今週のポイント
トルコリラは12月17日、対米ドルや対円で過去最安値を更新しました。最近のトルコリラ安の主因として、高インフレにもかかわらずTCMB(トルコ中銀)が利下げを続けていることが挙げられます。TCMBは12月16日の政策会合で政策金利を15.00%から14.00%へと引き下げることを決定。一方、トルコの11月CPI(消費者物価指数)は前年比21.31%です。
TCMBは12月会合時の声明で、利下げは今回で停止することを示唆したものの、TCMBの金融政策はエルドアン大統領の意向次第で変わるとの懸念があります。
TCMBはトルコリラ安に対して介入(米ドル売り/トルコリラ買い)で対応していますが、介入でトルコリラ安に歯止めをかけるのは困難と考えられます。TCMBが利上げを行わない限り(少なくとも利上げをする姿勢を見せない限り)、トルコリラには下押し圧力が加わりやすいとみられます。トルコリラ/円は最安値をさらに更新する可能性があります。
今週(12/20- )は、RBA(豪中銀)議事録が21日に公表されるものの、材料としては力不足かもしれません。豪ドルやNZドルは投資家のリスク意識の変化(リスクオン/リスクオフ)、カナダドルやメキシコペソは原油価格(米WTI原油先物など)の動向に影響を受けやすいとみられます。主要国の株価が軟調に推移するなどしてリスクオフが強まれば、豪ドルやNZドルは上値が重い展開になりそう。原油価格の下落は、カナダドルやメキシコペソにとってマイナス材料です。
今週の注目通貨ペア①:<NZドル/円 予想レンジ:75.000~78.000円>
オアRBNZ(NZ中銀)総裁は12月15日、「(NZ)経済が予想通りに推移すれば、政策金利は最終的に中立金利を上回る水準へと引き上げる必要があると予想している」と語りました。RBNZの現在の政策金利は0.75%。RBNZは中立金利を2%と推計しています。こうしたRBNZのタカ派的な姿勢はNZドルの支援材料です。
一方で、NZドルや円は投資家のリスク意識の変化(リスクオン/リスクオフ)に影響を受けやすいという特徴があります。欧州や米国で新型コロナウイルスのオミクロン株の感染が拡大しており、欧州ではコロナ対策の行動制限を強化する動きが出ています。市場は目先、リスクオフ(リスク回避)になりやすいかもしれません。リスクオフが強まる場合、NZドル/円は下値を試す展開となり、75.910円(1/3安値)を下回る可能性があります。
今週の注目通貨ペア②:<メキシコペソ/円 予想レンジ:5.300円~5.600円>
BOM(メキシコ中銀)は12月16日に政策会合を開き、0.50%の利上げを行うことを決定。政策金利を5.00%から5.50%へと引き上げました。利上げは5会合連続です。
メキシコの11月CPI(消費者物価指数)は前年比7.37%と、BOMのインフレ目標(3%。2~4%が許容レンジ)を大きく上回りました。BOMはこれまで0.25%ずつ利上げを続けてきたものの、BOMの利上げはインフレの抑制には不十分との見方も市場にはありました。それが今回の会合ではこれまでよりも大幅な利上げを実施しました。これはメキシコペソにとってプラス材料と考えられます。
ディアスデレオン総裁は21年12月31日に退任。22年1月1日にビクトリア・ロドリゲス氏がBOMの総裁に就任します。ビクトリア・ロドリゲス新総裁の手腕は未知数ですが、インフレ圧力の強さを考えれば、BOMは利上げを継続する可能性が高いとみられます。BOMの次回会合は22年2月10日です。
原油価格の動向からも影響を受けるものの、追加利上げ観測に支えられて、メキシコペソ/円は堅調に推移し、5.558円(11/8&9高値)に向かって上昇する可能性があります。
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