【来週の注目材料】前回は驚きの弱さ=米雇用統計
【来週の注目材料】前回は驚きの弱さ=米雇用統計
6月6日に5月の米雇用統計が発表されます。利下げ開始時期についての見通しが市場で揺れる中で、カギを握る指標の一つとして注目を集めています。
前回4月分はかなり弱い結果となり、米景気の鈍化懸念が一時強まる展開が見られました。
4月の雇用統計は非農業部門雇用者数が前月比+17.5万人。市場予想は+24万人、3月は+31.5万人(+30.3万人から上方修正)となっており、かなり弱い印象を与えました。2023年10月以来の低い伸びになります。失業率は3月の3.8%から3.9%に悪化、市場予想は3.8%と横ばい予想でした。平均時給は前月比+0.2%と市場予想の+0.3%及び3月分の+0.3%を下回りました。前年比は+3.9%と市場予想の+4.0%、3月分の+4.1%を下回り、2021年6月以来の低い伸びとなりました。
非農業部門雇用者数の内訳を確認すると、ヘルスケア及び社会扶助部門は前月比+8.7万人と3月の+8.69万人、2月の+8.89万人同様の水準で、力強い伸びを維持しました。
一方、3月から顕著に伸びが鈍化したのが娯楽・接客部門で、3月分の+5.3万人から+0.5万人となりました。より詳しい内訳をみますと、劇場・スポーツ鑑賞などの部門が+2.29万人から-0.3万人と減少。また、米労働省規定の区分の中で最も雇用者が多く、同部門だけで1200万人以上を抱える飲食業が+2.85万人から+0.66万人に伸びが鈍化し、全体の伸びを抑えました。比較的経済に余裕のある時に業界が潤い、雇用も増えがちな業種だけに、警戒感を誘いました。その他、雇用統計の先行指標といわれるテンポラリーヘルプサービス(いわゆる派遣業で同部門が増えると、その後正社員雇用の増加が期待される)が、-1.64万人と3カ月連続でのマイナス圏で、減少幅も3月の-0.27万人から拡大と、厳しい数字になっています。
財部門は建設業が+4万人から+0.9万人に伸びが鈍化。製造業はマイナス圏からプラス圏回復も+0.8万人と小幅にとどまっています。
雇用統計の各項目が軒並み弱く、非農業部門雇用者数の内訳をみても全体的な弱さが印象的と、労働市場の減速が懸念される結果となりました。5月分でも同様の傾向が見られると、利下げに向けた動きが本格化する可能性が意識されます。
関連指標も確認してみましょう。
週間ベースの新規失業保険申請件数は、調査対象期間が重なる12日を含む週の結果が、4月は21.1万件、5月は21.6万件。やや5月が悪いですが、誤差の範囲です。
5月のコンファレンスボード消費者信頼感指数は4月の97.5に対して102.0と好結果。市場予想は4月から悪化しての95.9となっていましたので、かなり強いという印象になりました。内訳のうち雇用情勢については「十分」と「就職困難」の回答から算出される労働市場格差指数が24.0と4月の22.9から改善しています。
今週発表される米関連指標の見通しも確認します。
3日発表の5月米ISM製造業景気指数は49.7と4月の49.2から小幅改善見込みですが、好悪判断の境となる50.0には届かない見込みです。前回48.6と3月の47.4から改善した雇用部門にも注意したいところです。
4日発表の4月米雇用動態調査(JOLTS)求人件数は830万件と3月の848.8万件からやや鈍化見込みです。
5日発表の5月ADP雇用者数は前月比+17.5万件と4月の+19.2万件から伸びが弱まる見込み、同日の5月米ISM非製造業景気指数は51.0と3月の49.4から改善し、節目の50.0もしっかり超える見込み。前回45.9と2月の48.5から大きく悪化した雇用部門も合わせて注目です。
こうした状況を受けて、今回の予想です。
非農業部門雇用者数は+18.0万人と前回とほぼ同水準の伸びがみこまれています。失業率は前回と同じ3.9%の見込みです。
平均時給は前月比+0.3%、前年比+3.9%、前月比は4月から小幅上昇、前年比は前回並みの伸びが見こまれています。
前回並みの雇用の伸びということで、市場予想前後であれば米雇用市場の落ち着きが意識されることになりそうです。ただ、水準的にはまずまずということもあり、早期の利下げ期待圧力が強まるというほどではなく、9月の利下げ期待がどこまで強まるかどうかが注目されるところです。
予想を下回る伸びに留まったり、失業率が悪化し4%台に乗せてくるようだと、ドル売りが強まる可能性があります。
MINKABU PRESS 山岡和雅
6月6日に5月の米雇用統計が発表されます。利下げ開始時期についての見通しが市場で揺れる中で、カギを握る指標の一つとして注目を集めています。
前回4月分はかなり弱い結果となり、米景気の鈍化懸念が一時強まる展開が見られました。
4月の雇用統計は非農業部門雇用者数が前月比+17.5万人。市場予想は+24万人、3月は+31.5万人(+30.3万人から上方修正)となっており、かなり弱い印象を与えました。2023年10月以来の低い伸びになります。失業率は3月の3.8%から3.9%に悪化、市場予想は3.8%と横ばい予想でした。平均時給は前月比+0.2%と市場予想の+0.3%及び3月分の+0.3%を下回りました。前年比は+3.9%と市場予想の+4.0%、3月分の+4.1%を下回り、2021年6月以来の低い伸びとなりました。
非農業部門雇用者数の内訳を確認すると、ヘルスケア及び社会扶助部門は前月比+8.7万人と3月の+8.69万人、2月の+8.89万人同様の水準で、力強い伸びを維持しました。
一方、3月から顕著に伸びが鈍化したのが娯楽・接客部門で、3月分の+5.3万人から+0.5万人となりました。より詳しい内訳をみますと、劇場・スポーツ鑑賞などの部門が+2.29万人から-0.3万人と減少。また、米労働省規定の区分の中で最も雇用者が多く、同部門だけで1200万人以上を抱える飲食業が+2.85万人から+0.66万人に伸びが鈍化し、全体の伸びを抑えました。比較的経済に余裕のある時に業界が潤い、雇用も増えがちな業種だけに、警戒感を誘いました。その他、雇用統計の先行指標といわれるテンポラリーヘルプサービス(いわゆる派遣業で同部門が増えると、その後正社員雇用の増加が期待される)が、-1.64万人と3カ月連続でのマイナス圏で、減少幅も3月の-0.27万人から拡大と、厳しい数字になっています。
財部門は建設業が+4万人から+0.9万人に伸びが鈍化。製造業はマイナス圏からプラス圏回復も+0.8万人と小幅にとどまっています。
雇用統計の各項目が軒並み弱く、非農業部門雇用者数の内訳をみても全体的な弱さが印象的と、労働市場の減速が懸念される結果となりました。5月分でも同様の傾向が見られると、利下げに向けた動きが本格化する可能性が意識されます。
関連指標も確認してみましょう。
週間ベースの新規失業保険申請件数は、調査対象期間が重なる12日を含む週の結果が、4月は21.1万件、5月は21.6万件。やや5月が悪いですが、誤差の範囲です。
5月のコンファレンスボード消費者信頼感指数は4月の97.5に対して102.0と好結果。市場予想は4月から悪化しての95.9となっていましたので、かなり強いという印象になりました。内訳のうち雇用情勢については「十分」と「就職困難」の回答から算出される労働市場格差指数が24.0と4月の22.9から改善しています。
今週発表される米関連指標の見通しも確認します。
3日発表の5月米ISM製造業景気指数は49.7と4月の49.2から小幅改善見込みですが、好悪判断の境となる50.0には届かない見込みです。前回48.6と3月の47.4から改善した雇用部門にも注意したいところです。
4日発表の4月米雇用動態調査(JOLTS)求人件数は830万件と3月の848.8万件からやや鈍化見込みです。
5日発表の5月ADP雇用者数は前月比+17.5万件と4月の+19.2万件から伸びが弱まる見込み、同日の5月米ISM非製造業景気指数は51.0と3月の49.4から改善し、節目の50.0もしっかり超える見込み。前回45.9と2月の48.5から大きく悪化した雇用部門も合わせて注目です。
こうした状況を受けて、今回の予想です。
非農業部門雇用者数は+18.0万人と前回とほぼ同水準の伸びがみこまれています。失業率は前回と同じ3.9%の見込みです。
平均時給は前月比+0.3%、前年比+3.9%、前月比は4月から小幅上昇、前年比は前回並みの伸びが見こまれています。
前回並みの雇用の伸びということで、市場予想前後であれば米雇用市場の落ち着きが意識されることになりそうです。ただ、水準的にはまずまずということもあり、早期の利下げ期待圧力が強まるというほどではなく、9月の利下げ期待がどこまで強まるかどうかが注目されるところです。
予想を下回る伸びに留まったり、失業率が悪化し4%台に乗せてくるようだと、ドル売りが強まる可能性があります。
MINKABU PRESS 山岡和雅
このニュースはみんかぶ(FX/為替)から転載しています。
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