*17:09JST インテリックス Research Memo(9):「既存主軸事業の再構築」と「先行投資事業の拡充」を推進(2)
■今後の見通し
(2) 先行投資事業の拡充
インテリックス<8940>は中期的な成長戦略として、競争激化が続く中古マンション市場において、快適な住まいと電気代の節約、CO2削減といった環境への貢献を実現する省エネリノベーション「エコキューブ」を差別化商品とし、また直販サイト「FLIE」を通じてこれら物件を拡販していくことで、業界シェアの拡大とリノヴェックスマンション事業の成長を目指す。
a) 「エコキューブ」の普及拡大に向けて
住宅の省エネ化についての国の制度は新築住宅で進んでおり、2023年9月に改正建築物省エネ法に基づき省エネ性能表示制度のガイドラインが公表された。2024年4月から新築住宅において省エネ性能表示が開始され、2025年4月以降は省エネ基準に適合することが義務化されることになる。省エネ性能表示とは、住宅のエネルギー消費性能や断熱性能、年間の目安光熱費などを所定のラベルを用いて表示するものとなる。
既存住宅についても検討委員会にて検討の開始が予定されているが、同社はこれに先立って独自に省エネ性能を計算し、“見える”化した商品が「エコキューブ」となる。同社の子会社である(株)TEI Japanが温熱計算などを行い、「省エネルギー性能レポート」として目安光熱費やCO2削減量などの性能を数値で可視化し、省エネ性能値での住まいの比較検討を可能にした。こうした同社の取り組みが評価され、2023年12月には東京都住宅政策本部「東京リノベーションモデルハウス事業」運営事業者にも選定された。
「エコキューブ」については、2021年1月の販売開始以降、商品の定義を変えながら販売している。当初は、断熱材施工と高効率換気システムを導入した商品を「エコキューブ」として販売していたが、2023年10月からは国の新築住宅に関するガイドラインに基づき、省エネ性能を“見える”化した商品を「エコキューブ」として販売している(断熱材施工や高効率換気システムが未導入な物件でもLED照明や高効率給湯システムの導入等で省エネ化を図り、省エネルギー性能レポートで可視化した商品)。さらに、2024年内にはさらなる技術開発により省エネリノベーションの3つの性能(断熱性能、熱交換換気性能、消費エネルギー性能)を向上するとともに、施工コストの抑制と工期短縮化を図り、ZEH※水準も視野に入れたバージョンアップ版を投入する予定である。同商品完成により、子会社の(株)リコシスでフランチャイズ(以下、FC)事業を展開しながら、省エネリノベーションの業界スタンダード化を推進する戦略となっている。FC事業については、「エコキューブ」の普及加速を目的としているため、加盟金50万円、システム利用料年間6万円とわずかであり、収益の大半は「エコキューブ」に対応した設備機器や資材の仕入販売で獲得していく戦略である。
※ZEH(ネット・ゼロ・エネルギーハウス)とは、外皮の断熱性能等を大幅に向上させるとともに、高効率な設備システムの導入により、室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギーを実現したうえで、再生可能エネルギー等を導入することにより、年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロとすることを目指した住宅。
なお、「エコキューブ」の対象物件としては住宅ローン減税の適用が可能となる1982年以降(新耐震基準)に建築された50m2以上の物件となる。2024年5月期第2四半期末までの累積販売件数は288件で、設計段階も含めて手持ち物件として90件程度抱えている。まだ全販売件数の1割強程度だがバージョンアップ版投入以降は、差別化商品として普及拡大していくことが期待される。
b) 不動産売買プラットフォーム「FLIE」の展開
同社の子会社となるFLIE(株)で、売主(不動産会社)と買主が自由に安心して直接取引ができる不動産売買プラットフォーム「FLIE」を運営している。売主直販となるため仲介手数料(取引物件価格の約3%)が無料となり、購入者は従来よりも低コストで住宅を取得できることになる。中古マンションの掲載物件数は2024年1月末時点で自社及び他社物件あわせて2千件強と業界最大規模となっており、掲載エリアも首都圏から全国に広がっている(北関東・甲信エリアのみ今後開設予定)。「FLIE」を通じた販売実績も他社物件含めて月数十件ペースと徐々に増え始めており、手数料収入の増加につながっている。
また、新たな取り組みとして2023年10月にオンライン・オフライン一体型の不動産DXサービス「FLIE ONE」をリリースした。不動産売買・仲介事業者向けの物件管理・内見・販売支援までをオールインワンでサポートするサービスとなる。省力化につながるサービスとして大手仲介事業者からも多く関心を寄せられており、一部事業者でトライアル導入も進んでいるもようだ。物件確認システム「フリエ de 物確」については、1件当たり利用料を、オンラインによるセルフ内見システム「Smaview(スマビュー)」は顧客が使用した回数に応じてそれぞれ売上を計上するほか、同サービスに付随したオフラインサービスとなる写真・動画撮影や物件清掃業務なども必要に応じて外注なども活用しながら提供している。今後も必要な機能については随時拡充していく予定だ。同社では「FLIE」事業で2025年5月期の収益化を目指している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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(2) 先行投資事業の拡充
インテリックス<8940>は中期的な成長戦略として、競争激化が続く中古マンション市場において、快適な住まいと電気代の節約、CO2削減といった環境への貢献を実現する省エネリノベーション「エコキューブ」を差別化商品とし、また直販サイト「FLIE」を通じてこれら物件を拡販していくことで、業界シェアの拡大とリノヴェックスマンション事業の成長を目指す。
a) 「エコキューブ」の普及拡大に向けて
住宅の省エネ化についての国の制度は新築住宅で進んでおり、2023年9月に改正建築物省エネ法に基づき省エネ性能表示制度のガイドラインが公表された。2024年4月から新築住宅において省エネ性能表示が開始され、2025年4月以降は省エネ基準に適合することが義務化されることになる。省エネ性能表示とは、住宅のエネルギー消費性能や断熱性能、年間の目安光熱費などを所定のラベルを用いて表示するものとなる。
既存住宅についても検討委員会にて検討の開始が予定されているが、同社はこれに先立って独自に省エネ性能を計算し、“見える”化した商品が「エコキューブ」となる。同社の子会社である(株)TEI Japanが温熱計算などを行い、「省エネルギー性能レポート」として目安光熱費やCO2削減量などの性能を数値で可視化し、省エネ性能値での住まいの比較検討を可能にした。こうした同社の取り組みが評価され、2023年12月には東京都住宅政策本部「東京リノベーションモデルハウス事業」運営事業者にも選定された。
「エコキューブ」については、2021年1月の販売開始以降、商品の定義を変えながら販売している。当初は、断熱材施工と高効率換気システムを導入した商品を「エコキューブ」として販売していたが、2023年10月からは国の新築住宅に関するガイドラインに基づき、省エネ性能を“見える”化した商品を「エコキューブ」として販売している(断熱材施工や高効率換気システムが未導入な物件でもLED照明や高効率給湯システムの導入等で省エネ化を図り、省エネルギー性能レポートで可視化した商品)。さらに、2024年内にはさらなる技術開発により省エネリノベーションの3つの性能(断熱性能、熱交換換気性能、消費エネルギー性能)を向上するとともに、施工コストの抑制と工期短縮化を図り、ZEH※水準も視野に入れたバージョンアップ版を投入する予定である。同商品完成により、子会社の(株)リコシスでフランチャイズ(以下、FC)事業を展開しながら、省エネリノベーションの業界スタンダード化を推進する戦略となっている。FC事業については、「エコキューブ」の普及加速を目的としているため、加盟金50万円、システム利用料年間6万円とわずかであり、収益の大半は「エコキューブ」に対応した設備機器や資材の仕入販売で獲得していく戦略である。
※ZEH(ネット・ゼロ・エネルギーハウス)とは、外皮の断熱性能等を大幅に向上させるとともに、高効率な設備システムの導入により、室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギーを実現したうえで、再生可能エネルギー等を導入することにより、年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロとすることを目指した住宅。
なお、「エコキューブ」の対象物件としては住宅ローン減税の適用が可能となる1982年以降(新耐震基準)に建築された50m2以上の物件となる。2024年5月期第2四半期末までの累積販売件数は288件で、設計段階も含めて手持ち物件として90件程度抱えている。まだ全販売件数の1割強程度だがバージョンアップ版投入以降は、差別化商品として普及拡大していくことが期待される。
b) 不動産売買プラットフォーム「FLIE」の展開
同社の子会社となるFLIE(株)で、売主(不動産会社)と買主が自由に安心して直接取引ができる不動産売買プラットフォーム「FLIE」を運営している。売主直販となるため仲介手数料(取引物件価格の約3%)が無料となり、購入者は従来よりも低コストで住宅を取得できることになる。中古マンションの掲載物件数は2024年1月末時点で自社及び他社物件あわせて2千件強と業界最大規模となっており、掲載エリアも首都圏から全国に広がっている(北関東・甲信エリアのみ今後開設予定)。「FLIE」を通じた販売実績も他社物件含めて月数十件ペースと徐々に増え始めており、手数料収入の増加につながっている。
また、新たな取り組みとして2023年10月にオンライン・オフライン一体型の不動産DXサービス「FLIE ONE」をリリースした。不動産売買・仲介事業者向けの物件管理・内見・販売支援までをオールインワンでサポートするサービスとなる。省力化につながるサービスとして大手仲介事業者からも多く関心を寄せられており、一部事業者でトライアル導入も進んでいるもようだ。物件確認システム「フリエ de 物確」については、1件当たり利用料を、オンラインによるセルフ内見システム「Smaview(スマビュー)」は顧客が使用した回数に応じてそれぞれ売上を計上するほか、同サービスに付随したオフラインサービスとなる写真・動画撮影や物件清掃業務なども必要に応じて外注なども活用しながら提供している。今後も必要な機能については随時拡充していく予定だ。同社では「FLIE」事業で2025年5月期の収益化を目指している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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