■事業概要
1. 事業内容
日産東京販売ホールディングス<8291>の事業セグメントは自動車関連事業、情報システム関連事業、その他に3分され、自動車関連事業は新車販売、中古車販売、整備、その他に細分される。2022年3月期における自動車関連事業の売上高構成比は約95%と大半を占め、そのうち約半分が新車販売となっている。日産自動車と日産東京販売の関係は、日産東京販売が日産自動車から新車や部用品を仕入れて一般消費者などに販売するというだけでなく、EVやプロパイロット(Pro-PILOT:運転支援技術)、e-POWER(日産独自のハイブリッドユニット)、e-4ORCE(電動駆動4輪制御技術)といった先端技術車のPRや試乗会開催、急速充電器の拡充などを通じて、日産東京販売が日産自動車と消費者をつなぐ役割も担っている。
(1) 自動車関連事業
日産東京販売は日産自動車の新車を販売するほか、中古車の買取・販売、その他整備・車検などを行っている。もちろん取扱車種は日産車全車種である。新車を販売することで中古車販売の回転が良くなり、整備などのストックビジネスが積み上がるという安定したバリューチェーンを形成しており、新車と中古車、整備との売上バランスは良好のようだ。収益面では、整備は安定的な収益基盤、中古車の仕入れは新車販売への依存度が大きく、グループの収益をけん引するのは新車の役割ということになる。同社のシェアは長らく弱含んで推移していたが、理由は他社ブランドと比べて日産ブランドの新型車投入が少なかったことにある。しかしここ数年、後に詳述するが、日産自動車が新型車の投入やイメージ戦略によって強烈に巻き返しを図っており、同社のシェアも上昇傾向にある。なお、ルノー車の販売は、現在、ルノー車専門の販売店5店舗を展開しており、ルノー車の全国販売シェアで8%(2021年度)、全国ディーラーでNo.1の販売台数という実績を誇っている。
(2) 新車以外の自動車関連事業
中古車の買取・販売については、日産東京販売も他メーカー同様、新車の販売促進という側面から扱っている。買取は、同社を含めた日産ディーラーネットワークが運営する「日産カウゾー」で、中間マージンを排除した高価買取を行っている。販売は、日産自動車による認定中古車を、厳しいサービスレベルをクリアした「クオリティショップ」で、充実した保証とアフターサービスとともに行っている。もちろん同社も「クオリティショップ」である。なお、日産自動車公式中古車サイトで、販売店全国600店舗、約18,000台の中古車を比較検討することができる。整備については、日産東京販売のストックビジネスの柱の1つでもあるが、子会社の大規模総合自動車整備会社エヌティオートサービスが、専業としての確かなサービス品質と最新鋭の設備によって板金・塗装や車検整備、納車整備などを行っており、グループの整備を集中的に扱うセンターとしても機能している。事業所は東京に7拠点、埼玉に1拠点ある(2022年3月末)。高級輸入車のアルミボディにも対応できる業界屈指の高い技術力を有し、車検整備39,060台(2022年3月期)、総入庫台数70,337台(同)という実績を誇る。車検については、日産東京販売のほか車検専門店の車検館でも扱っている。車検館は東京、神奈川、埼玉、千葉に12店舗のネットワークを有し、全店が最新設備をそろえた指定工場になっており、国家資格を持つ検査員が顧客の持ち込んだ自動車を確かな技術で検査することをセールスポイントにしている。このほか自動車関連事業では、前述したカーリース「P.O.P」、損害保険・生命保険の代理店や車両輸送・登録代行業務、日産車をベースにしたキャンピングカー専門のディーラーなどを行っている。
(3) 情報システム関連事業
同社の情報システム関連事業を担う東京日産コンピュータシステムは、全国の自動車ディーラーに向けて統合型マネージドサービス「ITte(イッテ)」を販売している。前述したように同社グループへの依存度が非常に低く、ほぼ独り立ちしている状態と言える。そのような東京日産コンピュータシステムが属するIT業界は、コロナ禍をきっかけとしたテレワークなど働き方改革の浸透により活況となっているが、社会全般のDXを背景にコロナ禍収束後も活況が続くと想定されている。このような事業環境の中、「最も安心してITインフラを任せられる企業」をビジョンに、顧客価値を創造するマネージドサービスカンパニーとして、取引先の持続的成長を支援するベストパートナーを目指している。また、社会全般のDXを背景に同社も、顧客やこれまで販売してきた自動車、様々な使用状況など、グループで集積したビッグデータをビジネスに生かしていくことが求められており、東京日産コンピュータシステムは同社にとって非常に心強い存在ということができる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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1. 事業内容
日産東京販売ホールディングス<8291>の事業セグメントは自動車関連事業、情報システム関連事業、その他に3分され、自動車関連事業は新車販売、中古車販売、整備、その他に細分される。2022年3月期における自動車関連事業の売上高構成比は約95%と大半を占め、そのうち約半分が新車販売となっている。日産自動車と日産東京販売の関係は、日産東京販売が日産自動車から新車や部用品を仕入れて一般消費者などに販売するというだけでなく、EVやプロパイロット(Pro-PILOT:運転支援技術)、e-POWER(日産独自のハイブリッドユニット)、e-4ORCE(電動駆動4輪制御技術)といった先端技術車のPRや試乗会開催、急速充電器の拡充などを通じて、日産東京販売が日産自動車と消費者をつなぐ役割も担っている。
(1) 自動車関連事業
日産東京販売は日産自動車の新車を販売するほか、中古車の買取・販売、その他整備・車検などを行っている。もちろん取扱車種は日産車全車種である。新車を販売することで中古車販売の回転が良くなり、整備などのストックビジネスが積み上がるという安定したバリューチェーンを形成しており、新車と中古車、整備との売上バランスは良好のようだ。収益面では、整備は安定的な収益基盤、中古車の仕入れは新車販売への依存度が大きく、グループの収益をけん引するのは新車の役割ということになる。同社のシェアは長らく弱含んで推移していたが、理由は他社ブランドと比べて日産ブランドの新型車投入が少なかったことにある。しかしここ数年、後に詳述するが、日産自動車が新型車の投入やイメージ戦略によって強烈に巻き返しを図っており、同社のシェアも上昇傾向にある。なお、ルノー車の販売は、現在、ルノー車専門の販売店5店舗を展開しており、ルノー車の全国販売シェアで8%(2021年度)、全国ディーラーでNo.1の販売台数という実績を誇っている。
(2) 新車以外の自動車関連事業
中古車の買取・販売については、日産東京販売も他メーカー同様、新車の販売促進という側面から扱っている。買取は、同社を含めた日産ディーラーネットワークが運営する「日産カウゾー」で、中間マージンを排除した高価買取を行っている。販売は、日産自動車による認定中古車を、厳しいサービスレベルをクリアした「クオリティショップ」で、充実した保証とアフターサービスとともに行っている。もちろん同社も「クオリティショップ」である。なお、日産自動車公式中古車サイトで、販売店全国600店舗、約18,000台の中古車を比較検討することができる。整備については、日産東京販売のストックビジネスの柱の1つでもあるが、子会社の大規模総合自動車整備会社エヌティオートサービスが、専業としての確かなサービス品質と最新鋭の設備によって板金・塗装や車検整備、納車整備などを行っており、グループの整備を集中的に扱うセンターとしても機能している。事業所は東京に7拠点、埼玉に1拠点ある(2022年3月末)。高級輸入車のアルミボディにも対応できる業界屈指の高い技術力を有し、車検整備39,060台(2022年3月期)、総入庫台数70,337台(同)という実績を誇る。車検については、日産東京販売のほか車検専門店の車検館でも扱っている。車検館は東京、神奈川、埼玉、千葉に12店舗のネットワークを有し、全店が最新設備をそろえた指定工場になっており、国家資格を持つ検査員が顧客の持ち込んだ自動車を確かな技術で検査することをセールスポイントにしている。このほか自動車関連事業では、前述したカーリース「P.O.P」、損害保険・生命保険の代理店や車両輸送・登録代行業務、日産車をベースにしたキャンピングカー専門のディーラーなどを行っている。
(3) 情報システム関連事業
同社の情報システム関連事業を担う東京日産コンピュータシステムは、全国の自動車ディーラーに向けて統合型マネージドサービス「ITte(イッテ)」を販売している。前述したように同社グループへの依存度が非常に低く、ほぼ独り立ちしている状態と言える。そのような東京日産コンピュータシステムが属するIT業界は、コロナ禍をきっかけとしたテレワークなど働き方改革の浸透により活況となっているが、社会全般のDXを背景にコロナ禍収束後も活況が続くと想定されている。このような事業環境の中、「最も安心してITインフラを任せられる企業」をビジョンに、顧客価値を創造するマネージドサービスカンパニーとして、取引先の持続的成長を支援するベストパートナーを目指している。また、社会全般のDXを背景に同社も、顧客やこれまで販売してきた自動車、様々な使用状況など、グループで集積したビッグデータをビジネスに生かしていくことが求められており、東京日産コンピュータシステムは同社にとって非常に心強い存在ということができる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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