■トピック
昭和産業<2004>は2021年10月1日「統合報告書2021」を発行した。長期ビジョン「SHOWA Next Stage for 2025~全てのステークホルダーに満足を提供する“穀物ソリューション・カンパニーNext Stage”~」を掲げ、ありたい姿の実現に向けて取り組んでいる。「統合報告書2021」では長期ビジョン実現に向けた今後の対応や価値創造の源泉となる「複合系シナジーソリューション」を伝えているほか、「中期経営計画20-22」の進捗状況、「ESGに関する取り組み」などについても言及している。
「複合系シナジーソリューション」とは、顧客とのコミュニケーションを通じてニーズの把握と顧客満足度の向上及び課題抽出の深掘りを目指す「カスタマーコミュニケーション」と、事業領域や技術分野の垣根を越えて穀物や食品素材を用いた価値(商品)を創造し、課題解決を目指す「シナジーコミュニケーション」が融合することで生み出されるもののことである。ボーソー油脂とサンエイ糖化がグループに加わったことで、同社が製造する食品素材の幅は広がり、これら食材や副産物、グループシナジーを生かすことで、健康や環境に貢献するとともに潜在的な顧客ニーズにも対応していく。この価値創造の基点となるのが、2016年に開設したRD&Eセンターである。同社は今後も、同拠点を中心に新たな技術や製品を生み出していくとしている。
「中期経営計画20-22」では、1)基盤事業の強化、2)事業領域の拡大、3)社会的課題解決への貢献、4)プラットフォームの再構築、5)ステークホルダーエンゲージメントの強化、の5つの基本戦略を掲げ、その進捗を伝えている。主なところでは、サンエイ糖化とボーソー油脂の子会社化、「焼成パン事業」の収益構造改革、植物由来食品の新商品開発・販売強化、鹿島工場における石炭から都市ガスへの転換工事をはじめとする環境への対応強化、完全人工光型の植物工場実験プラント操業開始に伴うアグリビジネスの挑戦、台湾・ベトナムにおける海外事業の強化、東京証券取引所新市場区分におけるプライム市場への申請などがある。
ESGへの取り組みについては、「E:環境への配慮」「S:穀物ソリューションの進化」「G:従業員の活躍推進」の3つを重点項目としている。そのなかで環境面では、CO2排出量の削減、食品ロスの削減、資源循環の強化に努めているほか、持続可能な原材料調達の推進、穀物等資源の高度・有効活用を推進している。社会面・ガバナンス面については、多様な価値への対応として「健康」「環境」「時短間便」ニーズへの貢献、食品安全・品質マネジメントシステムの強化に取り組んでいるほか、ダイバーシティに向けた多様性の向上、従業員の能力開発・健康増進などを推進している。なお、政府が掲げた新中長期目標の「2030年度までに温室効果ガス排出量を2013年度比で46%削減」という新たな目標に向けて、同社は、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)への賛同を表明した。「環境管理委員会」の体制を抜本的に見直して「TCFD委員会」を新設し、気候変動による同社グループへの影響の低減に向け、CSVの観点から事業活動を通じた具体的施策について検討を進めている。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
<EY>
昭和産業<2004>は2021年10月1日「統合報告書2021」を発行した。長期ビジョン「SHOWA Next Stage for 2025~全てのステークホルダーに満足を提供する“穀物ソリューション・カンパニーNext Stage”~」を掲げ、ありたい姿の実現に向けて取り組んでいる。「統合報告書2021」では長期ビジョン実現に向けた今後の対応や価値創造の源泉となる「複合系シナジーソリューション」を伝えているほか、「中期経営計画20-22」の進捗状況、「ESGに関する取り組み」などについても言及している。
「複合系シナジーソリューション」とは、顧客とのコミュニケーションを通じてニーズの把握と顧客満足度の向上及び課題抽出の深掘りを目指す「カスタマーコミュニケーション」と、事業領域や技術分野の垣根を越えて穀物や食品素材を用いた価値(商品)を創造し、課題解決を目指す「シナジーコミュニケーション」が融合することで生み出されるもののことである。ボーソー油脂とサンエイ糖化がグループに加わったことで、同社が製造する食品素材の幅は広がり、これら食材や副産物、グループシナジーを生かすことで、健康や環境に貢献するとともに潜在的な顧客ニーズにも対応していく。この価値創造の基点となるのが、2016年に開設したRD&Eセンターである。同社は今後も、同拠点を中心に新たな技術や製品を生み出していくとしている。
「中期経営計画20-22」では、1)基盤事業の強化、2)事業領域の拡大、3)社会的課題解決への貢献、4)プラットフォームの再構築、5)ステークホルダーエンゲージメントの強化、の5つの基本戦略を掲げ、その進捗を伝えている。主なところでは、サンエイ糖化とボーソー油脂の子会社化、「焼成パン事業」の収益構造改革、植物由来食品の新商品開発・販売強化、鹿島工場における石炭から都市ガスへの転換工事をはじめとする環境への対応強化、完全人工光型の植物工場実験プラント操業開始に伴うアグリビジネスの挑戦、台湾・ベトナムにおける海外事業の強化、東京証券取引所新市場区分におけるプライム市場への申請などがある。
ESGへの取り組みについては、「E:環境への配慮」「S:穀物ソリューションの進化」「G:従業員の活躍推進」の3つを重点項目としている。そのなかで環境面では、CO2排出量の削減、食品ロスの削減、資源循環の強化に努めているほか、持続可能な原材料調達の推進、穀物等資源の高度・有効活用を推進している。社会面・ガバナンス面については、多様な価値への対応として「健康」「環境」「時短間便」ニーズへの貢献、食品安全・品質マネジメントシステムの強化に取り組んでいるほか、ダイバーシティに向けた多様性の向上、従業員の能力開発・健康増進などを推進している。なお、政府が掲げた新中長期目標の「2030年度までに温室効果ガス排出量を2013年度比で46%削減」という新たな目標に向けて、同社は、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)への賛同を表明した。「環境管理委員会」の体制を抜本的に見直して「TCFD委員会」を新設し、気候変動による同社グループへの影響の低減に向け、CSVの観点から事業活動を通じた具体的施策について検討を進めている。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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