【QAあり】Kids Smile Holdings、売上高・営業利益・EBITDA共、順調に伸長 グローバルスクールモデル中心に5ヶ年で30施設開設予定
第63回 個人投資家向けIRセミナー
中西正文氏(以下、中西):みなさま、こんにちは。中西です。お忙しい中ご視聴いただき、ありがとうございます。
今日はいくつかお伝えしたいことがあります。ふだん投資家説明会の最後に「Kids Smile Holdingsを知っていましたか?」というアンケートをとると「知らなかった」と言う方が多いです。せっかくの機会ですので、我が社のことを知っていただいて終了したいと思っています。
また、当社は保育園などの幼児教育施設の運営会社です。子どもの数がどんどん減っていることは周知の事実であり、そのような市場の会社はもう伸びないだろうというのが一般的な感覚だと思いますが、子ども市場はまだ大丈夫だとお伝えしたいです。
当社は子ども市場の中でも特徴があるため、さらに伸びそうなところをお伝えし、「この後すぐに買わないとまずい」と思ってもらえるようなセミナーにしたいと思っています。どうぞよろしくお願いします。
会社概要
中西:会社概要でお伝えしたいことは2つあります。従業員数は2023年3月末時点で1,544名で、10月に入りまた少し増え、現在1,600人を超えたくらいになりました。当社の設立は2008年で、2009年に最初の園を開園しました。その頃はパートの方がいたり、すぐに辞めてしまった方もいたりしたため、社員数は3人くらいでした。それから14年が経ち、1,600人を超えるまでに成長してきました。
私が創業者としてここまで引っ張ってきたため、上場をすると「上場がゴールで、もうやる気がないのではないか?」「もういなくなってしまうのではないか?」などと言う人がいますが、私はまだ先頭に立ち、この会社を引っ張っていきたいと思っています。ぜひご期待ください。
坂本慎太郎氏(以下、坂本):今日はその取り組みをおうかがいしたいと思います。
中西:スライド右側に私の経歴を記載しています。1995年に早稲田大学法学部を卒業し、株式会社博報堂へ入社しました。博報堂はいわゆるマーケティングを行う会社で、そちらに15年弱在籍し育ててもらいました。当社の特徴はマーケティングを意識した経営を行っているところだと思いますので、その点も含めてご説明します。
監査等委員会設置会社への移行
中西:今年6月25日の株主総会で、監査役会設置会社から監査等委員会設置会社に移行しました。昨今のトレンドとして、ガバナンスを高め、経営のスピードを速めるには、監査等委員会がよいと言われています。そこで、私たちもそのような形態に変更しましたが、特に注目してほしい部分が1点あります。
元フジテレビアナウンサーで、現在はフリーアナウンサーの内田恭子さんに社外役員として入っていただいたのが1つの目玉だと思います。起用するとお話しすると「アナウンサーだった人に役員が務まるのか?」といった声も聞かれましたが、6月25日に選任して3ヶ月と少し経ち、非常に良い方に役員として入っていただいたと感じています。
内田さんは非常に勤勉な方で、当社のことをすごく研究してくださっています。当社は全部で80施設を運営していますが、内田さんはいろいろな施設に直接足を運び、園の様子を見たり、子どもたちや保護者、職員の声に耳を傾けてくださったりしています。
私自身、いろいろな会社と接点を持ちながら活動してきましたが、他社とアライアンスを組んでサービスを深めたり、M&Aなどを含めて会社を広げていったりするにあたって、彼女が役員になったことをきっかけに当社を知り、接点を持てた会社もたくさん出てきました。内田さんが入ったことで会社の可能性が広がりつつあり、今回のこの新体制は、現段階において良いかたちで機能していると思っています。
企業ビジョン
中西:企業ビジョンについてご説明します。「プレミアム教育サービス事業」という高付加価値な教育サービスを提供しているのが当社の特徴です。
言い方を変えると、ある種の富裕層マーケティングと言える部分があり、富裕層マーケティングのノウハウをこの15年間で十分に積み重ねてきたことで、高い教育レベル・教育サービスを提供しているのが当社の強みだと思います。
高い教育サービス・教育レベルを提供するのはなかなか難しいことです。例えばホームページなどに「それっぽいこと」を書くのは誰にでもできます。昨今は特に、「ChatGPT」などのサービスを使うといろいろなことができるため、私たちがホームページを見てていても素晴らしい園に見えると感じるところはたくさんあります。しかし、実際にオペレーションして回すことは非常に難しいことです。
本当に実力を持っている先生や職員を採用・育成し、長く活躍してもらう仕組みを作ることが難しいため、ホームページのような見栄えのよさだけではなく、中身のオペレーションまできちんとできるかどうかが重要なポイントだと思っており、そこが15年間積み重ねてきた実績の部分だと思います。
中西:表紙をご覧ください。一見、6人の子どもが並んでいるように見えますが、実は1人ずつ撮った写真を合成しています。この年齢の子どもたちがポーズを取って、6人並ぶのは無理ですが、1人で撮ったものを合成すればよいのです。
つまり、ホームページはきれいに作れます。しかし、実際の子どもたちはこうは動きません。やはり、外から見た良さだけではなく、実際に中でどのように運営できるのかが非常に重要なところだと思っています。
2024年3月期 第1四半期 業績のポイント
中西:2024年3月期第1四半期業績のポイントです。当社は3月決算のため、すでに第2四半期が終了して締め作業を進めており、あと1ヶ月もすれば第2四半期のご報告をすることになるのですが、今日はひとまず第1四半期についてご説明します。
6項目の各指標を記載していますが、要は第1四半期終了時点の業績は順調であることを示しています。「順調」というのは突き詰めると、今期の発表している予想数字を必ず達成できるかどうかというところが重要なポイントです。今期の予想数字に対して、第1四半期は順調に推移しています。
第2四半期はこれからの発表となるため発言は控えますが、第1四半期が終わったところでは非常に順調に推移しているということです。
2024年3月期 第1四半期 業績のポイント
中西:具体的な中身はスライドをご覧ください。中でも当社は、EBITDAという指標を重要視しています。
EBITDAと株価の推移について
中西:EBITDAが伸びていますが、当社は現在80施設運営しており、事業内容が施設運営ですので、なんといっても設備を作らないといけません。
認可保育園ですと、1施設作るのに概ね2億円ぐらいかかります。1年半くらい前に南青山でオープンした、当社で一番大きく、プールがあるような施設には3億円から4億円くらいかかっており、減価償却費がかなり大きいです。したがって、EBITDAは非常に重要な指標だと考えています。
その上、認可保育園の場合には、かかった費用のおおよそ8割くらいの補助金を頂戴しています。開設初年度の第1四半期に、園単位でかかった費用の約8割にあたる補助金1億5,000万円から2億円くらいが一括で入金されます。
毎年減価償却している費用の7割から8割くらいは、補助金で受領済みですので、すでに受け取っているお金を減価償却にかけていることになり、当社においてはEBITDAがより営業利益に近い数字となります。
上場以来、売上高と営業利益、EBITDAは順調に伸びているものの、株価は売出し価格の2,260円からどんどん下がっており、ご迷惑をおかけして申し訳ない気持ちがあるのですが、重要視している指標はどんどん伸びています。会社の十分な成長という意味で、まず今期の予想や中期計画は確実に達成してまいります。その上で今後のビジョンをきちんと描き、投資家のみなさまに正確に伝えていくことで、株価もご期待に沿えるようにしていきたいと思っています。
2024年3月期 第1四半期 事業状況
中西:事業状況については順調と言えます。当社の場合は施設を作り、園児が来てくれることで、人数に合わせて保育料が入ったり、補助金を頂戴したりします。そこから家賃や人件費などのかかった費用を引き、残りが利益です。非常にシンプルな構造ですので、会社の業績が良くなるかどうかは、園児数が増えるかどうかにかかっています。
そのような意味で、認可保育所事業もプレミアム教育事業も園児数は順調に増えており、新規開設も予定どおり行っているため、順調であると言えます。
また、先ほど富裕層マーケティングに実績・経験値がある会社だとお話ししましたが、今回、森ビルの新しい大型プロジェクトである麻布台ヒルズの中に当社の施設が入ることになりました。フラッグシップとなる施設に入ることができるのも、当社のブランディングを含めて非常にプラスに寄与すると考えています。結果として、第1四半期は数字はもちろんですが、その後ろ盾となる事業状況も順調です。
2024年3月期 第1四半期 業績総括
中西:こちらもスライドをご覧ください。
2024年3月期 通期業績の進捗状況
中西:通期業績の進捗状況も順調に進んでいます。季節性がある事業のため、第1四半期が終わったところでは進捗率が25パーセントになっていないものもありますが、予想どおり進んでいます。
増井麻里子氏(以下、増井):営業利益は、第1四半期で前年同四半期比較で赤字幅半減、通期業績予想では黒字化ですよね。こちらの要因は何でしょうか?
中西:新園を開設すると、初年度は基本的に赤字になります。園によりますが、3学年から6学年ぐらいあり、最初から3学年、6学年がすべてが揃うことはありません。例えば小学校で言うと、1年生が2年生、3年生になるうちにだんだんと人数が増えて満席になるため、どうしても1年目はマイナスになり、2年目、3年目で黒字化し利益が出てきます。
今期は新園の開設が少なく、前期までに開設した園が黒字化しているため、営業利益が大幅に改善しています。
増井:途中から移って来られる方はいらっしゃいますか?
中西:いらっしゃいますが、4歳や5歳ともなると、途中から入られるのは引っ越しなどの事情がある方です。この園やスクールに通わせたいという理由で移る人は非常に少ないです。
増井:最初に入るところに最後まで通うことが多いのですね。
中西:そのとおりです。幼稚園に入る前の年齢だと0歳から1歳、幼稚園に入る年齢だと3歳で、基本的にはみなさま、最初に入ったところに3年間通うかたちになります。
増井:来年度の入園希望受付は、そろそろ始まる時期ですか?
中西:70施設ある認可保育園ですと、概ね10月末から12月初旬くらいが各自治体で申し込みの時期になっているため、まさに今が、選んでいただくための活動の正念場です。
増井:最後のプッシュですね。
中西:ここが一番重要なところです。
増井:申し込み状況は、最後までわからないのでしょうか?
中西:認可保育所は行政で集約するため、最後までわかりません。
坂本:見学は随時受け付けているのでしょうか?
中西:はい、見学も随時受け付けています。
坂本:年間通して見学できるということですね。
中西:そのとおりです。以前は、認可保育所の待機児童が多かったため、4月に入れなければその年はもう入れないという感じでした。5歳の子たちは3月に全員卒園して、4月に小学校に入学するため、一番出入りが激しいのは4月1日です。このタイミングで決まっていなければ、その後は入らないというケースがありました。
ただし昨今のトレンドでいいますと、最近は子どもの数が減ってきており、育休をしっかり満了まで取ろうという流れもあるため、必ずしも4月1日にその年の入園児が揃うというわけではなく、期の途中での入園も多いです。
このように、年度途中でもどんどん入園してきます。当社でいいますと、今年10月に入ってきた子どもの数は、昨年10月より多くなっています。昨年より少子化が進んでいるにもかかわらず、入園者が増えているのは、徐々にトレンドが変わってきているためだと思います。
また、当社が大事にしていることでもありますが、「ここに行きたい」と思ってもらえる園にすることで、少子化が進んでいるとしても、お客さまの数は十分増やしていけると思います。
中期経営計画 – 連結業績目標
中西:中期経営計画です。こちらも後ほどお話ししますが、今のところ順調に推移しています。
中期経営計画 – 新規開設計画
中西:なぜ順調かといいますと、先ほどの繰り返しになりますが、今回の中期経営計画は、新しい施設を作り園児が増えることで、売上と利益がいくら出るのかというモデルになっています。新しい施設の計画が順調であり、かつ園児数の増加も順調であるため、その結果、中期経営計画も順調に推移しています。
事業別情報について
中西:事業内容についても簡単にお話しします。先ほどからお伝えしているように、富裕層マーケティングを行い、補助金に一切頼らない「プレミアム教育サービス事業」と、99.9パーセント補助金で運営されている「認可保育所事業」という、2本柱で事業を行っているのが当社の特徴です。
認可保育所 (ビジネスモデル)
中西:今まさにお話しした内容ですが、認可保育所は、利用したい人は自治体に申し込み、1月から2月くらいに自治体から当社に名簿が送られてきて、直接連絡をして入園の手続きをするかたちです。利用者は利用料を各自治体にお支払いし、運営費は自治体から99.9パーセント受け取るのがこの認可保育所のモデルです。
認可保育所 (運営施設数)
中西:当社は認可保育所を東京ならびに大都市圏のみに開設しており、現在、都内に63施設、神奈川県に5施設、愛知に2施設の計70施設あります。
認可保育所 (当社施設の強み)
中西:この認可保育所の強みは、保育ニーズが高い大都市圏で展開しているということです。なぜそれが強みなのかといいますと、子どもの数がどんどん減少してきているためです。
例えば、私の知り合いの保育事業者の方で、その方は地方で施設を運営しているのですが、その園は町で唯一のこども園で、定員は120人まで受け入れ可能であるにもかかわらず、その町には子どもの数は90人しかいないそうです。これは、どれほど企業努力を行っても、91人以上は入園しないということです。
その点、当社が保育所を運営している東京・横浜・川崎・名古屋は、子どもの数が減ってきているとはいえ、まだたくさんいます。そのため「ここに行きたい」と思ってさえいただければ、十分に充足率を上げていくことができます。
こちらもよくお話しするエピソードですが、当社のオフィスは五反田にあります。五反田はラーメン屋がたくさんありますが、人気のラーメン屋は外まで行列ができているのに対し、それほど人気のない店はすぐに入れます。
「すぐに入れるお店に行ったらどうですか?」と言っても、人は並んででも食べたいラーメンを食べます。保育園業界もそのようになってきており、多くの人が入りたいという園を作れば、十分に充足率を満たすことができます。以上のことから、お客さまがたくさんいるエリアに展開しているのは、非常に強みになります。
スライドの2番、3番、4番は強みに加えて、当社はどのような競争力を持っているのかを示しています。お客さまがたくさんいても、競争力がなければ、ガラガラなラーメン屋と同じになってしまいます。
競争力の1つ目は、教育プログラムです。東証プライム市場に上場している株式会社リソー教育の100パーセント子会社で、幼児教育を手掛けている株式会社伸芽会と業務提携してオリジナルの教育プログラムを開発し、全園に取り入れています。こちらは、他事業者にはないプログラムで、教育をしっかり行っていることが強みになっています。
3番と4番は安全面と衛生面です。今、保育所は全国に約2万5,000園あります。そのうち8,000園から9,000園ほどが行政が運営している公立の保育園で、園長先生も保育士も全員が公務員という園です。残りの1万7,000園から1万8,000園くらいが民間の保育園です。そのうちの9割は社会福祉法人が運営しており、さらにその9割は1法人1園しか運営していません。そうすると、安全面と衛生面について、どうしてもバックアップしづらい状況になります。
当社の各園では、数百項目におよぶチェック項目があり、安全に運営できているか、毎月チェックしています。その上で今度は本部のスーパーバイザーが、本当に各園がきちんとその数百項目のチェックを行っているかチェックします。
また、本部には内部監査室があり、各園をチェックしに行くスーパーバイザーが、きちんと仕事を遂行しているのかをチェックします。このように、何重もの管理体制で安全面に漏れがないかを行っています。
例えば、1法人で1施設や2施設しか持っていない場合、その方々自体は全力で取り組んでいても、バックアップ機能が弱くなり、事故が起きかねない事態となります。以上のような安全面と衛生面でのシステムも、利用者に選んでいただく重要なポイントであり、当社の1つの特徴だと考えています。
プレミアム教育サービス (ビジネスモデル)
中西:プレミアム教育サービスは、利用したい方は当社の園に申し込んで、当社に料金を支払っていただくというシンプルな仕組みです。
プレミアム教育サービス (プレミアムライン)
中西:港区を中心に、渋谷区と世田谷区に1施設ずつ設けています。港区は都市別平均年収全国2位、渋谷区は全国4位で、富裕層マーケティングのお話にあたる部分です。
認可保育所の場合は地域や年齢や所得によって異なりますが、概ね月額3万円から5万円くらいの利用料です。当社のプレミアムラインは、毎日通うと月額20万円を超えますが、もちろんその分、中身を充実させています。「中身が充実しているのであればそこに投資しよう」と考える方がいる地域で展開しているのが、プレミアムラインです。
坂本:麻布台ヒルズにはプレミアムラインの園を開設するというお話をうかがいました。20万円を超える授業料が必要となるとなかなか難しいとは思いますが、東京都内での開設地域をここから広げるのは難しいのでしょうか? また、後ほどさまざまな取り組みのお話があるとは思いますが、それに絡めて教えてください。
中西:プレミアムラインのエリアをこれ以上増やすのは難しいと思っています。そのため、後ほどご説明するセカンドラインを考えています。
ちなみに、港区が都市別平均年収全国2位ということは、全国1位の場所に開設すれば、まだ増やせるのではないかとも思う方がいるかと思います。
坂本:まだ3位もありますよね。
中西:3位は千代田区ですが、1位のところに開設すればよいのではないかと考える方がいらっしゃるとおもいます。よく新聞にも取り上げられているのですが、1位は山口県周防大島町で、富裕層が避暑地として非常に多く移住したため、都市別平均年収が全国1位になったそうです。そちらでの展開は難しそうですので、麻布台ヒルズ以降は、今のところこのラインを増やす予定はありません。
坂本:ここでも基本的な、ノウハウを貯める場所として、将来活用していくかたちでしょうか?
中西:そのとおりです。
プレミアム教育サービス(ラインナップ)
中西:スライドはプレミアム教育サービスのラインナップです。一番下に記載している新サービスライン、グローバルスクールが2023年4月に開設しました。こちらを今後の成長の柱にしていこうと考えています。
プレミアム教育サービス(事業領域)
中西:こちらは全体の説明です。どのようなプログラムがあるのかをまとめています。
多彩な教育プログラム・サービス
中西:当社オリジナルのプログラムだけではなく、さまざまな企業や教育機関と連携しながら、より良い教育プログラムを提供していこうと考えています。
中期5ヵ年経営計画
中西:5ヶ年の中期経営計画です。
解消が進む待機児童問題
中西:スライド右側が出生数、左側が待機児童数と保育所などの施設数を表したグラフです。出生数も減少していますが、青い棒グラフで表している待機児童も減っています。そのため、一見この市場は厳しいのではないかと思われるかもしれませんが、黄色の棒グラフでわかるとおり、保育・幼児教育の市場規模は増えているのが実態です。
保育・幼児教育サービス全体の市場環境
中西:子どもの数は減っていますが、1人あたりの教育費は増えているのが現状です。そのような意味で、この市場はまだ伸びると当社は考えています。
中期経営計画 – 概要
中西:中期経営計画では2028年までの5ヶ年の計画を立てました。2030年の目標としては、売上高200億円、経常利益10億円、EBITDA22億円を当社の目指す数字としています。
中期経営計画 – 基本施策
中西:そのための基本施策をいくつかスライドに記載しています。最初に目指すべきは、こちらの「グローバルスクールモデル」のような新モデルを増やすことだと考えています。
今後、こちらを何十園と増やしていきたいと思っています。なぜこちらをポイントにするかといいますと、1つは料金です。
先ほどの「プレミアムライン」では20万円を超える金額でしたが、こちらのモデルは10万円を切る程度の金額で設定しています。かつ、幼児教育無償化によって、日本全国どの世帯にも月額3万7,000円の補助が出るため、5万円から6万円程度で利用できるというところが1つです。当社の新しいラインの売りとして、この内容ならいろいろな場所に開園していけるだろうと考えています。
坂本:一昔前の認可保育所で、高所得の人が払っているくらいの金額ですね。
中西:そのとおりです。
坂本:その頃は6万円から7万円も払っていましたよね。
中西:おっしゃるとおりです。ですので、これくらいの金額であれば大丈夫なのではないかと思っています。
もう1つは英語教育を導入していることです。なぜ英語教育がいいのかといいますと、「これからの時代は英語が話せなければならない」ということは、みなさまのイメージの中にもあると思いますが、なにより、文科省が定める学習指導要領が2020年に改訂され、小学校は3年生から英語を学ぶことが決められているためです。
つまり、北海道から沖縄まで、日本全国すべての小学生が3年生から英語を学ぶということです。したがって、全国の各家庭で、少しでも早くから触れたほうがいいという機運が高まっており、こちらの「グローバルスクール」は、英語と日本語を半分ずつ学べるため、非常にニーズに沿っているだろうと思われます。
さらに、教育的観点からも、この時期は子どもにとって語学の習得には非常によいとされています。一方で、日本語の習得にも非常に重要な時期です。そのため、早い段階から海外に行って、日本に帰ってこない人生を過ごす方にとっては、日本語はそれほど必要ではないかもしれませんが、大半の方は母国である日本で、母語である日本語を使って生きていくとなると、やはり言語の習得時期に日本語と英語の両方をを学べることが教育的にも重要です。
全国展開を可能とするグローバルスクールモデル
坂本:このグローバルスクールのカリキュラムについてお尋ねですが、プレミアム教育サービスで提供している内容も学べるのでしょうか?
中西:基本的にはプレミアムラインの内容です。利用料が下がっているのは、東京の中心地からやや外れたエリアに展開することで家賃が安くなり、その分利用料を抑えているためです。また、プレミアムラインはすべてのコースについて専門の講師を呼んでいますが、グローバルスクールでは当社のスタッフが専門講師から研修を受けてノウハウを習得して教えています。このようなモデルによってコストを下げつつ、質は下げずに教育サービスを展開できるようになります。
展開エリアの拡大
坂本:地方展開も考えていらっしゃるのですね。
中西:はい、今後は地方展開も積極的に進めていきたいと考えています。
坂本:将来の見通しとしては、基本的にこのグローバルスクールを増やしていくイメージでしょうか?
中期経営計画 – 新規開設計画
中西:おっしゃるとおりです。まずは今後5ヶ年で30施設を目指しています。その後も2030年3月期までに50施設の開設を目標としていますが、当社は過去5年で55施設を開設していますので、実績と比較すると少しペースを下げているくらいです。中期経営計画では確実に達成できる数字を設定しています。
坂本:達成できる見込みなのですね。
中西:はい、無理のない設定になっています。
グローバルスクールモデルによるターゲット市場の拡大
中西:スライド右上に記載のとおり、今後50施設を開設する場合、約4,000人から5,000人の園児に通ってもらう必要があります。少子化が進む中、本当にこれだけ多くのお子さまを集められるのかという懸念が出てきます。月額7万円から8万円という費用は、一昔前の少し高い認可保育園と同じです。ターゲットになるのは、世帯年収800万円以上の世帯だと考えています。
左下の図にまとめたように、2030年時点の0歳から9歳の人口は785万人と想定されています。そのうち世帯年収800万円以上の世帯は約41パーセント、321万人です。この中から4,000人から5,000人が当社の園に新しく通っていただければ、中期経営計画は達成できます。我々としては十分達成できると想定しています。
中期経営計画 – グローバルスクールモデルにおけるスケール化
中西:グローバルスクールは施設によって規模が変わってくるのですが、1日あたり70人預かる施設をモデルにすると、充足率が100パーセントの場合、3年目の利益率が28パーセントになります。
坂本:8割でも黒字なのですね。
中西:ただし、50施設ほど開設しますので、どの施設も満員というわけにはいかないとも考えています。スライドの一番右側にあるように、平均充足率が90パーセントになれば、営業利益率は25パーセントとなり、収益として会社に十分寄与できると考えています。
坂本:錦糸町に立ち上げた最初の園は、どのような感じでしょうか?
中西:今のところ順調に推移しています。
坂本:これからさらに展開していけそうですか?
中西:はい、十分に展開していけると考えています。
長期成長イメージ(事業規模拡大)
中西:2030年の目標に掲げている売上高200億円は、スライドの図において緑で表した認可保育所事業と、濃い青のプレミアム教育サービス事業を足したものです。現在いろいろな新規事業や、他社との展開、M&Aなども検討しており、まだ発表できる段階ではないのですが、早くお知らせできるよう進めているところです。
それらの計画が実現すると、この青い部分がさらに伸びていきます。我々としては、2030年に売上200億円を達成して終わりと思っているわけではなく、この上にどれだけ積めるかということを全力で検討しながら進めています。そのような点も含めて、今後の当社にぜひご期待いただけたらと思います。私からは以上です。
質疑応答:自治体におけるグローバルスクールの認可について
坂本:グローバルスクールは伸びるだろうと思うのですが、新規の認可保育園は作りにくくなっています。前回、このフレームサービスのノウハウを認可保育所にも取り入れることで、選ばれる園を目指すとお話しされていました。
塾や習い事というかたちで行政からの認可を取得できれば大きく飛躍すると思うのですが、それが可能な自治体はどれくらいあるのでしょうか?
中西:神奈川エリアはOKになっているところもあります。一番メインの東京は、今後OKになる方向で動いているようです。1年、2年のうちに解禁されていくのではないかと予測しています。
坂本:ありがとうございます。また進捗を教えてください。
質疑応答:職員の教育について
増井:職員の教育について、具体的な取り組みの例を教えていただけますか?
中西:スライド左上にある伸芽会と共同で、オリジナルの教育プログラムとして「KID’S PREP. PROGRAM(キッズプレッププログラム)」を開発し、全園に導入しているところです。各園での取り組みに加えて、月1回全園の担当者をオンラインでつなぎ、そこに伸芽会の講師を呼んで、現場での指導について実践的な研修を行っています。
また、教育とは別の取り組みになりますが、昨今、不適切保育について頻繁に取り上げられる中で、当社では不適切保育に関する詳細なマニュアルを作っています。
園長先生を含めた本部の人間を何人か指名して、社内に不適切保育撲滅委員会を設けました。定期的に会議を行い、考えられる事例とその対処について研究し、各園に発信しています。このように、教育レベルを上げるための研修と、トラブル対応に特化した研修と、2本立てで取り組んでいます。
質疑応答:行政による子育て支援施策の影響について
坂本:政府や東京都の子育て支援が手厚くなってきましたが、御社にとってプラスになる部分はあるのでしょうか? 子育て支援の予算が増えることで利用者の費用負担が少なくなり、グローバルスクールに入りやすくなるという状況は期待できそうですか?
中西:大きな流れとして、少し前までは保育施設が足りないということで、行政の支援はいかに施設を増やすかという点に集中していました。それが今では、児童手当や、都立大学の学費無償化の対象拡大、給食費の無償化など、直接的な現金給付を増やす方向に動いています。
子育て家庭の可処分所得を増やすというのが、今の行政支援の大きな流れです。そうなると、増えた可処分所得を使って我々のような付加価値のある民間サービスを利用してみようというご家庭は増えてくると思いますし、実際にそのような動きを感じています。
質疑応答:施設の新規開設における課題について
坂本:グローバルスクールなどの施設を新たに開設する上で、採用や場所の確保など障害があると思いますが、一番のネックは何でしょうか?
中西:採用については今までも厳しかったのですが、保育園の新規開設が減ってきたことで、この2年、3年のうちに進めやすくなってくると見込んでいます。
一方で、グローバルスクールとなると、外国人の先生を採用する必要があります。今までもいろいろなネットワークや手段を使って採用してきましたが、外国人の良い先生をしっかりと確保できるのかというところは、今後の開設のポイントになってくると思います。
また、良い物件を見つけることも大切です。そこについては今いろいろと動きがあり、不動産が見つからないために新規開設ができないということは起きないと見込んでいます。
質疑応答:理系教育について
坂本:英語教育の低年齢層からの導入が一般的になる中、差別化する意味で英語以外の展開はあるのでしょうか? プレミアムラインで理系教育のプログラムがありますが、理系人材の育成を目指す方向は考えていますか?
中西:スライド右上にあるとおり、早稲田大学共同研究プロジェクトとして、理科実験やプログラミングなど、早稲田大学の先生方と共同研究しながら、実際に園で授業を行っています。まだ幼いお子さまが対象なので、本格的な理系人材の育成とはいきませんが、理系的発想に興味を持つきっかけになればと考えています。
お子さまに「おもしろいな、またやってみたいな」と思ってもらえることが大事ですので、本物の教育として、そのような機会を提供していきたいと思います。
質疑応答:施設の物件について
増井:新規施設の不動産は新築でしょうか? 中古の場合はどのような物件を選ぶのでしょうか?
中西:2パターンあり、1つはビルインタイプです。中古物件の場合、我々の施設は100坪前後あれば開設できますので、ビルインタイプで問題ありません。
あるいは、土地活用として保育施設を作っていただくことも考えられると思います。例えば6階建てのマンションを新築して、1階と2階は保育施設として当社が運営し、3階から上を住居スペースにしていただくこともできると思います。このような例は今までもありましたし、今後も手法の1つとして活用していきたいと考えています。
坂本:提携されたヒューリックさまから来るお話もあるということですね。
中西:もちろん案件もあります。
増井:プレミアムラインやグローバルスクールとなると、確かにビルが貧弱ではいけないですよね。
中西:そうなのです。やはり世界観として、プレミアム感が必要です。パリッとしていると言うと抽象的ですが、新しくてきれいな物件は重要な要素になってきます。
今回のグローバルスクールは、それこそヒューリックさまが開発された新築物件に入っていますので、非常にすてきな施設となっています。
当日に寄せられたその他の質問と回答
当日に寄せられた質問について、時間の関係で取り上げることができなかったものを、後日企業に回答いただきましたのでご紹介します。
<質問1>
質問:同業他社と比較し、プレミアム教育サービス事業が御社の大きな特徴だと理解しています。この事業を立ち上げた経緯などご教示ください。
回答:まず、自分の生い立ちが教育の必要性、尊さを強く感じる環境にあったことに加え、待機児童問題による世の中からの需要を強く感じたことがあります。
また、保育園運営は株式会社に門戸が開放されていることに加え、マーケティングのプロとしてのスキルを活かし、世の中に役に立つ教育サービスを提供したいという思いがありました。 その中で、拠点となる東京都心というエリアのニーズを考えると、プレミアム教育サービスが一番期待されていると感じ、事業化を始めました。
<質問2>
質問:「グローバルスクール錦糸町」の状況と、今後のより具体的な顧客層をどのように想定されているか教えてください。
回答:「グローバルスクール錦糸町」は順調です。顧客層は共働きの家庭で世帯年収800万円以上の世帯を想定しています。2023年6月29日公開「事業計画及び成長可能性に関する事項」の52ページをご参照ください。
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