S&P500月例レポート(21年3月配信)<後編>

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最新投稿日時:2021/03/11 11:32 - 「S&P500月例レポート(21年3月配信)<後編>」(みんかぶ株式コラム)

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S&P500月例レポート(21年3月配信)<後編>

<中編>の続き

注目点

 ○自動車メーカーのFord(F)が、世界的な半導体不足を理由に、2021年第1四半期に生産を20%削減する見通しを発表したことが注目されます。

 ○「それは驚きだ」と思われるでしょうが、2020年の自動車保険料は4%減少しました。これは、米国の消費者の自動車使用が(外出禁止措置により)減少したためです。

 ○米下院金融サービス委員会は、GameStop株の取引に関して公聴会を開き、調査の最初の段階で事実を明らかにすることに努めました。

 ○英国最高裁判所は、配車大手Uberのドライバーは独立事業主ではなく従業員に分類されるべきであり、休暇と疾病手当に加えて最低賃金も保証される、という判決を支持しました。

 ○米中西部を襲った厳しい寒波の影響により、テキサス州で停電が発生し、石油生産施設が閉鎖されたことを受けて(日量350万バレルの損失)、米国のガソリン小売価格が上昇しました。寒波の影響はワクチンの出荷にも及び、多くの州でワクチン接種が中止され(接種スケジュールも影響を受けました)、定められた期間内に2回目の接種を受けられなくなるといった問題が生じました。

利回り、金利、コモディティ

 ○米国10年国債利回りは1月末の1.07%から1.42%に上昇して2月を終えました(2020年末は0.92%、2019年末は1.92%、2018年末は2.69%、2017年末は2.41%)。30年国債利回りは1月末の1.84%から2.15%に上昇して取引を終えました(同1.65%、同2.30%、同3.02%、同3.05%)。

 ○英ポンドは1月末の1ポンド=1.3695ドルから1.3924ドルに上昇し(同1.3673ドル、同1.3253ドル、同1.2754ドル、同1.3498ドル)、ユーロは1月末の1ユーロ=1.2139ドルから1.2074ドルに下落しました(同1.2182ドル、同1.1172ドル、同1.1461ドル、同1.2000ドル)。円は1月末の1ドル=104.69円から106.56円に下落し(同103.24円、同108.76円、同109.58円、同112.68円)、人民元は1月末の1ドル=6.4277元から6.4752元に下落しました(同6.5330元、同6.9633元、同6.8785元、同6.5030元)。

 ○原油価格は1月末の1バレル=52.14ドルから61.66ドルに上昇して月を終えました(同48.42ドル、同61.21ドル、同45.81ドル、同60.09ドル)。米国のガソリン価格(EIAによる全等級)は、1月末の1ガロン=2.478ドルから2.717ドルに上昇して月末を迎えました(同2.330ドル、同2.658ドル、同2.358ドル、同2.589ドル)。

 ○金価格は1月末の1トロイオンス=1849.50ドルから下落して1733.00ドルで月の取引を終えました(同1901.60ドル、同1520.00ドル、同1284.70ドル、同1305.00ドル)。

 ○VIX恐怖指数は1月末の33.07から27.95に低下して月を終えました。月中の最高は33.96、最低は19.69でした(同22.75、同13.78、同16.12、同11.05)。

  ⇒2020年の最高は85.47、最低は11.75でした。

世界の株式市場

 ○2月は、新型コロナウイルスのワクチン接種(これまでに2億2500万人に接種されました)に関係する出来事がいずれも市場を活性化させ(とはいえ、相場の上昇力は最終週に途切れた模様です)、グローバル市場では先月の相場のパターン(0.21%下落)が反転しました。ワクチン接種により、「感染拡大」とそれに伴う「経済閉鎖」(現在は「活動制限」に緩和されました)の解消が進む中、2月の世界の株式市場は2.64%上昇しました。2月は50市場中36市場が上昇し、1月の21市場から増加しました(12月は49市場が上昇)。米国市場はグローバル市場に対してアウトパフォームしました(米国市場は3.08%上昇、グルーバル市場は2.64%上昇)。

 ○S&Pグローバル総合指数は1月に0.21%下落した後(米国の0.46%の下落を除くと0.10%の上昇)、2月には2.64%上昇しました(米国の3.07%の上昇を除くと2.12%の上昇)。12月は4.86%の上昇でした(米国の4.35%の上昇を除くと5.49%の上昇)。過去3ヵ月間では7.40%上昇(米国の7.05%の上昇を除くと7.83%の上昇)、年初来では2.43%上昇(米国の2.59%の上昇を除くと2.22%の上昇)しました。過去1年間では世界の株式市場は29.53%上昇し、米国の33.19%上昇を除くと25.24%の上昇となっています。より長期では、米国のパフォーマンスが突出していました。過去2年間では、グローバル市場は30.74%上昇しましたが、米国の39.56%上昇を除くと21.04%の上昇でした。過去3年間ではグローバル市場は26.62%上昇し、米国の43.79%の上昇を除くと9.65%の上昇でした。

  ⇒2020年11月3日の大統領選挙以降では、グローバル市場は17.30%上昇しましたが、米国の16.23%上昇を除くと18.66%の上昇でした。

 ○2021年2月のまとめ

  ⇒S&Pグローバル総合指数の時価総額は1兆9090億ドル増加しました(1月は2010億ドル減)。米国以外の市場の時価総額は7210億ドル増加(同230億ドル減)、米国市場は1兆1890億ドル増加しました(同1780億ドル減)。

  ⇒新興国市場は2月に1.45%上昇し(1月は2.83%上昇)、過去3ヵ月間では10.58%上昇、年初来では4.33%上昇、過去1年間では29.67%上昇となりました。

  ⇒先進国市場は2月に2.81%上昇し(1月は0.62%下落)、米国を除くと2.37%上昇(同0.88%下落)しました。過去3ヵ月間では6.98%上昇(同17.76%上昇)、米国を除くと6.86%上昇(同20.16%上昇)、年初来では2.17%上昇(同0.62%下落)、米国を除くと1.48%上昇(同0.88%下落)、過去1年間では29.49%上昇(同15.04%上昇)、米国を除くと23.70%上昇(同9.78%上昇)となりました。

 ○2月は11セクター中8セクターが上昇し、セクター間のばらつきは拡大しました(1月は5セクターが上昇、2020年12月と11月は11セクター全てが上昇)。パフォーマンスが最高のセクター(1月に引き続き2月もエネルギー、13.34%上昇)と最低のセクター(公益事業、4.80%下落)の騰落率の差は18.14%と(過去1年間の平均は10.90%)、1月の5.17%(12月は4.96%、11月は19.14%)から拡大しました。

 ○新興国市場は2月に1.45%上昇しました。1月は2.83%の上昇、12月は5.99%の上昇でした。過去3ヵ月間では10.58%上昇、年初来では4.33%上昇、過去1年間では29.67%の上昇となりました。過去2年間では26.28%上昇、過去3年間では10.72%上昇しています。

  ⇒2月は25市場中15市場が上昇し、1月の14市場を上回りましたが、12月の24市場には及びませんでした。チリのパフォーマンスが最も良好で9.71%上昇しました。過去3ヵ月間では19.90%上昇、年初来では7.52%上昇しています。次いでパフォーマンスが良かったのはギリシャで、2月は7.27%上昇し、過去3ヵ月間では10.41%上昇したものの、年初来では0.63%の下落となっています。3番目にパフォーマンスが良かったのがインドで、2月は6.46%上昇、過去3ヵ月間では14.16%上昇、年初来では4.72%上昇となりました。

 パフォーマンスが最低だったのはブラジルで4.55%下落し、過去3ヵ月間では1.03%下落、年初来では12.26%下落しています。次いでパフォーマンスが振るわなかったのはカタールで3.97%下落し、過去3ヵ月間では1.79%下落、年初来では3.01%の下落となりました。3番目はクウェートで2.71%下落したものの、過去3ヵ月間では4.26%上昇、年初来では2.04%の上昇となりました。

 ○先進国市場は12月の4.71%上昇、1月の0.62%下落の後、2月は全体で2.81%上昇しました。米国を除くと、2.37%の上昇(1月は0.88%下落、12月は5.31%上昇)でした。先進国市場は過去3ヵ月間では6.98%の上昇、米国を除くと6.86%の上昇でした。年初来では2.17%の上昇(1月は0.62%下落)でしたが、米国を除くと1.17%の上昇(同0.88%下落)となりました。過去1年間では29.49%上昇、米国を除くと23.70%の上昇となりました。過去2年間では31.21%上昇、米国を除くと19.17%上昇、過去3年間では28.56%上昇、米国を除くと8.91%上昇しています。

  ⇒1月は25市場中7市場、昨年12月と11月は25市場全てが上昇したのに対して、2月は21市場が上昇しました。パフォーマンスが最高となったのは香港で6.02%上昇し、過去3ヵ月間では14.79%上昇、年初来では9.64%上昇しました。2番目はイタリアで5.68%上昇し、過去3ヵ月間では5.49%上昇、年初来では1.90%の上昇となりました。3番目はカナダで5.47%上昇し、過去3ヵ月間では8.20%上昇、年初来では4.55%上昇しました。

 パフォーマンスが最低だったのはニュージーランドで7.49%下落し、過去3ヵ月間では4.07%下落、年初来では8.78%下落しました。これに続いたのがポルトガルで4.46%下落し、過去3ヵ月間では4.10%上昇、年初来では6.44%の下落となりました。3番目がスイスで2.27%下落し、過去3ヵ月間では0.96%上昇、年初来では3.98%下落しました。

   →注意すべき点として、英国は3.66%の上昇(過去3ヵ月間では9.414%上昇、年初来では3.28%上昇)、ドイツは1.65%の上昇(同6.82%上昇、同0.46%上昇)、日本は1.31%の上昇(同6.82%上昇、同0.25%上昇)でした。

インデックス・レビュー

S&P 500指数

 S&P 500指数は2月に2.61%上昇して3811.15で月を終えました(配当込みのトータルリターンはプラス2.76%)。1月は3714.24で終え、1.11%の下落(同マイナス1.01%)、12月は3756.07で終え、3.71%の上昇(同プラス3.84%)でした。過去3ヵ月間では5.23%上昇(同プラス5.63%)、年初来では1.47%上昇(同プラス1.72%)、過去1年間では29.01%上昇(同プラス31.29%)、コロナ危機前の2020年2月19日の終値での高値からは12.55%上昇して月を終えました(同プラス14.61%)。

 ダウ平均は3.17%上昇して3万0932.37ドルで月を終えました(配当込みのトータルリターンは3.43%)。1月は2万9982.62ドルで月を終え、2.04%の下落でした(同マイナス1.95%)。過去3ヵ月間では4.34%の上昇(同プラス4.87%)、年初来では1.06%上昇(同プラス1.41%)、過去1年間では21.74%上昇(同プラス24.41%)となりました。

 S&P 500指数の2月の日中ボラティリティ(日中の値幅を安値で除して算出)は1月の1.31%から1.16%に低下し、年初来では1.23%となりました。2020年は1.73%と2019年の0.85%から上昇し、2018年は1.21%、2017年は0.51%(1962年以来の最低)でした。

 出来高は前月比14%増加した1月から52%減少し(営業日数調整後)、前年同月比でも40%減少しましたが、過去1年間では前年比38%増加しました。2月の前日比で1%以上変動した日数は19営業日中5日となり(上昇が4日、下落が1日。2%以上変動した営業日が1日。1月も19営業日中5日で、上昇が2日、下落が3日)、年初来では前日比で1%以上変動した日数が10日(上昇が6日、下落が4日)、2%以上変動した日数が2日(ともに下落)となりました。2020年は109日(上昇が64日、下落が45日)、2019年は37日(上昇が22日、下落が15日)でした。2月は19営業日中7日で日中の変動率が1%以上となり(1月は19営業日中11日)、3%以上変動した営業日はありませんでした(1月もゼロ)。年初来では1%以上の変動が18日で、3%以上の変動した営業日はありませんでした。2020年は1%以上の変動が158日(11月末時点は154日)、3%以上の変動が34日(同34日)、2019年はそれぞれ73日と1日、2008年はそれぞれ228日(253営業日中)と75日でした。

 S&P 500指数が5回にわたり終値での過去最高値を更新する中、セクターのパフォーマンスは2月最後の3日目(24日)まで引き続き好調となりました。その後、月末までの期間は、それまでの上昇分を吐き出すとともに、市場を取り巻く環境(経済、政治、社会)が見直され、最終的に2月は11セクター中7セクターが上昇し、1月の4セクターを上回りました(12月と11月はともに11セクター全てが上昇)。2月はエネルギーが21.47%上昇と、他のセクターを大きく引き離して騰落率首位となりました。同セクターは過去3ヵ月間では31.26%上昇、年初来では25.88%上昇し、過去1年間でも4.85%上昇と、騰落率をプラスとしています(ただし、2019年末からは21.09%下落)。金融も非常に好調で、11.36%上昇と反発しました。同セクターは過去3ヵ月間では15.83%上昇、年初来では9.22%上昇し、2019年末からも4.74%上昇と、騰落率をプラスとしています。

 消費関連セクターのパフォーマンスは引き続きまちまちとなり(騰落率はマイナス)、一般消費財は2月に1.01%下落し、過去3ヵ月間では1.81%上昇、年初来では0.62%の下落となった一方、生活必需品は2月に1.50%下落し、過去3ヵ月間では5.39%下落、年初来では6.74%の下落となりました。コミュニケーションサービスは6.18%上昇し、過去3ヵ月間では7.79%上昇、年初来では4.58%上昇しました。情報技術は1.07%上昇し、過去3ヵ月間では5.78%上昇、年初来では0.09%上昇しています。騰落率最下位となったのは公益事業で6.54%下落し、過去3ヵ月間では7.04%下落、年初来では7.44%下落、過去1年間では5.89%の下落となりました。ヘルスケアは2.21%下落し、過去3ヵ月間では2.74%上昇、年初来では0.96%下落しています。

 値下がり銘柄数が値上がり銘柄数を上回った1月から一転して、2月は値上がり銘柄数が上回りました。2月の値上がり銘柄数は330銘柄(平均上昇率は12.05%)と、1月の203銘柄(同6.05%。12月は367銘柄で同6.52%)から増加しました。10%以上上昇した銘柄数も164銘柄(同19.49%)と、1月の39銘柄(同16.14%。12月は78銘柄で同14.61%)から増加し、34銘柄(1月は5銘柄、12月は2銘柄)が25%以上上昇しました。

 一方、値下がり銘柄数は174銘柄(平均下落率は4.94%)と、1月の302銘柄(同5.29%。12月は138銘柄で同2.69%)から減少しました。10%以上下落した銘柄数も20銘柄(同12.53%)と、1月の27銘柄(同12.32%。12月はゼロ)から減少し、25%以上下落した銘柄はありませんでした。指数構成銘柄が25%以上下落したのは2020年9月(2銘柄)が最後です。
 
 過去3ヵ月間では、値上がり銘柄数は342銘柄(平均上昇率は17.89%)と、1月末時点の441銘柄(同21.89%)、12月末時点の434銘柄(同22.01%)から減少した一方、値下がり銘柄数は163銘柄(平均下落率は7.03%)と、1月末時点の64銘柄(同3.98%)、12月末時点の71銘柄(同5.00%)から増加しました。10%以上上昇した銘柄数は216銘柄(平均上昇率は25.73%)と、1月末時点の315銘柄(同28.64%)から減少し、10%以上下落した銘柄数は41銘柄(平均下落率は12.62%)と、1月末時点の5銘柄(同10.83%)から増加しました。90銘柄が25%以上上昇し(1月末時点は156銘柄)、25%以上下落した銘柄はありませんでした(1月末時点もゼロ)。
 
 年初来では、288銘柄が上昇(平均上昇率は14.12%)、217銘柄(平均下落率は6.28%)が下落しました。10%以上上昇した銘柄数は157銘柄(平均上昇率は21.93%)、10%以上下落した銘柄数は40銘柄(平均下落率は12.46%)、25%以上上昇した銘柄数は39銘柄(平均上昇率は37.09%)で、25%以上下落した銘柄はありませんでした。
 

 

 

 

 

 

 
[執筆者]
ハワード・シルバーブラット
S&P ダウ・ジョーンズ・インデックス
シニア・インデックス・アナリスト

※このレポートは、英文原本から参照用の目的でS&Pダウ・ジョーンズ・インデックス(SPDJI)が作成したものです。SPDJIは、翻訳が正確かつ完全であるよう努めましたが、その正確性ないし完全性につきこれを保証し表明するものではありません。英文原本についてはサイトをご参照ください。
https://www.spglobal.com/spdji/en/documents/performance-reports/sp-global-equity-indices-monthly-update.pdf?force_download=true

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配信元: みんかぶ株式コラム

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