先週、米国で利上げ観測が、2023年まで早まったことで市場の動きをみること

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最新投稿日時:2021/06/21 17:10 - 「先週、米国で利上げ観測が、2023年まで早まったことで市場の動きをみること」(みんかぶ株式コラム)

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先週、米国で利上げ観測が、2023年まで早まったことで市場の動きをみること

著者:出島 昇
投稿:2021/06/21 17:10

先週始めは、29480円まで上昇するが、その後、3日続落で29000円台を割って引ける

 先週の予測では、29000円前後のもみあいが煮詰まっており、上か下への動きとなる局面としました。直近の動きとしては、下値は25日移動平均線(10日時点28621円)、上値は75日移動平均線を少し上にぬけた7日(月)時点の高値29241円とし、ここを上にぬけると上放れの形になるとしました。柴田罫線でも29241円以上の引線で引けると買法則「ろく買」になるとしました。

 結果的に15日(火)に前日のナスダックが史上最高値を更新したことで、日本市場でもハイテク株が買われ、日経平均は、一時29480円まで買われ、終値では△279円の29441円となりました。日経平均の形としては、目先、三角保ち合いの上放れでしたが、柴田罫線では上昇が少し足らず、買転換まで上昇できませんでした。

 結果的には、その後、3日連続安となり週の終値は▲54円の28964円と29000円を割り込んで引けました。

 理由は、15日(火)の△279円の29441円の上昇が、FOMCを前に楽観的な見方から、ドル安・円高で為替が推移し、値ガサハイテク株中心に買われたためでした。

 16日(水)は、翌日のFOMCの結果公表を前に持ち高調整の売り優勢となって▲150円の29291円となり、さらに17日(木)は注目のFOMCでは2023年末までに2回の利上げの可能性が示唆され、そのためインフレ見通しが引き上げられたことで、長期金利が上昇し、ドル買いで110円台半ばまで上昇し、NYダウは▲265ドルの34033ドルとなりました。

 これを受けて日経平均は▲272円の29018円と大幅続落となりました。

 週末の18日(金)は、前日のナスダックが大幅反発(NYダウは▲210ドルと4日続落)したことで、ハイテク株が買われ△118円の29136円で寄り付くものの、その後、伸び悩み後場になると下げに転じました。この日の日銀の金融政策決定会合は、現状維持と想定通りの内容でしたが、週末で新規の手掛かり材料に乏しく、先物に断続的な売りが出て、一時▲60円まで下げ、終値は▲54円の28964円と3日続落となりました。

 週末18日(金)の米国市場は、早期利上げ観測が強まり、3指標そろって大幅下落となりました。セントルイス連銀総裁がインタビューで最初の利上げが2022年中になるとの見解を受け、NYダウは▲533ドルの33290ドルと5日続落の大幅下落となりました。10年債利回りは1.443%と前週比0.07%と低下し、金融セクターは下落となりました。柴田罫線では、NYダウは5月10日の35091ドル、6月7日の34820ドルとダブル天井に近い形からの売転換となっており、本格調整の可能性があります。

先週、米国で利上げ観測が、2023年まで早まったことで市場の動きをみること- 今週は、大きく下放れの可能性

 先週の前半は、日経平均はS&P500の連日の最高値更新や、円安基調もあってハイテク株中心に買いが優勢だったが、中盤から後半にかけては、FOMCで利上げの時期の前倒しが示唆されたことなどから警戒感が広がり売り先行となりました。

 16日(水)のFOMCでは、2024年以降とされていた利上げ時期が、2023年までに2回の利上げの可能性が示唆され、NYダウは▲265ドルの34033ドル、17日(木)の日経平均は▲272円の29018円と下落しました。さらに17日の米国市場では、NYダウは▲210ドルの33823ドルと4日続落し、日本市場の引け後の週末の18日(金)の米国市場では、最初の利上げが2022年とする早期利上げ観測が出たことで、NYダウは▲533ドルの33290ドルと大幅に5日連続の急落となりました。シカゴの日経先物は▲415円の28515円でした。

 チャートから今後の動きを想定すれば、日経平均は15日(火)に29480円まで上昇して、75日移動平均線(18日時点29096円)を抜きましたが、日足では2月高値の30714円から引かれる上値抵抗線で頭打ちとなり、再び17日の終値(29018円)は75日移動平均線の下となってしましました。さらに18日の終値は28964円と29000円を割っています。

 この水準で維持できれば、日足、週足ともに三角保ち合いの煮詰まりの状態にあるといえます。ところが、日本市場の引けた週末の18日(金)の米国では、早期利上げが2022年に前倒の観測となったことで、NYダウは▲533ドルの33290ドルとなり、柴田罫線では5月10日の35091ドル、6月7日の34820ドルのダブル天井に近い2点天井となって売転換が出現しており、大きな調整となる可能性があります。そうなると日経平均は2月16日の30714円を起点とする上値を切り下げる動きから抜け出せず、6月2日の28565円を守れなければ、5月13日の27385円を目指し下値を試す動きになってもおかしくありません。この背景は、米国での利上げ時期が先週のこれまでの2024年から2023年となり、さらに週末には2022年と早期利上げ観測が出たことによります。今週は、とりあえずこの米国の利上げ観測を受けて、米株式の動きと、それに日本市場がどう連動するのか様子を見るところです。日本の場合はワクチン接種の状況が下支え要因となります。

 米国株式の当面の状況について言えば、先週、FRBがインフレやその成長見通しを引き上げ、利上げの開始を前倒ししたものの、2023年までは、現行の超緩和が続くことになります。このため、日米ともに株価が大きく下げたところは買いチャンスとなります。

 本日21日(月)は、寄り付きは、リスク回避の売りが先行し、米利上げ前倒し観測が強まり、前週末の米国株式が下落したことを嫌気し、株価指数先物に断続的な売りが出て下げ幅を拡大し、後場には27795円まで下落しました。また時間外取引で米株価指数先物も安く、円高・ドル安も重しとなり、売り一巡後は下げ渋る場面もありましたが、戻りは限定的で大引けは▲953円の28010円と今年2番目の下げ幅となりました。

(指標)日経平均

 先週の予測では、日米ともに15~16日のFOMCの結果公表に注目としました。FOMCの内容で資産買入れの早期縮小の観測が高まれば、上値は重くなり逆の内容では株価上昇のサポート要因になるとしました。その方向がハッキリしないため29000円をはんさんだ±300円のもみあいとしました。但し、先々週の6月7日にザラ場の高値29241円を突破すれば、75日移動平均線もぬけることになり、柴田罫線でも「ろく買」という買法則が出て、一段高を想定しました。

 結果的には、FOMCの楽観的な見方から15日(火)に△279円の29411円となり、7日のザラ場高値と75日移動平均線を突破しましたが、残念なことに柴田罫線では上昇幅が足らず「ろく買」の買法則は出ませんでした。その結果、16日(水)は持ち高調整で▲150円となり、17日(木)はFOMCでは2023年までに2回の利上げを示唆することになり、インフレ見通しが引き上げられ、ドルが110円台半ばまで買われました。

 今週は、先週のFOMC以降の早期の金利引き上げをめぐる、米金融政策当局者の発言や長期金利への影響によって、日米の株価の落ち着きどころが焦点となります。日経平均は、まず25日移動平均線(18日時点28767円)を守れるかどうかとなり、守れなければ6月2日の28565円を試すことになります。その下は5月13日の27385円を目指すことになります。
 

 

(指標)NYダウ

 先週の予測では、15~16日のFOMCを控え、動きづらい展開になるとし、さらに今回のFOMCでは、経済見通しと政策金利の見通しが発表されるため、内容次第では大きな動きにもなるとしました。

 結果的に、NYダウはFOMCを控え様子見から軟調な動きが続いていましたが、16日(水)のFOMCでは予想外に2023年までに2回の利上げの可能性が示唆され、さらに週末の18日(金)は、セントルイス連銀総裁が最初の利上げは2022年中になるとの見方を示したことで、早期利上げ観測が高まり、NYダウは▲533ドルの33290ドルと5日連続の大幅安となりました。5月10日の35091ドル、6月7日の34820ドルとダブル天井に近い形での売転換となりました。

 米国株式の見通しとしては、利上げの開始が前倒しされることになっても、早くても2022年の終りか、または2023年になるとの見方があります。今後、数週間は機関投資家のリバウンドなどが重しとなるものの、金融政策がかなり緩和的である状況には変わりはなく、今後も相場をサポートすることになりそうです。

 FRBがインフレやその成長見通しを引き上げ、利上げ開始時期を前倒ししたものの2023年までは現行の超緩和が続くことになります。下げたところは買いチャンスということです。
 

 

(指標)ドル/円

●先週のドル・円の動き

 先週の6月15~16日のFOMCで成長とインフレの見通しが引き上げられたことや、2022年末までに利上げが開始される可能性が示されたことから、ドル買いが活発となりました。17日には一時110.82円まで上昇しましたが、米国株は早期利上げを警戒して下落したことで、リスク選好的なドル買いは一服しました。その後、18日にはFRBが量的緩和の縮小について協議を開始したこと報じられたことで、ドル買いが一時、優勢となったものの、リスク回避の円買いが増えたことで110.04円まで下落し、引け値は110.14円でした。

●今週の見通し…ドルは底堅い値動きへ

 心理的なフシ目の110円をしっかりと抜けしましたが、1ドル=110円台では多くのドル売りも観測されています。又、米長期金利の低下につながる材料が出た場合は、リスク回的なドル売り・円買いが強まる場面もありそうです。FRB議長は「さらなるデータで緩和縮小に関して言及する可能性がある」との見方も伝えています。FOMCでの予測をもとに金利引き上げは正当化されつつあります。
 

 

配信元: みんかぶ株式コラム

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