S&P500月例レポート(23年9月配信)<前編>

\ あなたにピッタリの銘柄がみつかる /

みんかぶプレミアムを無料体験!

プランをみる

最新投稿日時:2023/09/15 14:35 - 「S&P500月例レポート(23年9月配信)<前編>」(みんかぶ株式コラム)

お知らせ

読み込みに失敗しました。

しばらくしてからもう一度お試しください。

重要なお知らせ すべて見る

S&P500月例レポート(23年9月配信)<前編>

S&P500月例レポートでは、S&P500の値動きから米国マーケットの動向を解説します。市場全体のトレンドだけではなく、業種、さらには個別銘柄レベルでの分析を行い、米国マーケットの現状を掘り下げて説明します。

THE S&P 500 MARKET:2023年8月
個人的見解:6月と7月の上昇から揺り戻し、市場は高値水準を試す展開に

 米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ終了(および利下げ開始期待)と、インフレの収束(一時的という言葉が調整または再定義されました)を祝う6月と7月のパーティー(9.79%上昇)も、8月に終わってしまいました。市場は、個人消費と政府支出に後押しされた経済の好調を受けて金利が長期的に高止まりする可能性に注目し始め、今では経済がどの程度好調なのかという点に焦点が当てられています。経済の好調度合いに対する懸念から、市場は8月18日までに4.78%下落し、利益確定や資産配分の見直しといった動きも下落に拍車を掛けたとみられます。実際には、その後に発表された経済指標(住宅関連、JOLTS求人労働異動調査、雇用関連)は成長の鈍化を示しており、市場は18日以降に3.16%持ち直しましたが、最終的に1.77%下落して8月を終えました。

 8月は値下がり銘柄数が値上がり銘柄数を上回りました。6~7月には449銘柄が上昇し、54銘柄が下落しましたが、8月の値上がり銘柄数は153銘柄、値下がり銘柄数は350銘柄でした。どちらの期間を見ても、市場は下値支持線を探りながら水準を探っているようです。ボラティリティは高まり、日中ボラティリティ(日中の値幅を安値で除して算出)は7月の0.68%から8月は1.01%に上昇し、3月の1.51%以来の高水準となりました。

 個別銘柄レベルでは、9月19日-20日の米連邦公開市場委員会(FOMC)を前にアナリストが2023年第4四半期および2024年通期の予想を見直すのに伴い、株価水準を試す展開が9月も続くとみられます。金融政策に関しては、先物市場は9月のFOMCで金利が据え置かれる確率を89%と織り込む一方、10月31日-11月1日のFOMCで0.25%の利上げが行われる確率は38%と織り込んでいます。利上げに関する明るい面として、市場は0.25%の利上げを受け入れる準備が完全に整っています。ただし、パウエルFRB議長の文言から、追加利上げは最後となることが示唆される場合に限ります。全体として、ボラティリティの上昇が予想されますが、その状況は業界や個別銘柄の見通しによって異なるほか、FRBの動きやコメントは相場全体の上下に影響するとみられます。

 大統領選挙までまだ16ヵ月もあるため、現時点では市場に大きな影響を及ぼしていませんが(コンプライアンス上、筆者の見解を述べることはできませんが、私の母が生きていたなら、そのリスクを取っていたでしょう)、議会と大統領を巡るさまざまな選挙結果を想定したポートフォリオの構築は進んでいるようです。

 また、1928年以降の統計で9月は最もパフォーマンスが悪い月であり、上昇の確率はわずか44%で、パフォーマンスを平均すると1.12%の下落となっています。ちなみに、2022年9月は9.35%下落、2021年9月は4.76%下落で、2020年9月は3.99%下落しました。

 S&P500指数は8月に1.77%下落して4507.66で月を終えました(配当込みのトータルリターンはマイナス1.59%)。7月は4588.96で終え、3.11%の上昇(同プラス3.21%)、6月は4450.38で終え、6.47%の上昇(同プラス6.61%)でした。過去3ヵ月では7.84%の上昇(同プラス8.28%)、年初来では17.40%の上昇(同プラス18.73%)、過去1年では13.97%の上昇(同プラス15.94%)でした。2022年は19.44%の下落(同マイナス18.11%)、2021年は26.89%の上昇(同プラス28.71%)、2020年は16.26%の上昇(同プラス18.40%)、2019年は28.88%の上昇(同プラス31.49%)、2018年は6.24%の下落(同マイナス4.38%)でした。2022年1月3日の高値からは6.02%の下落(同マイナス3.39%)、コロナ危機前の2020年2月19日の高値からは33.12%の上昇(同プラス41.00%)でした。

 8月の日中ボラティリティ(日中の値幅を安値で除して算出)は7月の0.68%から再び1.01%に上昇(6月は0.88%、5月は0.96%、4月は0.92%、3月は1.51%)、年初来では1.09%となりました。2022年は1.83%、2021年は0.97%、2020年は1.51%でした。8月の出来高は、6月に前月比4%増加、7月に同10%減少した後、1%増加し(営業日数調整後)、前年同月比では12%の増加でした。2023年8月までの過去1年では前年比16%増加しました。2022年は同6%の増加でした。

 8月は1%以上変動した日数は23営業日中5日(上昇が2日、下落が3日)でした。7月は20営業日中に前日比で1%以上変動した日はありませんでした。6月は1%以上変動した日数は22営業日中4日(4日全て上昇)でした。年初来では、1%以上変動した日数は167営業日中46日(上昇が27日、下落が19日)、2%以上変動した日数は2日(上昇が1日、下落が1日)でした。2022年は、1%以上変動した日数は122日(上昇が59日、下落が63日)、2%以上変動した日数は46日(上昇が23日、下落が23日)でした。2021年は、1%以上変動した日数は55日(上昇が34日、下落が21日)、2%以上変動した日数は7日(上昇が2日、下落が5日)でした。

 8月は23営業日中12日で日中の変動率が1%以上となり、2%以上の変動と3%以上の変動はありませんでした(7月は21営業日中2日で日中の変動率が1%以上となり、2%以上と3%以上の変動はありませんでした)。年初来では1%以上の変動が80日、2%以上の変動が12日、3%以上の変動はありませんでした(直近で3%以上の変動があったのは2022年11月30日)。2022年は1%以上の変動が218日、2%以上の変動が89日、3%以上の変動が20日、4%以上の変動が4日ありました。2021年は1%以上の変動が93日、3%以上の変動が3日ありました。

 ダウ・ジョーンズ工業株価平均(ダウ平均)は8月に2.36%下落して3万4721.91ドルで月を終えました(配当込みのトータルリターンはマイナス2.01%)。7月は3万5559.53ドルで終え、3.35%の上昇(同プラス3.44%)、6月は3万4407.60ドルで終え、4.56%の上昇(同プラス4.68%)でした。2022年1月4日の高値(3万6799.65ドル)からは5.65%下落しました。過去3ヵ月では5.51%の上昇(同プラス6.10%)、年初来では4.75%の上昇(同プラス6.37%)、過去1年では10.19%の上昇(同プラス12.58%)、2022年は8.78%の下落(同マイナス6.86%)でした。

主なポイント

 ○金利が長期的に高止まりする可能性や消費者の支出能力に対する懸念の高まりを受け、市場は8月に反落しました。S&P500指数構成企業の2023年第2四半期の利益は予想を大幅に上回り、当初はわずかな減益が予想され、非公式予想では2%の増益が見込まれていましたが、最終的に4.5%の増益となる見通しです。売上高は過去最高を記録した2022年第4四半期をわずかに上回る見通しです。FRBは2%のインフレ目標に固執し、データ次第との見方を強調しました。小売業界では「商品損失」、すなわち万引きや組織的犯罪による盗難問題が深刻化しています。しかし、高値水準にあった指数への実際の影響は広範囲でしたが、特に7月までの年初来上昇率を考えると限定的です。

 ○2023年第2四半期の企業利益は予想を大幅に上回りました。当初は前期比でわずかな減益が予想され、非公式予想では2%の増益が見込まれていましたが、最終的に4.5%の増益となる見通しで、業績リセッションの話題はもはや、ほとんど聞かれなくなりました。現時点で496銘柄(時価総額で98%に相当)が決算発表を終え、そのうち75.8%に当たる376銘柄で営業利益が予想を上回りました(過去平均は3分の2)。第2四半期の売上高も予想を上回り、前期比2.4%増、前年同期比7.1%増となる見通しです。第1四半期は過去最高を記録した2022年第4四半期から2.2%減少していましたが、第2四半期は合計3兆8600億ドルが見込まれており、わずかですが過去最高を更新する見通しです。売上高を発表する全493銘柄が発表を終え、このうち314銘柄(63.7%)で売上高が予想を上回りました。利益率も高水準を維持しており、2023年第1四半期の11.64%から上昇して11.88%となる見通しです(1993年以降の平均は8.34%)。

 ○8月の主なデータ

  ⇒市場の月間ベースでの連続上昇は5ヵ月で止まり(累計で15.59%上昇)、8月は23営業日のうち14日で下落しました。11セクターのうち10セクターが下落し、値下がり銘柄数が値上がり銘柄数を上回りました。値上がり銘柄数は、7月の362銘柄に対し、8月は153銘柄でした。8月の出来高は前月比1%増、前年同月比では16%増加しました。

  ⇒8月は11セクターのうち10セクターが下落しました。6月と7月は11セクターすべてが上昇、5月は3セクターが上昇しました。8月の上昇率が最も高かったのは前月に続いてエネルギーで、7月の7.28%上昇に対し、8月は1.27%上昇して、月間で上昇した唯一のセクターとなりました。同セクターは年初来では0.77%上昇、2021年末比では60.26%上昇しています。パフォーマンスが最低となったのは公益事業で、8月は6.72%下落、年初来では11.37%下落、2021年末比では12.64%下落しています。

  ⇒月末時点で、69銘柄(7月は87銘柄)が52週高値から2%以内にあり、26銘柄(同32銘柄)が52週高値を付けています。

 ○S&P 500指数は8月に1.77%下落して4507.66で月を終えました(配当込みのトータルリターンはマイナス1.59%)。7月は4588.96で終え、3.11%の上昇 (同プラス3.21%)、6月は4450.38で終え、6.47%の上昇(同プラス6.61%)でした。過去3ヵ月間では7.84%の上昇(同プラス8.28%)、年初来では17.40%の上昇(同プラス18.73%)、過去1年間では13.97%の上昇(同プラス15.94%)でした。

  ⇒バイデン大統領が勝利した2020年11月3日の米大統領選挙以降では33.79%の上昇(同プラス39.92%)でしたが、2021年1月20日の就任以降では17.03%の上昇(同プラス21.94%)でした。

  ⇒重要な相場の節目を起点とした騰落率:シリコンバレー銀行破綻前の2023年3月8日からは12.92%の上昇(同プラス13.83%で、金融セクターは1.58%下落)、2022年1月3日の終値での最高値からは6.02%の下落(同マイナス3.39%)、コロナ危機前の2020年2月19日の高値からは33.12%の上昇(同プラス41.00%)でした。

利回り、金利、コモディティ

 ○米国10年国債利回りは7月末の3.96%から4.11%に上昇して月末を迎えました(2022年末は3.88%、2021年末は1.51%、2020年末は0.92%、2019年末は1.92%、2018年末は 2.69%、2017年末は2.41%)。30年国債利回りは7月末の4.02%から4.21%に上昇して取引を終えました(同3.97%、同1.91%、同1.65%、同2.30%、同3.02%、同3.05%)。

 ○英ポンドは7月末の1ポンド=1.2837ドルから1.2672ドルに下落し(同1.2099ドル、同1.3525ドル、同1.3673ドル、同1.3253ドル、同1.2754ドル、同1.3498ドル)、ユーロは7月末の1ユーロ=1.0995ドルから1.0842ドルに下落しました(同1.0703ドル、同1.1379ドル、同1.2182ドル、同1.1172ドル、同1.1461ドル、同1.2000ドル)。円は7月末の1ドル=142.25円から145.51円に下落し(同132.21円、同115.08円、同103.24円、同108.76円、同109.58円、同112.68円)、人民元は7月末の1ドル=7.1433元から7.2583元に下落しました(同6.9683元、同6.3599元、同6.6994元、同6.9633元、同6.8785元、同6.5030元)。

 ○8月末の原油価格は2.1%上昇し、7月末の1バレル=81.85ドルから同83.57ドルとなりました(2022年末は同79.35ドル)。米国のガソリン価格(EIAによる全等級)は8月に1.6%上昇しました(8月末は1ガロン=3.931ドル、7月末は同3.869ドル、2022年末は同3.203ドル、2021年末は同3.375ドル)。2020年末から原油価格は72.6%上昇し(2020年末は1バレル=48.42ドル)、ガソリン価格は68.7%上昇しました(2020年末は1ガロン=2.330ドル)。

  ⇒2023年7月時点のEIAの報告によると、ガソリン価格の内訳は、50%が原油(6月は47%、5月は49%、4月は51%、3月は50%、2月は53%、1月は55%)、14%が連邦税および州税(同14%、同14%、同14%、同15%、同15%、同15%)、11%が販売・マーケティング費(同14%、同15%、同12%、同11%、同13%、同10%)、そして25%が精製コストおよび利益(同24%、同21%、同23%、同24%、同20%、同20%)となっています。

 ○金価格は7月末の1トロイオンス=2003.80ドルから下落し1966.50ドルで8月の取引を終えました(2021年末は1829.80ドル、2020年末は1901.60ドル、2019年末は1520.00ドル、2018年末は1284.70ドル、2017年末は1305.00ドル)。

 ○VIX恐怖指数は7月末の13.63から13.57に下落して8月を終えました。月中の最高は18.88、最低は13.44でした(2022年末は21.67、2021年末は17.22、2020年末は22.75、2019年末は13.78、2018年末は16.12)。

  ⇒同指数の2022年の最高は38.89、最低は16.34でした。

  ⇒同指数の2021年の最高は37.51、最低は14.10でした。

  ⇒同指数の2020年の最高は85.47、最低は11.75でした。

各国中央銀行の動き(および関連ニュース)

 ○イングランド銀行(英中央銀行)は、金融政策委員会で政策金利を0.25%引き上げて5.25%とすることを賛成6名、反対3名の賛成多数で決定しました。2名の委員が0.50%の利上げを支持し、1名は据え置きを主張しました。政策ガイダンスではインフレ抑制のために追加利上げを行う可能性が示唆されました。

 ○サンフランシスコ連銀は調査レポート(S&Pコアロジック・ケース・シラー住宅指数や、住宅価格情報プロバイダーZillowと不動産情報サービス Apartment Listのデータを活用)の中で、(CPIに占める構成ウエイトが最大である)住宅コストが2024年に下落に転じる可能性があることを示唆しました。

 ○中国人民銀行(中央銀行)は中期貸出制度の1年物金利を2.65%から2.50%に引き下げ、銀行システムに対して552億ドルの資金を供給しました。8月下旬には、1年物ローンプライムレートを0.1%引き下げて3.45%に設定しました(5年物ローンプライムレートは4.2%に据え置き)。中国の経済規模を考えると、今回の利下げは小幅と見られています。

 ○ロシア中央銀行は通貨ルーブルの急落を受けた緊急会合で政策金利を3.5%引き上げて12.0%とすることを決定しました(ルーブル相場は1年前の1ドル=60ルーブルから同95ルーブルまで下落)。

 ○7月25-26日に開催された FOMCの議事録が公表されましたが、その中でFRBが依然としてインフレの上昇リスクを強く警戒していたことが明らかになりました。同会合では政策金利が0.25%引き上げられました。

 ○毎年開催されているBRICS (ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカで構成)首脳会議が南アフリカの首都ヨハネスブルグで開催されました。今回の会合では、新たな国際通貨(ドルを決済通貨としない脱ドル化)を用いた貿易システム創設の計画が話し合われました。現在までに22ヵ国がBRICSへの参加申請を表明しており、6ヵ国(アルゼンチン、エジプト、エチオピア、イラン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦)が2024年1月から正式な加盟国となります。

企業業績

 ○496銘柄(時価総額で98%に相当)が2023年第2四半期決算の発表を終え、そのうち376銘柄(75.8%)で営業利益が予想を上回り、493銘柄中 314銘柄(63.7%)で売上高が予想を上回りました。

  ⇒2023年第2四半期のEPSは前期比4.5%増、前年同期比17.2%増が見込まれています。売上高は前期比2.4%増、前年同期比7.1%増となり、(過去最高を記録した2022年第4四半期を僅かに上回る)3.96兆ドルに達して、過去最高を更新する見通しです。

  ⇒2023年第2四半期の営業利益率は、第1四半期の11.64%から上昇して11.88%となる見通しです(1993年以降の平均は8.34%、過去最高は2021年第2四半期の13.54%)。

  ⇒2023年第2四半期中に株式数の減少によってEPSが大きく押し上げられた発表済みの銘柄の割合は16.4%となっています。この割合は、2023年第1四半期は18.6%、2022年第2四半期は19.8%でした。

  ⇒2023年第3四半期の利益は前期比1.0%増、第4四半期は前期比3.3%増が見込まれており、過去最高となる見通しです(現時点での過去最高は2021年第4四半期)。

  ⇒2023年通年の利益は前年比11.8%増となる見通しで、この予想に基づく2023年の予想株価収益率(PER)は20.5倍となっています。

  ⇒2024年の利益は同11.7%増が見込まれており、2024年予想PERは 18.3倍となっています。

個別銘柄

 ○2021年に評価額90億ドルでSPAC(特別買収目的会社)を通じて上場したシェアオフィス大手ウィーワークは(同社は2019年に想定企業価値470億ドルでIPOを目指すも断念)、破産法申請の可能性があるとの警告を発しました。同社の株価は0.20ドル(上場後に付けた最高値は10.28ドル)、時価総額は1億6200万ドルとなっています。

 ○S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスは、コンシューマーヘルスケア事業を手掛けるケンビューをS&P500指数に採用すること、また、採用日に関しては後日決定することを発表しました。ヘルスケア大手ジョンソン・エンド・ジョンソンは、分社化したケンビューの株式と自社の株式との株式交換手続きを進めています。

 ○8月下旬にS&P ダウ・ジョーンズ・インデックスはケンビューをS&P 500指数に採用し、自動車部品販売のアドバンス・オート・パーツを除外しました。

 ○著名投資家ウォーレン・バフェット氏が率いるバークシャーハサウェイは、新たに住宅関連のDRホートン、NVR、レナーの株式を取得したことを公表しました。

 ○小売業では万引きなどの盗難による損失が再び問題となっており、深刻化しています。スポーツ用品ディックス・スポーティング・グッズの株価は、業績未達の決算発表を受けて24%下落しましたが、同社はその原因として「商品損失」の問題を挙げています。

 ○工業コングロマリットのスリーエムは 、米軍から提訴された欠陥のある軍事用耳栓の販売の訴訟に対する和解金として60億ドルを支払うことを明らかにしました。

注目点

 ○ビル・アックマン氏(ヘッジファンドのパーシング・スクエア・キャピタル・マネジメントの創設者)は、金利上昇に対するヘッジとして、長期米国債のポジション(ショートと同様のポジションで、同氏はスタンドアローンと呼んでいます)を取りました。

 ○ライドシェア大手のウーバー・テクノロジーズは、2009年の創業以来初となる四半期の営業利益を計上しました。

 ○米国経済の景気後退入りは避けられるとの見方がある中、JPモルガン・チェースのエコノミストは、米国経済が2023年に景気後退に陥るとの予想を撤回しました(ただし、2024年の景気後退の可能性は否定しませんでした)。

 ○短期金融市場への資金流入は引き続き旺盛で(先週は210億ドル)、総資金額は過去最高の6兆7000億ドルを記録しました。

 ○マウイ島ラハイナの大火災による死者数は111人に達し、依然として1000人以上が行方不明となっています。当初の保険適用損害額は32億ドル、被害額は55億ドルとみられています。地元電力会社のハワイアン・エレクトリック・インダストリーズの株価は、同社の送電線と火災の関連性をめぐる集団訴訟が起きたことを受けて、8月に62.8%下落しました。

 ○8月には純然たる成功者が誕生しました。宝くじメガ・ミリオンズの1口2ドルのチケットでジャックポットを獲得した(州税のないフロリダ州の)人物です。メガ・ミリオンズはこの当選者に対して15億8000万ドルを30年間の分割払いで、または7億8500万ドルを一括払いで支払いました。ウォール街の私たちはどうかと言うと…(まだ働き続けています)。

 ○ニューヨークのダウンタウン(ウォール街エリア)で186年の歴史を持つレストランのデルモニコスが9月に再開する予定です(子供の頃に父と一緒に行ったのを覚えています)。広く受け入れられていたダウンタウンの定番の飲み屋を再び利用できるかもしれません。開店したらお知らせします(料金は会社に支払ってもらいます)。

<後編>へ続く
 


配信元: みんかぶ株式コラム

みんかぶおすすめ