅さを維持している限り、市場はFRBが思うように政策運営を進めていくことに異論はないようです(利上げについては議論しなかったというパウエル議長の発言を都合良く受け止めて以降、こうした傾向が強まりました)。

 マグニフィセント・セブン銘柄に関して言えば、(年初来で株価が28.3%下落しているテスラと同0.1%下落しているアップルを含めてもなお)これら7銘柄の市場への影響力は依然として大きく、S&P500指数の年初来上昇率に占める割合は56%となっています。また、7銘柄の5月の平均騰落率はプラス8.1%となり、市場(平均騰落率はプラス2.6%で、米国市場は依然として上昇がなお上位銘柄に集中している状態にあります)をアウトパフォームしたという明確なデータもあります。運用担当者もこれら7銘柄への投資を継続しています(なお、株式やオプションを通じて各銘柄を個人的に売買することはあるようです)。

 ○5月の主なデータ

  ⇒S&P500指数は4月の下落(5000台を割り込み、下値を試す場面もありました)から一転して、5月に入ると常勝街道に回帰しました(最高値を2回更新し、5300台を突破しました)。4月は広範な銘柄が売られましたが(4.16%下落)、5月は大幅上昇(4.80%上昇)となりました。3月までは5ヵ月連続で上昇し(累計で25.29%上昇)、それ以前は3ヵ月連続で下落(累計で8.61%下落)しました。さらにその前は5ヵ月連続で上昇していました(累計で15.59%上昇)。こうした指数の動きは相場(と景気に対する認識)が大きく揺れ動いていたことを反映しています。

 5月は22営業日のうち14営業日で上昇し(4月は22営業日のうち9営業日)、10セクターが上昇しました(4月は1セクターのみが上昇、3月と2月は全11セクターが上昇しました)。5月は再び値上がり銘柄数が増加し、値下がり銘柄数を大きく上回りました(値上がり銘柄数は327銘柄、値下がり銘柄数は176銘柄。これに対して4月は値上がり銘柄数が118銘柄、値下がり銘柄数が385銘柄)。出来高は前月比で4%増、前年同月比では5%減でした。

   →5月は11セクターのうち10セクターが上昇しました。4月は1セクターのみの上昇で、3月と2月は全11セクターが上昇しました。5月のパフォーマンスが最高となったのは情報技術で、9.95%上昇しました(年初来では16.93%上昇、2021年末比では30.00%上昇)。パフォーマンスが最低(かつ5月に唯一下落したセクター)だったのはエネルギーで、0.97%下落しました(同10.62%上昇、同67.49%上昇)。

  ⇒S&P500指数は4.80%上昇して5277.51(月中に付けた終値での最高値は5321.41)で取引を終えました(配当込みのトータルリターンはプラス4.96%)。4月は5035.69で月を終え、4.16%下落しました(同マイナス4.08%)。3月は5254.35で月を終え、3.10%上昇しました(同プラス3.22%)。年初来では10.64%の上昇となりました(同プラス11.30%)。過去3ヵ月では3.56%上昇(同プラス3.91%)、過去1年では26.26%上昇しました(同プラス28.19%)。2023年通年は24.23%の上昇(同プラス26.29%)、2022年通年は19.44%の下落でした(同マイナス18.11%)。

   →2024年5月にS&P500指数は終値での過去最高値を2回更新しました。4月は更新できませんでしたが、3月は8回、2月も8回、1月は6回、過去最高値を更新しました。年初来での最高値更新回数は24回となりました。なお、2023年の最高値更新回数は0回、2022年は1回、2021年は70回でした(過去最高は1995年の77回)。

   →コロナ危機前の2020年2月19日の高値からは55.86%の上昇(同プラス66.92%)となっています。

 ○米国10年国債利回りは4月末の4.68%から4.51%に低下して月を終えました(2023年末は3.88%、2022年末も3.88%、2021年末は1.51%、2020年末は0.92%、2019年末は1.92%、2018年末は2.69%、2017年末は2.41%)。30年国債利回りは4月末の4.78%から4.65%に低下して取引を終えました(同4.04%、同3.97%、同1.91%、同1.65%、同2.30%、同3.02%、同3.05%)。

 ○英ポンドは4月末の1ポンド=1.2493ドルから1.2745ドルに上昇し(同1.2742ドル、同1.2099ドル、同1.3525ドル、同1.3673ドル、同1.3253ドル、同1.2754ドル、同1.3498ドル)、ユーロは4月末の1ユーロ=1.0672ドルから1.0850ドルに上昇しました(同1.0838ドル、同1.0703ドル、同1.1379ドル、同1.2182ドル、同1.1172ドル、同1.1461ドル、同1.2000ドル)。

 円は4月末の1ドル=157.82円から157.31円に上昇し(同141.02円、同132.21円、同115.08円、同103.24円、同108.76円、同109.58円、同112.68円)、人民元は4月末の1ドル=7.2411元から7.2042元に上昇しました(同7.1132元、同6.9683元、同6.3599元、同6.6994元、同6.9633元、同6.8785元、同6.5030元)。

 ○5月末の原油価格は5.4%下落し、4月末の1バレル=81.64ドルから同77.22ドルとなりました(2023年末は同71.31ドル、2022年末は同80.45ドル)。米国のガソリン価格(EIAによる全等級)は5月に2.1%下落しました(現在1ガロン=3.698ドル、4月末は3.777ドル、2023年末は同3.238ドル、2022年末は同3.203ドル、2021年末は同3.375ドル)。2020年末から原油価格は59.5%上昇し(2020年末は1バレル=48.42ドル)、ガソリン価格は59.3%上昇しました(2020年末は1ガロン=2.330ドル)。

  ⇒2024年4月時点のEIAの報告によると、ガソリン価格の内訳は、55%が原油、12%が販売・マーケティング費、19%が精製コスト、14%が税金となっています。

 ○金価格は4月末の1トロイオンス=2303.20ドルから上昇し、2450.00ドルで5月の取引を終えました(2023年末は2073.60ドル、2022年末は1829.80ドル、2021年末は1901.60ドル、2020年末は1520.00ドル、2019年末は1284.70ドル、2018年末は1305.00ドル)。

 ○VIX恐怖指数は4月末の15.65から12.92に下落して5月を終えました。月中の最高は16.22、最低は11.52でした(2022年末は21.67、2021年末は17.22、2020年末は22.75、2019年末は13.78、2018年末は16.12)。

  ⇒同指数の2023年の最高は30.81、最低は11.81でした。

  ⇒同指数の2022年の最高は38.89、最低は16.34でした。

  ⇒同指数の2021年の最高は37.51、最低は14.10でした。

  ⇒同指数の2020年の最高は85.47、最低は11.75でした。

 ○目標株価は引き続き上昇しています。S&P500指数に対する市場関係者の1年後の目標値は6ヵ月連続で上昇し、現在値から11.6%上昇の5890となっています(4月末時点では14.5%上昇の5766、3月末時点では5655)。それ以前の目標値は、9ヵ月連続の低下から11ヵ月連続の上昇を経て、2023年11月まで2ヵ月連続で低下していました。

 ダウ平均の目標株価も3ヵ月連続の上昇から2ヵ月連続の低下を経て、5月は6ヵ月連続での上昇となり、現在値から12.0%上昇の4万2955ドルとなっています(4月末時点では13.2%上昇の4万2808ドル、3月末時点では4万2619ドル)。

<後編>へ続く

 


配信元: みんかぶ株式コラム

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