S&P500月例レポート(21年5月配信)<前編>
S&P500月例レポートでは、S&P500の値動きから米国マーケットの動向を解説します。市場全体のトレンドだけではなく、業種、さらには個別銘柄レベルでの分析を行い、米国マーケットの現状を掘り下げて説明します。
THE S&P 500 MARKET:2021年4月
「ニュースを広げよう」(「ニューヨーク・ニューヨーク」の歌詞)、あるいは「今、この時この場所から伝えよう」(ジョン・F・ケネディの演説)、ニューヨーク市が2021年7月1日から経済を全面再開するというニュースを。少なくとも市長が州知事の承認を得ることができれば、これは実現します(つまり、両者が話をする必要があるということです)。企業は在宅勤務の従業員をオフィスに呼び戻し始めるでしょう(米国の多くの地域と同様に)。そして、家計所得のデータ(3月は景気刺激策の効果で21.1%増)が何らかの兆候を示すのであれば、消費が過去最高を記録し、バーが賑わう可能性があります(少なくともそうなることを期待しています)。筆者はと言えば、数多くの飲み会の約束の幾つかを果たし、再び「この街の一部になりたい」と思っています。
個人的見解:高く誇らしく飛び立とう、そして落下しなければならないなら、忘れてならないのは…
好調が続きました。ただ、終わりはいつかやって来ます。春の雨上がりのタンポポ(あるいは雑草)の生長を上回る勢いで利益が伸びると、最高値からの落下ペースは、初冬の凍えるような寒さで葉が落ちるよりも急速なものになります。経済成長は実際の現金給付やワクチン接種率のチャートに照らして評価する必要があり、ガーデニングを担当する“FT”は警戒を続けました(「F」こと米連邦準備制度理事会[FRB]は、テーパリング[緩和縮小]について議論することにさえ言及しておらず、「T」こと財務省に関しては、直近の財政支出プログラムに満足していない向きがいるとしても、現在2つの対策を提案しており、もう少しお待ちいただきたい)。庭に肥料を撒いたのは、懐が潤った消費者でした。外に出て(安全か否かは別にして)日常生活を取り戻し(消費者は少なくとも日常生活がどんなものであったか覚えていました)、消費に走り、記録的な消費ブームにつながることが見込まれています。
消費者が財布の紐を緩め始めた影響は、第1四半期の決算発表に反映されており、それは84%の企業が予想を上回ったこと(297銘柄中249銘柄。過去平均は67%)だけでなく、その超過幅の規模からも明らかです。過去最高は第2四半期まで予想されていませんでしたが、このまま行くと第1四半期も過去最高となりそうです(著しく低調だった2020年第1四半期から135%増)。第3四半期と第4四半期も過去最高が見込まれる中(第2四半期は若干落ち込むものの、第1四半期に次いで過去2番目の好決算になる見込みです)、こうした決算結果は、既に楽観的だった市場に勢いを与え、S&P 500指数は4月に終値ベースでの最高値をさらに10回更新しました(21営業日中。年初来で25回)。最終的に年初来の上昇率は11.32%(年率換算37.94%)となり、投資家の間ではピークが近いとの声も聞かれました(そして流動性が高い銘柄に資産を再配分する動きもありました)が、市場から退出する投資家はほとんどいませんでした(売りは減り、売買高は減少しました)。
追加刺激策(インフラ向けと家庭向け)が議論されており、消費意欲は高まっているため、上昇圧力は続くでしょう(いずれ終わりが来るまで)。ジョンソン・エンド・ジョンソンのワクチン接種の一時停止でさえ楽観論に影響を与えなかったため、「いずれ訪れる終わり」をもたらす可能性があると現在考えられるのは次の要因です。
新たな変異株や感染症、インフレの強力な兆候(過度の消費ブーム、コストプッシュ、供給と労働力の不足による)、債務コストの上昇(企業でなく、国家の債務)、価格転嫁への強い抵抗(利益率の低下。第1四半期の営業利益率は12.81%と過去最高を記録する可能性があります)、米国以外の景気後退(中国の活況にもかかわらず欧州と他のアジアで悪化)、非常に多く(のマネーマネジャー)が(自らの利益を守るために)一斉に利益確定に動くこと、そして頼りになる昔馴染み、すなわちワシントンです(レーガン元大領領曰く、最も恐ろしい9単語とは「I’m from the government and I’m here to help(政府から助けにやって来ました)」)。
過去の実績を見ると、4月は64.5%の確率で上昇し、上昇した月の平均上昇率は4.33%、下落した月の平均下落率は3.35%、全体の平均騰落率は1.44%の上昇となっています。S&P 500指数は2021年4月に5.24%の上昇となりました。
5月は58.1%の確率で上昇し、上昇した月の平均上昇率は3.17%、下落した月の平均下落率は4.68%、全体の平均騰落率は0.12%の下落となっています。
今後の米連邦公開市場員会(FOMC)のスケジュールは、6月15日-16日、7月27日-28日、9月21日-22日、11月2日-3日、12月14日-15日、2022年1月25日-26日となっています。
S&P 500指数は4月に5.24%上昇して4181.17で月を終えました(配当込みのトータルリターンはプラス5.34%)。3月は3972.89で終え、4.24%の上昇(同プラス4.38%)、2月は3811.15で終え、2.61%の上昇(同プラス2.76%)でした。過去3ヵ月間では12.57%上昇(同プラス12.98%)、年初来では11.32%上昇(同プラス11.84%)、過去1年間では43.56%上昇(同プラス45.98%)、コロナ危機前の2020年2月19日の終値での高値からは23.48%上昇して月を終えました(同プラス26.02%)。
ダウ・ジョーンズ工業株価平均(ダウ平均)は初めて3万4000ドルを突破し、2.71%上昇の3万3874.85ドルで月を終えました(配当込みのトータルリターンはプラス2.78%)。3月は3万3072.88ドルで終え、6.62%の上昇(同プラス6.78%)、2月は3万0932.37ドルで終え、3.17%の上昇(同プラス3.43%)でした。過去3ヵ月間では12.98%上昇(同プラス13.52%)、年初来では10.68%上昇(同プラス11.30%)、過去1年間では39.14%上昇(同プラス42.12%)でした。
主なポイント
⇒S&P 500指数は4月に5.24%上昇しました(配当込みのトータルリターンはプラス5.34%)。3月は4.24%上昇(同プラス4.38%)、2月は2.61%上昇(同プラス2.76%)、過去3ヵ月間では12.57%上昇(同プラス12.98%)、年初来では11.32%上昇(同プラス11.84%)、過去1年間では43.56%上昇(同プラス45.98%)でした。
⇒同指数は4月に終値ベースで最高値を10回更新し(1月、2月、3月はそれぞれ5回)、初めて4000、4100、4200の大台を突破しました。
⇒コロナ危機前の2020年2月19日の終値での高値からは23.48%上昇し(同プラス26.02%)、終値ベースで45回、最高値を更新しました。
⇒2020年11月3日の米大統領選挙以降では同指数は24.10%の上昇(同プラス25.06%)でした(バイデン大統領就任以降に23回、最高値を更新しています)。
⇒強気相場入りして以降、2020年3月23日の底値から86.88%上昇しています(同プラス90.33%)。
○米国10年国債利回りは3月末の1.74%から1.62%に低下して月を終えました(2020年末は0.92%、2019年末は1.92%、2018年末は2.69%、2017年末は2.41%)。30年国債利回りは3月末の2.41%から2.29%に低下して取引を終えました(同1.65%、同2.30%、同3.02%、同3.05%)。
○英ポンドは3月末の1ポンド=1.3784ドルから1.3817ドルに上昇して月を終えました(同1.3673ドル、同1.3253ドル、同1.2754ドル、同1.3498ドル)。ユーロは3月末の1ユーロ=1.1727ドルから1.2020ドルに上昇して月を終えました(同1.2182ドル、同1.1172ドル、同1.1461ドル、同1.2000ドル)。円は3月末の1ドル=110.78円から109.33円に上昇し(同103.24円、同108.76円、同109.58円、同112.68円)、人民元は3月末の1ドル=6.5524元から6.4745元に上昇しました(同6.5330元、同6.9633元、同6.8785元、同6.5030元)。
○原油価格は3月末の1バレル=59.55ドルから63.492ドルに上昇して月を終えました(同48.42ドル、同61.21ドル、同45.81ドル、同60.09ドル)。米国のガソリン価格(EIAによる全等級)は、3月末の1ガロン=2.941ドルから2.962ドルに上昇して月末を迎えました(同2.330ドル、同2.658ドル、同2.358ドル、同2.589ドル)。
○金価格は3月末の1トロイオンス=1709.50ドルから1768.80ドルに上昇して月の取引を終えました(同1901.60ドル、同1520.00ドル、同1284.70ドル、同1305.00ドル)。
○VIX恐怖指数は3月末の19.40から18.61に低下して月を終えました。月中の最高は19.90、最低は15.38でした(同22.75、同13.78、同16.12、同11.05)。
○同指数の2020年の最高は85.47、最低は11.75でした。
○2021年第1四半期決算に関しては、297銘柄のうち249銘柄(83.8%)で利益が予想を上回り、292銘柄のうち230銘柄(78.8%)で売上高が予想を上回りました。
○2021年第1四半期の利益予想は2021年第1四半期末から17.3%引き上げられ、1年前(2020年第1四半期末)からは9.9%の上方修正となりました。利益は第1四半期として過去最高(2021年第3四半期と第4四半期も同様にそれぞれ過去最高)を記録する見通しで、前期比では19.9%増益、2010年第1四半期以来の低水準となった2020年第1四半期からは2倍以上となる135%増益が見込まれています。営業利益率は12.81%と過去最高となっています。
○2021年については、4四半期とも過去最高益を更新する見通しで、2020年比で50.0%増益が見込まれており、2021年の予想PERは22.8倍となっています。
○2022年は2021年比でさらに12.3%増益が見込まれ、同年の予想PERは20.3倍となっています。
○米国の新型コロナウイルス対応のための財政政策:
⇒第1弾:医療機関への財政支援やウイルス感染拡大防止に83億ドルの資金拠出。
⇒第1段階:2週間の疾病休暇および最長10週間の家族医療休暇の給与費用に対する税額控除。
⇒第2段階:労働者、中小企業、事業会社、病院や医療関係機関に対する直接支援、ならびに融資保証を提供する2兆2000億ドルのプログラム。
⇒第3段階:(中小企業向け)給与保証プログラム(PPP)に3100億ドルと医療機関に750億ドルを含む、総額4840億ドルの供出。ただし、州政府および地方自治体に対する資金支援は行わない。
⇒第4段階:議会は新型コロナウイルス関連対策として、個人への直接給付金600ドル(所得制限あり)などを盛り込んだ総額9000億ドルの財政パッケージを(ようやく)可決。
⇒第5段階:バイデン大統領が就任前に提案した1兆9000億ドルの追加の財政刺激策は、政権発足後に共和党から6180億ドル規模の代替案が提示されましたが、若干の修正は加えられたものの、ほぼ民主党の公約通りの形で議会承認され、個人向けの直接給付金1400ドルの支払いが始まりました(小切手送付よりも口座への直接振り込みの割合が多い)。また、今回の経済対策案には州政府への支援と新型コロナウイルス対策費用も含まれています。
⇒第6段階: 議会(下院)ではインフラ投資計画を含む次の経済対策に対する与野党協議が始まりました。バイデン大統領はインフラ整備に8年間で2.3兆ドルを投入する計画を発表し、その財源確保のために現行21%の法人税を28%に引き上げ、15年かけて費用を賄う方針を示しました。法案の審議はまだ始まったばかりですが、市場関係者は議会の勢力図から判断して同法案が成立する公算が大きいとみています。
→民主党はフィリバスター規則をめぐり、上院で現行の60%でなく、過半数の賛成で法案を可決できるように規則を変更する方向に方針を転換しました。これにより、法案の可決に大きな影響が及ぶとみられます。
→共和党はバイデン大統領が掲げる2.3兆ドルのインフラ投資計画の対案として8000億ドルのプランを発表し、与野党間協議が始まりました。市場関係者は大半のプログラムが、複数に分割される可能性はあるものの、最終的には議会で承認されると予想しています。大統領の打ち出す対策のほとんどは、現在の議会の勢力図から判断して承認される可能性が高いと思われます(財政調整措置[リコンシリエーション])という手続きを活用)。
⇒第7段階: バイデン大統領は「米国の家族のための計画」と名付けた計画の概要を発表し、ヒューマンインフラ(人的基盤)への投資のために、全ての未就園児を対象とした保育施設、児童保護、有給休暇、中低所得世帯に対する減税、教育支援、授業料無料のコミュニティカレッジなどを拡充させることを表明しました。1.8兆ドルと試算されるコストに関しては、(年収100万ドルを超える世帯を対象とした)キャピタルゲイン税の現行20.0%から39.6%への引き上げと富裕層に対する追加増税による税収を充てることにしています。
○市場関係者のS&P 500指数の1年後の目標値はこの1ヵ月で上昇し、現在値から9.6%上昇(前月は11.6%上昇)の4617(かなり強気な予想)となっています(3月末時点の目標値は4432、2月末時点の目標値は4375)。ダウ平均の目標値は現在値から8.5%上昇(前月は7.8%上昇)の3万6962ドル(かなり強気な予想)となっています(同3万5554ドル、同3万5035ドル)。
バイデン大統領と政府高官
○バイデン大統領の2.25兆ドルの経済対策案は、議会上院が2月に採択した予算決議に含まれているため、新たな予算案の作成が不要となり審議時間が短縮できることから、すぐにリコンシリエーション手続きに入ることが可能となります。背景には、民主党がフィリバスター規則を変更し、共和党による法案成立を阻止する動きを抑え込みたいとする狙いがあります。
○バイデン大統領は税制案の修正を行い、利益の最低でも15%を納税する「ミニマム税」の対象企業の純利益額を(従来の1億ドルから)20億ドルに引き上げました。また、所得の定義に関する議論も活発化することになりそうです(GAAP[一般に公正妥当と認められる会計原則]、税務会計、そして政府の税控除や優遇税制といった課税権の観点からの見直しや調整)。
○バイデン大統領は上下両院の合同会議で演説し、その中で「米国の家族のための計画」と名付けた計画の概要を発表しました。そして、ヒューマンインフラ(人的基盤)への投資のために、全ての未就園児を対象とした保育施設、児童保護、有給休暇、中低所得世帯に対する減税、教育支援、授業料無料のコミュニティカレッジなどを拡充させることを表明しました。1.8兆ドルと試算されるコストに関しては、(年収100万ドルを超える世帯を対象とした)キャピタルゲイン税の現行20.0%から39.6%への引き上げと富裕層に対する追加増税による税収を充てることにしています。議会は現在、大統領が打ち出した2.3兆ドルのインフラ投資計画案を審議中です。新型コロナウイルス対応を目的とした1.9兆ドルの「アメリカ救済計画法」は2021年3月に可決されました。
新型コロナウイルス関連
○メディアやインターネット上はワクチンに関するニュースであふれ、新たな「ビッグスリー」となった大手製薬3社のワクチン供給が需要に追いつき、上回るまでになりました。
○米国とその他の先進/新興国のワクチン接種率の差は拡大しています。米国では供給が十分なためにワクチン接種を望まない人への対応に焦点が移り始めていますが、その他の国ではワクチンの供給不足、また新興国では接種体制が整備できないことが問題となっています。
⇒世界保健機関(WHO)は感染者数の増加に警鐘を鳴らしました。インドでは1日当たりの新規感染者数が世界最多(1日あたり平均34万人)を更新し、同国の医療体制が崩壊していると報道されています。
○英国では経済活動の再開が始まり、6月21日には全面的な再開を予定しています。
⇒大半の欧州諸国では依然として行動制限と経済活動の停止が続いています。
○米国では当初の計画を前倒しして、4月19日から全ての成人をワクチン接種の対象としました。この結果、これまでのワクチン接種が受けられるかという心配に代わって、(対象者が)ワクチン接種を希望するかどうかが新たな懸念事項となっています
○新型コロナウイルスの治療薬と治療法、そして夢の万能薬
⇒AstraZeneca(AZN)製のワクチンをめぐって再び問題が浮上しました(同社のワクチンは米国では使用が承認されていません)。英国の諮問委員会は30歳未満への同社ワクチンの接種を禁止するように勧告しました。
→米国は規制当局がAstraZenecaのワクチンの使用を承認すれば、6000万回分を輸出することを明らかにしました。
⇒米国の規制当局は1回の接種で済むJohnson & Johnson’s(JNJ)製ワクチンの使用の一時停止を勧告しました。同社のワクチンを接種してから約2週間以内の間に血栓症を含むごく稀な副反応が生じたケースが6件(接種件数は700万人)報告されたためです。
→同社のワクチンについては、4月下旬に注意書きを加えることで接種再開が認められました。
⇒現時点で、世界全体で11億人が1回以上のワクチン接種を受けました(3月末時点では5億7400万人、2月末時点では2億2500万人)。
→米国では現時点で、2億3700万人が1回以上のワクチン接種を受けました(同1億4800万人、同6830万人)。
・人口の43.3%が少なくとも1回は接種したことになり、人口の30%が2回の接種を終えました。
⇒米国の1日当たり接種回数の7日平均は400万回を超えましたが、その後263万回に低下しました(同277万回、同131万回)。これはワクチン接種希望者の人数が減少しているためです(供給は十分にある)。
各国中央銀行の動き(および関連ニュース)
○3月17-18日に開催されたFOMCの議事録が公表されました。FRBは経済の力強い前進を確認したものの、政策変更に至るにはさらに多くの前進が必要になるとの見解を示しています。
○FRBの地区連銀経済報告(ベージュブック)によると、米国経済の成長スピードは加速しており、企業が雇用(と再雇用)を進めているとする一方、インフレの上昇についても言及しています。
○FOMCは2日間の会合の中で、経済(と雇用)に「力強さが出ている」としたほか、インフレも上昇しているが、これは「一時的なもの」と結論付けています。特筆すべき点としては、パンデミックによる脅威を「重大なリスク」から「リスク」に変更したことが挙げられます。パウエルFRB議長は資産の買い入れは今後も継続し、現時点ではテーパリング(緩和縮小)に移る計画はない(また、その検討を始める段階でもない)と発言しています。
金利、生産コストの上昇、サプライチェーン
○消費者物価指数(CPI)、輸入・輸出物価指数、生産者物価指数(PPI)が示す通り、物価は上昇してはいるものの、依然として比較的低水準にあります。足元の上昇が(FRBが指摘しているように)一時的な現象なのか、あるいは需要の増加、生産コストの上昇、そして供給サイドの問題を背景とした長期的な上昇トレンドの始まりなのかという点に関して、議論が活発化しつつあります。
⇒家庭用品大手のProctor & Gamble(PG)は、原材料コストの上昇に対応するために9月に一部製品の値上げを行うことを発表しました。
⇒自動車大手のFord(F)は、半導体不足を理由に複数の北米工場において減産期間の延長を検討していることを明らかにしました。
IPOおよび「空箱」SPAC
○米国最大のデジタル通貨取引所を運営するCoinbase(COIN)は1株250ドルで直接上場しました。初値は381ドルで、一時430ドルまで上昇した後297.64ドルで月末を迎え、時価総額は550億ドルとなりました。
⇒注目すべき点として、Coinbase経由で取引されているビットコインは、一時6万4863ドルを付けて最高値を更新しましたが、トルコが暗号通貨に重大なリスクがあるとして使用を禁止したことから下落して、一時4万7159ドルの安値を付け、5万6962ドルで4月の取引を終えました。
○ロボティック・オートメーション・ソフトウエアを手掛けるUiPath(PATH)は1株56ドルで上場しました。株価は一時83.40ドルに達し、月末の終値は72.00ドル、時価総額は370億ドルとなりました。
○太陽光発電設備企業のFTC Solar(FTCI)は、IPO予想価格の18~20ドルを下回る13.00ドルで上場しました。初値は15.21ドルで、一時15.46ドルを付けましたが、13.61ドル、時価総額11億ドルで月末を迎えました。
○今後の予定:
⇒英国のオンライン中古車販売会社Cazoon Holdingは、SPAC(特別買収目的会社)経由で上場することを明らかにしました。上場時の企業評価額を80億ドルと見込んでいます。
⇒未公開のリチオムイオン電池メーカーEnovixはSPAC経由での上場を準備しており、当初評価額11億ドルを見込んでいます。
⇒イスラエルのデジタル取引プラットフォームのeToro GroupはSPAC(FinTech)経由で上場すると発表しました。時価総額100億ドルを見込んでいます。
⇒東南アジアでライドシェア、フードデリバリー、送金のアプリを運営しているGrab HoldingsはSPAC経由で上場することを発表し、企業評価額を400億ドルと予想しています。
⇒EVメーカーLucid MotorsはChurchill Capital Corp IV(CCIV)との合併を通じて上場を計画しています。
⇒報道によると、ウェブサイト構築ソフトウエアツールを手掛けるSquarespaceは従来型のIPO(より高価な上場手段)ではなく、直接上場する方針を決定しました。
⇒シェアオフィス大手のWeWorkが再び上場を計画しており、上場時の企業評価額として90億ドルを見込んでいます。これに対して、パンデミックにより労働環境が変化するよりもかなり前の2019年の評価額は470億ドルでした。
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