【QAあり】サノヤスHD、2Qは増収減益 受注高・受注残高とも全セグメントで前年同期を上回り、受注状況は極めて好調に推移
1.決算概要 連結業績概要
北逵伊佐雄氏(以下、北逵):みなさま、こんにちは。サノヤスホールディングス株式会社代表取締役社長の北逵です。本日はご多用のところ、決算説明会にご参加いただき誠にありがとうございます。2023年度第2四半期の決算の概況についてご説明します。
2024年3月期第2四半期の売上高は、前年同期比3億6,900万円増収の83億2,600万円となりました。営業損益は、前年同期比で1億7,800万円減益となり8億7,700万円の営業損失、経常利益は、前年同期比2億2,000万円減益となり7億8,800万円の経常損失となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、前年同期比2億5,700万円減益となり8億1,200万円の赤字で着地しました。
一方、受注状況は本年9月末の受注残高が前年9月末比プラス51億円の175億2,700万円となり、高水準となっています。
当社は事業の性格上、下期に売上が集中するため、上期は固定費が賄いきれず、赤字計上となるのは例年のとおりです。前年同期比で見ると各利益段階ともに2億円程度の減益となっていますが、こちらもほぼ予算どおりの数字となっており、受注も好調に推移していることから、通期見通しについては売上高230億円、営業利益・経常利益ともに5億円、親会社株主に帰属する当期純利益3億円と、当初予想を変更していません。
2-1.セグメント別業績・概要
こちらは先ほどご説明した、売上高、営業損益、受注高、受注残高の前年同期比と前年9月末比をセグメント別に示したグラフです。当社は、セグメントを製造業向け、建設業向け、レジャーの3つに分けています。各事業会社のどの事業が、3つのセグメントのどこに区分されるかは、2023年10月31日開示の2024年3月期第2四半期決算短信の2ページ目に掲載していますのでこちらもご参照ください。
2024年3月期第2四半期は、前年同期比増収、減益ではありますが、受注高、受注残高ともにすべてのセグメントで前年同期並びに前年9月末残高を上回っており、受注状況は極めて好調に推移しています。
2-2.セグメント別業績・製造業向け
セグメント別の業績概要について詳細をご説明します。まず、製造業向けセグメントです。売上高は33億100万円、営業損失は9,000万円で、前年同期比では4億1,400万円の減収、1億6,400万円の減益となりました。
みづほ工業の乳化・攪拌装置の製造等は健闘しましたが、サノヤス・エンジニアリングのショットブラストマシン事業で、受注の期ズレや失注影響により1.0億円の減収となったことに加え、サノヤス精密工業の産業機械部品事業で前年度下期から続いている半導体・電子機器関連の不況の影響や、中国向け需要の減退により2.5億円の減収となったことが主要因です。
特に、前年度まで好調であった産業機械部品が、稼働率の低下に伴い営業赤字を喫することとなりました。
受注は、産業機械部品において前年並みと低調ではありますが、乳化・攪拌装置や環境装置は引き続き堅調で、受注残高は前年9月末比プラス15.6億円の62.0億円と、高水準を維持しています。
2-3.セグメント別業績・建設業向け
建設業向けセグメントです。売上高は36億3,900万円、営業損失は2億9,100万円で、前年同期比では12億3,300万円の増収、1億7,400万円の増益となりました。
ハピネスデンキの高層ビル用の配電盤を主体とする動力制御盤・分電盤・配電盤等の製造では電子部品や部材の長納期化がボトルネックとなっていましたが、徐々に緩和されるに伴い出荷も増加し、4.6億円の増収となりました。
サノヤス・エンジニアリングの機械式駐車装置のメンテナンス・修繕・リニューアル工事が復調し2.2億円の増収、2022年8月に当社にグループ入りした松栄電機グループの業績が半年分寄与したことにより3.6億円の増収となったことが、主な要因となっています。
建設業界特有の第4四半期に売上が集中する傾向を受け、上半期は営業損失を計上していますが、引き続き建設需要は旺盛で、受注は好調に推移しています。本年9月末の受注残高は、前年9月末比プラス27.0億円の94.4億円まで積み上がっています。
2-4.セグメント別業績・レジャー
レジャーセグメントです。売上高は13億8,400万円、営業利益は2億4,900万円で、前年同期比4億4,900万円の減収、1億9,300万円の減益となりました。
お台場「パレットタウン」の観覧車が、前年8月末に営業を終了した影響でマイナス1.7億円、遊戯機械の販売では、前期の大型案件だった東武動物公園の木製コースター「レジーナⅡ」の改修工事が順調に推移していたのに対し、今期は大型案件の売上計上が少なく1.9億円の減収、コロナ禍で延期となっていたメンテナンスが昨年度で一巡したことによる反動で、整備・部品販売が0.8億円の減収となったことが主な要因です。
また、ゴールデンウィークと夏休みの天候不順もあり、遊園地の来客が減少したことも下振れ要因となっています。
一方で、明るい話題としては、よみうりランドさまより大型観覧車の注文をいただきました。これによって本年9月末の受注残高は前年9月末比でプラス8.5億円の18.9億円と、大きく伸長しました。
総じて申し上げると、ここ数年間、当社業績の足かせとなっていた部材・資機材の長納期化が緩和傾向にあり、今後売上高の増加が見込まれることに加え、原材料の高騰に対する販売価格への転嫁の効果も下期から具体化することにより、利益率の改善も期待できると思っています。
また、受注も好調に推移していることから、来年度以降の業績回復についても手応えを感じています。
3.サステナビリティへの取り組み
当社のサステナビリティへの取り組みとして、サノヤス精密工業・三田本社工場に設置した太陽光発電が、4月1日より稼働を開始しました。
発電出力は408キロワットで、天候や時間帯によっては、工場使用電力量の100パーセントをこの太陽光発電で賄うことができます。年間の発電量は31万2,000キロワットアワーを見込んでおり、CO2に換算すると110トンの削減効果となります。この発電量で、年間の工場使用電力量の約18パーセントを賄う予定です。
当社では2014年3月、兵庫県多可町に発電出力821キロワットの太陽光発電設備を設置し売電事業も行っていますが、今回の太陽光発電の稼働で、CO2削減も着実に進めています。今後もSDGs、ESG経営の一環としてCO2削減には積極的に取り組んでいきます。
4.トピックス
ここからは、当社グループのトピックスについてご説明します。
1つ目は、先ほども申し上げたよみうりランドさまからの大観覧車新設工事の受注です。よみうりランドでは2024年3月に開園60周年を迎えられる予定であり、この節目の年に遊園地のシンボルである観覧車をサノヤス・ライドが建設させていただくことになりました。
よみうりランドさまの大観覧車の魅力の1つは、何と言ってもその眺望にあります。新しい大観覧車は、ファミリーエリアにある大観覧車の隣に建設され、最高到達点の標高は160メートルにもなります。遊園地全体を見渡せるのはもちろんのこと、晴れているときは都心部の高層ビル群や、富士山までお楽しみいただけます。
完成時期は2024年秋を予定しています。当社としても、昨年8月末をもってお台場のパレットタウンの大観覧車が営業を終了していますので、それに代わるシンボル的な物件としてしっかりと取り組んでいきます。
4.トピックス
2つ目のトピックスとして、当社グループの新製品を2つご紹介します。
1つ目は、みづほ工業で新たに開発した機械用洗浄剤「ゼロカマさん」です。当社の乳化・攪拌装置をはじめ、各種の機械に付着したしつこい油汚れを落とすことができる洗浄剤です。
特徴は、環境や人体への影響を考慮した中性洗浄剤となっていることです。今年5月にパシフィコ横浜にて開催された「第11回化粧品産業技術展 CITE JAPAN 2023」において、「CITE JAPAN 2023 アワード」の金賞を環境部門で受賞しました。現在、多数のお客さまからお問い合わせをいただいているところです。
2つ目は、本年11月より販売を開始する電気自動車の充電対応を可能にした二・多段式機械式駐車装置です。
政府は2050年までにカーボンニュートラルの実現を目指すことを宣言していますが、その取り組みの1つとして、2035年までに乗用車新車販売で電気自動車100パーセントを実現させる方針です。
その流れを受け、当社ではすべての型式でEV充電装置の設置を可能とする技術を開発し、販売を開始します。従来、パレットの動作の関係で充電スタンドが設置できる場所は限られていましたが、本装置により、どのパレットにもEV充電スタンドを設置することができます。
一例を示しましたが、当社グループでは社会に役立つ新製品の開発にも積極的に取り組んでいます。
簡単ではありますが、以上で私からの説明を終わります。ご清聴ありがとうございました。
質疑応答:工事の受注、大型イベント参加の可能性について
質問者:よみうりランドでの観覧車の建設工事受注というお話がありましたが、これは久しぶりの工事になるのでしょうか?
また、今後の戦略について教えてください。大阪・関西万博やカジノに参加する可能性はあるのでしょうか?
北逵:万博は難しそうですが、カジノについてはこれから関係会社などと話をしていきたいと考えています。
当社はもともと観覧車が得意分野で、これまでに90基を納入しています。ただ、今回は2017年の西鉄香椎花園(かしいかえん)さまの竣工案件以来で、およそ6年ぶりです。西鉄香椎花園さまの観覧車は直径35メートルと小さめですが、よみうりランドさまは直径60メートルと、50メートル以上の大型観覧車となっています。 このような大型観覧車の竣工案件は、2014年の南紀白浜のアドベンチャーワールドさま以来です。我々としては、何としても無事に成功を収めて、さらに観覧車を受注できるように、どんどん受注活動を積極化して加速させていきたいと考えています。
観覧車以外の遊戯機械についても、ジェットコースターは昨年、東武動物公園さまの「レジーナⅡ」を改修しましたが、この分野はかなり技術進歩が速く、リスクも高いため、二の足を踏むところもあります。しかしながら、観覧車以外にもみなさまが楽しめる遊戯機械を中心に、受注を獲得していきたいと思っています。
質疑応答:M&A戦略の現状と今後の展望について
質問者:御社のM&A戦略について、足下の現状と今後の展望を教えてください。
北逵:M&Aはもともと、中期経営計画の策定時も積極的に進めていきたいと考えて注力していたのですが、実現できたのは、先ほどお伝えしたとおり、昨年8月に通信機器向けの制御盤を製造している松栄電機、ならびにその子会社の松栄電気システムコントロールにとどまります。
ただ、この案件もPMIが非常に順調に進んでいます。最近は、いわゆるデータセンターが大型化していますが、今は十数億円のデータセンターの案件があと一歩で受注できる段階に来ています。松栄電機は売上が6億円強の会社でしたので、従来はこのような大型案件を単独で受注することはできませんでした。しかし、同じくグループ内で動力制御盤・配電盤・分電盤を製造しているハピネスデンキ社の協力で、そのような大型案件が取れるようになり、シナジー効果も出始めている状況です。
現在もM&Aは積極的に進めています。我々の事業は、10億円から20億円の事業が多いのですが、それを30億円から50億円の事業ロットに仕上げていくようなM&Aを中心に、2社、3社と交渉にあたっています。
まだ独占契約を結べておらず、指名権も得ていませんので、具体的にお話しできませんが、やはりM&Aは重要な戦略として進めていきたいと考えています。
北逵氏からのご挨拶
SDGsについては私個人としても、基本的には車を極力使わず、公共交通機関を使うなど自分なりに取り組んでいます。
当社グループでは、多くの会社が経済産業省の健康経営優良法人認定を取得しています。取り組みの一環として、一人ひとりが毎日1万2,000歩、8,000歩、5,000歩を歩くことを目標にする社内ウォーキングイベントを現在実施しており、1ヶ月間の平均歩数が目標を超えた人に粗品を進呈しています。私は今、1万2,000歩に挑戦しており、14日連続で1万2,000歩を達成している状況です。
企業の業績をアップしたり、生産性を改善したりするためには、健康力も大事だと某商社からお話をうかがいましたので、やはり健康に十分気をつけようと、私も遅まきながら健康に力を入れています。
それでは時間になりましたので、本説明会を終了します。本日はご参加いただき誠にありがとうございました。
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