今週のポイント
資源新興国通貨にとっても、15-16日の米FOMC(連邦公開市場委員会)が材料になりそうです。FOMCの声明やパウエル米FRB議長の会見、FOMCメンバーによる政策金利見通しで利上げペースが今後加速することが示唆されれば、米ドル高が全般的に進んで豪ドル/米ドルやNZドル/米ドルには下押し圧力が加わる可能性があります。
主要国の株価動向やウクライナ情勢には注意が必要かもしれません。FRBの利上げペースが加速することは株価にとってマイナス要因になりうるからです。主要国の株価が大きく下落する、あるいはウクライナ情勢次第では、リスクオフ(リスク回避)の動きが強まり、円高圧力や米ドル高圧力が加わる可能性があります。円高圧力や米ドル高圧力はとりわけ、投資家のリスク意識の変化(リスクオン/リスクオフ)を反映しやすい対豪ドルや対NZドルで加わりやすいかもしれません。
17日にTCMB(トルコ中銀)の政策会合があります。トルコの2月CPI(消費者物価指数)は前年比54.44%と、約20年ぶりの高い伸びを記録しました。これまでのトルコリラ安や原油など資源価格高騰の影響もあり、CPI上昇率は今後一段と加速する可能性があります。インフレ圧力の高まりへの対応策として利上げが考えられるものの、エルドアン大統領は低金利を志向しており、TCMBが利上げを行うのは困難と考えられます。17日の会合では政策金利は14.00%に据え置かれそうです。
政策金利が据え置かれた場合、トルコの実質金利(政策金利からCPI上昇率を引いたもの。14日時点でマイナス40.44%)のマイナス幅の大きさが市場で改めて意識されてトルコリラ安圧力が強まる可能性があります。
今週の注目通貨ペア①:<豪ドル/NZドル 予想レンジ:1.05500~1.08200NZドル>
RBA(豪中銀)は、年内に利上げを開始する可能性があるとしつつも、当面は政策金利を据え置く姿勢を示しています。
一方、RBNZ(NZ中銀)は2月の前回会合まで3回連続で利上げを実施しており、今後も利上げを継続することを示唆しています。過去3回の利上げ幅はいずれも0.25%でしたが、市場では4月13日の次回会合で0.50%の利上げを行うとの観測が浮上しています。
RBAとRBNZの金融政策スタンスの違いを反映すれば、豪ドル/NZドルは上値が重い展開になるかもしれません。ただ、RBNZの利上げ継続は市場にある程度織り込まれていると考えられ、また市場ではRBAは早ければ6月にも利上げを開始するとの観測があります。豪ドル/NZドルは下落を続ける状況でもなさそうです。
豪州の2月雇用統計が17日に発表されます。雇用統計が市場予想(失業率:4.1%、雇用者数:前月比3.89万人増)よりも強い結果になれば、RBAの利上げ観測が強まり、豪ドル/NZドルは底固さを増しそうです。豪ドル/NZドルのメドとして、下値が200日移動平均線(14日時点で1.05629NZドル)、上値は1.08163NZドル(21/5/4高値)が挙げられます。
今週の注目通貨ペア②:<カナダドル/円 予想レンジ:89.500円~93.000円>
カナダの2月雇用統計の結果は、失業率が5.5%、雇用者数は前月比33.66万人増でした。失業率は1月の6.5%から市場予想(6.2%)よりも大きく低下(改善)し、コロナ過前の19年6月以来の低水準を記録。雇用者の伸びは市場予想(16.00万人増)を上回りました。また、平均時給(正社員)は前年比3.3%と、21年2月以来の高い伸びとなりました。
雇用統計の強い結果を受けて市場では、BOC(カナダ中銀)が4月13日の次回政策会合で0.50%の利上げを行うとの観測が強まりました。カナダの2月CPI(消費者物価指数)が16日に発表されます。CPIの市場予想は前年比5.5%と、上昇率は前月(1月)の5.1%から加速し、BOCのインフレ目標(2%を中心に1~3%のレンジ)からさらにかけ離れるとみられています。CPIが市場予想を上回る結果になれば、0.50%の利上げ観測は一段と強まり、カナダドル/円は堅調に推移しそうです。カナダドル/円は92.997円(21/10/21高値)が目先の上値メドです。
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